2017-02-24 23:17:37

フィリピン麻薬撲滅戦争 「芯まで腐っている」警察撤退後も“1日に9~10人” 批判する議員は逮捕

テーマ:アジア

(5歳で殺されたフランシス君と父親のドミンゴ・マニョスカさん(44歳)の棺の横で、妹のエリカちゃん(1歳)をあやすジュリー・ベスちゃん(9歳)。【2月21日 NATIONAL GEOGRAPHIC】)

【「芯まで腐っている」警察】
本家トランプ大統領の影に隠れた感もある“フィリピンのトランプ”ことドゥテルテ大統領に関する話題。

麻薬取引容疑者(と見なされた者)を警察及び処刑団を使って(あるいは煽って)見境なく殺害しまくっている(昨年6月末の政権発足から毎月平均1000人が殺害)ことから、本家とはレベルの異なる問題があります。

今更ながらではありますが、韓国人殺害に警官が関与していたことが1月に明らかになりました。

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フィリピン警官が韓国人殺害、麻薬撲滅戦争に潜む闇****
フィリピン国内で実業家の韓国人男性(53)が拉致、殺害された事件が1月半ばに発覚し、在比韓国人社会に衝撃が走っている。

犯行グループの中にはフィリピン国家警察所属の現職警官が複数含まれていたことから、ドゥテルテ現政権は同様の悪徳警官を一掃し、政権発足以来続けてきた麻薬撲滅戦争を一時中断する事態にまで発展した。
 
事件が発生したのは昨年10月。首都マニラから車で約2時間北上したルソン地方パンパンガ州の自宅で、被害者の韓国人男性は警官らに車で連れ去られ、絞殺された。

連行された理由は麻薬密売への関与を疑われたため。遺体は火葬されたが、遺灰は葬儀社のトイレに流されたという。男性の行方を捜して被害届けを出した韓国人妻は、犯行グループから身代金を要求され、500万ペソ(約1200万円)を支払っていた。(後略)【2月21日 WEDGE】 
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“フィリピン在住の韓国人は約12万人に上り、日本人(約1万7千人)の7倍程度の規模”【同上】ということで、なかには“韓国人マフィア組織”といった闇社会に関連する者も少ないのではとは思われ、“売春ツアー”が韓国中年男性の間で人気となっているといったことも。

そうした韓国・フィリピンの深い関わりのなかで、“2013年~2015年にかけて、海外で殺害された韓国人は計79人に上るのだが、そのうちフィリピンで殺された韓国人が31人。全体の40%がフィリピンで被害に遭っているのだ。”【1月29日 YAHOOニュース】という“実績”もあるようです。

いずれにしても、現職警官が拉致・殺害に関与するというのは尋常ではありませんが、韓国人対象に限らず、警察官の“不適切な”容疑者殺害はこれまでもいくども取りざたされてきたところです。

ドゥテルテ大統領も、「芯まで腐っている」警察を麻薬撲滅戦争から除外し、軍主導でやっていくことに方針を変更しています。
麻薬撲滅戦争自体は、これまで同様続けることを明らかにしています。

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麻薬撲滅戦争を軍主導に 比大統領、中毒者のさらなる殺害誓う****
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2日、自らが推し進める「麻薬撲滅戦争」において、今後は軍隊が主導的な役割を担っていくとする考えを明らかにした。
 
ドゥテルテ大統領は「 軍全体からの支援を要請するため、AFP(フィリピン国軍)を引き込み、国家安全保障上の脅威として麻薬問題を提起する」と語り、「くそったれな」麻薬中毒者をさらに殺害していくと誓った。
 
ドゥテルテ大統領は今週、麻薬撲滅戦争の主導的な役割を果たしていた警察が「芯まで腐っている」として、今後は参加させない意向を示していた。
 
同国では、麻薬撲滅戦争を隠れみのとして、警察官が殺人、恐喝、強盗を働くという不祥事がここ数か月の間、相次いで発覚していた。【2月2日 AFP】
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「芯まで腐っている」警察によってこれまでに不当に殺害された者に関する責任、警察ではなく“謎の組織”によって“処刑”された夥しい犠牲者に関する問題については、一切言及がないのは従来同様です。

警察が「芯まで腐っている」ことは当然に大統領は熟知していたはずで(国民のみなが知っていることですから)、そうした警察に“麻薬撲滅戦争”という名目での殺害を自由に行わせ、それを煽ってきた自身の責任はどうなるのでしょうか?


【警察撤退後も“1日に9~10人”が殺害】
“1日に約30人が殺害されていたが、警察が取り締まりから退いた現在でも、1日に9~10人が殺害されている”ということで、警察撤退で殺害ペースはダウンしたようです。もちろん、“1日に9~10人”という現状も大変問題ではありますが。

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比麻薬撲滅戦争、取り締まりからの警察撤退後も殺人続く****
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは17日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領自らが推し進める「麻薬撲滅戦争」から警察が撤退した後も、多くの人々が殺害されているとの懸念を示した。
 
ドゥテルテ大統領は、麻薬撲滅戦争の開始後7か月が経過した先月31日、取り締まりに警察を参加させない意向を示した。

その時点で、当局者の手によって麻薬犯罪の容疑者2555人が、また詳細不明の状況下で3930人が殺害された一方、AFPが今月17日に警察から入手した最新の集計によると、今月13日の時点で4076人分の「殺人事件が現在調査中」とされていたことが分かった。
 
つまり1月末の時点から146人増加したことになり、麻薬撲滅戦争において、超法規的殺人がペースを落としながらも引き続き行われていることを示していると、人権団体は主張している。
 
アムネスティ・フィリピンのウィルノー・パパ氏はAFPの取材に対し、「われわれとしては、(殺害の)ターゲットは以前と変わっていないと考えている。麻薬との関わりがあり、貧困地域に住む人々だ」との見解を示した。
 
パパ氏によると、警察が取り締まりを主導していた際、正体不明の襲撃者によるものも含めて1日に約30人が殺害されていたが、警察が取り締まりから退いた現在でも、1日に9~10人が殺害されているという。
 
アムネスティは今月発表した報告書で、警察が麻薬撲滅戦争において無防備の人々を射殺したり、刺客に金を渡して麻薬中毒者を殺害させたり、殺害した人から物を盗んだりするなど、組織立った人権侵害を行っていたと批判している。またこの報告書によると、上司が部下の警官に金を支払って殺害させる事例もあったという。【2月17日 AFP】
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【ダバオ市長時代から“処刑団”を指揮してきたドゥテルテ大統領】
「芯まで腐っている」警察以上に問題なのは、“麻薬”を名目にした正体不明の襲撃者による処刑が横行していることです。

“これまでに殺害された約7600人のうち、国家警察による殺害は約2500人。残りは「捜査中の殺害事件」として扱われているが、一部は自警団によって殺害されたと言われる。射殺した遺体の両手足をロープで縛り、「私は密売人」と書いた段ボール紙を現場に残して逃走するのが自警団の手口だ。”【2月21日 WEDGE】

こうした“処刑団”の活用は、ドゥテルテ大統領にとってはダバオ市長時代からのお馴染みの手法です。

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暗殺団員だった元警官、市長時代のドゥテルテ氏が殺人命じたと告白****
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が、南部のダバオ市長時代に暗殺団を取り仕切り、この組織によってジャーナリスト1人や妊婦1人などが殺害されたと、かつてその一員だったと主張する元警察官が20日、告白した。
 
著名な人権派弁護士3人が同席する中、アーサー・ラスカニャス氏はドゥテルテ氏がダバオ市で自身の反対派排除や犯罪撲滅を理由に命じたとする一連の殺人を泣き崩れながら列挙した。
 
ラスカニャス氏はさらに、ドゥテルテ氏に対する「盲目的忠誠心」や金銭的な報酬のために、麻薬密売に関わった実の兄弟2人も殺害したと明かした。
 
ラスカニャス氏によると、「遺体を埋めたり、海に遺棄したりすると、ドゥテルテ市長から報酬が支給された」という。
 
ドゥテルテ氏は、20年以上在任したダバオ市長時代に暗殺団を指揮し、大統領就任後はその手法を、何千人もの死者を出している麻薬撲滅戦争にまで拡大させたと繰り返し非難されている。
 
ダバオ市の暗殺団の存在について、否定したり認めたりと一貫しないドゥテルテ氏は、警察に手本を示すため自分でも人を殺したことがあると発言している。
 
ラスカニャス氏の告白のうち、最も非道な事例の一つによると、同氏は他の警察官らと共に誘拐事件の容疑者を拉致し、その妊娠7か月になる妻と4歳か5歳の息子、及び義理の息子、家政婦2人を拘束。「ドゥテルテ市長は、『行け、やつらを消せ』と合図した」「この場合は悪が勝った。彼ら(警察官ら)は私の目の前で、消音装置を付けた22口径の銃で一家全員を殺した」と振り返った。
 
また2003年には、ドゥテルテ氏に批判的だった著名なラジオパーソナリティーのジュン・パラ氏を殺害し、ドゥテルテ氏はラスカニャス氏と他の警察官らに300万ペソ(約670万円)の報酬を与えたという。
 
昨年には上院の公聴会で、狙撃手を自称する男性が、1000人以上を殺害したダバオ市の暗殺団を率いていたのがラスカニャス氏だと主張していた。
 
当時はまだ現役の警察官だったラスカニャス氏は関与を否定していたが、昨年12月の退職後、良心の呵責(かしゃく)に苦しみ、真実を語り暗殺団の一員だったことを告白しようと思ったという。【2月20日 AFP】
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ドゥテルテ大統領側の反応は“証言に対し、アンダナール広報担当相は20日、「大統領を滅ぼし、政権を揺るがそうとする者による政治劇の一部にすぎない」とするコメントを発表した。暗殺団については、議会上院が昨年12月、調査の結果「存在は認められない」と公表していた。”【2月21日 朝日】というものです。

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7600人殺害のフィリピン麻薬戦争、自警団と暗殺集団は同じ構図****
・・・ドゥテルテ大統領が22年間市長を務めたミンダナオ地方ダバオ市では1990年ごろから、暗殺集団「ダバオ・デス・スクワッド」が暗躍し、麻薬密売人や窃盗犯などの容疑者が次々に殺害されたと言われる。しかし、暗殺集団のメンバーが逮捕、訴追された前例はほとんどなく、真相は未だに闇の中だ。
 
ある人権団体の担当者は「裏で警察が操っているから暗殺集団のメンバーが逮捕されることはない。殺害された被害者の遺族も報復攻撃を恐れて告訴できないのだ」とその真相を説明する。

ダバオ市の報道関係者も「暗殺集団は存在する。しかし、その実体を報道すれば、自分たちが危険な目にさらされる可能性がある」と語る。2003年にはドゥテルテ市政を批判し続けたラジオ局員の男性が射殺された。(後略)【2月21日 WEDGE】
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恐怖による支配が続く中では、なかなか真相解明は難しいようです。


【大統領批判の上院議員逮捕】
一般国民は、大統領の麻薬対策は支持しつつも、“超法規的殺人”には不安を感じています。

“民間調査機関が昨年12月半ばに公表した世論調査の結果によると、回答者の78%が「超法規的殺人の被害者になるのではないか」との不安を抱いている。一方で、麻薬撲滅戦争については85%が「満足」と答えており、複雑な国民感情が浮き彫りとなった。”【同上】

要するに、自分がまきこまれるのは困るが、そうでなければスラムの貧困層が殆どの麻薬犯罪者などはどんどん殺して構わない・・・という考えのようにも思えます。

ただ、いつまで“自分がまきこまれず”にすむのか?
麻薬関連容疑者向けられる暴力は、やがては政治的対立者へ、そして政権に不満を抱く国民へ向けられます。

レイラ・デリマ上院議員は、かねてよりドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争を批判・告発してきました。
“前法相で人権活動家のレイラ・デリマは、数百人規模の密売容疑者が裁判を経ずに現場で超法規的に殺害されていると伝わる「麻薬撲滅作戦」は、終わらせねばならないと述べた。その唯一の方法は、各国がフィリピンに制裁を課し、ドゥテルテと彼に近い議員らに対してICC(国際刑事裁判)が本格調査に乗り出すなど、国際社会が最も厳しい態度で臨むことだという。”【2016年10月25日 Newsweek】

しかし、デリマ上院議員は9月には大統領派の上院議員によって上院の司法・人権委員長を解任され、12月には自信が刑事告発されました。

“フィリピン警察によると、デリマ議員は司法相を務めていた2010年から2015年にかけて刑務所内における麻薬の取引に関与していたとしている。デリマ議員は、司法相時代には刑務所における監督権を有していた事から、麻薬密売組織の幹部らから賄賂を受け取り麻薬取引を黙認していた罪などがあるとしている。これらの容疑に対しては、刑務所内の受刑者から証拠となる証言を得ているとしている。”【2月24日 ASEAN PORTAL】

そして、今朝、逮捕拘束されました。

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フィリピン上院議員を逮捕、ドゥテルテ大統領批判の急先鋒****
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領の麻薬撲滅戦争批判の急先鋒に立っていたレイラ・デリマ上院議員(57)が24日朝、同国上院で逮捕された。

首都マニラの裁判所は23日にデリマ氏の逮捕状を出し、同議員は上院の建物に逃げ込んでいた。
 
フィリピン政府は先週、麻薬密売を主導していたとしてデリマ氏を訴追。デリマ氏の支持者や人権活動家らは、デリマ氏によるドゥテルテ大統領批判を封じ、また同大統領を批判しようとする他の人たちを委縮させるためだとして激しく非難していた。
 
24日朝、現場にいたAFP記者が見ている中、デリマ氏は警察官に取り囲まれた。警察に身柄を拘束される直前に同氏は報道陣に対し、自身は無実でありドゥテルテ大統領の「抑圧」に対して声を上げ続けると述べた。同氏は有罪になれば終身刑を受ける可能性がある。

■10年にわたり追及
弁護士でもあるデリマ氏は約10年にわたり、ドゥテルテ大統領と、麻薬撲滅戦争で多くの人たちを殺害したとされる殺人部隊との関係を突き止めようとしてきた。
 
逮捕状が出されたことを受けてデリマ氏は上院で記者会見し、「私は逃げも隠れもしない。すべての容疑に向き合う」と涙ながらに語っていた。
 
24日朝に出頭することで当局と合意が成立したと考えたデリマ氏はマニラ市内の自宅に戻った。しかし、デリマ氏逮捕のため警察が自宅に向かっていることが国営テレビで放送されると、同氏はすぐに自宅を離れ安全と考えられた上院議会の建物に逃げ込んでいた。
 
デリマ氏はベニグノ・アキノ前政権で法相を務めていた際に麻薬密売を主導したとして訴追されていた。【2月24日 AFP】
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レイラ・デリマ上院議員がどういう人物なのかは知りません。
“叩くと埃が出る”ような人物が多いとされるフィリピン政治家ですから、必ずしも“正義の闘士”ではないのかもしれません。

しかし、政敵を引き摺り下ろして逮捕に至るような手法は、政治全体の“口封じ”を狙うものであり、こうした強権的手法は、やがては国民一般を巻き込んだ“恐怖による支配”を招きます。

なお、ドゥテルテ大統領に関しては“隠し資産”の追及もありますが、追及する側も“命懸け”を覚悟する必要があります。

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比上院議員、ドゥテルテ氏に数千万ドルの隠し資産と非難****
2月16日、フィリピンのアントニオ・トリリャネス上院議員は、ドゥテルテ大統領が総額24億ペソ(4800万ドル)の資産を隠している証拠だとして、ドゥテルテ氏のものとする複数の銀行口座の2006─15年の取引明細書のコピーを公表した。大統領側は、売名行為と一蹴した。(後略)【2月17日 ロイター】
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もちろん、トランプ大統領にしても、ドゥテルテ大統領にしても民主的に選ばれた政治家であり、そのポリティカルコレクトネスに縛られない本音の決断と実行力は国民の多くに熱烈に支持されている側面もあります。
そうした支持の理由・背景はわかりますが、ただ、国民の側も「本当にそんなことをしていいのか?」と改めて問い直す必要があろうかと思います。

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