KazunorI、おもしろ?政治ブログ

政治や歴史について、感じたことを日記にしています。
時事ネタを中心に書いています。


テーマ:
長文で申し訳ないです。
捕鯨について書いてみました。
よろしければ御一読下さい。

           ~ 地球で一番大きな動物 ~

1.反捕鯨のはじまり
1972年6月、その年の11月に再選挙を控えていたニクソン大統領は、窮地に立たされていた。
当時アメリカは、ベトナム戦争において強力な除草剤(枯れ葉剤)を散布し、その成分であるダイオキシンの影響で、森林を破壊するだけでなく、ベトナムで大量の奇形児が生まれていた。
それは、ベトナム戦争反対をとなえる大統領選挙の対抗馬にとって、格好のエジキとなり攻め立てられていた。
また同年6月、ストックホルムでは、第一回国連人間環境会議が開催される予定となっており、開催国であるスウェーデンの首相は、この枯れ葉剤による影響の問題を環境会議で取り上げると予告していた。

皆さん、菅直人氏が当時首相だった鳩山由紀夫氏に贈ったアドバイスを御存知でしょうか?
「厳しい局面に立たされた時、別の大きなテーマを示せば、そちらに国民の目が向いて局面を打開できるんだ」というものです。
普天間移設問題で危機に陥っているときにも「消費税増税を言え」と働きかけたとのこと。

これと同じことが、1972年6月にも行われた。
6月8日、ストックホルムで開かれた第一回国連人間環境会議第2委員会。
この日は、アメリカが提案した「商業捕鯨の10年間禁止」について審議される予定だった。定刻になったため日本代表団が会場に入ったが、誰も会場には来ていなかった。事務局に聞くと、翌日に延期されたとのこと。延期について日本にだけ知らされていなかった。
会議を1日遅らせたのは、アメリカによる根回しのための時間稼ぎが理由である。その日、キッシンジャー首相補佐官は参加各国の外相に直接電話し、アメリカ案への支持を要請、反対する国には欠席を強要した。
日本も、アメリカ案に対抗する案を準備していた。それは、「危機に瀕した種類のクジラだけを10年間商業捕鯨の対象にしない」というものだった。
日本案に賛成する国は、捕鯨国だけではなく、アジア・アフリカを中心に参加112カ国中、60カ国あり、日本は過半数での採択を読んでいた。
翌日開かれた委員会では、欠席が44カ国という異常な状況の中、アメリカ案に対して賛成53、反対3、棄権12という、日本にとって驚くべき結果だった。
そもそも、「人間環境会議」という場で、なぜクジラが議題に上がるのか?
これが多くの参加国の反応だった。

突如噴出した「クジラ問題」は、アメリカにとって都合の悪い問題に対し、別の大きなテーマを示し、そちらに関心を移し局面を打開することが目的だった。
つまり、ニクソン大統領の選挙対策だった。

これにより、19世紀には捕鯨大国として太平洋のクジラを激減させ、それまで一度も捕鯨について提案したことなどなかったアメリカは、この時から反捕鯨陣営のリーダーに変身したのである。


2.IWC(国際捕鯨委員会)
1946年に国際捕鯨取締条約に基づき設立された国際機関で、日本は1951年に加盟した。
本条約及び委員会は、クジラ資源の乱獲を防止する目的で、保護する種類や捕鯨の時期・方法・捕獲量などを科学的な知見に基づき定める機関。

前述した国連人間環境会議で可決された「商業捕鯨の10年間禁止」は、国際捕鯨取締条約に基づき、その翌週に行われたIWC年次会議の委員会にかけられた。
「アメリカ案には科学的根拠もなく、また、商業捕鯨を中止する必要もない」
これが委員会の結論だった。
委員会には、クジラに関する世界的権威が集まり、今まで集積した科学的データによる必要な規制を行っているので、その結論は至極妥当なものであった。
その後しばらく、IWCの科学委員会では議題にすら挙がらなかった。


3.アメリカの反撃
IWC参加国の変遷は以下のような流れになっている。
設立当初から1970年代半ばまでは、捕鯨国を中心に15カ国程度が参加。
その後、加盟国が急激に増加し、1980年代には40カ国程度が参加。
1981年にはカナダ、1992年にはアイスランドが脱退した。この2カ国は捕鯨を実施している国だが脱退した。
2000年代から加盟国が相次ぎ、現在84カ国が加盟している。
実際に捕鯨している国の数に大きな変動はないのにも関わらず、参加国数に変動が生じているのには理由がある。
1970年代半ばから80年代にかけて参加国が急増したのは、前述した委員会で自国の主張が採択されないアメリカやグリーンピースなどの環境保護団体が加盟させた国々である。
これらの中には、セントルシア、セントビンセント、ベリーズ、アンティグアバブーダなど、普通の日本人には聞いたこともない国々が含まれていた。
いずれもカリブ海に浮かぶ小さな島国でイギリス連邦に属している。イギリス本国から加盟を要請され、分担金などの経費はグリーンピースが立て替え、さらに代表もアメリカ人などが務める。多数派工作のための完全な傀儡メンバーである。
カナダやアイスランドといった捕鯨国の脱退は、その意向を踏まえたものであった。
この多数派工作が進展した1982年のIWC年次会議では、いよいよ商業捕鯨の10年間中止が可決された。
その直前、日本代表が発言を求め、科学委員会が過去一度も商業捕鯨の中止を勧告したこともないのに、本会議で急きょ裁決を採ることは、捕鯨条約に違反する、と主張した。しかし、その発言に対する実質的な反論は無いまま裁決に入り、賛成多数で採択された。

この決定に対し、日本政府はただちに異議申し立てを行った。この権利は捕鯨条約第5条で保証されており、異議申し立てをした国は、IWCの決定に拘束されない。そもそも採択自体が捕鯨条約を踏みにじったものであるから、この異議申し立ては正当である。
これに対しアメリカは、異議申し立ての撤回を要求してきた。
「撤回しなければ、アメリカ200海里における漁獲量割当てを削減する」と脅してきたのである。当時アメリカ200海里における日本の漁獲高は約1300億円であり、クジラの110億円の10倍以上であった。
2年以上の協議の末、日本は異議の撤回を表明し、1987末までに、すべての商業捕鯨を停止した。


4.日本の反撃
商業捕鯨の停止に追い込まれた日本だったが、同年(1987年)のIWC年次大会で、捕鯨技術の維持と科学的データの収集を目的とした「調査捕鯨の計画」を発表した。調査捕鯨については、捕鯨条約で「捕鯨業の健全で建設的な運営に不可欠」とされており、「この条約のいかなる規定にも拘らず」、条約締結国は調査捕鯨ができるとされている。
ところが年次大会では、日本の計画に対して「中止勧告」を採択された。
前述したように、調査捕鯨は多数決の採択に強制されない。
そのため、日本代表団の首席代表:斉藤達男氏は毅然たる発言をした。
「調査捕鯨に対する中止勧告は、捕鯨条約の否定であり、科学の否定である。IWCは締結国の主権を侵害する決議をした。調査を行うかどうかの判断は、条約第8条に基づいて日本自身が決めることである」
その後の日本の調査捕鯨は、貴重なデータを提供してIWC科学委員会から高く評価された。特に南氷洋のミンククジラは76万頭も存在し、その異常な繁殖が、真に保護すべきシロナガスクジラの増加の阻害要因になっていることも明らかになった。

前号で紹介したように、反捕鯨国側は科学的根拠と国際条約を無視し続けている。
このような姿勢に対して、国際世論は徐々に批判的になった。
1999年の総会では、かつて反捕鯨陣営に要請されてIWCに加盟したセントルシアなどのカリブ6カ国が、反旗を翻して日本支持にまわった。捕鯨国でもないのに、IWC加盟費用を支払い、自前の代表団を派遣して、「どうみても日本の主張が正しい」と主張した。その際、アメリカの環境保護団体からの「観光客を差し止める」という脅しがあったが、それにも屈しなかった。
1998年の総会では、反捕鯨国における捕鯨に関する世論調査結果が紹介された。アメリカ国民の71%が、「IWCがきちんと管理する限り、ミンククジラの食用のための捕獲を支持する」と答えている。 


5.原理原則
1998年のIWC総会財務委員会でのこと。この委員会は、政府代表団のみが出席できる委員会であり、NGOには非公開と定められていた。
しかし、アメリカ代表団にはNGOのバッジをつけたメンバーがいた。そのため、日本代表団は「なぜこのような重要な財務問題を話し合う場に、ルールに反してまで関係のないNGOが出席しているのか」と詰問した。
NGOが出席可能な他の委員会では、会議終了後に待ち構えていたマスコミに「議論の紹介」として、勝手なことを吹聴している。例えば「日本の捕鯨は条約違反」「鯨肉をたくさんとってきて高級レストランに売っています」など。日頃から日本代表団はこれに腹立たしい思いを抱いてきた。
なぜなら、メディアで流される情報は、この部分だからである。
日本の詰問に対して、アメリカ代表団は「この問題は、NGOが特別に関心があるから入れた」と答えた。明らかなルール違反である。
さらに日本は、「そもそも間違いだが、もし入れるのなら、なぜ会議の前に代表団の一員として登録するなどの措置をとらなかったのか」と詰め寄った。
これに対しアメリカは、「彼らはコーヒーを入れたり書類を配布するサポートスタッフだから気にするな」と言ってきた。
しかし彼らは、そんな仕事は一切せず、終始座って話を聞いている。
事務局にどうなっているのかと問い詰めても、「問題ない」としれっと答えるだけ。
日本は席を立った。
捨てゼリフはこうである。
「その場その場のごまかしもいい加減にしてもらいたい、こんな規則すら守れない会議などやってられるか」
すると、捕鯨国のソロモン諸島やカリブ海諸国も、事務局の対応に憤慨して議場を後にした。
翌日、アメリカ側からの謝罪があった。
そこで日本は「どうせなら限られたNGOだけではなく、メディアを会議場に入れて、議論の透明性を高めてはどうか」との提案をした。
この提案に対し、「テレビカメラのケーブルに足を引っ掛けたら危ないじゃないか」などと、理由にもならない反対意見が出たが、当然説得力を欠くものであり、2000年からテレビカメラを議場に入れることになった。
原理原則に照らして、自らが正しいと思うことを敢然と主張する。この姿勢が実を結んだ一つの事例である。


6.地球で一番大きな動物
2050年には、世界の人口は100億人に達すると言われている。その人口を養うには、動物性タンパク質が絶対的に不足する。
1キロの畜肉を得るために必要な飼料用穀物と水を下に示す。

種類 飼料用穀物   水
牛肉   25.2kg    20.7t
豚肉    4.8kg     5.9t
鶏肉    3.9kg     4.5t
(東京大学:沖大幹教授による試算)

これらに必要な穀物は、世界で生産されている量の約半分を占めている。つまり、70億の人間が食べている量と同じ量を牛・豚・鳥といった家畜が食べているということである。また、それらが出す排泄物は地球環境に深刻な影響を及ぼしている。
さらに、21世紀は「人間が生きるために水を奪い合う世紀になる」と言われている中で、このように大量の水を家畜に与えているという現実がある。
「地球で一番大きな動物:クジラ」を中心とした海洋資源に頼らざるを得ないのは明らかであり、地球と仲良く共存するための調査捕鯨の重要性は高まるばかりである。
今後、日本は「捕鯨の目的は、利益追求ではなく、人類と地球の未来のためだ」と、強く打ち出していくべきである。


7.願い
クジラ戦争が始まって間もなく40年が経過する。
今から10年後、日米に対する国際的評価はどうなっているだろうか。
アメリカが選挙対策などの政治目的のために、科学的根拠や国際条約を踏みにじり、食料危機と真の生物保護から目をそらせて、捕鯨禁止に躍起になったのは、国際的リーダーとしてあるまじき行為だと、非難を浴びていることも考えられる。
逆に日本は、科学的データに基づいた不断の努力を通じ、国際世論を人類全体の未来のため、正しい方向に導いたとして評価されている。そんな国際世論になっているのではないか。
クジラ問題が、我が国が国際的リーダーシップを発揮して成功した事例のひとつになっていることを切に願う。

追記:反捕鯨国のアメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・フランスなどは、牛肉輸出国である。



応援よろしくお願いします!

 ↓  ↓  ↓
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村



人指し指で、もう一回 m_ _m

 ↓  ↓  ↓


人気ブログランキングへ



KazunorIのブログ-震災復興祈念

Amebaおすすめキーワード