父直幸との思い出の場所で、汐との親子の絆を取り戻した朋也。古河家に戻り、ずっと変わらず残っている渚の部屋を訪れた。残された汐の為に頑張る未来に向けて、渚への思いにけじめをつけて、これからは2人で一緒に暮らし5年分の時間を取り戻す意志を告げた。しかしこれは母親代わりとして育ててきた早苗にとって、汐との別れと渚への思いが蘇る事を意味していた。汐を育てる事に没頭し、亡くなった渚への思いを封印していたのだ。それが秋生の言葉をきっかけにして、一気に気持ちが噴出し早苗は号泣した。



 手を繋いでアパートに向かった朋也と汐は、一緒に生活し始めた。光坂電気も事情を考慮し、汐との時間を作れるように配慮したり、料理を覚えようとしたり、幼稚園で陰口を言われてもキレずに大人の対応するなど、朋也は汐の為に一生懸命に努力し始めた。しかし朋也には、向き合わなければならない人が居た。今まで否定し見下して来た直幸だ。史乃の話を聞き、自分の為に身を粉にして働いて来た事実を思い出し、自分と汐の絆を取り戻してくれた。それは直幸の存在があったからこそ。だからきちんと最後に向き合い史乃の意志を伝えて、ゆっくり休んで欲しいという願いがあった。



 久し振りに帰った岡崎家は、催促状だらけでそこだけが世間から隔離されているようだった。直幸は現実を直視せず、競馬中継のラジオを呆然と聴いているだけで相変わらずの様子。しかしラジオを消しきちんと向き合い、休むように説得し始めた朋也。実は直幸は、まだ朋也の為に頑張らないとならないと責任を感じており、息子の言葉を躊躇っていた。それでも出来の悪い息子を育てる為に、自分を省みず頑張ってくれた父に感謝していた朋也。汐を連れ自立した大人に成長した姿を見て、いつのまにか自らの役目を終えた事を知り、安堵の表情を浮かべた。こうして長い時間途絶えていた絆を取り戻すと、朋也は父の背中を流しちょっとした親孝行をした。直幸も別れ際今まで他人のように振舞った息子の名前をきちんと呼び、郷里に帰って行った。



 「今日から先生戻って来るんだってな。じゃあご挨拶しないとな。」汐の担任教師が、研修を終え戻って来ると知った朋也。改めて挨拶すると伝えると、まだ箸が使いこなせない汐が落としたご飯を食べさせる、優しい父親ぶりを見せた。「美味しい。」汐もすっかり朋也を受け入れ、違和感無い親子関係が成立していた。「それじゃあ行くか!」「オー!」朋也が出掛ける事を伝えると、手を挙げてリアクションした汐。促されて写真の中で微笑む渚に行ってきますの挨拶をした。汐にはどんな人かわからないが、紛れもなく渚は母親なのだ。幼稚園に着くと猪の出迎えを受け驚く朋也。しかも汐は怖がる事無く猪に抱きついていた。「何でイノシシが?いやまさかな?」高校時代にいた小さなイノシシ「ボタン」の存在が脳裏に浮かんだ朋也。一度は存在を否定したが現れた担任教師は、過去を蘇らせるのに十分な人物だった。「岡崎汐ちゃんのお父様ですね?私担任の藤林杏と申します。よろしくお願いします。」がさつで男勝りなイメージはもう無い。礼儀正しく挨拶する25歳の藤林杏がそこにいた。「はい、よっよろしくお願いします。」杏の姿に驚きペースが乱され、挨拶もままならない朋也。「あははは、あんたのそんな顔初めて見たわ。あたしのことなんて忘れちゃったの?汐ちゃん先生とパパはね、学校が同じだったのよ。」見た事の無い顔をする朋也に大笑いした杏。嫌味を言いながら、改めて自分と父親が同級生だったことを汐に紹介した。(出てきましたよ。杏ちゃん25歳が。男勝りで怖いイメージはなく、朋也もママと仲良しだったと紹介しました。本当に幼稚園の先生になるとは、私も杏のイメージからかけ離れているので、朋也と同じ立場ならビビって挨拶もかんでいたでしょう。いやびっくりしました。)



 「早苗さんから言われていたのよ。そのうちあんたが顔出すから、汐ちゃんにはその時言って下さいって。」朋也が知らなかったのも無理は無い。早苗から口止めされていた杏。しかしそんな状況を作り出した不思議な縁を感じていた。「大変だったわね。椋やことみや陽平も心配していたのよ。お正月に集まった時、会いに行こうかって話し合ったのよ。ただ皆はそっとして置こうって。でも今は解決したのよね。」5年間の苦労を聞いた後、椋達と一緒に会いに行こうと相談したが、躊躇った事実を明かした後、今は解決して親子で暮らしていると知り杏は安堵の表情を浮かべた。「心配掛けてごめんな。汐はどうだ?」心配された事を感謝しながら、汐の幼稚園での生活振りを尋ねた朋也。「すっごくいい娘よ。あんたみたいにひねくれてないし。でもお母さんよりも活動的よね。目を離すとどっかにいっちゃうから。」好奇心旺盛で素直な女の子だと考える杏の言葉に、自分のの知らない娘の部分が明らかになり感心した。「頼りにしてるぜ藤林先生。」皮肉交じりに汐の面倒を任せ、仕事に向かおうとする朋也。「いってらっしゃいパパ!」仕事に行くと聞き、笑顔で抱き付く汐の嬉しそうな顔。杏は父親と一緒に暮らせる喜びもあると、手を振りながら考えていた。(藤林杏先生は本当に親しみが持てるいい先生ですね。何か心変わりでもあったかのような落ち着きぶり。まるで渚みたいな感じがします。2次小説なら再婚相手に杏と朋也なんていいかもしれませんね。)



 休憩中祐介から風子が、自宅に遊びに行きたいがどうかと尋ねられた朋也。「別にいいですけど?でもなんでまた?」別だ嫌がる事無く了承したが、何故なのか理解しておらず逆に質問を返した「汐ちゃんと友達になりたいそうだ。風子ちゃんはまだ退院したばかりで、歩く練習が必要だ。それにあの子は人見知りで、自分から会いに行こうなんて滅多にない。こういう機会を大事にしてあげたいんだ。」理由は歩行機能回復のリハビリ。そして人見知りの風子が、自ら汐と友達なりたい意志を尊重したい祐介の思いがあった。「わかりました。汐も風子ちゃんの事嫌いじゃないみたいですし。別にいいですよ。」2つ返事で了承した朋也。仕事を抜け出し、自宅に汐を送り届けてから笑顔で仕事に戻って行った。一方1人で本を呼んでいた汐は、勝手に抜け出し渚がかつて倒れていた広場の跡地に出来た病院へ足を運んだ。(何かを感じたのでしょうか?病院ガ出来る前のあの場所は、古河家にとってとても大切な場所です。それを本能的に知っているのでしょうか?今後の物語どう絡んで筈だと思うのですがね。それにしても朋也は、シングルファザーとして料理も上手になりました。ハンバーグもお手のものだし、料理が出来ない自分には到底真似出来ません。)



 「明日お前にお客さんが来るぞ。伊吹風子ちゃんだ覚えているだろ?」汐を尋ねる客人が、風子だと教えた朋也。1度会っているので、覚えているどうか確かめた。「うん覚えている。とても嬉しい。」友達が出来ると思い、だんご大家族を頭につけながら喜ぶ汐。寝る前には朋也が歌うだんご大家族の歌をいつも聴きながら、天使のような寝顔で眠っていた。翌日風子が遊びに来て礼儀正しく挨拶した。フレンドリーに迎える朋也だが「汐ちゃん早速ですが、風子の妹になりましょう。」いきなり抱き付く風子に困惑していた。「風子おねえちゃん好き。でもパパと一緒に居る。」風子の要求は汐の正直な言葉によりあっさり拒否された。「汐ちゃんこれ、古河さんにオーダーメードで作ってもらったパンですどうぞ。」二次作戦として、代名詞ヒトデパンをプレゼントした風子。「ありがとういただきます。」礼儀正しく食べる汐の姿に、いつも通り可愛い☆全開で興奮する姿は、幻となんら変わりなかった。(ちょっと風子も変わったかなって思ったけど、相変わらずの朋也との漫才が面白いです。くらげの化け物みたいな格好で、自分は地球人の平均的な思考の持ち主だと言っても、隠れてこっそりボタンを押して核爆発させたり、履いてはいけないタイツなどと考えるのはまさに宇宙人です。そんな思考で考え出された岡崎最高タイツは、江頭2:50のタイツみたいで本当にはいてはいけない。立入禁止の立て看板がシュールでした。ただ風子が朋也に好意を持っているのが可愛かった。朋也には話は通じませんでしたが。)



 昼食も終わり、風子の提案でトランプで遊ぶ事になった。最初提案したのはブラックジャックだったが、5歳児相手に掛けの代名詞トランプゲームは当然朋也が却下。「7ならべがいい!」汐の提案で定番の7ならべに決定。朋也と風子のガチンコ勝負になったが、汐が風子に助け船を出し形勢逆転「このことだけでも汐ちゃんは、あなたより風子を愛していると分かります。」また始まった風子の汐を妹にしたい発言。「そんな訳あるか!」天真爛漫な風子の発言にマジで突っ込みを入れた朋也。「渚、お前が生きていてくれたら・・・・・・」ふと渚の写真を見つめ、3人で仲良く7ならべをし、一緒に写真に写るシーンを思い浮かべ、一瞬我を忘れた。「やっぱり風子奥さんと重ねてしまいますか?性格が違いますか?子供っぽい人でしたか?」また自分と渚を重ね合わせていると尋ねた風子。「それは無いって言っているだろう。お前より子供っぽい奴なんて俺は知らないよ。」呆れ顔で否定する朋也。「ママの事ならパパから沢山聞いたよ。とっても泣き虫な人。凄く頑張って汐を生んでくれた人。それでパパの凄く好きだった人。」風子に尋ねられ朋也に聞かされた渚の姿をありのまま紹介した汐。「岡崎さん、風子暇なのでいつでも呼んで下さい。呼んでくれたらいつでも来ます。出来る事なら何でもしますから。」朋也の境遇を知り、少しでも力になりたいと申し出た風子。「何だ気を使ってくれるのか?」気を使ってもらっていると感じた朋也。その後に「汐と遊びたい」という言葉が付き呆れて物も言えなくなった。(風子は朋也の事を知り、自分に出来る事をしたいと言ったのは本当だと思いますよ。本質的に風子も優しい女の子だと思うから照れているだけなのかも。まあ相変わらず朋也とは、波長は合いませんけど。汐には母親は必要だと思うんですよね。)



 後日幼稚園に汐を迎えに行った朋也は、すっかり親バカ全開。汐に抱き疲れるとにやけてだらし無い顔になった。「保護者の部もあるから、あんたもしっかり練習しておきなさいよ。」杏から運動会が近づき、保護者の部に参加するよう促された。「運動会知ってますよ。町内会長さんから聞きました。」帰り道古河家に寄って早苗に運動会の事を伝えたが、既に早苗承知済み。しかも秋生はトレーニングウェアを着て運動会のトレーニングをしていた。「秋生さんは足が速いから腰を痛めた園長先生の代わりに、教員チームのアンカーを任されているんです。」秋生がリレーに代理で出場する事実が早苗から伝えられ「お前は父兄チーム。これは因縁の対決だぜ!」早速朋也に宣戦布告する秋生。「俺がアンカーって?ちょっと待ってくれ、むちゃくちゃだな。」直接対決を申し込まれ困惑する朋也。「パパ頑張って!」事情を飲み込み父親を応援する汐。「よしパパ頑張るか!」応援する娘を前に逃げるわけには行かない。想いに応え出場を決意すると、仕事中祐介が見つめる中走り込みを始めた。雨の日も休みの日も欠かさず、娘に格好悪い姿は見せられない意気込みで、運動会まで必死に練習を積んだ。「いよいよ明日だな」「ついに雌雄を決する時だ!」どっちも負けないつもりで、古河家でにらみ合いを続ける2人。親バカと爺バカのガチンコ対決が幕開けようとしていた。しかしトイレから戻った汐は、顔を真っ赤にして倒れてしまった。「どうした汐?熱い酷い熱だ!」元気だった汐が熱に侵された。再び朋也に大切な人を亡くす悪夢が襲い掛かった。(またも朋也に悲劇が起ころうとしています。渚と同じ病気が魔の手を伸ばしています。このままだと最悪の結果になりかねない。そうなったらもう朋也は立ち直る事は出来ないでしょう。幸せを掴もうとしたら、悲劇が襲う現実の結末はどうなるのか?やっぱり汐の行動と関係があると思うんですが。) 

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