2017-02-06 22:44:58

アフガニスタン  狭まる政府支配地域 トランプ大統領は支援を続けるのか? 腐敗が止まない軍・警察

テーマ:アフガニスタン問題

アフガニスタン 大雪

(アフガニスタン・ガズニ州で、雪に覆われた道を歩く子供連れの女性(2017年1月16日撮影)【1月26日 AFP】
アフガニスタンでは毎年冬になると、大雪と雪崩により多くの人が命を落としていますが、今年も“5歳未満の子ども27人が大雪と厳しい冷え込みにより死亡した”【同上】とか、“大雪による雪崩が相次ぎ、当局によると5日までの3日間で計100人余りが死亡した”【2月6日 AFP】といったニュースが報じられています)


【広がるタリバン支配地域 民間人死傷者も過去最高】
アフガニスタンでは、タリバンの攻勢が続く中で、やっと得られた自由な市民生活もいつまで持つのか・・・不安が募る状況にあります。

2016年12月27日ブログ“アフガニスタン ロシア・イランの動き 女性の社会参加の象徴が、またひとつ消える”http://ameblo.jp/azianokaze/day-20161227.html
2016年11月10日ブログ“アフガニスタン タリバンの攻勢で、出口のない不安に置き去りにされる人々”http://ameblo.jp/azianokaze/day-20161110.html

全土的にみて、政府のコントロールが及んでいる地域が今現在どの程度なのか・・・よくわからなかったのですが、最近のアメリカの報告書によれば“57.2%で、昨年8月の63.4%より約6ポイント、一昨年11月より約15ポイント下回った”とのことです。

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アフガン政府の支配影響地域、半分強に後退 米報告書****
米政府のアフガン再建特別監察総監(SIGAR)の報告書が1日、発表された。

昨年11月時点で、アフガン政府が支配、影響下に置いているのは全407地域の半分強の57.2%に当たる233地域で、昨年8月の63.4%より約6ポイント、一昨年11月より約15ポイント下回った。

イスラム原理主義勢力タリバンなど武装勢力は支配、影響下地域を拡大しており、アフガンの厳しい治安情勢が改めて浮き彫りになった。
 
報告書によると、武装勢力側にあるのはウルズガン州やヘルマンド州などの41地域で、133地域は抗争中だ。人口の63.6%は政府側、7.8%は武装勢力側にある。

タリバンの資金源になっている違法麻薬アヘンの生産量は昨年、前年比43%増となり、原料となるケシの撲滅が進んでいないことを露呈した。
 
SIGARは4半期ごとに報告書を出しており、今回は、トランプ米政権発足後初めて。SIGARのジョン・ソプコ氏は「2002年以来、米政府がアフガンにつぎ込んだ資金について、新政権が熟考する良い機会となる」としている。
 
ソプコ氏はまた、「再建は希薄で不十分だ。アフガン治安部隊は引き続き、支援国の支えや、武装勢力の伸長を食い止めるための米軍の助言と限定的な戦術的支援を必要としている」と指摘した。
 
一方、AP通信によると、アフガン国防省報道官は「政府は全34州を支配している」と主張し、タリバン支配地は8地域だと反論した。【2月1日 産経】
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どちらの支配地域なのかは、オセロや囲碁のように黒白が明白な訳でもないでしょうから、アフガニスタン国防相の反論のようにもなるのでしょう。

報告書で武装勢力側にあるとされているはウルズガン州やヘルマンド州はいずれも南部地域です。

次第に政府側が支配地域を減らしており、このペースでいくと、1年後は5割を切るかも・・・。

アフガニスタン政府側の支配地域が狭まっているだけでなく、戦闘激化に伴う犠牲者も増大しています。

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アフガン民間人死傷者、16年は1.15万人で過去最多 3分の1が子ども****
国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は6日、アフガニスタンで2016年に攻撃などに巻き込まれて死傷した民間人が1万1500人近くに達し、統計を取り始めた2009年以降で最多だったことを明らかにした。うち3分の1が子どもだったという。
 
UNAMAは報告書の中で、特に人口の多い地域におけるアフガニスタンの治安部隊と過激派との戦闘が、依然「民間人が犠牲となる主要な原因」と述べている。
 
UNAMAの報告書によると、民間人の死傷者数は前年比で3%増の1万1418人(死者3498人、負傷者7920人)。そのうち子どもは前年比24%増の3500人超と、「不釣り合いなほど」の増加をみせている。これは不発弾による犠牲者が66%増加したことによるもので、その大半は子どもだったという。
 
また、2016年に空爆によって死傷した民間人も、590人と過去最多を記録し、うち250人が死亡している。【2月6日 AFP】
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“2016年に空爆によって死傷した民間人も、590人と過去最多を記録”ということで、昨日もとりあげた「殺人者はたくさんいる。(プーチンだけでなく)我々も殺人者だ。(アメリカが)無実だと思っているのか?」とのトランプ発言にもなります。(トランプ氏が珍しく“真実”を語ったこの“卓見”には、アメリカ国内からもロシアからも批判があるようですが)


【タリバン「政策を見直さずに米軍駐留を続けるなら、戦闘はさらに泥沼化するだろう」】
この先、アフガニスタンがどうなるかはアメリカの判断に大きく依存します。もっと言えば、トランプ大統領の考えに依存します。

アメリカは、2001年、タリバンとアルカイダを根絶するという目的でアフガニスタンを攻撃し、NATO・北大西洋条約機構の協力により、2014年までアフガニスタンに合わせて13万人の兵士を駐留させました。現在、アフガニスタンに駐留している外国軍は、およそ1万人となっています。

このためオバマ前大統領は米軍撤退を公約しており、自らのレガシーとしたかったのですが、タリバンの攻勢が止まず、結局撤退を断念し、米軍1万人弱を残しています。

トランプ大統領はあまりアフガニスタンに関心があるとも思えませんが(少なくとも、市民生活や女性の権利がタリバン支配復活でどうなるのかについては関心ないでしょう)、アフガニスタンのガニ大統領との電話会談では駐留米軍を増員する旨を話しているようです。

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アメリカ新大統領が、アフガンでの軍事駐留拡大を強調****
アメリカのトランプ新大統領が、アフガニスタンにおけるアメリカ軍主導の多国籍軍の駐留を強調しました。

IRIB通信国際放送パシュトゥー語ラジオによりますと、トランプ新大統領は、アフガニスタンのガニ大統領との電話会談において、「アフガニスタンに駐留するアメリカ軍兵士の数は増加える」と語りました。(後略)【1月26日 Pars Today】
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ただ、冒頭記事にも“SIGAR(アフガン再建特別監察総監)のジョン・ソプコ氏は「2002年以来、米政府がアフガンにつぎ込んだ資金について、新政権が熟考する良い機会となる」としている。”とあるように、このまま資金と部隊をつぎ込むことを、以前はアフガニスタン撤退をツイートしていた“ビジネスマン”トランプ氏がどう判断するのか?

ほかならぬタリバンからも、“カネとヒトの無駄だから、撤退しろ”と言われています。

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タリバーン、トランプ氏に米軍撤退要求 「政策見直せ*****
アフガニスタンの反政府勢力タリバーンは22日、トランプ米大統領に対する声明を出し、「政策を見直さずに米軍駐留を続けるなら、戦闘はさらに泥沼化するだろう」と警告した。
 
トランプ氏は20日の就任演説で「過激なイスラムのテロリズムに立ち向かい、地球上から撲滅する」と訴えた。同日夜にはアフガン駐留部隊にテレビ電話で「君たちの働きは素晴らしい。我々は戦い続け、勝利する」と語りかけ、過去にツイッターで唱えた撤退論を封印した。
 
これに対し、タリバーンは声明で「米国が得たものは、何万人もの米兵の犠牲と多額の資金の無駄、世界的な反米感情だけだ」とし、「破滅を避けるには、前任者の愚策を踏襲するべきではない」と政策転換を求めた。
 
戦闘が続くアフガンは、治安も財政も米国の支援抜きでは立ち行かない状態で、アフガン政府や専門家の多くは米軍の駐留継続を求めている。

地元メディアはトランプ氏側近にアフガン従軍経験者が多いことを評価する論調が目立つ。
 
一方のタリバーンは、米同時多発テロが起きた2001年、米軍の空爆で政権を追われたが、いまも反政府勢力として戦い、支配域を国土の4割近くに伸ばしている。このためオバマ政権は公約だった米軍撤退を断念し、部隊1万人弱を残している。【1月23日 朝日】
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【政府・軍に広がる腐敗 幽霊兵士、武器横流し、「バチャ・バジ」】
先に、今後のアフガニスタンは上記のような事情を踏まえてアメリカ・トランプ政権がどこまで支援すかに大きく依存していると書きましたが、アフガニスタン政府・治安部隊自身に“変わる意思”がなければ、アメリカの支援も“無駄”に終わることが予想されます。

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アフガン軍、「幽霊兵士」なお数万人存在か 汚職の解決遠く****
アフガニスタンの復興支援をめぐり、米監察官は11日、アフガニスタン軍が実在しない「幽霊兵士」数万人を依然として雇用している可能性があるほか、米国から支給された武器を旧支配勢力タリバンの司令官らに横流ししている疑いもあるとの見解を示した。

ジョン・ソプコ米アフガニスタン復興担当特別監察官は米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)で行った講演で、アフガニスタン駐留米軍と北大西洋条約機構(NATO)の司令官らは長い間アフガニスタン治安部隊にはびこる汚職を批判してきたが、この問題は米主導の介入から15年たった今でも解決されていないと警鐘を鳴らした。
 
ソプコ氏は「アフガニスタンの司令官たちは米側が支払っている幽霊兵士への給料を、よく自分の懐に入れている」と指摘。幽霊兵士の数については「非常に多く、万単位に及ぶ可能性がある」とした。
 
さらに、タリバンが野戦司令官らに対して、アフガニスタン兵から米国支給の兵器と燃料、弾薬を購入するよう指示した証拠があるとも述べた。【1月12日 AFP】
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「幽霊兵士」による給料着服、“米国から支給された武器を旧支配勢力タリバンの司令官らに横流ししている疑い”・・・・これでは支援のしようもありませんし、タリバンの攻勢が止まないのも無理からぬところです。

一方、警察組織も腐っています。
以前も取り上げたことがある、少年を拉致して性的に搾取する「バチャ・バジ」が警察内部で横行しています。

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息子を性奴隷にされた親たちの苦悩、アフガンの「バチャ・バジ****
シリンさんは静かな怒りに震えていた。手にしていたのは、警官の性奴隷にされた13歳の義理の弟の写真だ。
 
アフガニスタンでは少年を拉致して性的に搾取する「バチャ・バジ」と呼ばれる慣習が横行している。バチャ・バジとは現地語で「少年遊び」の意味。シリンさんの義理の弟も、警官らから性的に虐待を受ける数多くの犠牲者の1人だ。
 
AFPはアフガニスタンの3つの州でバチャ・バジの被害に遭った13家族を突き止め、インタビューにこぎつけた。シリンさんをはじめ身内を奪われた家族らの証言から見えてきたのは、少年たちを性奴隷の悪しき慣習から解放するための孤独で苦悩に満ちた闘いだ。
 
南部ヘルマンド州の州都ラシュカルガーで取材に応じたシリンさんは、義理の弟が昨年、家に押し掛けて来た警察署長らによって連れ去れたこと、そして、その際に悲鳴を上げて身をよじりながら懸命に抵抗していたことなどを明らかにした。
 
また「解放してくれと懇願すると、署長の部下らに銃を向けられ、『家族皆殺しにされたいか? 弟のことは忘れろ』と脅された」と述べ、そして「この国の少年たちはバチャ・バジのために公然と拉致されている。いったい誰に助けを求めればいいのだろう。(旧支配勢力の)タリバンを頼れとでもいうのか」と続けた。
 
こうした痛ましい事件のほとんどが、ヘルマンド州と隣のウルズガン州、北部のバグラン州で起きている。
 
AFPは2016年6月、タリバンがバチャ・バジの慣習を利用して少年らを警察署内に潜り込ませ、攻撃を仕掛けていると伝えた。タリバンはこの報道を否定したが、これを機にアフガニスタン政府はバチャ・バジについて調査を開始した。
 
AFPは性的搾取を行っているとされる警察関係者たちとその被害者らの名前を伏せている。現在もなお、大勢の少年がとらわれの身になっているからだ。(中略)

子どもを性奴隷にされた親の苦悩は尽きない。警官らは少年たちを服従させるためにアヘン漬けにするだけでなく、タリバンとの戦いで警官の犠牲者が急増している危険な地域に少年たちを送ることもある。タリバンが警察の検問所を襲撃した際に、その場に居合わせた少年が殺されたという事件も実際にあった。
 
親の不安は募るばかりだが、つらいのは自分たちだけではないと皮肉な現実に慰めを見出す家族もいる。性奴隷にされた少年たちの多くは、ひげが生え始めると捨てられる。そのため、村はバチャ・バジの被害者であふれているのだ。【2月3日 AFP】
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「バチャ・バジ」が横行しているヘルマンド州、ウルズガン州は、冒頭記事にあるようにタリバンと政府側が支配権を争っている最前線です。こんなことを警察がやっているから、人心が離れ、タリバン支配が拡大することにも・・・とも思ってしまいます。


【アフガニスタン政府が崩壊すれば大量の難民が発生、そのときトランプ政権は?】
こうした腐敗の事例を見ていくと、アフガニスタン政府に希望はないようにも思えるのですが、さりとて、一般市民が再びタリバン支配の生活を強いられるのを傍観していいものか・・・。アフガニスタン国民が決めるしかないと言えばそれまでですが。

ちなみに、もしアフガニスタン政府が崩壊してタリバン支配が復活するとなると、これまで米軍に協力してきた大勢の市民がアメリカに亡命を希望し、トランプ大統領が嫌う難民がアメリカに押し寄せます。これまでも世界各地で繰り返されてきた悲劇の再現です。

そのとき、トランプ大統領はアフガニスタンからの難民をどうするのでしょうか?
かつてのアメリカの協力者、アメリカが育てようとした“自由”“民主主義”を求める人々をタリバンに差し出すのでしょうか?

そうした事態を避けるためには、軍事的な敗退の前に政治的ソフトランディングに持ち込むしかないでしょう。


そのためにはタリバンに影響力を持つパキスタンがカギになります。そうした国際的枠組みをつくるために米ロ協調し、中国とも“取引”するということであれば、悪い話ではありません。

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