2017-03-08 22:59:35

ブラジル  最悪の長期不況も今年は回復フェーズに ただ、回復は緩やかで“失われた10年”も

テーマ:ラテンアメリカ

(ブラジル・リオデジャネイロで26日、カーニバルのパレードで踊る女性 長引く不況で企業からの協賛金が減少、材料費を節約したり、昨年の部品をリサイクルしたりして乗り切ったそうです。【2月27日 朝日より】それでも楽天的に見えるのは国民性でしょうか)

【長引く不況で社会混乱も】
韓国では、朴槿恵(パク・クネ)大統領の罷免が妥当かどうかを判断する弾劾裁判で、憲法裁判所は決定を10日に言い渡すとの発表がありましたが、近年で大統領弾劾が成立したのがブラジルで、昨年8月31日にルセフ大統領(当時)が失職しています。

ブラジルに関しては、そうした政治混乱や大規模汚職の話題が多く見られますが、経済の方も、かつてのBRICS(もはや死語の感がありますが)の一角を占めた面影はなく、中国からの需要が落ち込んだことなどで長期不況に苦しんでいます。

昨年開催されたリオ五輪の経済効果も限定的だったようです。

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ブラジル2年連続マイナス成長 五輪効果は限定的****
ブラジルの去年1年間のGDP=国内総生産の伸び率が発表され、個人消費や投資が伸び悩み、おととしに続き、2年連続のマイナスとなり、去年開催されたリオデジャネイロオリンピックの経済効果は限定的だったことが浮き彫りとなった形です。

ブラジルの地理統計院が7日発表した去年1年間のGDPの伸び率は前の年と比べてマイナス3.6%となりました。これは、マイナス3.8%の経済成長率だったおととしに続き2年連続のマイナスです。

背景には、長引く不況で失業率が10%台で高止まりし、GDPの6割を占める「個人消費」がマイナス4.2%と、おととしに続き落ち込んだことが大きな要因です。

また、企業の設備投資や公共投資などを合わせた「投資」も景気の先行きに不透明感が続き、マイナス10.2%となりました。さらに、建設業などを含む「工業」についても、マイナス3.8%と落ち込むなど、去年開催されたリオデジャネイロオリンピックの経済効果は限定的だったことが浮き彫りとなった形です。

一方、ことしの成長率の見通しについて、ブラジルのエコノミストの間では、去年、大統領が罷免された後、今の政権がインフレの抑制など財政再建に取り組んでいることに加え、主要な輸出品の鉄鉱石の資源価格が回復傾向にあることなどから、プラス成長になるとの見方が強まっています。(後略)【3月8日 NHK】
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先月末のリオのカーニバルも今一つ盛り上がりに欠けたようです。

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不況、「真夏の祭典」に暗い影=チケット不振、中止相次ぐ−ブラジル****
ブラジルの真夏の祭典、カーニバル(謝肉祭)に不況が暗い影を落としている。昨年、南米初の五輪を開催し、世界に存在感を示したリオデジャネイロではホテルの空室が目立ち、チケット販売も不調。他都市でも財政難による中止や規模縮小が相次いでいる。

きらびやかな衣装や派手な電飾の山車で知られるリオのカーニバルだが、「今年は安い素材を使ったり、羽の量を減らしたりしたチームが多い」(サンバ関係者)。

地元メディアによると、スポンサー企業の懐事情も苦しく、大手ビール会社は得意先や有名人向けに用意するVIP席の一部を一般向けに売り出した。ただ、1900〜2450レアル(約6万8000〜8万8000円)と高額で、売れ行きは芳しくないようだ。

カーニバル直前の今月中旬までのリオのホテル予約状況は72%にとどまり、昨年の86%を大きく下回った。予算不足で救急医療態勢が取れないなどの理由で、13州でカーニバルが中止され、規模縮小を余儀なくされた地方都市もある。【2月27日 時事】
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“大型の山車が崩れたり衝突したりする事故が4件に上り、少なくとも計32人がけが。山車の大型化で安全の確保が難しくなる一方、不況による経費節減も影響しているとみられている”【3月2日 朝日】といった話も。

日本の感覚では想像が難しいですが、2月に警察官も賃上げを求めてストに突入したことで、ただでさえ世界最悪レベルにあった治安は恐ろしく悪化しました。

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警察のストで治安悪化、100人超死亡 ブラジル軍が精鋭部隊派遣****
ブラジル南東部エスピリトサント州で警察が賃上げを求めてストライキを続け、地元メディアによると、治安の悪化した州都ビトリアなど州内各地で計100人以上が死亡した。ブラジル軍は同日、現地に精鋭部隊や航空部隊を派遣すると明らかにした。
 
ストは先週末に始まり、混乱が広がったことを受けて今週既に兵士1200人が派遣されていた。
 
テレビ局グロボはエスピリトサント州の警察組合の話として、ビトリアなどで路上強盗や自動車などの強奪が相次ぎ、これまでに100人以上が殺害されたと伝えた。
 
こうした中、ブラジル陸軍のビラス・ボアス司令官(大将)はツイッターで「エスピリトサント州の治安強化のため、パラシュート部隊、装甲車両、航空部隊の派遣を決めた」と述べた。
 
州知事はウェブサイトで、警察と協議したが成果がなかったと明らかにした。9日には、輸血用の血液の在庫が「ここ数日で最低水準にまで減少している」として献血を呼び掛けている。【2月10日 AFP】
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もっとも、警察官のストがなくても、信じられないほどの殺人事件が起きているのがブラジルですが・・・。


【今年はプラス成長に転じるものの、回復はゆるやかで時間がかかる見込み】
さしもの不況も、前出記事に今年はプラス成長に復帰するとの見通しがあるように、ようやく底をうったのでは・・・とも見られているようです。

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ブラジルのメイレリス財務相が「不況は終わった」と発言****
グローボ系ニュースサイト「G1」が2月21日づけで伝えたところによると、ブラジルのエンヒッキ・メイレリス財務相がブラジルの不況は終わったとコメントしたという。

その一方で、ただしブラジルはまだ不況の影響から抜け出せていないことも事実だとも付け加えた。長官曰く、今回の不況は史上最長のものだという。

「ブラジルはすでに景気回復期にあります。我々は長い間直面してきた史上最長の不景気を抜け出したのです。強調しますが、不況はもう終わりました。不況の影響は多くの分野でまだ残っていて、失業者の数も多い状態ですが、ブラジルは景気回復フェーズにあります」(メイレリス財務相)(中略)

メイレリス財務相によると、ブラジルは景気回復フェーズに入っただけでなく、長期の継続的な成長サイクルに入りつつあるとのことだ。起業家と消費者のマインドはすでに回復の兆しを見せていて、これは2011年以来のことだという。

長官はまた、ブラジルには長期にわたる経済成長の前に経済危機を経験するサイクルがあり投資家や消費者のマインドを冷やすのだとも付け加えた。

「徐々にですが、経済成長に向かっています。ただ、長期間かけて徐々に上向いていくので成長速度が速まるまで少し時間がかかります」(メイレリス財務相)【2月23日 MEGA★BRASIL】
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景気回復フェーズに入ったとしても、一気にV字回復とはいかないようです。
2013年のピークを回復するのは22~23年頃ということで、“失われた10年”となるとの予測があります。

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「富」の回復には10年 景気後退のダメージ大きく****
長引く不況とブラジル経済の回復が緩やかなものになるという予想。これらがもたらす影響は、ブラジルの富が近年の景気後退(リセッション)によって被った大きなダメージから回復するのに10年という歳月を必要とさせることになる。

2月24日付伯メディアによると、コンサルタント会社「4E」の共同経営者でエコノミストのブルーノ・ラビエリ氏は、ブラジルの国民1人当り国内総生産(GDP)は2013年にピークに達したが、これを超えられるのは次の10年間の始まり、つまり22~23年になると見ている。

同氏は「22年にはブラジルの国民1人当りGDPは3万1000レアル(デフレ値)に到達し、3万800レアルだった13年を上回るはずだ。(13年からの)ほぼ10年間が失われたということだ」と話す。

 ここ数年の間ブラジル経済が直面していたリセッションは、ブラジルの国民1人当たりGDPを14年から激しく減少させ、経済が力強い成長を遂げた数年の間に得られた利益を吐き出させた。ラビエリ氏は、17年の1人当たりGDPは2万7800レアルにとどまり、緩やかな成長軌道に戻るのは来年、18年以降になると見ている。

ブラジル経済はここ数年、強烈なリセッションによって苦しめられてきた。そして、専門家らの計算によれば、ブラジルのGDPは不況が始まってからこれまでの間に9%以上縮小した。

ジェツリオ・バルガス財団(FGV)のブラジル経済研究所(Ibre)の研究員、ジュリオ・メレブ氏は「14年から現在までの累計では、国民1人当たりGDPは9.6%落ちた。これは非常に激しい生活水準の低下だ」と話す。

ブラジルの富の回復が緩やかなものになるとの見方は、潜在GDP(潜在産出量)の低下を背景としてこの先数年間の経済成長率が小さなものにとどまるという予想で説明がつく。

コンサルティング会社「テンデンシアス」のエコノミスト、アレサンドラ・リベイロ氏は、13年に記録した1人当たりGDPのピークを23年に超えるためには「ブラジルの経済はこの先数年間、潜在成長に沿って最大約2.5%伸びなければならない」との見方を示す。

ブラジルの潜在GDPは現在の不況の中、投資の非常に激しい縮小、そして近年の力強い伸びでブラジルの成長能力引き上げの一助にもなった経済活動人口の低成長によって元気を失った。経済活動人口はこれまで年2%のペースで増えてきたが、これから先の数年間は人口の高齢化によって1%未満の伸びにとどまると見られている。

国が富むためには、ここ数十年停滞している生産性の向上もまた重要な要素だ。これは投資拡大、非官僚主義化、ブラジル経済のビジネス環境の改善に向けた経済の構造変化に依存する。(中略)

ブラジルの人々の生活水準が不況によって受けたダメージは、ブラジルの1人当たりGDPをドルに換算して他国と比較した場合も明確に表れる。為替相場とインフレの影響を排除した国際通貨基金(IMF)の最新の数字は、17年のブラジルの国民1人当たりGDPは1万5500ドルで、チリ、メキシコといった経済的に類似している国に大きな差を開けられることを示している。チリは2万4700ドル、メキシコは1万9500ドルが見込まれている。

最も象徴的な差が表れるのは韓国との比較だ。韓国とブラジルの1人当たりGDPは1980年代には非常に似通っていたが、今日、韓国国民の富の平均はブラジルの2倍以上の3万9700ドルに上る。

高等教育・調査研究所のオットー・ノガミ教授はブラジルと韓国の間で富の差が大きく開いた要因について「韓国は教育に非常に大きな投資をし、経済の様々な分野のためにテクノロジーの輸入を自由化した。これが労働力の質向上に何らかの助けになった」と説明する。【3月8日 サンパウロ新聞】
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【緊縮財政のテメル大統領は不人気】
“国民1人当たりGDPは9.6%落ちた”・・・・市民生活への影響は甚大です。
景気回復がゆっくりとしたものになることで当分は高失業率などが続くことや、財政再建のために国民負担を強いることが多い緊縮財政を進めたこともあって、テメル大統領の支持率は厳しい情勢です。

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ブラジルでテメル大統領の支持率低下、ルラ氏がリード=世論調査****
ブラジルのMDAが(2月)15日発表した世論調査で、緊縮財政策を進めるテメル大統領の支持率が低下した。一方で、2018年の次期大統領選を前にルラ元大統領への支持が高まっている。

それによると、テメル政権について「悪い」「非常に悪い」と答えた人は44.1%で昨年10月調査の36.7%から上昇。「非常に良い」「良い」との回答は前回の14.6%から10.3%に低下した。

また、テメル氏個人を支持しないと答えた人は51.5%から62.4%に上昇した。

一方、2003年から2010年まで大統領を務めたルラ氏は、決選投票を想定した質問で他の候補をリード。ルラ氏とテメル氏が相対した場合、それぞれの支持率は42.9%と19.0%となり、ルラ氏が大きく引き離した。昨年の調査ではルラ氏が敗れるとの結果だった。

ルラ氏は現在、5件の汚職事件で捜査対象となっており、高裁で有罪になれば立候補できなくなる。【2月16日 ロイター】
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政治的に疑惑も多いテメル大統領の肩を持つ気はさらさらありませんが、ルラ元大統領の人気は、恵まれた経済環境のもとでバラマキも可能だったことによるところが大きいように思え、テメル大統領には気の毒な面もあります。

いずれにしてもルラ氏は“高裁で有罪になれば立候補できなくなる”という状況です。


【汚職事件捜査は続く “疑惑”の事故も】
国営石油会社「ペトロブラス」を舞台にした大規模汚職の捜査は、まだ続いているようです。

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国営石油会社めぐる汚職、捜査範囲を海外に拡大へ ブラジル検察****
ブラジルの国営石油会社「ペトロブラス」をめぐる大規模な贈収賄疑惑について、同国の検察当局は20日、捜査の範囲が海外にまで拡大するとの見通しを明らかにした。
 
同国最大手の建設会社「オデブレヒト」は、水増しされた受注契約の見返りとしてペトロブラスに賄賂を支払ったとの疑惑の渦中にある。

またオデブレヒトは、国内だけでなく海外の政治家らに組織的に賄賂を送り、さらには賄賂の流れを記録する部署も設置していたという。

同社は賄賂として12か国にわたり7億8800万ドル(約890億円)を支払ったと認めており、米司法省に対して35億ドル(約4000億円)の罰金を支払うことで合意している。
 
今回の贈収賄疑惑の国外における捜査を担当するブラディミール・アラス検事は、中南米諸国の検察官との会合を終えた後にAFPの取材に応じ、ブラジル検察当局が少なくとも10社の海外企業を調査していることを明らかにした。
 
オデブレヒトは世界各地で大型のインフラ事業を手掛ける。アラス氏は今後捜査がアフリカおよび中南米で行われる予定であると明らかにし、贈収賄疑惑に関する国外での捜査は「非常に拡大するだろう」と述べた。【2月21日 AFP】
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なお、事件捜査に関しては、担当判事の乗った小型飛行機の“事故”も起きています。

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ブラジルの汚職担当判事が事故死 不自然さ指摘する声も****
ブラジルで、多数の政治家や企業幹部らが関わった大規模汚職の捜査を担当してきた最高裁判事が19日、飛行機事故で死亡した。

テメル大統領ら大物政治家の関与を挙げた企業幹部らの供述について、2月にも証拠としての信用性の有無を示す見通しだった。突然の事故死に、同国ではその不自然さを指摘する声も上がっている。(後略)【1月22日 朝日】
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“ザバスキ氏は建設大手オデブレヒト社の幹部ら数十人分の供述内容の検討を進めていた。中には、テメル大統領が不正に関わったとする供述も多数含まれていたとされる。”【同上】とのことですが、“当時は激しい雨が降っていた”とのことですので・・・どうでしょうか?わかりません。


【ブラジルの不況、日本の人手不足で、減少していた日系人“デカセギ”が増加】
日本に関連した話としては、ブラジルの長期不況で日本を目指す日系人が再び増加しているとのことです。

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「デカセギ」の波、再び=不況深刻、日本目指す日系人―ブラジル****
仕事を求めて日本に渡る日系ブラジル人が急増している。

日系人の「デカセギ」はリーマン・ショックの影響で2007年をピークに減少が続いていたが、外交筋などによると、昨年は9年ぶりに増加に転じたもよう。ブラジルの深刻な不況に加え、20年の東京五輪を控えた日本の人手不足が背景にありそうだ。
 
「日本でいい仕事はないか」。世界最大の日系社会を抱えるサンパウロの人材派遣会社には、昨年半ばごろから求職の問い合わせが増え始めた。「不況で仕事を失った人が多い」と宮崎秀人社長(66)。

日本では残業時間次第で給与がブラジルの6〜7倍に達するケースもある。「日本への渡航費すらない。飛行機代を立て替えてほしい」という依頼も多いという。
 
人口減少や少子高齢化で人手不足が深刻な日本からの求人も増えている。日系人の受け入れ実績が豊富な愛知、静岡、群馬各県などに加え、石川、島根両県など在日ブラジル人の少ない地域からの募集も。自動車や電子部品、食品加工工場の求人が多く、宮崎社長は「時給も上がり、需要と供給がかみ合ってきた」と笑顔を見せる。
 
90年ぶりのブラジルの大型不況は、会社勤めの高給取りにも押し寄せている。人材派遣大手アバンセコーポレーションの担当者によると、デカセギ希望者には大卒などの高学歴者も多く、「歯医者を辞めて日本に行く人もいる」という。
 
かつて日系人のデカセギは、契約内容が違ったり、給与がきちんと支払われなかったりするトラブルが絶えなかった。しかし、最近は日系人同士の情報交換が活発で、「待遇の悪い企業の情報はすぐに出回る」と宮崎社長。受け入れ企業も人材確保のために労働環境の整備に力を入れており、「17年はさらにデカセギが増えると思う」と話している。【1月8日 時事】 
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なお、ブラジル北東部は過去100年で最悪の干ばつに見舞われているとか。
“セアラ州キシェラモビンの小さなコミュニティーに住む人々は、助けてくれるのは神だけだと言う。「私たちを助けられるのは天上にいる人だけ。だから祈らないといけない。政治家たちは選挙が終われば、私たちのことなど忘れてしまう」と、この地で農業を営むセバスティアオ・バティスタさん(66)はAFPに語った”【3月8日 AFP】

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