2017-02-18 22:09:14

アメリカ  トランプ大統領の移民対策強化で揺れる「移民の国」

テーマ:アメリカ

アメリカ 移民

(「移民のいない生活には、限界がある」と書いた紙を入り口に貼って、「移民のいない日」ストに参加したカフェ=16日、ロサンゼルス 【2月17日 朝日】)

【移民は雇用を奪ったか? 不法移民取り締まり強化で拡大する混乱】
周知のようにアメリカではトランプ大統領によるメキシコ国境の「トランプの壁」建設や中東・アフリカのイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令などで、移民・難民や外国人の扱いに関する混乱が続いています。

不法移民が仕事を奪っているとの経済的主張や、テロへの不安、反イスラム感情など、いろんな要素が一体となっていますが、“外から入ってくる異質なもの”が国内の安定を脅かしているという認識から、“外からのもの”を排除しようとする“内向き志向”の強い発想のように思えます。

移民問題に関して言えば、“移民が仕事を奪っている”という主張はわかりやすく、国民にアピールしやすいものではありますが、本当にそうなのか?どういう人が影響を受けているのか?それは移民制限で対応すべき問題なのか?・・・等々、客観的な検証が必要です。

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移民は雇用を奪ったか 「失業率高めた」トランプ氏主張****
・・・・トランプ氏は16年7月、共和党の大統領候補の指名を受けた演説で「数十年の記録では、移民は米国人の賃金を低くし、失業率を高めた」と主張。

今年1月の就任演説では「移民に関するすべての決定は、米国の労働者や米国民の利益になるものにする」と語り、移民受け入れを厳格化させる方針を打ち出している。

 ■学者ら「証拠はない」
「移民の国」で巻き起こる移民をめぐる分断。米シンクタンクのピュー・リサーチ・センターが昨年10月に発表した調査では、移民が米国人労働者に「悪影響を与えている」と答えた人は45%。「助けになっている」の42%を上回った。
 
本当に移民は米国人の仕事を奪っているのか。

米国の経済、社会学者らでつくる全米アカデミーズは昨年9月、過去の研究などから米国に移った移民が地域の経済に与えた影響を調べた結果、「移民が米国生まれの労働者の雇用水準に大きな影響を与えている証拠はほとんどない」と発表した。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は14日の米上院銀行委員会で「移民が減れば、確実に経済成長を鈍らせる」と、全体として恩恵があるとの認識を示した。
 
米シンクタンクのケイトー研究所のアレックス・ナウレステ氏は、移民との文化摩擦や治安悪化への懸念も背景にあると見る。そのうえで「高い技術や能力がない一部の米国人労働者は移民と競合し、実際に賃金が下がっている。問題は移民政策ではなく福祉政策で、政府はこうした人を家賃補助や就職支援などで助けるべきだ」と指摘する。【2月17日 朝日】
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大統領選挙敗北後、あまり表立った発言はなかったヒラリー・クリントン氏も、この問題については声をあげています。

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米国にはもっと多くの移民必要」・・・・ヒラリー氏****
昨年の米大統領選で敗北した民主党のヒラリー・クリントン氏(69)は16日、ニューヨーク市内で開かれたドミニカ共和国出身のファッションデザイナーに関連した式典に出席し、「アメリカのためには、もっと多くの移民がいるべきだ。彼が移民であったことを誇りに思い、感謝している」などと述べた。
 
イスラム圏7か国からの入国を制限し、批判を集めている大統領令を念頭に置いたものとみられる。クリントン氏は選挙後、公的な発言を控えていた。(後略)【2月17日 読売】
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トランプ政権は先週、不法移民の一斉摘発を実施し少なくとも680人を逮捕。アメリカ国内では中南米出身者のコミュニティーを中心に、深刻な不安が広がっています。

どういう条件の者が拘束され、強制退去にされるのか定かでない混乱もあります。

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「善良な不法移民」の逮捕に抗議 「DACA」取得の23歳 摘発拡大を警戒****
米国で、幼い頃、親に連れて来られた不法移民が一定の条件で強制退去を免れる「DACA(ダカ)」の資格をもつ若者が逮捕されて国外追放されそうになり、波紋を呼んでいる。

若者の弁護士は「不当な逮捕」と主張。DACAはオバマ政権が導入した。人権団体は、不法移民の取り締まりを強化するトランプ政権下での動きとみて批判している。
 
米メディアなどによると逮捕されたのは、メキシコ出身でワシントン州在住の青年(23)。移民税関捜査局(ICE)に10日、父とともに逮捕された。ICEは「(青年が)ギャングの仲間だったので逮捕し、本人も認めた」と発表した。
 
これに対し、青年の弁護士は「ギャングの仲間と言うように強要された」と主張。青年は、親に連れられて不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者の一人。7歳の時に不法入国したが、「犯罪歴がない」「高校卒業」などの条件を満たし、2014年にDACAの資格を得た。
 
人権団体「アメリカズ・ボイス」のフランク・シャーリー事務局長は、「許しがたいこと」と抗議。制度上最も恵まれたDACAの青年が国外追放されれば、他の不法移民は、なし崩しに追放の対象になる恐れがあると考えるためだ。
 
ICEは先週、全米で不法移民を一斉摘発し、680人以上を逮捕。犯罪歴のある不法移民の拘束を優先するとしているが、逮捕歴のない人も含まれている。
 
トランプ氏は大統領選で「オバマ氏が法律と憲法に背いて不法移民に恩赦を与えた。すぐに停止する」と訴えていたが、大統領就任後、DACAの若者らについて「心配する必要はない。私は心が寛大だ」などと発言していた。
 
DACAではこれまでに約72万8千人に滞在が認められた。不法滞在のメキシコ人ながら、DACAでポモナ大学(カリフォルニア州)に通うダニエラ・イノホサさん(20)は最近、別の大学でICEの捜索があった話を聞き、「大学に通っているからといって安全ではない」と心配する。【2月17日 朝日】
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社会的混乱・不安のなかで、下記のような話も。

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不法移民摘発へ兵士動員検討報道、ホワイトハウスは否定****
トランプ米政権が国防軍兵士最大10万人を動員し、国内に滞在する不法移民を摘発することを検討していると、APが17日ツイッターを通じ報じた。

ホワイトハウスは同報道を否定している。
APは草案メモの情報としているが、起草者は明らかになっていない。【2月18日 ロイター】
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【「移民のいない日」】
こうした状況で移民問題を客観的に見つめ直す非常に有効な試みが16日全米で行われています。

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全米で「移民のいない日」=ストでトランプ政権に抗議****
ニューヨークやシカゴなど全米各都市で16日、トランプ大統領の移民政策に抗議するストライキ「移民のいない日」が行われた。移民らは学校や仕事を休み、米メディアによると、移民の多い飲食業界では、休業する店が相次いだ。
 
トランプ大統領は対メキシコ国境に壁を建設し、不法移民を強制送還する方針を発表している。ストには、いかに移民が米国経済に貢献しているかを示す狙いがある。
 
ストへの参加者総数は不明だが、米メディアなどによれば、飲食業界が最も大きな影響を受けたもようだ。米国では1440万人が飲食業に従事し、うち23%が外国出身者。また、2014年時点で不法移民の飲食業従事者は推定約110万人に上るという。(後略)【2月17日 時事】 
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「移民のいない日」全米で飲食店一斉休業、トランプ氏政策に抗議****
全米で16日、ドナルド・トランプ大統領の移民政策に抗議するストライキ「移民のいない日(Day Without Immigrants)」が実施され、飲食店が一斉に休業した。首都ワシントンでも、ハンバーガー店から高級レストランまで多数の店舗が休んだ。

抗議運動の狙いは、米経済において移民がいかに重要な存在なのかを示すことだ。飲食業界では被雇用者の大半を低賃金で働く移民が占めている。
 
休業した飲食店の中には、移民の従業員への連帯を示して休業した店もあれば、出勤した従業員が少なすぎて営業できなかった店もあった。
 
ストは飲食業界にとどまらず、ニューヨークからロサンゼルスまで、全米各地で移民たちが出勤を拒否して自宅にとどまり、子どもに学校を休ませる家庭も続出。ガソリンの購入を控えるなどして、移民の不在が米国にとってどれほどの損失になるかを実例として証明してみせた。
 
移民から寄付された美術作品を全て館内から撤去した美術館もあった。(後略)【2月17日 AFP】
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“移民は、皿洗いや掃除、建設作業や農作物の収穫など、米国民がやりたがらない仕事を担い、社会を支えている。中でも、飲食業で働く約1200万人のうち、特に大都市では多くが移民だといい、その中の約130万人が不法移民という。米国社会は、今や不法移民の存在無くして成り立たないのが現実だ。”【2月17日 朝日】とも。

トランプ大統領が建設しようとしている「トランプの壁」も、現実問題としては不法移民労働力を使わないと建設できないのでは・・・と言う話は、2月14日ブログ“二つの「壁」 アメリカ「トランプの壁」とモロッコ「恥の壁」”でも触れたところです。

そもそも、アメリカにおいて“移民”とはどこまでの者を指すのか?
日本では、自分が移民及びその関係者であるかどうか判然としないという者はあまり多くないでしょうが、アメリカは数世代さかのぼれば皆“移民”です。違いは早く来たか、最近来たかだけです。

そのことからすると、“移民”に対する対応は、単に“仕事を奪っている”云々の問題にとどまらず、自らのアイデンティティーや価値観に大きくかかわるものにもなります。


【トランプ氏の言動で助長される反イスラム感情】
反イスラム感情については、トランプ大統領は“テロ対策であり、反イスラムではない”とはしていますが、彼の言動が反イスラム的言動を公にしてもいいという風潮を助長しているという大きな問題を抱えています。

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トランプのアメリカで反イスラム団体が急増****
<大統領選以降、トランプが反イスラムの姿勢を鮮明にするなかで、昨年アメリカの反イスラムのヘイトグループの数が3倍に増えた>

昨年のアメリカ大統領選でドナルド・トランプが当選したことで、アメリカ国内の過激な右派グループが「明らかに活発化」し、反イスラムグループの数が3倍に増加したことが、民間団体「南部貧困法律センター(SPLC)」の報告書で明らかになった。

全米のヘイトグループや過激主義を監視するSPLCの報告書によると、アメリカのヘイトグループや過激な右派グループの数は、2015年の890から16年の917へと増加した。

SPLCのマーク・ポトクは、増加数そのものは少ないが過去最多とだった2011年の1018に近い数字まで増えているという。

なかでも「激増」しているのが、「反イスラム」のヘイトグループだ。15年の34から16年には101に増えた。大統領選でトランプが支持を拡大したことが大きな要因になっていると、ポトクは言う。トランプは選挙中、イスラム系住民の登録制度やモスクの監視などを主張していた。

世界規模の難民危機や反イスラム・プロパガンダの増加、またフロリダ州オーランドやカリフォルニア州サンベルナルディーノでイスラム教徒のテロによって多数の犠牲者が出たことなども、反イスラム感情が増大する要因となった。

トランプで沸き上がるヘイト
「トランプは、『アメリカ在住のイスラム系住民のうち25%が、アメリカ人への暴力はジハードの名の下に正当化されると信じている』というデマを広めた」と、ポトクは指摘する。過激な右派グループによる暴力も、イスラム過激派による暴力と同様に深刻だという。

「トランプ現象は右派のヘイト感情を解き放ってしまった。過去にこうした例は思い浮かばない」と、ポトクは言う。「現状は(ナチスドイツが誕生した)1930年代のドイツとは違うものの、いくつかの共通点が見られる」(中略)

今週、トランプ政権のマイケル・フリン大統領補佐官が辞任したが、ポトクは「これで政権から反イスラムの補佐官が一人減った」と見る。しかし政権中枢にはまだ反イスラム主義の信奉者が多く残っているという。「首席戦略官のスティーブン・バノン、大統領補佐官のスティーブン・ミラー、大統領顧問のケリーアン・コンウェイ、司法長官のジェフ・セッションズ――そしてもちろん、トランプ大統領自身だ」【2月17日 Newsweek】
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【いったいどこの国の話か?】
そのほか、今日のトランプ関連にニュースには以下のようなものも。

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外国に工場移転した企業に「重い罰」 トランプ大統領が強調****
アメリカのトランプ大統領は、大手航空機メーカーボーイングを訪れ、外国に工場を移転した企業がアメリカへ製品を輸入する場合、「重い罰を受けることになる」と述べて、こうした輸入製品には高い税をかける考えを改めて強調しました。(後略)【2月18日 NHK】
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トランプ氏、メディアは「米国民の敵」とツイート****
ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は17日、メディアへの攻撃を強め、ツイッター(Twitter)でいくつかのメディアを名指しして「米国民の敵!」と非難した。(中略)

メディアを非難した米国大統領は多いが、トランプ氏の場合は、他国の独裁主義的指導者がメディア批判をするときの表現に近い。【2月18日 AFP】
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前出の「不法移民摘発へ兵士動員検討」報道もそうですが、一体どこの国の話か?中国かどこかの独裁国か?・・・という感も。

司法によって停止された大統領令については来週にも出し直される予定です。
恐らく、今度はそのまま実行されるものになるのでしょう。それによって混乱は更に拡大しそうです。

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<米入国禁止令>来週にも再提出 永住権者除外など検討か****
トランプ米大統領は16日の記者会見で、中東・アフリカのイスラム圏7カ国からの入国を一時禁止する大統領令を大幅に書き換え、来週にも出し直すことを明らかにした。
 
大統領令はワシントン州の連邦地裁が「雇用や教育などに取り返しのつかない損害を生じさせている」と即時停止を命じ、カリフォルニア州の連邦控訴裁も地裁の決定を支持している。
 
トランプ氏は大統領令について「完全な」内容であったのに「非常にひどい判断」を受けたと主張したが、裁判所に認められるように「作り替える」と述べた。米メディアなどによると、グリーンカード(永住権)保持者を対象から除外したり、入国禁止の対象国を変更したりするなどの措置が考えられるという。(後略)【2月17日 毎日】
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