2011-01-13 15:00:00

成果を生み出す人のマインドセット - 書評 - プロヴォカティブ・シンキング ―面白がる思考

テーマ:仕事術

「今年は我が社も創立50周年だ。そこで、会社として行う公式な行事として記念イベントをしたいと思うのだが、君には企画および実行のプロジェクトチームに加わってもらいたい。来週月曜日にプロジェクトチームの初顔合わせをして発足することになっているから、よろしく頼むよ。」

ある日、経営陣からこんなお声がかかったとしたらどうでしょう?
会社は業務用の食品メーカーであり、声をかけられたのは、いずれも優秀な平均年齢30代半ばのメンバー4人のようです。
あなたなら何をどう考えるでしょうか?

本書は、戦略コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーでディレクターを務める山梨さんが、コンサルタントとして、プロフェッショナルとして活躍するために必要な思考法を伝えてくれています。
特に、リーダーとして活躍したいと思っている若手から中堅のビジネスパーソンなら、読んでおきたい一冊ですよ!


本書では、このように最初に「できる」と発想し、それからそれを可能にする方法を探る思考法を紹介したい。私はこの思考法を「プロヴォカティブ・シンキング」(広がる思考法)と呼んでいる。(p.4)

タイトルにもなっている「プロヴォカティブ・シンキング」という言葉は、僕は初めて聞きました。
一般的にどの程度知られている言葉なのか分かりませんが(とりあえずググった感じでは、あまり一般的ではないようですが)、もともとのprovocativeという英語には「攻撃的、扇情的、挑発的」という意味があるようです。
そこから、「可能性を信じ、可能性を広げる」という意味で捉えているそうですが、マッキンゼーでは普通に使っていると書かれているので、マッキンゼー用語なのかもしれません。

しかし、このように定義づけられると、突飛な考え方ではないことは直感的に分かります。
「できない」「無理」というところからスタートする人と一緒に働くと感じるところですが、一つひとつの物事を進めていくだけでもとても疲れるものです。
自分も以前はそうだったような……という気がしないでもないですが(汗)、今は、どうすればできるだろうか、から入らないとそもそも成果を生み出せないと明確に思っていますので、この考え方には全く違和感がありません。


さて、この「プロヴォカティブ・シンキング」という言葉について腹に落ちたところで、冒頭の質問に戻りましょう。
本書では、あのような状況において、何を考え、どのように行動するのかという軸で、次のような4つのタイプを置いています。

思いつき君:
いきなり個別の具体的なアイデアを湯水のごとく出してくるタイプ。アイデアマンとして評価されていることも。但し、論理構成が弱く、再現性が低い。
堅実君:
手堅く堅実に考え、実行に移す人。「仕事ができる」として評価されていることが多く、事務処理能力や責任感の高さが特徴。但し、アイデアは平凡になりがちであり、面白さや周囲の高揚感も生まれにくい。
ヒトマネ君:
誰かのアイデアやどこかの成功事例を拝借する傾向にある。表面的な模倣にとどまると、本質がわからないままになりがち。
面白がる君:
なんでも面白がって考えるのが特徴。ブレークスルーや変革を生み出す可能性が高く、周囲にもワクワク感が伝わりやすい。

さすがに冒頭の状況で「できない」とか「無理」という発想から入る人はいなかっただろうと思いますが、どうだったでしょうか。
(それぞれのタイプが具体的にどのような行動をとったのかは、上の概略からでも想像がつくかもいしれませんが、是非本書に当たってみてください。)
書き振りやタイトルから分かると思いますが、本書で推奨しているのは「面白がる君」タイプです。

とはいえ、全員が全員「面白がる君」になる必要もないという点に、若干の注意が必要です。
先行きの見えにくい時代に、突破口を生み出すという意味で「面白がる君」タイプが求められているのは間違いありません。
しかし、中には「堅実君」タイプのような人もいた方が、全体としてはバランスよくプロジェクトが遂行できるということもあるでしょう。
それはそれで一つの役割ですから、そういうタイプを否定することを本書は意図していませんので、その点はくれぐれも誤解しないでくださいね。

ここまで読んできた読者が「自分は<堅実君>そのものだな」と思っても、<面白がる君>に近づくことはできる。私自身、前職では<堅実君>として機能していたようだ。(p.51)

かくいう僕も、それぞれのタイプの行動を読んでいると、自分の中には「堅実君」の要素が結構あると感じています。
個人的には、数年前までは、明らかにその部分で評価されている面がありましたし、今でもゼロではなさそうです。
しかし、求められている成果が徐々に「新しいものを生み出す」という点に移行してきている以上、もっとプロヴォカティブ・シンキングで「面白がる君」タイプに移行しなければいけないと思わされます。

こうした「新しいものを生み出す」ということを考えるとき、どうしても発想力とかアイデア、ひらめきといったことを重視しがちです。
もちろん、それらは重要だとは思いますが、プロヴォカティブ・シンキングという思考法は、そうしたひらめき系の発想力とは別物です。

まったくのゼロからアイデアを出すことができる本当にクリエイティブな人というのは一握りしかいない。ということは、自分がそうかもしれないと期待するより、そうではないといところからスタートしたほうがいい。(p.83)

「できる」とは思わないところに極意があるのですね(笑)
では、どこで「できる」と思うかといえば、その次の段階です。

プロヴォカティブ・シンキングは具体的なアイデアを芸術的なひらめきにより得るのとは違い、論理的な手順を踏んで思考を進めていくものである。この際に、可能性を信じて「できる」という気持ちからスタートしないと、発想を広げるステップは進んで行かない。(p.104)

ここが、非常にコンサルタント的な思考法だと思います。
再現性の高い、論理的な手順を踏んでいくというところがポイントなのです。
そのために、山ほど類書も出ている「フレームワーク」などを駆使していくわけです。

つまり、プロヴォカティブ・シンキングというのは、成果を生み出すための方法論というよりも、マインドセットなのです。
その際に大切な3つの点は、是非頭に刻み付けておきたいところです。

・可能性を信じる
・好奇心を持つ
・収集したひとつひとつの情報からたくさんの多様なメッセージを読み取ろうと楽しむ



本書には、プロヴォカティブ・シンキングを鍛えるための5つの訓練方法が紹介されていますし、巻末には10題の演習問題も掲載されています。
自分がこれまでのキャリアの中などで築き上げてきた思考の癖であったり、マインドセットというものを変えていくのは容易なことではありません。
しかし、自分さえ強く意識すれば、山梨さんと同じように「堅実君」タイプから「面白がる君」タイプに変わることもできるのです。

次代を担うリーダーとして活躍するのであれば、ぜひ身につけておきたいマインドセットです。
プロヴォカティブ・シンキングという考え方に初めて触れた人、「できない」「無理」とついつい言ってしまう人、なんか平凡なことしかできないんだよな…と悩んでいる人は、ぜひ読んでみて下さい。


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■ 基礎データ

著者: 山梨広一
出版社: 東洋経済新報社 2010年12月
ページ数: 238頁
紹介文: 「これは無理だ。なぜなら…」という発想と、「たぶん、できるはずだ。そのためには…」という発想は、結果的に天と地ほどの違いを生み出す。プロヴォカティブ・シンキングとは、何でも面白がって可能性を否定することなく考える思考法なのである。

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コメント

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2 ■Re:僕は生まれながらの「面白がる君」みたい。

>熱血ブロガー沼田裕@恋愛まにあさん

良き参謀役がいれば、面白がる君がリーダーになるのもアリかなあなんて個人的には思っています。
メンバーの苦労は陽の目を見るより明らかですが(汗)結果が突き抜ける可能性があるのは、そんなチームでしょうね。

シンクロニシティの起きる記事が書けてよかったです!

1 ■僕は生まれながらの「面白がる君」みたい。

ちなみに、ひとつのグループにふたり以上の面白がる君がいると、グループは崩壊する。

10人のグループに1人の面白がる君くらいがいいかも。

そして、絶対面白がる君をリーダーにしてはいけない。

ろくなことはない。

経験上、それを知っているんだよね。

ちょうど、今、ブログで自分の面白がる君を全開にして展開していたら、
すっごく分かりやすい記事に出会ってしまった。

シンクロニティってやつだね。

うふふ。

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