第83話・・・潜入(1)
テーマ:■第四章・・・必要と大切の境界線
認めてしまえば、墜ちていくのは容易かった。
もっと知りたい。
もっと独占したい。
今まで押し殺していた反動からか、抑えきれない欲求が次から次へと溢れ出してくる様だった。
「どこ行きたい?」
いつもと変わらず宮崎が笑顔を向けて聞いてくる。
少し肌寒く通り過ぎる風が、紅く染まった頬を撫でる。
「うんと~・・・」
間をあけて悩むフリをしながら・・・でも、ホントはずっと行ってみたかったトコがあるんだ。
「宮崎の大学っ!!」
「はっ!??」
ギョッと目を丸めた宮崎を見上げながら、アヤは勢い良く言葉を並べた。
「だってあたし、大学行ったコト無いし・・・。一生に一度でイイから行ってみたいんだよね!」
「まあ、アヤは確かに実年齢より若く見えるし、居てもバレないだろうけど・・・」
頭を抱える宮崎。
あたしの為に悩んでくれてる優越感。
ちょっと歪んでる?
でも、もっと困らせてやりたくなる。
と言うよりも・・・
あたしの知らない宮崎を見てみたい。
どんな場所で、どんな人達と関わってて、どんなコトに興味があるのか。
その想いが、ちょっとした冒険心を駆り立てる。
「ん~・・・、じゃあ、月曜はバレなさそうな先生が居るから・・・」
「やぁったぁ♪」
「でも、絶対に手ェなんか挙げるなよ!」
「わかってますって♪」
半ば疑いの眼差しを向けられているのもお構いなし。
だって、直ぐに愛おしい…優しい瞳に変わるんだもん。
「なぁに着ていこっかなぁ~っ♪」
アヤは、遠足前の子供の様に、はしゃぐのを抑えず時間を楽しんだ。
”5歳年下の世界”
逸(はや)る心の奥底に、ほんの少し。
”年上”だっていう焦りを認識しながら、アヤはそれを誤魔化すように宮崎の腕にギュッとしがみついた。
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