2017-02-11 22:48:20

リビア  新特使任命で統一を後押ししようとする国連、アメリカがイスラエル問題から阻止

テーマ:中東情勢

ハフタル将軍

(かつてのカダフィ政権幹部で、現在はトブルク政府の実力者・ハフタル将軍 リビア統一のキーマンです。
写真は【http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20150207_160748.html】)


【「統一政府」代表のセラジ首相と、トブルク政府のハフタル将軍の対談・・・という話の背景】

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北アフリカ・リビア情勢について“超簡単”に言えば、カダフィ政権崩壊後、西のイスラム主義主導のトリポリ政府と東の世俗主義主導のトブルク政府が対立していましたが、国連仲介で一応は大統領評議会がつくられ、「統一政府」への権限移譲が図られました。

その結果、西では一応権限移譲が進んでいるものの、東のトブルク政府側は未だ「統一政府」を承認せず、二つの政府が並立する形になっています。

また、西についても、民兵組織のなかには「統一政府」に従わない勢力もあるようです。(従って、現在ある政府は“二つ”なのか、西も含めて“三つ”なのかも定かではありません)【1月27日ブログ「リビア 過激派掃討が一定に進展 分裂状態の“統合”に向けた動きも」http://ameblo.jp/azianokaze/day-20170127.htmlより再録】
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前回1月27日ブログでは、そうした分裂状態のリビアにあって、統一政府軍がIS拠点シルトをなんとか攻略したこと、東のハフタル将軍が主導するトブルク政府もベンガジのイスラム過激派への攻勢を強めていることなどを受けて、エジプトとロシアの後ろ盾で、“エジプト・カイロで「統一政府(トリポリ)」代表のセラジ首相と、トブルク政府のハフタル将軍が対談する”という話が出ている・・・といったことを取り上げました。

“現在ある政府は“二つ”なのか、西も含めて“三つ”なのか・・・”という非常に初歩的な疑問は、あながち私の無知のせいばかりではないようです。

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リビアでは、新統一政府の権威が行き届かず、法的には必要なトブルク議会の承認もまだ得ておらず、トブルク政府の実力者haftar 将軍との関係もうまくいっていないうえに、一時は死んだかと思われたトリポリ政府まで再出現し(おまけに国家警備隊などという名前の実力部隊まで作った模様)、3政権の鼎立状況が続いています。【2月10日 野口雅昭氏 「中東の窓」】
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リビア情勢のキーマンとなっている、東のトブルク政府の実力者ハフタル将軍に関しては、以下のようにも。(半年前の記事ですが、情勢は殆ど変っていません)
かつてはカダフィ政権の軍幹部で、その後亡命してアメリカCIAの庇護下にあった人物です。

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統一政府、元右腕が阻む・・・カダフィ政権崩壊5年****
リビアで42年間続いたカダフィ独裁政権が内戦の末に崩壊してから23日で5年を迎える。反カダフィ派の内紛によって国情が揺れる中、かつて故カダフィ氏の右腕として活躍し、その後は一転して「米国の協力者」とも言われたハリファ・ハフタル将軍が復権をもくろみ、国連が主導する統一政府樹立の動きを阻んでいる。

「CIA(米中央情報局)のリビアでの協力者が、頭痛の種になってしまった」。米紙ワシントン・ポスト(電子版)は17日、ハフタル氏がリビアの政情安定の足かせになっている現状をそう報じた。
 
ハフタル氏は1943年生まれ。カダフィ政権古参の軍幹部だったが、87年にチャドへの侵攻に失敗して捕虜になった後、米国に亡命。CIAの本部近くに居住し、カダフィ政権打倒のために協力関係にあったと報じられている。

2011年の内戦時に帰国して反カダフィ派に参加、米国を含む北大西洋条約機構(NATO)とも連携した。
 
内戦後の14年夏に世俗派とイスラム勢力の対立から東西に政府が分立した際も、米国とハフタル氏は直近の選挙で勝利した世俗派中心の東部トブルク政府を支持。ハフタル氏は傘下の民兵組織「リビア国民軍」を率い、トブルク政府の軍司令官に納まった。
 
しかし、内戦状態が長引く中、ハフタル氏は穏健派のイスラム政党にまで「テロリスト」のレッテルを貼り、15年夏には東部デルナで過激派組織「イスラム国」(IS)を追い出すのに貢献したイスラム武装勢力への攻撃を開始。ISの台頭を背景にイスラム武装勢力も含めた「反IS勢力の結集」を目指すようになった米国と思惑がずれ始めた。
 
15年12月に国連の仲介で東西政府の穏健派が和解し、大統領評議会が公式な新統治機構となったが、ハフタル氏は協力を拒んだ。

大統領評議会はハフタル派が押さえる東部に支配権を広げられず、双方の支配が及ばない地域はISなどイスラム過激派の温床となったままだ。(後略)【2016年8月19日 毎日】
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ハフタル将軍はエジプトやフランス、更にはロシアとも良好で強固な関係を持っているとされます。

前回ブログでも触れた“「統一政府(トリポリ)」代表のセラジ首相と、トブルク政府のハフタル将軍の対談”に関するエジプト、フランス、ロシアの動きについては以下のようにも。

統一リビアのトップを狙うハフタル将軍に、統一政府のセラジ首相との会談を勧め、統一政府の国防相のような治安面の責任者となるあたりでの手打ちを目論んでいるようです。

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リビアのハフタル将軍トップの座を目指す*****
リビアでは権力闘争が始まりそうだ。駐チュニジア・フランス大使が、長時間に渡って、東リビア政府のハフタル将軍と対談した。その中で、ハフタル将軍は権力の座を目指すことを明確に語り、その事では誰とも交渉する意志が無いことを、明らかにした。

しかし、こうしたハフタル将軍の立場に、欧米はすんなりとは賛成しないだろう。なぜならば、ハフタル将軍が軍事力を持ってでも、権力の座を目指すことになれば、リビアは内戦が起こる、危険性があるからだ。

だが、ハフタル将軍にしてみれば、東リビア政府は国際的に認められていたものが、何時の間にか、国連が別の政府を立てて、それを支持し始めているからだ。いわば明らかな裏切り行為、とハフタル将軍は受け止めているのであろう。

そこで問題になるのは、ハフタル将軍を支援しているエジプトが、どのような立場に回るかということだ。エジプトとしては、アメリカとの関係、ロシアとの関係を考慮すると、なかなかどちらにも回り難い、立場にあるからだ。

エジプトのシーシ大統領は最近、ロシアとの関係を強化してきているが、経済面から考えると、アメリカとの関係も無視できまい。まさに板ばさみの情況に、置かれるということだ。そこで出てくる考えは、ハフタル将軍に対して、リビア統一政府のセラジ首相と話し合え、というアドバイスであろう。

フランスも似たような考えであり、ハフタル将軍に対して、リビア統一政府のセラジ首相は、治安面の全権を与えるべきだ、と考えているようだ。そうした中、ロシアの重要性を考え、セラジ首相は近くロシアを、訪問したいと思っている。

他方、ハフタル将軍は昨年末ロシアを訪問し、リビア領土内へのロシア軍基地の開設を提案している。また、今年の1月には、リビアの港でロシア艦を舞台に、ロシア側との交渉を持ってもいる。

ハフタル将軍とロシアとの関係は、すこぶる良好であり、ハフタル将軍側の負傷兵士70人が、ロシアに招かれ治療を受けている。このことはリビア人の間でも、しかるべき評価を得ていよう。

ロシアは今回のハフタル将軍の動きに対して、どう立ち回るのであろうか。ロシアもまた、リビア国内各派で平和的に、話し合うべきだというアドバイスを、するのではないのか。ここでまた内戦状態になるようなことでは、ロシアのリビアへの進出が遅れるからだ。

ハフタル将軍が今回強気に出た裏には、ロシアの支援もあろうが、アメリカの支援もあるいはあるのではないのか。

アメリカは早くリビアの内乱状態を、落ち着かせたいと考えているし、ハフタル将軍については、20年以上も亡命させ、支援してきていたのだ。革命でリビアに送り返したのだが、その駒(ハフタル将軍)をアメリカが、容易に手放すとは思えない。【2月4日 佐々木 良昭氏 「中東TODAY】
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アメリカCIAの庇護下にあった人物ですから、当然にアメリカとの太いパイプがあるはずです。エジプト、フランス、ロシアに加えアメリカとも関係が深い・・・となると、当然ながら強気にもなるでしょう。


【リビア安定化を求める欧州・国連】
関係国はリビアの内戦再燃を望んでおらず、特に欧州としては、とにかく早くリビアに安定してもらわないと、難民問題が長びき困ります。

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<EU首脳会議>難民対策、リビア支援強化で合意****
欧州連合(EU)は3日、マルタの首都バレッタで非公式の首脳会議を開いた。

北アフリカから地中海を密航して欧州を目指す難民・移民への対策として、主要な経由国であるリビアへの支援強化で合意した。(中略)

2017年の欧州は独仏などで国政選挙が続く。反移民を旗印にEUに懐疑的な政党への支持が広がる中、EUにとって難民・移民政策は生命線の一つだ。

欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)によると、16年に地中海を密航してイタリアに到着した難民・移民は約18万1000人で前年比18%増加。密航中の事故で約4700人が命を落とした。出身国別ではナイジェリアやエリトリアなどが多く、約9割が密航業者などを通じて内戦状態が続くリビアを経由している。
 
EUはリビア側の水際での対応能力を上げるため、これまで国連が支持する統一政府の海軍や沿岸警備隊の訓練などを続けてきたが、気候が温暖になり密航者が増える夏を前に支援態勢を拡充させたい考えだ。

「玄関口」のイタリアはリビアなどを支援するため独自に2億ユーロ(約242億円)の基金を設け、EU側にも上積みを求めている。(後略)【2月3日 毎日】
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リビアの水際で阻まれた難民たちが、その後どうなるのか?リビア政府(そういうものがあったとして)にどういう扱いを受けるのか?・・・という問題は残ります。そのあたりは今回はパス。

国連としても、後押しする「統一政府」がいつまでたっても“統一政府”になれない現状は、国連の権威(そういうものがあったとして)にもかかわることで看過できないところです。「なんとかしないと」ということで・・・。

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国連特別代表の交代?(リビア)****
・・・・本来は安保理及び国際社会に支持された統一政府を中心にして、リビアの政治的解決を図るべき、国連の特別代表の仲介が成功しておらず、彼は一方的でhigh handed (物事を上から押し付けるとでも訳すのか?外交的でない、ということか?))であるとして、かなりの不評(特にトブルク議会とトリポリから)を買っていました。

この点に関し、アラビア語メディアは、いずれもかなり大きく新国連事務総長は、現在の特別代表に代えて、元パレスチナ首相であったsalam fayyadh(アラビア文字からの訳)を任命するために、彼を推薦すると安保理各国に対して通報したとほうじています。(中略)

fayyadh 葉1952年生まれで、IMF勤務ののち、パレスチナ自治政府の財務省を経て、2007~2013年首相を務めた由。(中略)

これまで折角リビア各派が合意したスヘイラート合意が円滑に実施されずに、国連の支持する統一政府の権威いっこうに確立しないどころか、最近ではさらにその影響力が落ちて、国連代表の評判も落ちていることに危機感を有した新国連事務総長(おそらくその後ろには安保理もいると思われる)が業を煮やして、アラブ世界ではよく名の知られた大物政治家を持ってきたというとこかと思います。

こちらはトランプ旋風とは関係ないと思いますが、リビアについても本年は何らかの新しい動きがありそうです。【2月10日 野口雅昭氏 「「中東の窓」】
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【アメリカ イスラエル・パレスチナ問題から新特使任命に反対】
“こちらはトランプ旋風とは関係ないと思いますが”とのことでしたが、今の国際情勢にあってアメリカが関与しないこと、つまりトランプ大統領が関与しないことは、そうそうはありません。

この国連特別代表の交代の件でも、アメリカから“まった”がかかりました。問題となったのは、リビアではなく、パレスチナ・イスラエルの問題です。

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米、パレスチナ元首相の国連リビア特使任命を阻止****
米国のニッキー・ヘイリー国連大使は10日、パレスチナ自治政府のサラム・ファイヤド元首相を国連のリビア担当特使に任命する人事案に不支持を表明し、任命を阻止した。
 
ヘイリー氏は声明で「この任命によって国連内に伝わるメッセージを支持することはしない」と述べた。パレスチナは国連の正式な加盟国ではない。
 
国連のアントニオ・グテレス事務総長は今週、ファイヤド氏を国連のリビアでの支援ミッションを率い、不安定な政治的合意をめぐる交渉を支援する任務に就ける意向を国連安全保障理事会に伝えていた。
 
グテレス事務総長にとって主要な紛争地域への特使を任命する初の人事案件だったが、ヘイリー氏はグテレス氏からの書簡に米国は「失望した」と表明した。
 
ヘイリー氏は「国連はあまりにも長い間、不公平な先入観にとらわれてパレスチナ自治政府を支持する一方、米国の同盟国イスラエルに不利益をもたらしてきた」「米国は今後、同盟国を支援する上で協議するだけでなく行動を起こす」と述べた。【2月11日 AFP】
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ファイヤド元首相は中東世界にあっては名の知れた“大物”であり、国連としてはそういう知名度・影響力に期待したのでしょうが、国連をパレスチナ寄りと批判する(と言うか、そういう国連の現状に同意して、イスラエルを擁護しなかったオバマ前政権に激怒する)アメリカ・トランプ政権による異議申し立て、「今後は勝手なまねはさせないぞ!」という警告です。

リビアの話はどこかに飛んで行ってしまったようです。
まあ、トランプ大統領はリビアなどには関心はないでしょう。(ついでに言えば、日本・中国も含めた外交全般に関心はなく、関心があるのは、“一に雇用、二に雇用、更に三にも雇用・・・”だそうです。まあ、“三”あたりには治安・テロも入ってくるのでは。彼が支持された理由を考えれば、当然の判断でもあります。)

イスラエル政府は喜んでいます。
“イスラエルのダノン国連大使は同日、「国連の新時代の幕開けだ。米国は断固として悪びれずにイスラエルの側に立っている」との歓迎の声明を出した。”【2月11日 朝日】

イスラエル・ネタニヤフ政権は親イスラエル的なトランプ政権誕生もあって、ヨルダン川西岸パレスチナ自治区のパレスチナ人所有地を、イスラエル政府が事実上、接収できるようにする新たな法律案を可決するなど、入植問題で強気に出ています。

“ネタニヤフ首相が新法について、議決前に「ホワイトハウスに話した」と述べたと報じており、トランプ氏も事態を把握しているという。”【2月7日 毎日】

そのあたりのイスラエル関連の話は長くなるので、また別機会に。
とにかくトランプ大統領の意向が重要になってきますが、とりあえず、最近のトランプ大統領の抑制的な発言だけ。

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トランプ大統領、イスラエルの入植地拡大は「和平にとって良いことではない****
ドナルド・トランプ米大統領は10日、ヘブライ語日刊紙イスラエル・ハヨムのインタビューで、パレスチナ自治区でのイスラエルの入植地拡大は「和平にとって良いことではない」との認識を示した。
 
これまでイスラエルの政策を強硬に支持してきたトランプ大統領だが、パレスチナ人が猛反対している在イスラエル米大使館のテルアビブ(Tel Aviv)からエルサレムへの移転については「容易に下せる決断ではない」と述べた。
 
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の今月15日の米首都ワシントン訪問を前に行われたインタビューの中で、トランプ大統領はイスラエルとパレスチナの両者に穏当な対応を求めた。
 
ネタニヤフ首相が右派から入植地拡大の加速に加え、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」による解決さえ放棄するよう圧力を掛けられている中、トランプ大統領の発言はほとんど自制を促しているとも言える内容で、米大統領選で掲げていた大胆な公約とはかなり違っている。【2月11日 AFP】
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トランプ大統領の本音がどこにあるのかは、これからの話でしょうが。

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