私は、精神的にストレスを感じにくいらしい。
いわゆるニブイ女だ。
しかし、「 ストレスを感じにくい 」 と 「 ストレスが溜まらない 」 は
同義ではない。
ニブチンな私は感じていないだけで、体は悲鳴を上げていた。
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残業続きだった2年前の冬、休みの日にふと見ると
家のフローリングに髪の毛が落ちていた。
掃除をしても、また落ちている。
今年は抜け毛が多いなぁ~、としか思っていなかった。
美容院に行った。
担当の美容師さんがすまなそうに言う。
「 驚かないで聞いてね。 」
何事かと思えば、そう、私の後頭部にぽっかりハゲが
できているのだという。
事実確認のため、鏡で見せてもらう。
円形脱毛症、その名のとおり、綺麗に円形だった。
「 髪の毛が長いから、外見上はわからないから大丈夫。 」
そう美容師さんは言ってくれた。
私も最初は見えないし、と思い、深刻に考えていなかったのだが、
日に日にハゲは増殖し、いつしか直系5センチほどになった。
絶壁頭の崖下の部分が砂漠化してしまったのだ。
見事なまでにツルツル。じょりじょりではなく、本当ツルツル。
今まで髪で保護されていただけあって皮膚もやわらかくて
気持ちいい ♪
しかし。
気を許して電車で眠りこけてしまうと、間違いなく髪の毛が下がり
ハゲは出現してしまう。
とうとう遠慮なく広がるハゲに危機感を感じ、私は皮膚科へ行った。
ストレス性のものなので、薬どうこうでは治りにくいらしいが、
とりあえずショック療法ということで、液体窒素をハゲにぬる。
痛いくらいに冷たい刺激。
―1ヵ月後。
治療の成果あってか、ちろちろと細くて薄い毛が生え出した。
でも、一進一退の状況。まだまだ電車で居眠りはできない。
2ヶ月たっても状況は変わらなかった。
髪のある部分をラフとするなら、患部は、綺麗に刈り込まれた
グリーンのよう。
―春。私は仕事を辞めた。
不思議なことに、陽炎のような薄い毛はみるみる濃くなり、
桜が咲く頃には砂漠は消えてなくなっていた。
現在。私の頭にツルなない。
でも、抜け毛が多いと、フト思い出す2年前の冬。
相変わらず、頭でストレスを感じていないが、また体が
ストレス信号をださないよう、以前よりは体を労わってあげてる、
つもり。
人間、心と体のバランスが大事、と身をもって理解した。
そんな冬の思ひ出。


