2010-11-18 15:00:00

内定が欲しければ最低限これくらいはやっておこう - 書評 - 内定をもらえる人の会社研究術

テーマ:その他教養

2010年11月16日のニュースによると、大学卒業予定者の10月末時点における内定取得率が過去最低を記録したそうです。
※ 参考: 大学生の就職内定率、1996年度以降で最悪57.6%に(日経電子版 2010/11/16)
数字ほどには状況が悪いわけではなく、企業側と学生側との間でのミスマッチが広がっているだけなのではないかとも思いますが、4割以上の卒業予定者が内定を得られていないというのでは、ますます学生さんやその親御さんが焦ってしまうんでしょうね。
そんな時代背景を捉えて、最近では就活大学生の親御さん向けセミナー、就職カウンセラーとの三者面談までも登場しているそうです。
強烈な危機感は察するにあまりありますが、まるで中学受験の延長みたいに感じられて、個人的には引いてしまいましたが。

僕自身は、社会人になったのが1998年4月ですから、就職活動をしていたのは1997年の春頃です。
当時は、山一證券の破綻や日債銀・長銀の行き詰まりなどに見られたように金融危機が深刻化し、一般的には就職氷河期といわれていたようですが、それでも現在の学生さんの焦り様からすれば遥かに楽観的な空気だったように思います。
インターネットでのエントリーを受け付けている会社もほとんどなくて、携帯電話も持っている学生の方が圧倒的に少ないような頃でした。
内定を告げる連絡(電話)を受け取れなかったら内定を取り消される、という都市伝説がまことしやかに伝えられ、連絡が来そうなXデーには家の電話に張り付いて待っていた…なんて経験も、もはや隔世の感があります。

その後、立場はいろいろと変わりつつも、採用する側として学生さんに接してきましたが、ここ数年は採用活動をしていない会社に身を置いていますので、本当に厳しい状況や学生さんの声を直に聞く機会というのもありません。
そんな僕なので若干認識が古いのかもしれませんが、内定が取れない学生さんを総じて言えば「甘い」です。

これは今の学生さんだけに言えることではなくて、いつの時代も、もちろん僕の時もそうでしたし、むしろ、今の学生さんの方がより多くの情報を持ち、一生懸命に取り組んでいるくらいでしょう。
それでも、やりたいこと探しや自己PR磨きに一生懸命になるのは重要ですが、根本的な部分が間違っているなあという感を否めません。
では、いったい何が大切なのでしょうか。

採用担当者の本音: 「今の学生は僕たちのころよりも優秀だと思うけど、会社のことをしっかり調べて、自分が何をしたいのかをきちんと話せる学生はすごく少ないですね」「うちの会社を受けにくるのに、うちの会社の商品をきちんと調べないなんて、おかしいですよね」。(p.22)

こうした就職側の面接官の声は真摯に受け止めるべきです。
学生さんも今では100をも超える数の会社を受験する人も珍しくないそうですが(それも異常だと僕は思いますけど)、それだけ受けていると、まともに一社一社のことなど調べられないでしょう。
そして、そういう人に限って内定が取れてないのではないでしょうか。
僕が採用した人たちに話を聞いてみると、そんなとんでもない数の会社を受けている人など一人もいませんでした。

焦る気持ちは分からなくもないですが、自分のことだけ見ていて、手当たり次第に相手に当たっても成就するはずない(確率が低い)と思います。
相手のこともきちんと調べる、相手に刺さるように自分を伝える(相手によって伝え方も伝える内容も当然変えるべきです)といった基本のキくらいは抑えましょう。

とはいえ、今だって少なくとも会社のサイトくらいは見ているし、これ以上どう調べたらいいのか、と思われる方も少なくないでしょう。
本書は、そんな就活生のために「内定につなげる会社研究のポイント」を教えてくれます。
ここでは、厳しい状況の中で希望の会社に内定を勝ち取りたいのなら、最低限これくらいはやっておきたいよね…という点をまとめてみました。
(僕自身も当時はそこまでやっていなかったという点はありますが…汗)

Point1 具体的な行動で熱意を伝える
企業研究をするのに、ホームページだけで十分でしょうか。また、商品企画をしたいのであれば、最低限1つくらいアイデアを持っていてしかるべきだと思いますし、マーケティングをしたいのであれば、明治製菓と他社の商品の食べ比べをしたり、販売店の棚チェックをしたりするんじゃないかと思います。つまり、本当に深く企業について考えたとき、それは結果として何らかの行動、何らかのアプローチとなって出てくるのが自然だと思うのです。(p.23)
これは明治製菓の人事室長さんが語られている内容ですが、新卒採用だけではなく中途採用でも言えることですね。
真剣に入りたい会社のことを考えていたら、日常的なニュースや店舗の商品、雑誌の広告などでも、その企業に関係することに注意が向いてしまうはずだと思いますし(「カラーバス効果」ですね)。
大切なのはその成果のレベルではなく、どれだけの真剣さをもってその会社を考えているか、ということが伝わることです。
マニュアル本を基にした面接の受け答えなんて、採用担当者はすぐに見抜きますし、はっきりいって頭にすら残らないので、そういう学生さんが選考に残るなんてことを期待するのが「甘い」のです。

僕の知人には、新卒時ではありませんが、とある中小企業のホームページを見ていて「なぜこういうビジネスモデルで事業の展開をしないのか(自分ならこうやる)」という疑問と具体策をメールで社長に直接送りつけ、何と希望してもいないのに入社のお誘いを受けてしまった人がいます。
会社側は、自社の価値をあげてくれる人、その為に真剣に頑張ろうと思ってくれている人の声には、真摯に耳を傾けるものだと思います。

Point2 業界を絞って準備する
ある大学関係者が「最近の学生は有名企業ばかり受ける傾向があるんですよね。もっと身の丈にあった企業を受ければ内定をもらえるのに」と言っていました。私はその話を聞きながら、たぶん多くの学生は身の丈を知らないというよりは、会社研究が足りなくて有名企業しかイメージできないのだろうと思いました。(p.43)
先に書いたこととも共通しますが、きちんとした調査をして臨もうと思ったら、そもそも無闇やたらと手を広げられないはずです。
有名企業ばかり業界をまたいで受けていては、どこに行っても研究が中途半端になるに決まっています。
対象を絞って深く研究すれば、実は有名ではないけれど素晴らしい会社などの情報にも行き当たるかもしれません。

最近は再び安定志向になって大企業人気が高まっているようですが、JALなどの例を引き合いに出すまでもなく、大企業=安定という図式は成り立ちません。
中堅・中小企業でも素晴らしい会社はたくさん存在するということを知ってほしいと思います。

Point3 企業の情報を効果的にPRに結びつける
多くの就活生は「会社説明会」「会社案内のパンフレット」「企業の採用ページ」などを使って会社研究していますが、会社研究のポイントを掴んでいないため、入手した情報をうまく自己PRに生かすことができません。(p.64)
いまどき、会社が公表している情報の入手方法がわからない、というのではお話になりませんが、せっかく入手した情報もポイントが分からなければ宝の持ち腐れです。
どのようなところにポイントを絞って会社研究をすればいいのか…は本書に譲りますが、個人的には「企業理念」と「実際の事業活動・経営戦略」を重視すべきだと思います。
会社を好きになれるか否かは、実際には入社してみないと分からないことではありますが、少なくとも掲げている理念にすら賛同できないようでは、あまりお薦めとは思えません。
逆に、理念に賛同できるのであれば、あとは自己PRとどう結び付けていくのか…ということに腐心することになるでしょう。


要は自分の中に、会社に対する熱意を醸成し、それを戦略的に伝えるために相手の研究を行なうということです。
もちろん、それをすれば100%内定がもらえるかといえばそんなことはありません。
しかし、何の戦略ももたずに、マニュアル本だけを頼りにして紋切り型の自己PRで多くの門を叩くよりも、遥かに効率的でかつ望ましい結果をもたらす活動ができるのではないでしょうか。
また、その過程で色々と深く考えることによって、マニュアル本だけでは乗り切れない面接官の突っ込みなどにも対応できる幅が自然と身につくはずです。

本書では、実際に人気の7業種14企業について会社研究を行なってみせていますので、情報公開の進んでいる大企業を考えられている方には、参考になるでしょう。
就職活動に不安を抱えている学生の方、またそうした方が周りにいる方には、ぜひ本書で会社研究のポイントを知っていただき、役立てて欲しいと思います。

追伸:
ちなみに、就活に悩んでいる学生の方々には身も蓋もないような話に聞こえるかもしれませんが、『そこまで言うか!』の中で、ひろゆきとホリエモンが語っている就活の話も読んでおいた方がよいと思いますよ。

※ 本書は著者の望月実さんより献本いただきました。厚く御礼申し上げます。

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■ 関連リンク

著者サイト: アカウンティング・インテリジェンス


■ 基礎データ

著者: 望月実、花房幸範
出版社: 阪急コミュニケーションズ 2010年11月
ページ数: 292頁
紹介文:
面接官の不満No.1は「うちの会社のこと、知らない(調べてない)んだよね」
人気企業からいくつも内定をもらっている人は、受験する企業のことをよく調べて、その企業にふさわしい自己PRと志望動機を作り上げています。多くの学生は、自己分析は一生懸命やっても会社研究はおろそかなので、この部分で差がつくのです。
本書では、7業界の人気企業の分析をとおして「自己PR」と「志望動機」を強化し、確実に「内定キャラ」が身につく会社研究の方法を公開します。

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■ 望月実さんの他の書籍に関する書評記事

■書評■ 学生のうちに知っておきたい会計 (2010年4月15日)
■書評■ 「数字」は語る 3分で読み解く決算書入門 (2010年2月23日)

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