2017-02-20 23:21:54

金正男氏殺害事件で北朝鮮と友好国の関係に亀裂 インドネシアのジャカルタ知事選挙の動向など

テーマ:アジア

(選対本部で支持者らを前に演説するアホック氏(中央)【2月16日 ジャカルタ新聞】)

【北朝鮮の駐マレーシア大使のマレーシア批判に駐北朝鮮大使を召還】
マレーシア・クアラルンプール空港における金正男氏殺害事件で、北朝鮮の駐マレーシア大使が「何かを隠し、だまそうとしている」など、マレーシア側の捜査を批判していることに対し、マレーシア外務省は20日、北朝鮮に駐在するマレーシア大使を本国に召還すると発表、一方、駐マレーシア北朝鮮大使は20日、マレーシア警察の捜査結果は信用できない」と改めて批判するなど、マレーシアと北朝鮮の関係が悪化しています。

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長年の友好関係に亀裂=マレーシア、抗議の意思―駐北朝鮮大使を召還・金正男氏事件****
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が殺害された事件で、マレーシア外務省は20日、駐北朝鮮大使を召還したと発表した。

1973年に国交を樹立し、友好関係にあるとされる両国だが、正男氏の遺体引き渡しをめぐり、マレーシア批判を続ける北朝鮮側に抗議した形だ。大使召還は外交関係断絶にもつながる異例の措置で、両国関係に亀裂が走るのは必至だ。
 
北朝鮮の康哲駐マレーシア大使は17日夜、マレーシア政府に正男氏の遺体の即時引き渡しを要求。引き渡しを拒否しているマレーシア政府を「何かを隠し、だまそうとしている」「敵対勢力と結託している」などと批判した。
 
これに対してマレーシア外務省は20日午前、康大使を呼んで発言に関し説明を要求。死因特定は政府の責任だと強調する声明も出し、北朝鮮側にも事案の経過は伝えてきたと反論した。
 
外務省はさらに、康大使の批判は「根拠がない」と一蹴し、「マレーシア政府の信用を損なう試みを深刻に受け止める」と強調。平壌に駐在するマレーシア大使を「協議のため」に召還すると明らかにした。

これを受け、外務省から呼び出された康大使は20日午後、記者会見を開き、「マレーシア警察の捜査を信用できない」と改めて非難した。
 
マレーシアは北朝鮮との国交樹立後、2004年に平壌に大使館を設置し、現在、両国間の往来にビザは不要だ。マレーシアが駐北朝鮮大使を召還するのは初めての事態とみられる。
 
問題は遺体の引き渡しにとどまらない。マレーシア警察は19日の会見で、新たに公表した北朝鮮国籍の4容疑者が事件当日に出国したと発表。

一部報道によれば、4人は既に平壌に戻った。警察は国際刑事警察機構(ICPO)に協力を求める考えだが、北朝鮮はICPOの非加盟国で、マレーシアと犯罪人引き渡し条約も結んでいないとされ、捜査協力を求めるのは至難とみられる。
 
北朝鮮が今後、対抗措置として康大使を召還する可能性もあり、韓国の北朝鮮専門家は「北朝鮮とマレーシアの外交的対立はしばらく続く可能性がある」と指摘する。【2月20日 時事】
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“(北朝鮮の駐マレーシア大使である)カン氏は17日の声明で、マレーシア側が遺体の引き渡しを拒否しているとした上で、国際法廷への提訴も辞さない構えを示した。15日に行われた正男氏の遺体の司法解剖についても「我々の許可や立ち会いなしに強行した」と述べ、結果を受け入れない立場を表明した。”【2月20日 読売】

“マレーシアに駐在する北朝鮮のカン・チョル大使は、20日、北朝鮮大使館で記者会見し、死亡した男性について、「警察はわれわれに確認せずに別の名前を発表している。われわれは全く知らない」と述べ、死亡したのはキム・ジョンナム氏ではないと主張しました。”【2月20日 NHK】

記事にもあるように、マレーシアは北朝鮮の数少ない友好国のひとつでしたが(だからこそ、金正男氏がクアラルンプールを活動拠点にしていた訳ですが)、その関係も怪しくなっています。

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【金正男氏殺害】事件対応に苦慮するマレーシア政府 北朝鮮と歴史的なつながり****
・・・・北朝鮮にとってマレーシアは数少ない友好国の一つだ。2009年からはビザなしでの相互訪問が認められている。また、13年にはマレーシアの大学から金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に名誉学位が授与されたこともある。
 
自由に行き来できる利点から、日本をはじめ外国高官と北朝鮮高官との非公開接触も度々行われてきた。北朝鮮の工作機関は、マレーシアを海外拠点のひとつとしている。
 
今回の事件で両国関係の悪化も予想され、マレーシア政府は当面、対応に苦慮しそうだ。【2月16日 産経】
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北朝鮮の非常識な対応には“慣れている”日本からすれば、今回の北朝鮮の反応は驚くほどのことはありませんが、当事国マレーシアとしては腹立たしいところでしょう。

北朝鮮のカン大使は、死亡したのはキム・ジョンナム氏ではないと主張したうえで、公正な捜査を行うためだとしてマレーシア側に共同で調査を行うよう提案する考えを示しています。


【インドネシア 「アイシャ」を救え!】
一方、実行犯女性の一人がインドネシア国籍であったことから、インドネシアでもこの事件への関心が急速に高まっているそうです。

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金正男暗殺実行犯「アイシャ」を救え****
北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の異母兄にあたる金正男氏(45)がマレーシア・クアラルンプールの国際空港で2月13日に暗殺された事件は、インドネシアでは当初金正男氏の正体があまり知られていないことやジャカルタ特別州知事選(2月15日投開票)の報道などに埋没してほとんど関心を呼ばなかった。

ところが殺害実行犯としてマレーシア警察当局に逮捕された女性の1人がインドネシア国籍と判明すると、新聞やテレビ、ネットで一斉に事件とその関連が報道されはじめ、今や国民の一大関心事となっている。

地元紙は金正恩委員長の血縁関係を示す系図、政治的地位と政権の構図を表す図表や写真を掲載して、「北朝鮮という特殊な国」の実情を次々と伝えている。

逮捕されたシティ・アイシャ容疑者(25)のジャカルタ市内の自宅、ジャワ島西部の実家に暮らす母親や親族などの声も連日のように伝えられている。

そのインドネシアメディアの報道姿勢は当初の事実関係の報道から、「アイシャは国際的な陰謀の被害者」との位置づけに変化してきており、「アイシャを救え」という論調が強まっている。

■日本のテレビ番組と騙された?
マレーシアの捜査当局やアイシャ容疑者の親族などの証言から今回の「暗殺」にベトナム国籍のもう1人の女性とともに関わったアイシャ容疑者は、「日本のテレビ番組への出演」という依頼を受けていたという。

その番組については ①マレーシアで見知らぬ人に突然背後から目をふさいだり、スプレーを正面から吹き付ける「いたずらビデオ」への出演依頼 ②「香水を見知らぬ人に振りかける香水の宣伝番組」への依頼などとみられている。

インドネシアやマレーシアではいわゆる日本の「ドッキリカメラ」的な番組の人気が高く、アイシャ容疑者も1回100米ドルの出演料で依頼を受け、インドネシアやマレーシアで何度か同様の「ビデオ撮影」に協力していたことが分かっている。

このため事前の収録では「実際に香水をかけていた」が、金正男氏のケースは香水が殺傷の力のある薬物に変わっていて「実行犯の女性2人にはそのことは知らされていなかった可能性」が高いとみられている。

アイシャ容疑者に直接接触して「いたずら」を依頼した人物については「これまでのところ中国人か日本人か判明していない」と捜査当局は明かしている。(中略)

■副大統領も「アイシャは犠牲者」
こうした事件の捜査の進展に伴い、インドネシア国内での報道合戦が激化、内外の報道陣が押しかけたジャカルタ西方約100キロにあるバンテン州セラン県パブアランのアイシャ容疑者の実家では母親や親族が質問に答えてアイシャ容疑者の人となりを話し、無実を訴え続けている。

新聞の論調も「アイシャは国際的陰謀の被害者」「インドネシア人のアイシャは無実、救済しよう」という同情的なものに変わりつつある。

報道の過熱を受けて17日にはユスフ・カラ副大統領が「事件後アイシャは(クアラルンプールの)空港付近で逮捕されたようで、逃走もしなかったことなどから(アイシャ自身が)特定国の工作員や暗殺犯ではないだろう。(アイシャは)殺害の実行犯だったとしても、特定工作員に利用された犠牲者とも言えるのではないか」との同情的な見方を示し、同情論が一気に高まっている。

■インドネシア人の対北朝鮮観に変化 
インドネシアはスカルノ初代大統領時代から北朝鮮の金日成主席との間で友好関係を樹立、外交関係もありジャカルタ市内中心部メンテンには北朝鮮大使館が存在する。

北朝鮮による日本人拉致事件の被害者、曽我ひとみさんが夫ジェンキンズ氏と再会を果たしたのもインドネシア・ジャカルタであり、今年1月23日のスカルノ大統領の長女、メガワティ・スカルノプトリ元大統領の誕生日にはメンテンのメガワティ私邸を北朝鮮大使が祝賀のために訪問している。

こうした友好関係からこれまで北朝鮮には比較的中立的な立場をとってきたインドネシアだが、近年はミサイル発射を批判したり、北朝鮮とのイベントをキャンセルしたり、北朝鮮レストランが閉店したりと様々な要因から「冷めた関係」に変化してきていたという。

そこに起きた今回の金正男氏暗殺事件へのインドネシア女性の関与は、インドネシア世論を一気に「反北朝鮮化」させており、「恐ろしい国」、「何をするかわからない国」との共通認識が国民の間に広がっている。

そういう意味では「北朝鮮にとって友好国であり外交関係のある国」のインドネシアで北朝鮮の実態が周知され始めたことは、今回の暗殺事件思わぬ波及効果と言えるだろう。【2月20日 大塚智彦氏 Japan In-depth】
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北朝鮮は、マレーシアだけでなくインドネシアとの関係も難しくしているようです。


【アホック氏決選投票へ 決選投票は厳しい戦いの予想も】
“「アイシャ」を救え!”はともかく、国際的には記事冒頭にある“ジャカルタ特別州知事選(2月15日投開票)”が注目されています。

イスラム教徒が国民の約88%という圧倒的多数を占めるインドネシア社会にあって、少数派の華人キリスト教徒のジャカルタ特別州知事バスキ・チャハヤ・プルナマ氏(通称アホック)が知事再選に向けた取り組みのなかでコーランを侮辱したとして大規模な抗議運動が展開され、裁判沙汰になっている事件です。

2月4日ブログ「インドネシア 宗教的“不寛容”拡大に対し、ジョコ大統領が“巻き返し”」http://ameblo.jp/azianokaze/day-20170204.htmlでも取り上げたように、アホック氏がジョコ大統領の盟友であることなどもあって政権への揺さぶりの側面があることや、世俗主義を掲げてきたインドネシアにおける宗教と政治の関係へ与える影響などで注目されています。

当初のスケジュールでは15日の投票前に判決が出されるとのことでしたが、判決の方は遅れているようです。(このあたりの事情は知りません)

選挙の方は15日に行われ、事件で支持率を大きくおとしたアホック氏が、なんとか1位で決選投票に進んだものの、決選投票に関しては楽観視できない情勢のようです。

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アホック、アニス両氏決選へ 最年少アグス氏は失速 ジャカルタ特別州知事選**** 
史上2回目となる統一地方首長選挙(有権者約1億8672万人)の投開票が15日、全国7州・76県・18市で行われた。

三つどもえの接戦が予想されたジャカルタ特別州知事選は、民間調査機関の開票速報で、現職バスキ・チャハヤ・プルナマ(通称アホック)氏(50)と前教育文化相のアニス・バスウェダン氏(47)が上位2位を占め、4月19日に実施される決戦投票で決着を付ける見通しとなった。(中略)

民間調査機関インドネシア調査サークル(LSI)が、州内各地の投票所350カ所の開票結果を基に独自集計した結果によると、得票率は、アホック・ジャロット組が43.2%、アニス・サンディアガ組が39.9%、アグス・シルフィアナ組が16.9%。過半数を獲得した候補がいないため、アホック組とアニス組の上位2組が決戦投票に進出する見込みとなった。(中略)
 
アホック氏 被告の逆転劇 アニス氏 討論会で猛追
アホック氏はコーラン侮辱発言問題で昨年10月以降、イスラム勢力の攻勢で土壇場に追い込まれ、独走態勢から支持率は急落していたが、2012年州知事選の第1回投票とほぼ同じ得票率を獲得した。(中略)
 
4月に行われる決戦投票は、アグス支持者の動向が決め手になる。選挙戦終盤でイスラム勢力に接近したアニス陣営は、「ムスリム結集」の名の下にどこまでアグス氏の地盤を取り込めるかが鍵。

アホック陣営は、アグス陣営に回っていた連立与党を再結集させ、アニス氏を擁立したグリンドラ党や福祉正義党(PKS)など野党勢力との対立姿勢を鮮明にする構えだ。
 
プロテスタントの華人であるアホック氏が視察先の集会で言及したコーランの一節は、「ムスリムはムスリムの指導者を選ぶ義務」を明示した教義であるとして、イスラム団体が反アホック運動を正当化するのに利用した。
 
これまでアホック氏は「コーランを使って異教徒の対抗馬を攻撃する政治家を批判した。コーランやイスラム指導者を侮辱したのではない」と主張。宗教冒とく罪に問われたが、公判中の被告人候補として首位に躍り出た。決戦投票では、判決の行方がムスリム有権者の重要な判断材料になる可能性がある。
 
一方で、昨年末までの世論調査で劣勢だったアニス氏は、公開討論会で説得力あるパフォーマンスを披露、明確な政策を提示できなかった弱冠38歳の元軍人、アグス氏の支持者を切り崩して猛追した。
 
アニス氏は12年の州知事選、14年の大統領選でジョコウィ氏の右腕となり、第1次内閣で教育文化相を務めている。公約ではアホック氏との差別化を図り、ジャカルタ湾の埋め立て反対などを訴えたが、かつて現職を支えたブレーンとしての安定感を前面に出しながら、過激な発言で賛否両論のあるアホック氏に切り込む構えだ。【2月16日 ジャカルタ新聞】
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敗退したアグス氏はユドヨノ前大統領の長男です。

決選投票に関しては、“民間の調査会社は、決選投票になれば、アグス氏の支持者の大半は同じイスラム教徒のアニス氏の支持に回るとして、今後も現職のバスキ氏が厳しい選挙戦を強いられると予想しています。”【2月16日 NHK】とも。

当然に判決の行方が大きく影響しますが、“アホックが有罪ならジャカルタ市民、与党が怒るし、無罪ならイスラム急進派、野党勢力が騒動を起こすのは確実とみられるなど、判決結果に関係なくジャカルタには波乱が待ち構えている。”【2016年12月22日 大塚智彦氏 Newsweek】ということで、ひと波乱ありそうです。

イスラム重視の動き、宗教的不寛容の拡大はインドネシアだけでなくマレーシアなどでも見られることですが、ひとつには浸透する欧米文化への危機感の表れでもあるのでしょう。(単にそれだけでなく、社会の抱える問題とも絡んだ動きでもあるのでしょうが)

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インドネシアでバレンタインデーに抗議=パキスタンでは禁止命令****
AFP通信によると、インドネシア第2の都市スラバヤで13日、イスラム学校の生徒がバレンタインデーに抗議するデモを展開した。
 
デモには13〜15歳の数十人が参加。バレンタインデーは不特定多数の相手との性交渉を助長すると訴え、「バレンタインに反対しよう」と呼び掛けた。隣国マレーシアでもイスラム青年組織が女性に対し、香水を過度に使用しないよう求めた。
 
一方、パキスタンのイスラマバード高裁は13日、イスラマバードでバレンタインデーを公に祝うのを禁止した。「われわれの伝統と価値観に反する不道徳、裸、わいせつ(のまん延)を覆い隠すのに(愛が)利用されている」との訴えを受けた判断で、メディアに対しても、バレンタインデーを奨励する報道を控えるよう指示した。【2月14日 時事】
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