スピーチコンテスト終了後、懇親会という名目で、飲み会が催しされた。
あとでよく話しを聞いてみると、毎回授業のあと飲み会があるのが、この教室の特徴だということだった。飲み会で雑談力をつける、これも授業の一環らしい。
ところが、僕はその飲み会というものが大の苦手だった。 何故なら、アルコールが全く駄目なのだ。59歳になるまで、一度も飲み会には参加したことがなかった。だから居酒屋にも入ったことがなかった。しかし、一度は飲み会というものを経験してみたかった。そして、居酒屋というものがどんなものなのか知りたかった。 喫茶店しか知らないが、喫茶店と居酒屋とはどこがどう違うのか、知りたい、と思っていた。
「話し方教室」と「飲み会」僕にとっては、未知の要素が二つもあり、ドキドキ、ワクワクの展開だった。
その日入った居酒屋は、ミッドタウンの地下一階にある、お洒落な内装のお店
だった。僕はさらにワクワクして来た。誘導されるままに席に着いた。
そこに集まった人たちは誰も知らない、初対面の人たちばかりだった。
だから不安で仕方がなかった。それでも隣に座った人に「はじめまして」と
話しかけた。するとその人も「はじめまして」と気軽に応じてくれた。
不安が少し消えた。この人は他に知っている人がいるにもかかわらず、初対面
の僕の相手をしてくれた。そのことがとても嬉しかった。これだ!これが飲み会
の醍醐味だ。それでも、みんなの輪から外れて ポツンとしている間があったが、それは仕方がないと思った。この 飲み会
でとても目立つ人が一人いた。いい人相をしていて、声がとても魅力的がで、人気俳優のような雰囲気があった。Kさんといった。そのKさんを中心に5人くらいの輪が出来ていて、その中の一人に僕がいた。 僕が話しに入ることができないで、黙っているとKさんが突然「--ここにいる岡さんもそうだと思うけれどーー」と、僕のなまえを出した。当然みんなの視線が僕に集まった。それがきっかけとなって僕も話すことが出 来た。
それを見ていた先生が、僕に示したKさんの気配りを褒めた。それで僕は「ああ、この先生はちゃんと見ている」と思い、それが受講の決め手となった。


