2017-03-05 21:54:01

サウジアラビア  財政再建のさなか、国王はインドネシアで“豪遊” イエメン情勢も絡んで・・・

テーマ:中東情勢

(インドネシアの首都ジャカルタの大統領府で、サウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジズ国王(中央左)を歓迎するジョコ・ウィドド大統領(中央右)とイスラム教の指導者ら(2017年3月2日撮影)【3月3日 AFP】)

【“脱石油”を目指すムハンマド副皇太子の改革 財政再建のため付加価値税も導入】
石油収入による金満国サウジアラビアも、ながびく原油価格低迷と、イエメンへの軍事介入などによる支出増大によって、財政的に困難な状況にあり、サルマン国王の七男でもあるムハンマド副皇太子(31)が主導して“脱石油”の構造改革を行おうとしている・・・・といった話は、これまでも取り上げてきたところです。

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サウジ強気の予算 「若き改革者」脱石油へ一手****
「石油依存からの脱却」を掲げて改革を進めるサウジアラビアが、昨年12月下旬、2017年の予算を発表した。

原油価格の改善を受けて歳入増を見込み、経済の活性化に向けて歳出も増やす強気の内容だが、財政の黒字化は「石油価格次第」の状況が続く。
本当に石油に頼らない経済に移行できるのか、地域大国の行方に注目が集まっている。
 
今回の予算編成は、国防相や経済開発評議会議長を兼ねるムハンマド副皇太子(31)が主導したとみられる。
15年に即位したサルマン国王の七男で、国防から経済までかじ取りを任された「若き改革者」だ。

予算はムハンマド氏が昨年4月に発表した改革指針「ビジョン2030」を踏襲し、戦略的な投資を惜しまない積極的な姿勢が目立つ。
 
歳出は、16年の実績見込みより約8%多い8900億リヤル(約27兆円)。前年比14%減だった16年の緊縮ぶりからうって変わり、「交通機関やインフラ」などの支出を大幅に増やす。外国投資を呼び込み、非石油産業を活性化するためだ。
 
歳入は、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意を受けて原油価格が改善していることなどを受け、16年の実績見込みに比べて31%増の6920億リヤル(約21兆1千億円)と想定した。
 
財政赤字は16年に比べて3分の2に縮小する見通しとなっているが、それでも1980億リヤル(約6兆円)を見込む。

資産の取り崩しや国債の発行などでまかなう方針とみられ、予算説明書では2020年までに赤字財政から脱却する方針を強調した。だが、歳入に占める石油関連の割合は今年も約7割に達し、原油価格の動向に大きく左右されそうだ。
 
ムハンマド氏は財政改革の一環として、ガソリン価格や水道、電気料金の値上げ、公務員の給与カットなども続けているが、中低所得層の間では反発が広がっているとされ、改革の成果が出なければ社会不安が広がりかねない。

アラブ最大の経済規模を持ち、日本の最大の原油輸入先でもあるサウジの改革の成否は、地域の安定にも影響を与えそうだ。【1月16日 朝日】
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そうした財政再建のひとつとして、日本の消費税のような付加価値税も導入も進められています。

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サウジアラビア、付加価値税導入へ 原油価格低迷による財政悪化で****
原油価格低迷による財政悪化を受け、サウジアラビア政府は30日、付加価値税(VAT、日本の消費税に相当)の導入を承認した。
 
国営サウジ通信(SPA)は、湾岸協力会議(GCC)加盟6か国に付加価値税を導入する取り決めを承認することをサウジ政府が決定し、同税の導入にあたって国王令発布の準備が進められていると伝えた。
 
同税の導入は、原油価格低迷による成長鈍化への対応策として、湾岸諸国に消費税や付加価値税導入などの財源確保を求めた国際通貨基金(IMF)の提言に沿ったもの。(中略)
 
世界最大の産油国でアラブ世界最大の経済大国でもあるサウジアラビアでは長い間、所得税や消費税に相当する税制が存在せず、国民には政府から手厚い補助金も支給されていた。
 
しかし同国は2014年以降の原油下落を受け昨年は970億ドル(約11兆円)の財政赤字を記録。燃料費や公共料金への補助金削減や、大型建設プロジェクトの凍結、閣僚の報酬削減、公務員の昇給見送りなどの対策が取られていた。【1月31日 AFP】
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“所得税や消費税に相当する税制が存在せず、国民には政府から手厚い補助金も支給されていた”というのは恐ろしく恵まれた環境にあると言えますが、結果的には国民の勤労意欲を阻害するということで、長期的に見ると“資源の呪い”にもなりかねません。


【南仏でひんしゅくをかった国王の豪遊 今回はインドネシア・バリ島】
「若き改革者」ムハンマド副皇太子の改革路線も、そうした面も視野に入れてのことでしょうが、それにしては父親でもある国王自身の浪費体質は変わっていないようです。

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サウジ国王一行1000人超、バリ島へ豪華な旅 現地は厳戒態勢****
インドネシアのリゾート地、バリ島は3日、今週末から訪れるサウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジズ国王の親族・側近ら一行1000人のために警備を強化している。
 
バリ島では、4日に到着する国王一行の移動用に高級車やSUV車数百台が用意されている他、396トン分の備品が同島に持ち込まれた。
 
地元警察によると、バリ島のヌサドゥアでは、国王一行のために5軒の高級ホテルが予約されている。また地元メディアは、一行の荷物には同国王愛用の高級ソファや80インチの大型テレビなども含まれていると報じている。
 
島全体に配備されている警察、軍兵士、治安部隊などは約2500人。狙撃要員や爆弾処理の専門家も含まれている。
 
サルマン国王は国賓として、2月29日にすでにジャカルタに到着し、手厚い歓迎を受けた。世界で最もイスラム教徒の人口が多いインドネシアをサウジ国王が訪問するのは約50年ぶり。バリ島はヒンズー教徒が多数派だが、サルマン国王一行はこの島に1週間滞在する。
 
サウジアラビアは経済を石油依存から脱却させ多様化させることを目指しており、サルマン国王は投資機会を求め、現在3週間のアジア歴訪中。今週初めにマレーシアを訪れた同国王は、バリ島での休暇を挟み、さらに日本や中国、モルジブを訪れる予定。【3月3日 AFP】
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“サルマン国王は投資機会を求め、現在3週間のアジア歴訪中”とのことで、脱石油を目指す改革の一環ということのようですが・・・・。

インドネシア側は、“国王は250億ドル(2兆8千億円)相当の新規投資を約束するとされ、景気が伸び悩むインドネシアの期待感をかきたてており、ジョコ氏が自ら空港で国王を出迎えた。”【3月1日 朝日】と、経済効果に期待が集まっているそうです。

“国王一行の離着陸のためにバリ空港を一時閉鎖するなど、破格の待遇でもてなす”【3月1日 朝日】というのも、地元住民や一般観光客には大迷惑です。

サルマン国王の“豪遊”は一昨年もフランス・コートダジュールでひんしゅくを買いましたが、インドネシア側の大歓迎もあって国王はあまり気にしていないようです。

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サウジ国王、南仏バカンス切り上げ 地元との確執原因か****
サウジアラビアのサルマン国王が2日、夏季休暇で訪れていた南仏コートダジュール(フレンチリビエラ)を突然、後にしたと地元当局が発表した。サルマン国王一行が休暇を過ごすためにビーチは立ち入り禁止になり、物議を醸していたが、間もなく一般向けに再び公開される見通しだという。

サルマン国王は、豪華な休暇を過ごすために南仏に到着して8日後、ニース空港からモロッコのタンジェ行きの飛行機に搭乗したと、アルプ・マリティーム県当局はAFPの取材に対して答えた。

同県によれば、国王は別荘のあるゴルフ・ジュアンでの滞在を切り上げ、総勢1000人の側近のうち、少なくとも半数が同地を後にしたという。サウジアラビア大使館側は当初、国王一行は今月20日ごろまで滞在すると発表していた。

アルプ・マリティーム県は、国王の別荘周辺に敷かれていた警備態勢は「徐々に解除する」見通しだと発表。別荘前のビーチも、3日には日光浴や水泳を楽しむ一般の人びとに再び公開すると述べた。

一行の滞在は、王族の安全確保とプライバシー保護のためにビーチが立ち入り禁止にされたことから地元民の怒りを招き、世界的な話題となって、公共のビーチの「私物化」に抗議して15万人以上が署名する事態にまで発展していた。

国王の側近の間からは、周囲の視線が不快だとの不満の声も漏れていた。国王一行が滞在を切り上げたのが、ビーチ封鎖をめぐる論争が原因かどうかは今のところは分かっていない。【2015年8月3日 AFP】
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総勢1000名超ということについては、国王自身が求めたというより、国王周辺の人々の旅行への期待が大きく、国王もそうした周辺の期待を無視できない・・・ということもあるのかも。わかりませんが。

それにしても、財政改革を進めるなかでの“豪遊”は、いささか見識を疑うものがあります。


【サウジアラビア国王への“釈明”にインドネシアを訪問するイエメン暫定大統領】
もっとも、今のサウジアラビアにとっての一番の“浪費”は、国王の“豪遊”などではなく、イエメンの軍事介入です。

イエメンでは、相変わらずサウジアラビアなどアラブ諸国はハディ暫定大統領を支援して空爆を続けており、2年近く続く内戦のために住民は困窮し、700万人がかつてないほど飢餓に近い状態にあると、国連のイエメン人道調整官が警告する状況ともなっています。

今回のサルマン国王のインドネシア“豪遊”には、このイエメン情勢も関連しているようです。

イエメンでは、ハディ暫定大統領派が支配するアデンにおいて、政府軍同士の衝突という混乱があった・・・という話は、2月15日ブログ“イエメン トランプ大統領の初軍事作戦  終わらぬ内戦で危機に瀕する住民生活と子供の命”http://ameblo.jp/azianokaze/day-20170215.htmlで取り上げました。

この衝突の一方の部隊を支援しているのがUAE、もう一方はハディ暫定大統領の息子が指揮する部隊ということで、UAE、ハディ暫定大統領、盟主サウジラビアを巻き込んだ深刻な問題となっているようです。

事件の“釈明”のために、内戦中のハディ暫定大統領自身がバリ島滞在中のサルマン国王を訪問するそうです。

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hadi 大統領のインドネシア訪問(サウディ国王との会談****
・・・・al qods al arabi net は、イエメンのhadi大統領が、4日からインドネシアを訪問し、パレスチナ問題に関するイスラム諸国会議の臨時首脳会議に参加し、その際現在同国を訪問中のサウディ国王とも会談すると報じています。

これだけならば、通常の首脳会議の際に首脳同士がバイの会談をするということで、どうということもないことですが、その際の会談の主要内容は先日のアデン空港での事件(UAEの支援する警備隊と、hadiの息子が指揮する大統領警備隊が衝突した事件。その後、hadiは慌ててUAEを訪問し、その後サウディに行ったが、たぶん国王は外国訪問中だったと思う)に関する協議だとしており、またリビアの治安関係使節団が、アラブ連合の招待(命令?)に基づいて、治安問題を話し合うために3日からリアドを訪問中とも報じています。(中略)

これだけのニュースから即断はできませんが、先日のアデンでの衝突事件は、表面的に報じられたよりもさらに深刻な問題で、hadi大統領はUAEまで釈明に行き、さらにその結果についてサウディ政府にも説明したが、やはり国王に会ってその了解を取り付けろ、ということでわざわざ内戦のさなかにインドネシアくんだりまで、国王に会いに行く始末となった、ということに見えます。

もしかすると、UAEがhadiが態度を改めて全面降伏しない限り、アラブ連合から引き上げるなどと脅して、慌てたサウディがなんとかその場を糊塗し、事件の収拾について直接国王に説明するように求めたということもありそうです。
もちろん、単なる推測ですが・・・・【3月4日 野口雅昭氏 「中東の窓」】
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泥沼のイエメン情勢をハディ暫定大統領から釈明されては、サルマン国王もせっかくの旅行気分が台無しでしょうが。

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