第7話のおさらい

 毎週毎週、ディープインパクトのような衝撃を巻き起こす魔法少女まどか☆マギカ。今最もど真ん中に立っているのは、美樹さやかちゃんですよね。魔法少女になる事は、人間である時間に終わりを告げ、ソウルジェムの魂と抜け殻の身体を持って魔女と戦う運命を背負う。まどかちゃんの言うように、たった1つの願いとはとてもじゃないが釣り合いが取れません。人間じゃない存在になるのはどれだけつらい事なのか。今となっては、ほむらちゃんの言葉が本当に身にしみてわかりますし、マミさんが「正義」と称して戦って来た事なんて、滑稽にも見えてきます。



 言わなかったQBは本当にずる賢いという言葉がピッタリで、良い事ばかりしか言わない営業マンそのもの。それが如実に現れていた事も凄くインパクトがあって、QB憎しの論調が溢れているのも当然でしょう。それでも人間ではないさやかちゃんが、魔法少女として生きる道として選んだのが、他人の為に願った杏子ちゃんとは違う道でした。絶望から自分の為だけに生きる道を選んだのとは異なり、やっぱりマミさんと同じように生きて行きたい。食べろと進められたリンゴを食べなかった事が象徴的にでした。



 しかしさやかちゃんも他人、つまり恭介君の為に願った事が自分の思惑通りに行かなくなって行く事を知り徐々に変化が見られるようになります。クラスメイトの仁美ちゃんが、恭介君の事がずっと好きだった事を告白したのです。しかも付き合っていた時間が長いからという理由で、1日の猶予を与えたので、さやかちゃんを悩ませ、苦しませました。彼女は人間ではない自分が、愛される資格がないと思ってしまったのです。それがきっかけで、魔女との戦いで痛みを伴わない身体となり、ダークサイドへ堕ちる道へと踏み出してしまいました。




 その様子があまりにもインパクトがあって、影絵を使った演出と白い歯とのコントラストが、不気味さとダークな印象を与えたと思います。これでさやかちゃんは今後どういう道を歩むのかが、今週のお話の柱になるはず。戦いに介入した杏子ちゃんは、彼女の存在がどんどん大きくなっているみたいですし、仁美ちゃんと恭介君の関係も重要でしょう。鍵を握るのは恭介君で、さやかちゃんが「あたしってほんとバカ」って言ったのが、何で他人の為に願ったのだろうかと言う後悔の気持ちから発せられた言葉で無い事を祈っています。それでは、放送後は第8話を紹介する予定なのでお楽しみに!



第8話本筋

 痛感を失ったさやかは、徹底的に魔女を切り付けた。「これなら負ける気がしないわ。」ダメージを感じない自分の身体は無敵で、魔女には負ける事はないと自信満々だった。「あげるよ。そいつが目当てだったんでしょ。」後から駆け付けた杏子にグリーフシードを渡すが、その姿は天真爛漫な笑顔を見せていた頃とは全く異なり、体力をかなり消耗していた。まどかも心配で心配でどうしようないほどの不安な気持ちを抱き始め、杏子もその変化を見て心のどこかに引っ掛かる物を感じていた。



 2人でベンチに座って休んでいると、まどかが自分の思いを口にし始めた。「あんな戦い方って無いよ。痛くないなんて嘘だよ、見ているこっちが痛かったもん。感じないからいいなんて、そんなのは駄目だよ。ああいう戦い方は、さやかちゃんの為にならないよ」徹底的に魔女を倒す戦い方を見て、涙を流し心が篭らない戦い方を止めるように促した。「あたし才能ないからさああいう戦い方しかないんだよ。それにあたしの為にって何?こんな姿にされた後で、何があたしの為になるって言うの?魔女を殺す為だけに存在する、死んだ身体を動かすだけのあたしに何をしてくれるの?」自分の姿を知り、自分のやる事はこれしかない。さやかの心は徐々に人間らしさを失い、ついにはまどかにも戦いを強制するようになった。(自分は人間じゃない。戦う魔法少女となって魔女を倒す。それしか存在意義を見出せなくなってしまった。それは人間らしい気持ちを徐々に失っていく事を表しています。ソウルジェムが汚れによって濁ってくるのは、ダークな気持ちを象徴していると思います。こうして魔法少女はどんどん汚れていくのだと実感しました。)




 それはさやかも出来ないと分かってる。だからまどかと自分は違うのだと察し、突き放すような態度を取りその場から走り去って行った。親友の為に何もして上げられないまどかは、ただただそれを見つめる事しか出来なかった。「バカだよあたし、もう救いようがないよ。」どうしてああ言う事を言ってしまったのか!自分を責める気持ちはまださやかの中に残されていたが、それはまどかには届く事はなかった。(まどかの気持ちはわかるけど、どうしてもそれを受け入れる事が出来ない。立場が変わってしまった悲劇というか、これは本当につらい事です。でもやさしいまどかちゃんは、さやかちゃんが自暴自棄になっていくのをこのまま見過ごせないはず。他人の願いを叶える事が、どれほどの代償を自分に返すのかよくわかりますね。)



 杏子はほむらの自宅を訪ね、ワルプリギスの夜の発生地点を聞かされた。根拠は「統計」だと言われたが、その統計もどういうデータから導き出されたのかはっきりしない。「お互い信用しろって言う事は出来ないけどさ、もう少し手の内を見せてくれても良いんじゃない?」「それは僕も是非知りたいね。」秘密にしているほむらの態度に業を煮やした杏子、そして槍を突きつけられるキュゥべえが姿を見せた。態々姿を見せたのは、さやかの状況が非常にまずいことを知らせるため。さやかの魔力の消耗が早く、呪いまで産み出している。こうなってしまうとワルプリギスの夜の前に厄介な出来事が発生するのだという。杏子は何もわかっていないが、ほむらは全てを知っている事にキュゥべえは気付いていた。



 「君は全て知っているんじゃないかな、暁美ほむら?やっぱり知っているね、僕はどこでその知識を手に入れたのか興味深い。」あえて杏子にはほむらの口から真実を明かさせようと仕向けた。何も言わないほむらは、キュゥべえに図星を突かれた嫌悪感を露にしてその場から立ち去るよう促し、杏子に情報の意味を伝え始めた。「彼女のソウルジェムは、汚れを溜め込みすぎたのよ。早く浄化しないと大変な事になる。」厄介ごととは、魔力を使い続けた結果ソウルジェムが汚れを溜め込み、浄化出来なくなる事。つまり新たな魔女が産み出されてしまうのだ。(色々な世界で経験して知識を得るというのは、ひぐらしの梨花もそうでした。異なった世界や時間軸の中で生き続ける。それは果たして何のためなのか?やっぱりまどかが関係する事は、確実だと思いますよね。あれだけ魔法少女にさせたくなかったわけですから。)



 翌日、さやかは学校に現れなかった。1人授業を受けるまどかは、立ち去ったさやかに声を掛けなかった事を後悔していた。夕方になり恭介と仁美は、一緒に下校していた。いつもは違う道のはずなのに何故か仁美が一緒にいる。違和感を持っていた恭介だったが、言った通り自分の想いを告白した仁美。2人はすっかり意気投合して、まるでずっと付き合っている恋人同士のような笑顔を見せている。その様子を影から眺めているさやか、まどかが心配して探している事など全く知る由もなく。願いを叶えた人間が、他人と幸せになる。もう完全に人間ではない、残されたのは戦いとそれに続く破滅への道しかなかった。(自分の願いと他人の気持ち、これがずれてしまった悲劇ですね。幼馴染みだから両想いになるなんていう事はありません。さやかは恭介を愛するが故の行動だったのですけど、それが返って自分に対する苦しみとなって何倍にもなって返って来た。杏子とは違うけど、破滅への道を歩んでいると思いました。)



 

 そんな時見かねたほむらが現れた。ほむらの存在が面白くないさやかは、嫌悪感を隠さずにらみつけた。しかしほむらは、さやかのソウルジェムがもう限界だと知っていて、グリーフシードを渡した。「こんどは何を企んでいるのさ?あたしはあんた達とは違う魔法少女になる。あたしはそう決めたのさ!誰かを利用したりする様な奴らとつるむのなんて嫌!自分の為に魔法を使ったりはしない。あたしが死ぬ時は、魔女を倒せなくなった時だけ。ならばあたしは用済みって事だからね。」ほむらの言葉なんて信じない、自分の為に魔法を使う奴らなんて認めない。そんな連中のグリーフシードなんて要らない。さやかは魔法少女の存在を否定し、自分が死ねばそれはそれで勝手に用済みになっただけだと言い放った。



 そんな態度を見かねて、ただ助けたいだけだと答えるほむら。しかしそんな優しい言葉も届く事はなく「あたし何となく分かるんだ、あんたが嘘つきだってね。全部諦めた目をしてるし、言葉が全部空っぽなんだよ。それに助けるって言ってるけど、本当は別の目的があるんでしょ?」逆に本心ではない事を見抜いていた。「そうよあなた鋭いわ。まどかの為よ、私はあなたを助けたいわけじゃない。あなたが破滅する姿をまどかに見せたくないだけ。どうせあなたは死ぬのだから、これ以上まどかを苦しめたくない。いっそこの手で殺してあげるわ。」ほむらの心の中にはまどかのことしかなかった。さやかの存在は、まどかを悲しませたくないぐらいでしかなく、これ以上存在しても無駄とばかりに殺そうとした。しかしそこに杏子が現れ阻止した。「てめえ何やってるのかわかってるのか?」杏子にとってさやかは、既に邪魔な存在ではなくなっていた。(さやかという存在に杏子は、親近感を覚えているのでしょう。同じ他人の為に願い魔法少女になった訳ですし。ただ今回気になったのは、ほむらのまどかに対する呼び方です。今まではフルネームで何か機械的だった。今回はまどかと名前だけを呼んだ。特別な存在だという事だと思います。彼女はまどかを守りたい気持ちが、表現されていました。それは杏子も同じですけど。)



 杏子のアシストによって立ち去ったさやかは、1人列車に乗っていた。そこでは2人のホストが、客としてやって来ている女性を金づるや道具としか見ていない話をしていた。「ねえその人の事聞かせてよ。役に立たないから捨てちゃうの?この世界って守る価値あるの?あたし何の為に戦ってたの?」突然さやかが話に割り込み、ついには呪いを発生させた。人間を人間とも思わない言動が、さやかの正義の味方として魔女と戦う根本の行動原理を破壊させた。そんな事が起こっている事などまどかは全く知らない。1人親友を探していると、そこにキュゥべえが現れた。「ねえさやかちゃんを元に戻してくれる?前言っていたあたしが、凄い魔法少女になれるって本当なの?」拠り所が無いまどかは、キュゥべえにすがるように確かめた。



 キュゥべえの答えは、「奇跡や宇宙の法則を捻じ曲げる」など今まで以上に大げさでまどかを「その気」にさせるには十分過ぎるほど。「あたしは誰の役にも立てないって思っていた。何のとりえもない。でもあたしなら出来るのかな?キュゥべえに出来ないことも出来るのかな?あたしがあなたと契約したら、さやかちゃんの身体を戻せる?さやかちゃんの為ならあたし魔法少女に・・・・」万能の神にも慣れると言われ、友達を救うためついに魔法少女になる決意をするが、その寸前銃声が鳴り響きキュゥべえを打ち抜いた。(まどかの優しい心を大げさな表現で揺さぶり契約の方向に持っていくQBのやり方は相変わらずの汚さです。こいつの心はグリーフシードで犯されている。本当に腹が立つけど、まどかの願いっていっつも他人の為だよね。それが何だか煮え切らない部分でもあります。)



 現れたのは武器を使う魔法少女暁美ほむらだった。「あなたはどうしていつも犠牲にして、役に立たないとか意味が無いとか勝手に自分を粗末にしないで。あなたを大切に想う人の事も考えてよ。いい加減にしてよ、あなたを失えば悲しむ人がいるって事をどうして気付かないの。あなたを失って悲しむ人がいるのよ。」まるで過去からずっと知っているような口ぶりのほむらは、初めて感情をあらわにした。またまどかが同じ過ち(契約!)をしてしまう事を止められなかった涙も込められていた。「ほむらちゃん、あたし達どこかで?ごめん今はさやかちゃんを探さないと。」まどかもほむらの言葉に違和感を持ちはじめたが、今はさやかを探す事が先決だからと急いでその場から立ち去った。「美樹さやかはもう・・・・だから待ってまどか!」感情を全面に表した叫びは、まどかには届かなかった。(こういう経験を何度もしているのですよ。つまりまどかとは何度も会っているけど、記憶はほむらしか持っていない。QBがまどかにこだわるのは、魔法少女にさせてからの本当の狙いがあるから。それを阻止しようとしたけど出来なかった。だから自分だけ泣いている感情をむき出しにするほむらがそこにいた。しかしまどかから見たら非常に気味が悪い。自分は何も知らないのにほむらは全部知っているなんておかしいでしょう。)



 まどかが立ち去った後、死んだはずのキュゥべえが再び現れた。実はキュゥべえは、1匹だけではなく何匹も存在する。つまり本体ではない分身が多数存在していた。「これで君に殺されたのは2度目だけど、おかげで攻撃の特性も見えてきた。時間操作の魔術だろ。それに君はこの時間軸の人間じゃないね。そこまで鹿目まどかの運命を変えたいのかい?」ほむらの攻撃の特徴を掴み、まどかの運命を変えたい願いまでずばりと言い当てると、時間軸の異なる世界から来た存在だと指摘した。「お前の正体も企みも、私は全て知っているわ。絶対にお前の思い通りにはさせない。キュゥべえ、いいえインキュベータ!」キュゥべえは最初から敵で、思い通りにさせないと宣戦布告するほむら。その一方でさやかには、もう魔法少女として残された時間はわずかになっていた。(インキュベーターとは、起業をする人を援助する場のこと。つまりQBは魔法少女を魔女にさせる手助けをしていた事になります。願いという餌で釣って、魔力を使わせ魔法少女の願いとは反対のねたみや恨みや呪いを心に抱かせる。本当にとんでもない存在ですよ。もしまどかがそんな事になったらどうなるか不安でしょうがない。)



 杏子が駆け付けた時には、既にソウルジェムは汚れに覆われていた。「あたしは何の為に戦って来たのかわけわからなくなっちゃったよ。確かに何人かは救ったけど、それで恨みや憎しみを心に溜め込んでいた。あたしは他人の願いを叶えて幸せを祈ったけど、他の誰かを呪わずにはいられない。魔法少女ってそういう仕組みだったんだね。」涙が零れ落ちた時、ソウルジェムはグリーフシードに変わりさやかは倒れた。「さやかあああああ!」杏子の悲痛な叫びも届かずさやかは魔女へと変貌を遂げ始める。「この国では成長途中の女性の事を少女って呼ぶんだろ。だったらやがて魔女になる君達の事を魔法少女って呼ぶべきだろうね。」魔女の誕生が当たり前だとキュゥべえの言葉は、あまりにも残酷で魔法少女達の未来を暗示していた。(魔女を産み出すのがQBの役目。さやかは魔女への道をきちんと上がってしまった事になる。そして強い魔法少女が魔女を倒し、それがまた魔女になる。まさに人間→魔法少女→魔女の関係性がハッキリしたわけです。ワルプリギスの夜がそれにどう関わるのか。ここからクライマックスに向けてどんどん進んでいきますよ。)