組織に所属していた契約者の残党狩りを目論む三号機間に捕えられた黒を、無意識のうちに救ったスオウ。そのまま黒に捕えられ隠れ家に拘束されてしまった。何故自分がこんな目に遭うのか?父親はなぜ殺されたのか?シオンはどこに消えたのか?スオウは現実に起こっている理不尽さに憤りを覚えながら、黒を憎み続けた。一方ニカは契約者となったターニャを取り戻すべくFSBのビルの様子を窺っていた。その恋愛感情に見透かし、シオンだと思ったスオウと接触を図ろうと画策したのが、FSBのレプニーン少佐だった。



 ターニャをわざとニカの前に姿を現し、出会うよう仕向けスオウの携帯に連絡させた。その着信を知りスオウは出ようとしたが、黒は携帯を破壊した。それでもFSBは電波の発信位置を把握して隠れ家を発見した。見つかるリスクを感じた黒は、スオウが所持していたアルバムに、シオンのメッセージと池袋の写真が挟まっていることに気付き、日本に行く事を進言した。スオウもそれを承諾して2人は駅に向かい、列車に乗り込もうとした。しかし行く手にはターニャが立ちはだかり、用が済んだニカを無表情のまま能力を使って抹殺した。目の前で友人が殺されショックを受けたスオウだが、突然変化を始め契約者に復讐を燃やす契約者となった。能力である物質転送を使ってライフルを発射。追っ手の足を封じ、列車に乗り込みウラジオストクを脱出した。



 日本へ向かう船中スオウは、クジラを甲板の上から見た。「写真撮ってみようかなと思ったけど止めた。どうしてそんな事考えたんだろう?撮らなきゃ行けない理由なんてどこにも無いのに。」以前なら興味を持った物にカメラを向けていた。しかし契約者となった現在、特徴である無感情さが現れ、喜怒哀楽を示さないようになった。一方三号機間の小林から、黒を追うなら三号機間に入るよう求められた未咲。忠告を無視して警察を辞め隠れ蓑である総務省に入省した。「第三係長補佐一ノ瀬弥生」偽名の名刺を渡され、居合わせた鎮目・水無・耀子から紹介を受けた。「不満そうな顔ね。私達と一緒なのが気に入らない?」未咲の顔に不満の表情が現れていることを指摘した水無。「気に入るも何も、仕事ですから。」感情を押し殺し仕事だと割り切っていると答えた。「じゃあこの写真は気に入るかな?」鎮目が見せたのは、スオウが結婚詐欺師としてウラジオストクに貼ったBK-201=黒の写真。



 追い掛けていたBK-201の姿を見て驚く未咲に、小林は写真の人物がBK-201である事を確認させ「現在CIAの仕事をしているようだが、それも過去形のようだ。CIAもBK-201の行方を血眼になって探している。」現状三号機間とCIAが、追跡している現状を教えた。ただ写真にはBK-201の星が消えている。本当に生きているか疑問に思った未咲。「俺達が戦ったのが、亡霊じゃなければ生きているって。」鎮目は自分達が戦ったから間違いないと主張した。「その捜査をする為に君を呼んだんだ。第一にBK-201の捕獲。第二にミハエル・パブリチェンコ博士の息子シオンの捕獲だ。」改めて小林から三号機間の行動優先順位が言い渡され、一ノ瀬弥生としての美が始まった。(水無さんのあの舌なめずりがエロイ。間違いなく未咲を狙っている感がある。百合ならば、男とのキスはまさに地獄。対価というのは個人によって違うみたいですが、何だか気に食わない事をさせるのだなと思いました。そんな人がいる三号機間に忠告を無視して入った、未咲の黒に対する執念は凄いです。)



 日本に入国した黒・スオウ・ジュライは、トラックに乗り込み札幌へ向かっていた。ここでもスオウの黒に対し、怒りと憎しみを抱いた態度が消え無感情に振舞った。トラックを降りた3人は、オカマバーのママレバノンと出合った。「今度この近くに引っ越してきましたイ・キョムシクです。この2人は兄弟です。」外国人を装い街に溶け込もうとする黒。その一方で契約者のスオウとジュライは無表情のままだった。「お前らもっと笑えよ!それからクライアントの意向だ。エージェントとして、スオウお前に訓練を付ける。」2人に笑うよう求めた後、黒はスオウに契約者として訓練すると言い出した。「訓練って何の?」感情的になったスオウが、質問をぶつけた。「口ごたえするな。契約者として生き永らえるたければな。」反抗的な態度は許さない。黒はスオウの口を塞ぎ、生きたければ自分に従うよう通告した。早速ライフルを用いて遠く離れたビール瓶を狙う訓練が始まった。ジュライのナビゲートに従い、スオウは引き金を引いた。しかし弾はビール瓶に当たらず「気付かれるだろうが頭を使え。的を替える!動く標的だ」狙撃している事が気付かれる。黒はスオウの背中を踏みつけ注意すると、動いている鶴を狙えと命じた。(スオウを一人前の契約者として育てる。黒のクライアントってCIAですかね?それとも別の人がいるのか?ただ理由は一体何なのか?まだまだ謎が多くこれからって感じですね。)



 幼少の頃は当たらなかったが、契約者となった今なら撃てるはず。そう考えたスオウだったが「狙いが外れた。」と嘘を付き誤魔化した。「もっとまともな嘘をつけ。」嘘を見抜いた黒を銃で狙い「殺すような得にならない事はしない。でも僕は東京に行く為にあんたと来たんだ。もし変な真似したら・・・・・」指示には従わず、利用する為に一緒にいるだけだと警告した。「お前は俺の言う事だけを聞いていればいい。」生意気な口を聞いた契約者に制裁を加えた黒。決して反抗させず従属を強要するかのような態度を取った。そして食事代として丸めた紙幣を渡し、子供達を残し1人立ち去った。2人は貰った金を持ち札幌の街へ向かった。アーケードを通り掛ると、ダンスをしていた友人達に「もっと見つけていこうぜ!生きている実感って奴をよ!」生きている実感を探せと力説するノリオがいた。「見つけた、生きてる実感!」スオウを見てノリオの目の色が変わりかけていたサングラスを外した。その姿を見てスオウは、少し気になる様子だった。



 その後スオウ達は、閉店したラブホテルを隠れ家として選び宿泊した。「あいつ何なの?クライアントって何なの?訓練って何?あいつ契約者なんでしょう?何で私を?」ペーチャに憑依した猫に持っている疑問をぶつけたスオウ。「質問攻めだな!じゃあ逆に聞くが、どうして逃げない?俺はお嬢ちゃんを監視する任務は受けていない。」自分は監視をするつもりは無い。質問には答えず、逃げない理由を逆質問した猫。「逃げるよ!でもお金が・・・・」身銭が無いから今は逃げない。だから食費も削っている。スオウは生活の為に逃げないと返答した。(スオウは契約者となる前と後で決定的に違う事がありました。それは一人称です。僕と男の子のように言っていましたけど、契約者になってから無感情になり「私」と言い始めた。小さいことだけど決定的に違う事だなって思いました。)



 東京ではウラジオストクで発生した事件について、未咲がロシア大使館まで出向き情報を聞き出そうとしていた。「複数の契約者がかかわったようですが、既にもみ消されていますね。日本の機関にCIAやMI6が出し抜かれたようです。」提供者の答えは、未咲の求めるBK-201に関する直接的な情報ではなく「そんな情報では、額に見合わないな。」情報が対価に見合わず不十分だとクレームを付けた。「それならマダム・オレイユにでも聞くべきです。彼女は伝説の情報屋です。」CIAのスミスも頼る、マダム・オレイユに聞くべきだ。男はそう進言した。「BK-201に近づく為に飛び込んだ三号機間。所在どころか、所属する組織についてもわからないなんて。何故BK-201の星は消えた?」近道だと思ったが、三号機間自体わかっていない。全てが謎に包まれたまま、未咲には見えない霧が立ち込めていた。その頃黒とスオウが、格闘のトレーニングをしていた。相手の隙を付き、使える武器は何でも使う。攻撃は上半身でかわす。しかも臨機応変に。黒の指示は的確で、スオウは身体の痛みを伴い「何で?」という気持ちを持ちながら食らいついた。



 街に出て腹筋と背筋を鍛える必要があると感じた黒。スオウにダンスをさせながら、鍛えるトレーニングを課した。流石にいきなりチャレンジした少女には厳しく、お腹を痛めて座り込んでしまった。するとノリオ達のグループと遭遇すると「ちょうどいい実地訓練だ。能力を使わずに逃げ切って見せろ。最初に言った筈だ、黙って俺の指示に従え。」有無も言わさず、絡んでくるであろうグループから逃げろと黒は命じた。案の定ノリオ以外の男達が囲み、ちょっかいを出して来た。スオウは、素早い身のこなしで小太りの男の背後を取り腕をへし折った。「ちょいと、何してくれちゃってるの?」仲間がやられて男が、ノリオの制止を聞かず殴り掛かった。最初は身のこなしだけでかわしたが一発殴られた。「お前何やってんだ?」ほれた相手に喧嘩を売った。ノリオは首根っこ掴んで抗議した。しかしやって来たのはスオウだからと、男は一歩も引かなかった。ちょうどその時トラブルを聞きつけたか如くパトカーが到着した。「ジュライ、スオウに逃げ道を教えてやれ。」トラブルを回避すべく、黒はジュライに指示を出した。(ノリオは不良グループのメンバーなんですね。だけどちょっと他のメンバーとは違うタイプで、スオウに一目惚れしたけど。何か上手く行かない。容姿で誤解されちゃう人っているんですね。まあスオウも容姿だけ見たら、可愛い女の子だからとても契約者とは思えないですけど。)



パトカーから警察官が出て来た時、猫が体当たりをして気絶させた。ノリオの仲間達は隙を付いて逃げ出し、スオウもジュライに従って別の方向へ逃げた。そしてノリオもまた、スオウと話がしたい一心で後を追い掛けた。鬼ごっこのような形のなったが、スオウは途中腹痛を起こし塞ぎこんだ。「こっち!」隠れていたジュライに従い、身を潜める事が出来巡回中のパトカーに見つからないで済んだ。「嫌だ、何この感じ?」腹痛の痛みが判らないまま走り続けたスオウ。見つからないようにした先にノリオが姿を現した。「あのうさっきはごめん。ただ喋りたかっただけなんだよ。殴り合いなんてバイオレンスなしで。君、名前は?」ただ喋りたいだけ。喧嘩する意志はないと告げ、改めてノリオは名前を尋ねた。「どいて、どけ!」ノリオは邪魔な存在以外、何者でもない。いくら一目ぼれした感情を伝えようとしても無駄だった。能力を用いてライフルを転移させ、躊躇せず発砲した。「けっ契約者?」恐怖を感じ座り込んだノリオは、恋した女の子が契約者だと知った。その間に走り出した2人は、オカマバーのママレバノンに出会った。黒の言う通り笑顔を作ったが、とても笑顔とは呼べない顔で「笑えないわよ。」と思いっきり突っ込まれた。(ノリオとレバノンが知り合いだったとは驚きです。しかもスオウの痛みが生理痛だったとは。女への階段を登ってるんですね。だから一人称も変わったのか?)



 レバノンは生理用品を渡し、女への階段を登っている事を教えた。ちょうどそこに常連客でもあるノリオがふらりと訪ねて来た。しかし目の前のスオウを見て、顔を真っ赤にして逃げるように去って行った。「そうかニカに似ているんだ。でもあの時はドキッとしたけど、自分の事なのにドキッとしなかった。」顔は異なるが、様子とか表情が恋をする少年のもどかしさが同じだとスオウは感じた。「契約者、いや女になればわかるんだよ。」ドキッとする気持ちは、いずれわかると猫は教えたが、スオウは自分は女だと主張した。勿論「女」の意味は、全く異なっている。ホテルに戻ると黒が待ちかねていた。「能力を使ったな!判るんだよ、隠してもな。」言う通りにしなかったスオウに対し、黒は平手打ちの制裁を加えた。「契約者って感情が無くなるんでしょ?なら僕は、あなたが嫌いだ。」眠る前に自分の感情をスオウはぶつけた。契約者になる前に言いたかったことだからだ。「そうか!」黒は感情的にならず、ただ一言呟いた。すれ違う2人には、異なった目的があり好き嫌いなど一緒にいることを止める理由にはならないのだった。(猫が猫に追いかけられるシーンは面白かったですね。一方物語は、日本に舞台を移しどんどん動き出しています。今は札幌ですけど、ここから東京へ向けてどうなるか?未咲にマダムが接触を図り、情報を提供するのか?それとも違う意図があるのか?ノリオは多分死んじゃうと思うのですが、彼との交流がスオウにとってどうなるのか?)