ぎこちない親子関係ながら、朋也と汐は旅に出掛けた。まだどう接していいか分からない朋也と秋生に教えられたバッティングのモノマネを見せた汐。2人の間には大きな溝があり、近くの子供が騒いでいる様子にイライラが爆破し、怒鳴り散らす朋也の態度に汐は怖がり、トイレの中で涙を流した。泣くのはトイレの中にするように早苗に言われていたからだ。そんな様子を見て、朋也は大人になる前にちゃんと泣いておけと、謝罪も慰めもせず言い放った。



 ターミナルの駅に到着して、とりあえず親らしいことをしようと、土産店で選んだロボットを買い与えた朋也。最初は、ロボットだったので気に入られないと考えたが、汐は拒否せず「これがいい」と答え嬉しそうに電車の中で遊んでいた。その世旅館に1泊した時、トイレに起きた汐を待っていた朋也。蛍の事を教えた後、警戒心からもじもじしていた汐から、母渚の事について質問された。しかし自分から渚の事は語らず、早苗に聞けと冷たくあしらった。まだ渚の死を受け入れられず、過去の出来事にはなっていなかった。



 翌日ローカル線に乗って終着駅で降りた2人。そこは巨大なひまわり畑が存在する自然豊な場所だった。汐には見る物全てが新鮮で、嬉しそうにひまわり畑を走り回った。最初は自分との旅行は面白いわけ無いと思った朋也も、汐の様子を見て一応旅行出来てよかったと思った。そんな朋也を見ていた汐はロボットを無くし、買い換えようと告げた事を否定。父親が選び買ってくれた物にこだわり、父親として認識するようになった。そんな親子の様子が、朋也の中に父直幸との思い出としてフィードバックさせ、この場所に見覚えがあると気付いた。確認しようと汐に動くなと告げてから、階段を登り先に進んだ。そして目の前にベンチに座った1人の老婆が現れた。実はこここそ岡崎家のルーツが隠された場所だった。



 岡崎史乃と名乗る老婆は、息子が直幸だと教えた上で、直幸と母敦子とのエピソード。その後の直幸の思いを語り始めた。高校を中退して小さなアパートで暮らしていた直幸と敦子。朋也を

身ごもり、ささやかな幸せの中誕生した。順調に成長していく朋也を見守る2人だが、敦子が交通事故で突然この世を去ってしまった。最愛の人を失い絶望する直幸。しかしまだ守らなければならない存在朋也が残されていた。2人で故郷を離れ引っ越すと、何度もクビになりながら必死で働き続けた直幸。お菓子やおもちゃを買い与え全てを朋也に捧げたのだ。かけがえの無い息子を守る為に。しかし朋也が成長するにつれて、徐々に2人の間に溝が出来、ついに直幸は酒に溺れ仕事もせず堕落。最後には逮捕され全てを失ってしまった。



 話を聞いた朋也は、自分は全てを失った直幸よりも何もしない自分は駄目な人間だったと自覚し始めた。今時分がやらなければならない事は何か気付いた。史乃も直幸は人間としては駄目だったが、必死に朋也の為に頑張った姿を誇りに思い、もう故郷に戻って来るように朋也に伝言した。2人の話が終わった後汐は、諦めずにロボットを探していた。「パパが初めて買ってくれたものだから。」汐にとってのロボットは、自分の為に選び買ってくれた初めての物。だからそこに込められた思いは特別で、初めて朋也を「パパ」と呼び認めた。汐が自分を父親だと認めてくれた事。史乃から聞かされた直幸の話を受け、過去を払拭しこれからは宝物である汐を守ろうと渚に決意した朋也。5年目にして初めて親子の絆が結ばれ、汐は我慢せず父の胸の中で号泣した。そして帰りの電車の中で、リクエストされた渚の事を話し始めた。



 仲良く手を繋いで古河パンに戻って来た朋也と汐。そこには他人の青年と子供みたいな姿はもう無く、元気に帰宅の挨拶をした。「お帰りなさい朋也さん、汐!」何事も無かったかのように、挨拶する早苗。「早苗さん今度デートしてくださいね。約束が違うじゃないですか!俺デートするの楽しみにしてたのに。」確信犯だった早苗にデートを申し込む朋也。「てめえ人の嫁口説いてるんじゃねえよ。」ガチでキレた秋生。「勿論デートの時は汐も一緒だ。」普通のデートを申し込むのは勿論冗談。汐も一緒に遊びに行く事は織り込み済みだった。「俺も仲間に入れろ。」焦る秋生を尻目に朋也は、久し振りに渚の部屋を訪れた。渚のぬくもりを感じるようにだんご大家族グッズを抱きしめると、部屋は渚の結婚時のままになっている事を教えた早苗。



 「すみませんでした。長い間汐を押し付けて。俺が父親としての自覚を持てるようになったのも早苗さんのおかげです。でもこれからは、俺が汐を育てます。渚のように思いやりがあって強い子に!一生を掛けておんがえししますから。」自分の為に配慮してくれた早苗に感謝し、これからは自分で汐を育てると宣言した朋也。「私達が渚の為に仕事を変えたのも5歳の時でした。幸せになって下さいね!」早苗にとっての恩返し。それは2人が幸せに暮らす事だった。朋也は深々と頭を下げ、5年間汐を育ててくれた事を詫びた。「パパ、アッキーが野球しようって。」汐も自然と朋也を「パパ」と呼び、秋生が野球しようと言っていると伝えた。2人が応援する中公演での勝負。汐も負けると思った勝負は、朋也の豪快なホームラン(窓ガラスガチャン付き)で決着した。汐の為に打つと公言した事を果たした。その後酒を交わしながら笑顔の絶えない、楽しい夜が過ぎていった。



 盛り上がった宴会も終わり、扇風機が回る部屋で眠ろうとした朋也。ふと気付くと秋生と早苗の会話が聞こえて来た。「私は汐を育てなければなりませんでしたから。だから見失わないで済みました。」渚が亡くなって5年。早苗は、汐を育てる事で娘を失った悲しみを忘れ、新たな生き甲斐を持ち続けていた。しかし早苗が孫を育てる責任感を持った事で、悲しみの時間が無く、泣いてなかった事に秋生は気付いていた。「5年か?汐のおかげで随分救われたな。それももう終わり、ご苦労さんだったな。今度はお前が泣く番だ!」汐が本来居るべき場所に戻る事になり、悲しみから救ってくれた孫とも別れなければならない。それまで必死に育児に励んだ早苗をねぎらう秋生。肩の荷を降ろし、渚を失った悲しみに浸り涙を流すよう促した。秋生の言葉を聞き、渚を失ってからの5年間の思いを表現した早苗。支え続けると約束した夫の胸で号泣した。その様子を朋也じっと見つめるだけだった。(早苗さんは悲しむ暇が無かったんですね。朋也の代わりに汐を育てる事に奔走しました。それが終わりを向かえ、寂しさと同時に悲しみをようやく表現する事が出来た。この涙は渚の死と汐との別れが混在してると感じました。)



 翌朝朋也と汐は手を繋ぎ、5年間世話になった2人に別れの挨拶をした。「これからはお父さんと2人暮らしですね。いい子にするんですよ。」「かまして来い!」汐へのそれぞれの思いを伝えた秋生と早苗。「俺が仕事で遅くなったら、幼稚園の送り迎え頼むな。親父の所には顔を出すつもりです。」秋生には幼稚園の送り迎えを託した朋也。きちんと向き合おうと決めた直幸の所にも顔を出すと告げ、仲良く手を繋ぎ汐が通う幼稚園に向かった。「古河さんから事情は聞いております。」朋也の事情を早苗と秋生から聞き、寛大に受け止めた園長。「どうもありがとうございます。これからよろしくお願いします。」園長に頭を下げ、会社に向かおうとした朋也。「ほらあの人が岡崎さんだって。」「今まで何していたのかしら?」初めて現れた汐の父親を見て、こそこそ話を始める他の保護者達。「あのう岡崎汐の父親です。ちょっと事情があって、妻の実家に預けていたのですが、また一緒に暮らす事になりました。これからよろしくお願いします。」自分を冷静に判断して、きちんと挨拶した朋也。25歳の大人の対応をした。(朋也自分が昔ならキレると判断したのは、客観的に自分を判断出来る大人の証です。長く仕事の携わり、大人になったと思いました。仕事をしながらの5年間決して無駄ではなかったのです。そんな朋也が慕う祐介は、汐と一緒に住むと知り、会社も自分もバックアップすると告げました。汐を迎えに行き、自宅に一度戻る事を許可したりするなど、本当に理解ある人達に囲まれていると感じました。)



 一緒に働く祐介は、男手一つで娘を育てる朋也に配慮し、汐を迎えに行く事を許可した。早速汐を迎えに行くが、担任の教師は夏季保育を利用した研修会に参加し不在だった。「お前の先生どんな先生なんだ?」全く幼稚園の事も知らないので、改めて教師について汐に尋ねた。「髪が長くて奇麗で優しい。」教師に対して好印象を持つ汐。実はその教師は、朋也がよく知る女性だった。アパートに戻り再び仕事に向かう朋也。「ドア開けちゃ駄目だぞ。何かあったら早苗さんに電話するんだ。暗くなる前に戻って来るからな。」不在時の注意事項を伝え、再び仕事に戻る後姿を汐は手を振りながら笑顔で見送った。古河家以外見た事の無い場所での新しい生活。汐にとっては全てが新鮮で目を輝かせた。父と娘の新生活が始まり、汐は画用紙に絵を描いていた。「汐パパだ開けてくれ。手がふさがっているんだ。」だんご大家族のぬいぐるみと汐のおもちゃや着替えなど、古河家から持って来た朋也が帰って来た。まず渚の遺影を飾り自宅を整理した後、2人で買い物に出掛けた。既に違和感ある親子関係はみじんもなく、一緒に料理を勉強しようと言い合う仲の良い親子がそこにいた。(手1つで育てるのは、大変でしょうね。しかし朋也はそれをやろうとしている。もし渚が一緒だったらどう思うか?もし渚と3人家族だったら、どんなに楽しく素晴らしい家族になるか。それも是非描いて欲しいなって思います。)



 「岡崎さん!何年振りでしょうか?」笑顔で手を振る公子が声を掛けて来た。「お久し振りです公子さん。汐ご挨拶しなさい。」久し振りの再会を果たし、初めて他人に汐を紹介した朋也。汐も早苗の教育の甲斐もありきちんと挨拶した。「この娘が渚ちゃんの。面影がありますね。きっと渚ちゃんみたいに、強くて可愛らしい女性になるでしょうね。」渚の面影を感じ、渚のような強く美しい女性になるという印象を持った公子。「そうなって欲しいです。アッそういえば妹さんが、退院されたそうですね。おめでとうございます。」渚と同じように成長して欲しいと願う朋也。公子の妹風子の退院を祝福した。「私達は元気になると信じていました。実は今日も一緒なんですよ。」離れた砂場で遊ぶ風子がそこにいた。勿論朋也には、学生時代姉の結婚を祝おうとした風子の存在は記憶から消えており、実質初対面だった。しかし風子は、人見知りで朋也を毛嫌いする態度は全然変わってなかった。しかも可愛いと思ったものに即反応するのも同じ。初対面なのにいきなり汐に抱き付き、1人幸せに浸った。「岡崎さんと同じ年ですけど眠っていたので、あの娘の中ではまだ高校1年生なんです。」25歳にしては精神年齢が低い風子。その理由は眠り続けていたから。「どさくさにまぎれて風子の妹にしてもいいですか?」本能のまま喜怒哀楽を現し、やりたいようにやるのも精神年齢が低い現れだった。(風子ちゃん復活。25歳なのに永遠の15歳として登場しました。また鼻にジュース入れられたり、ヒトデの歌を歌ったり、ヒトデマスターになったりしたら面白いですけど、とりあえず復活してよかったです。)



 自宅に戻り手作りのカレーを振舞う朋也。汐にちょっと変わった友達風子が出来た事を喜び、夜だんご大家族のぬいぐるみを抱きしめる様子を温かい目で見つめた。「早苗さんが言ってた。これママの匂いがするって。いい匂い!」写真でしか知らない渚の匂いを感じ、嬉しそうに話す汐。翌日は休みを取った朋也と一緒に旅行ではない、とても関係深い場所に向かった。そこは大量の催促状が貼られ、誰も住んでいないような場所。高校まで朋也が過ごしたもう1つの岡崎家だった。朋也は史乃に言われた事を伝える為、直幸ときちんと向かい合う為。2つの目的を果たすべく久し振りに帰って来た。そこには暗い部屋で1人、競馬中継のラジオを聞いていた直幸が座っていた。無精ひげを生やした生気の無い顔で何をするでもなく。「ただいま老けたな親父。あんたの孫だ!」帰宅の挨拶をして、老けたという第一印象を述べた朋也。改めて孫を紹介すると「こんにちは。」ここでも礼儀正しく頭を下げ挨拶した汐。「こんにちは!」笑顔で返答した直幸。暗くしんみりとした場所で、朋也は今まで経緯を話し始めた。(競馬中継のディテールが細かいな京アニ。プロのアナウンサーが喋ってるみたいじゃないですか。2番じゃなくてふたばんと言うのも細かいし、よく研究してると思います。競馬ファンの私も納得しましたよ。)



 「あんたの母親に会って来たこいつと旅行してな。ずっと北の昔あんたが連れて行ってくれた場所に。いろんな話を聞いたよ、俺も色々思い出した昔のこと。なあ親父疲れたろそろそろ休んでもいいんじゃないか?田舎に帰ったらどうか、あんたが俺を育てるって誓ってくれた場所に。母親と暮らしてやれよ。」朋也には直幸への憎悪や嫌悪感は無くなっていた。自分の為に頑張ってくれた事を知り、田舎に帰って史乃と一緒に暮らして欲しいと勧めた。「もういいのだろうか?俺は、やり終えたのだろうか?」休んで欲しいという言葉に対し、自分の役目は終わったのかどうか疑問を持つ直幸。「あんた何もかも犠牲にして、こうして俺を育ててくれたじゃないか。俺みたいな出来の悪い息子の為にまるごと人生使ってくれたんだ。もう十分だよ!」何も知らなかった見下して来た朋也が、直幸が人生を掛けて育ててくれた事に感謝し、心から休んで欲しいと改めて訴えた。「いつのまにかやり終えていたのかそれはよかった、よかった。」時の流れから取り残され、未だに息子を育てる責任を持ち続けていた直幸。しかし成長した息子と孫の姿を見てようやく役割を果たしたと肩の荷を降ろした。わだかまりが無くなった親子は、一緒に風呂に入り息子が父親の背中を流し、荷支度と少ない金を渡した。(ずっと朋也の事を心配していたお父さん。朋也君と気を使い、ずっと重荷を背負っていると感じていました。しかし息子の成長を感じ、ほっとしたように安堵の表情を浮かべたのが印象的でした。自分に負けて酒に溺れた事で親子関係は一度は駄目になったけど、こうして息子が親の為にしてあげる光景は、やっぱりいいですね。)



 「家の事と借金は俺が何とかしておく。ほら汐おじいちゃんにバイバイしなさい。」後始末は自分がやると告げ汐に挨拶を促した朋也。「バイバイおじいちゃん。」言われるがまま挨拶した汐。

直幸は汐の頭を撫で、旅立とうとしていた。「親父酒飲み過ぎるなよ。たばこ吸い過ぎるなよ。身体に気をつけろよ。長生きしろよ、絶対恩返しに行くからな。」父を気遣いありったけの言葉を投げ掛けた朋也。内に秘めた思いが募り、ついには泣き出した。それは直幸が朋也の為に尽くした過去と全く逆の光景だった。「どうした朋也?何故泣いているんだ。」泣いている息子を心配して

優しく頭を撫でた直幸。そこには息子に気遣う駄目な父親の姿は無く、きちんと親として「朋也」と名前を呼び捨てで呼んだ。「父さん元気で。」「朋也も元気で。」親子が別れの言葉を交わし合い、直幸は故郷に帰って行った。「あの人は幸せだったのだろうか?大切な人を失い、俺と2人きりになって。俺みたいな親不孝の息子の為に頑張り続けて。本当に幸せだったのか?」直幸の後姿を見ながら、自分が幸せにならない状況になり、よかったのかどうか疑問に感じた朋也。その時汐の目には、空に浮かぶ光の玉が映っていた。(自分を心配して接してくれた朋也を息子だと最後に認めた直幸。親子の絆が戻った瞬間でした。確かに最愛の人を失ったのは、不幸だったけど、朋也の笑顔の為に一生懸命不器用ながら頑張った事は、幸せだったのではないでしょうか?ただどうしても不器用で、上手く行かない時にはストレスを溜めてしまうから、酒に溺れ暴力を振るってしまったのはよくなかった。しかし父の頑張りを知らず、見下し距離を置いて来た朋也も真意を理解し、最後の最後で父の為にしてあげて心配した姿は、やっぱり親子なんだなって感じました。あの光の玉は、意味分からないですけど。ラストに向けて関係ありそうです。)

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