煙の外ではモモがガスのバルブを閉めに行ったアオイの帰りを待っています。
「アオイちゃん遅いよ。
絶対迷子になってるよ迎えに行ってあげなきゃ‼︎ 通信も繋がらないし 変だよ‼︎」
モモが煙に飛び込もうとすると消防士に止められます。
今はとにかく被害が広がらないようにみんな必死なのです。
「もう 迎えに行ってあげないと絶対アオイちゃん帰って来れないよ‼︎
アオイちゃん強がりだから絶対自分からは迎えに来てなんて言えない子なんだから。」
「アオイちゃ〜〜ん私はここだよ〜〜早く戻って来て〜〜」
モモは力いっぱい叫びました。
消防車の周りはまだモウモウとガスが立ち上がり何も見えません。
その中でバチッバチッと時折火花が見えます。
アオイの身体からの火花がまるで線香花火の様にか細くはじけています。
「アオイちゃん アオイちゃん…」
何か煙の中に声が聞こえます。
「アオイちゃん起きて アオイちゃん」
子供の声のようです。
なんでこんな危険な煙の中で
壊れてしまったアオイの耳に聞こえて来ます。
「女の子の声が聞こえます。
一体どういうことでしょうか?」
「アオイちゃん気がついた?
よかった〜〜私あゆみ、さっき一緒に写真撮ったよね〜」
あゆみが心配そうにアオイの顔を見つめています。
「女の子がなんでこんな所に…?
あゆみちゃんですか?」
「消防車が急に突っ込んで来て怖いからずっとしゃがんでたの。
目を開けても煙で見えないし何か光ってるのが見えたから近づいたらアオイちゃんがいたの」
「そうですか。とにかくなんとかしなくては」
混乱しながらアオイは立ち上がろうとします。
「アオイちゃん立っちゃダメ‼︎
ガスをまた吸っちゃうよ」
地面の低い方にはガスがないんだ。
だから私助かったの。」
「そうですかこのガスは空気よりも軽い…
だから下の方にはガスがないわけですね」
とりあえずアオイは上体を起こし現状を分析します。
「両腕はなくなってしまいましたがまだ身体は動くようです。」
あゆみも心配そうにアオイを見ています。
「アオイちゃんかわいそう。手が取れちゃって痛いでしょ?」
「大丈夫です。私には痛みを感じる機能はありません。
それよりもあゆみちゃんの安全が第一です。
あゆみちゃんお願いがあります。」
「なぁに?」
「私の両脇の小さいボタンを押してください。」
アオイに言われた通りにあゆみはボタンを押します。
「これで私の胸アーマーのロックが外れました。あゆみちゃん私の胸を外してもらえますか?」
言われた通りあゆみはアオイの胸を外します。
「ありがとうございます。
あゆみちゃん。助けが来るまでそこで私の胸アーマーを頭にかぶって待っていてください」
「そんなアオイちゃん。
胸の機械も丸見えだしどうするの?」
「私は消防車のバルブを回してガスの発生を止めて来ます。」
「アオイちゃん両手ないのに無理だよ」
「大丈夫です。とにかく待っていてください」
ゆっくりとアオイは消防車の方に這って行きます。
再び煙の中、アオイは見えなくなってしまいました。
永遠のメイドールズその③につづく