法律と法則

 秋風が吹き始めた頃下校途中のユカと吉野は、公園の中でやきいもの移動販売車を発見した。「ねえお腹すいたよ。食べていこうよ。」腹の虫がなり、買い食いしようと誘ったユカ。「駄目だよ買い食いは。でもお土産ならいいんじゃない。」買い食いは駄目でもお土産ならOK。死角を付いた作戦でやきいもを買い、お土産として持って行ったのは南家。「ねえ吉野って好きな人いるの?」やきいもを食べながら、いきなりの恋愛話を持ち込むユカ。当然不可思議に思う吉野。「内田が男欲しい欲しいって言ってたから。」横からややこしい方向に話を持って行ったのは、千秋ではなくトラブルメイカーの夏奈だった。



 「そんな君に耳寄りな情報はこれ!」夏奈が披露したのは、もてる女の法則が書かれた雑誌。「うあ効くのかな?」見せられたユカは、懐疑心一杯に見つめた。「効く効かないじゃなくて法です。法を守らなければ罪です。罪を犯せば罰が下ります。そこで法則その1非力アピールから練習しましょう。」むちゃくちゃな論理を持ち出し、ユカを引っ張り込んだ夏奈。早速非力な女の子をアピールする練習が始まった。「内田君、吉野君冷蔵庫から缶ジュースを持って来たまえ。」夏奈は、まず2人に缶ジュースを用意させた。その量は1本ではなく、机一杯に置けるほど。



 しかしやる事は、量に関係なく自分で缶が開けられない非力さを見せ、か弱いと印象付ける事。「ではまず内田君から。」夏奈がトップバッターに指名したのはユカ。一生懸命開けまいと必死に頑張るが、思わず開けてしまい「下手糞!」罵られる結果となった。「こういうのは、吉野の法が上手いはず。」期待を込めて2番バッターは吉野。触っては離れ、触っては離れの繰り返しで開けられない雰囲気は十分。「ちょっと開けてあげたくなるね。」中々好評だが、調子に乗って照れると夏奈から厳しいツッコミが飛んだ。(か弱い女の子を守ってあげたい。確かに強い女の子だと男の子が一歩引きますから!自分が助けて守るんだって思えるほうが、女の子にも近づき易いし、話が合えば更に良いと思いますよ。吉野さんはガチでいいです。)



 「ただいま!いらっしゃい。」帰宅した春奈と友人のマキとアツコがやって来た。「あっマキちゃんちょうどよかった。」マキに対しても非力アピールをするよう進めた夏奈。「手本ねえ?昔は私もそんな事したなあ・・・・」マキには同じアピールをした経験があった。「お前に開けられない?じゃあ俺も無理だわ。」好意を持つ男子生徒には力があると思われ、か弱いとアピールしても不発だったと思い出した。「こういうのはアツコがいいよ。」大人しいアツコに振るマキ。春香以外正座をして注視する中、開け始めたアツコ。しかし顔を真っ赤にして力を入れても開けられず、ついに開けられなかった。「ごめんマキ開かなかった開けて!」リアルでか弱い女の子がそこにいて、驚きの表情を見せた夏奈達。「アツコは小細工いらない!」「魔女だ!」小細工無用のか弱い女の子オーラ全開のアツコを魔女呼ばわりする始末。そこに千秋と冬馬が帰って来た。「おいこれ私の炭酸。」大好きなジュースを取られ、夏奈から取り返す千秋。しかし既に振られまくった缶を開けるとジュースが噴出し顔に掛かった。「魔女のせいです!」睨み付ける千秋にアツコのせいだと責任をなすりつけた夏奈とマキだった。(ガチでアツコちゃんはか弱い。守ってあげたいなって思いますよ。でも本当に持てる娘は、優しい女の子だと思うのですがどうですかね。)