「鹿田尚樹」になるための3つのポイント - 書評 - 10分間リーディング | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

「鹿田尚樹」になるための3つのポイント - 書評 - 10分間リーディング


弱小ブログながらも「ブログで書評書いてます」なんて自分で言ったりしていますと、「沢山読むんですか?」とか「速く読めるんですね」とか言われることがあります。
僕自身は速読法など身につけてなどいませんが、確かに一般的な基準で言えば多くの本を読んでいるので(最近は月に1冊も読まない人も少なくないそうですし)、よく言われるような「知っていることを飛ばして読めば速く読める」ということは体感しています。
※ 参考: 【書評】空気を読むな、本を読め。 (2009年10月28日)

本書は、人気書評ブロガーとして名高い鹿田尚樹さんの本領が存分に発揮された一冊です。
僕のような弱小書評ブロガーでさえ聞かれるような質問なのですから、人気書評ブロガーの方法論など皆さん聞きたくてうずうずしているに違いありません。
僕だって人気書評ブロガーになりたくないわけじゃないのですから、今よりももっと読まれる書評ブログになるべく鹿田さんの秘訣を学ばせていただこうじゃないかと。
結構、下心と言うか、これだけストレートに自分の欲望をぶつけて読む本というのも久しぶりかもしれません(笑)

書くが価値: 読んだら書くことが、10分間リーディングの効果を最大限まで引き上げてくれます。
 「書を読む」読書(Reading1.0)から、「読んで書く」読書(Reading2.0)に。そして「書いたものを共有する」読書(Reading3.0)へと、あなたの読書も進化していくことと思います。(p.26)

「読書」というと、文字通り「本を読む」ことと捉えてしまいますが、鹿田さんは「書くことも読むことと同じくらい重要だ」と説きます。
特に、読書から得られたものを自分の血肉・知識にしていこうと思えば、この点は重要です。
思えば僕は、鹿田さんの前著『大事なことはすべて記録しなさい』を読んでから読書ノートをつけるようになったのですが、記憶への定着率はまったく違っています。

よくブログで書評を書いていながら、「自分のためのアプトプットだからアクセスは気にしない」という人がいますが、僕はそれは間違っている、いや自分を欺くためのストーリーだとと思います。
真に自分のためのアウトプットであれば読書ノートで十分です。
わざわざブログにアップしようなんて思うのは、何らかの形で共有しようと思うからこそです。
アクセスは多いほうが嬉しいに決まっているのです。
アクセスが多いわけではない僕は、そういう自分の中の気持ちを認識して、読まれるようになるために、を色々考えています。

話が逸れましたが(汗)、読んで書き、共有するという一連のステップを心掛けることが「読書」を飛躍させる大きなフレームワークなんですね。
では、そうしたフレームワークを意識しながら、僕が自分の欲望を満たすために拾い上げた「鹿田尚樹を目指すための3つのポイント」を紹介させていただきます。

時間を区切って集中せよ!: 「本の中にあるエッセンスを一早くつかみたい」というときに、たとえば、実用書やビジネス書、専門書などでは、原則10分と時間を制限して読むことにしています。(p.29)

本書のタイトルは「10分間リーディング」ですが、鹿田さんといえども全ての本を10分間で読めるわけではないですし、読もうとしているわけでもありません。
(小説や、物語形式のものなどはこうした読み方に適しません。)
目的を定めて、集中力を高め、文章を読むというよりも単語を拾うイメージを持つことが大切です。

本書を読んだ後で、実際に多少馴染みのある分野の一つである「コミュニケーション」に関する書籍で試してみましたが、3分の2ほど(二百数十ページ)で10分が経過してしまいました(汗)
僕は、どうしても最初から最後まで一通り文章に目を通してしまう性質なので、こうした自分自身のメンタルブロックを外すことが第一歩ですし、もっとも難しい点でもあります。
ただ、明らかに普段よりは早いテンポで読んでいますので、これはさらに修練を積んでいきます。
自分の中では「既読の本を読み返す」ということが一つの課題になっていたのですが、この課題の解決にはことさら効果が大きそうです。

ブログ記事のタイトルは読む前に決めろ!: 私が10分で本が読める一番のきっかけになったのが、これから読む本に「第2のタイトルをつける」という方法です。(p.32)
 これらのタイトルはすべて本を読む前に考えて決めています。
 これが重要です。本を読んだ後に考えているのではありません。(p.35)

これは目から鱗のメソッドです。
特にビジネス書を読む際には「目的を持って読むこと」の重要性は強調されますが、ここまでするというのは究極かもしれませんね。
上記のコミュニケーションに関する本でも、タイトルを考えて付箋に書き出し本の裏表紙に貼っておきました。
10分間では読めませんでしたが、確かに目的を明確化するのに大変効果的な方法だと思います。

もちろん、闇雲にタイトルを設定しようと思っても無理です。
その為にも「目次をしっかりと読む」「"はじめに"は本を買う前に読んでおく」ということが必要です。
これも他の本でも言われていることのはずなんですけどね。
僕にとって鹿田さんの本の魅力の一つは、今回の「第2のタイトル」もそうですが、背中を押す力が強い、やってみようと一歩を踏み出させる力をもった紹介の仕方にあると言えます。
※ ちなみに、今回の記事のタイトルには本書のメソッドを使わせていただいていますが、読了後に考えています。

ほかの人が読んでいない、高い本を読め!: 「高い本ほど、内容が濃い」といわれることがありますが、「価格が高い本ほど価値がある」といわれる理由は、中身はもちろんのこと、ずばり「ほかの人が読んでいない」ということにもあります。(p.78)

書評ブログを書いていて思うことですが、よほどエッジの利いた面白い文章を書ける才能に恵まれていないかぎり、他の人が目にしていないような情報源に触れることが差別化のためには必要です。
この点については、日垣隆さんの『知的ストレッチ入門―すいすい読める書けるアイデアが出る』でも同じ趣旨のことが書かれています。
僕も意識的にそうした本を取り入れるようにしていますが、悲しいかな、まだまだ実際にアクセスを集めて読まれている記事は、検索されることの多いベストセラーの本だったりします(汗)
しかし、この視点は間違いないポイントだと思いますし、僕の中には、「おお、こんな本紹介してるのか!」とか「初めて知ったけどいい本でした!」なんて言われたくて書評ブログ書いている面もありますので、引き続き中身の濃い本を探していきたいと思います。


自分の欲望を満たすためのポイントに絞ったので、10分間で読むための秘訣っぽい部分が少し薄くなってしまったような印象があります(特に最後のポイントが…笑)
明確に意識はしていなかったのですが、やはり僕は、「鹿田さんのように10分で読んで大量に読めるようになりたい!」というよりも、「鹿田さんのような人気ブロガーになりたい!」という気持ちの方が強いようですね…(汗)

もちろん、本書では鹿田さん流の10分間リーディングを実践するためのお役立ちアイテムなども多数紹介されていますので、通常の視点でお読みいただけばメソッドの実践に何の障害もないと思います。
ただし、本書を読めば今すぐ10分で読めるようになるかといえば、そんなこともないはずだとは言っておきたいと思います。

鹿田さんのベースにある考え方は、小飼弾さんや佐藤優さんといった現代の知の巨人と呼ばれるような方々と同じく「差分読書」です。
したがって、その境地にたどり着くためには、それなりの知識の蓄積が必要だと僕は思います(何の知識もない分野の書籍では。、必要なところをサーチする、というのも簡単じゃないですし、鹿田さんもその場合は入門書から読むことを薦めています)。
それでも、遥かに思えた高みに、僕らでも到達できるとあろうという道筋を示してくれた本書に感謝して、今日からできることを始めていきましょう。

追伸:
人気ブログと呼ばれる多くのブログで採用されているブログの文章の型として「ハンバーガースタイル」というものが紹介されています。
僕のブログのスタイルも、言葉は違いますが「つかみ・中身・むすび」という3つを意識して構成していますので、型だけは人気ブログと同じようです(ちょっと安心)。
ハンバーガーは、バンズとパティのそれぞれの質とバランスが大事だと『美味しんぼ (9) (ビッグコミックス)』で描かれていたことを思い出し、精進していきます。
※ 参考: 美味しんぼを検証してみるその2 パンか肉かそれとも調和か


■ 関連リンク

著者ブログ: 鹿田尚樹の「読むが価値」
著者Twitter: @shikada


■ 基礎データ

著者: 鹿田尚樹
出版社: ダイヤモンド社 2010年10月
ページ数:174頁
紹介文:
元国会議員最年少公設秘書・人気書評ブロガーによる「リーディング3.0時代」の読んで書く技術
速く読めて忘れない

10分間リーディング
10分間リーディング
posted with amazlet at 10.11.01
鹿田 尚樹
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 729


■ 鹿田尚樹さんの他の書籍に関する書評記事

【書評】大事なことはすべて記録しなさい


■ 他の方の書評記事

ビジネス書書評ブログ 自分が正しいと思うことをしよう!:
【10分で本を読むための4つのポイント】10分間リーディング
公式サイト「結果を出す人」はノートに何を書いているのか 美崎栄一郎:
A書評・『10分間リーディング』を10分で読んでみた
あなたの人生が勇気に満ち溢れる555冊の多読成功術:
読んで、録って、合せて - 433 10分間リーディング
「成功へのアウトプット!」~あしたを変える読書のすすめ~:
■書評■リーディング3.0の正体!10分間リーディング 鹿田尚樹著
マインドマップ的読書感想文:
【ホッテントリ入りの秘密?】『10分間リーディング』鹿田尚樹【掲載感謝!】
なんでも経理かあさんの読書と育児:
『10分間リーディング』鹿田 尚樹
ほぼ日blog~通勤読書で継続力を高めよう!~:
【読書日記】短時間で本を活用できる5つのポイント-「10分間リーディング」
☆ビジネス書読みあさり☆:
今年203冊目『10分間リーディング』
ライフハックブログKo's Style:
人気書評ブログを簡単に書く8つのポイント ~話題の本『10分間リーディング』に学ぶ
知識をチカラに:
『10分間リーディング』鹿田尚樹(著)
活かす読書:
10分間リーディング