メモで人生を豊かにするための3つのポイント - 書評 - 逆算メモ術 | 知磨き倶楽部 ~ビジネス書で「知」のトレーニングを!~

メモで人生を豊かにするための3つのポイント - 書評 - 逆算メモ術


これまでの人生の中で「メモを取りなさい」と言われた、あるいは指導されたことがないという人は少数派でしょう。
また、自ら積極的に「僕は一切メモは取りません」と宣言している、あるいは信念として持っている人も少数派でしょう。
つまり、僕らの大多数は、何らかの用途で、何らかの形でメモを取っていることだと思います。

ただ「メモを取りなさい」と言われるだけで、具体的にどのようにメモをとり、そのメモをどうすればいいのか、というところまで指導されたことはないのではないでしょうか。
何となく「忘れないために書き留める」ということは意識するものの、ほんの仮初のものだという意識を持ってしまっている人が多いと思います。

昨今の知的生産術、ノート術関係の書籍に目を通してきた方であれば、すでにそのような状態ではないかもしれません。
恥ずかしながら、僕はそうした書籍を読みながらも、今ひとつメモを活かしきれていなかったと白状せざるを得ません。
しかし、この「メモを取る」という行為が、誰にとっても身近で当たり前になっているからこそ、知識社会における知的生産、知的アウトプットにおける大きな差を生み出す要因になっているのです。

現代における知的生産のエキスパートの方々が、そうしたアウトプットを生み出す源泉とも言える「メモ」について実践的な手ほどきをしてくれるのが本書です。
こうした本の特徴として、複数の方がそれぞれの考えに基づいた方法を紹介されているので、例えばアナログかデジタルかなども180度違うように、方法やツールは様々ですし、その全てをそのまま実践することはできません(自己矛盾を起こします)。
しかし、「メモの達人」たちの表面に見える方法論などの違いの根底に流れる、共通した部分を理解すれば、間違いなく自分なりの「メモ術」を確立していく手助けになります。

個人的には、「忘れないように書き留める」という一般的なメモに対する解釈を超えて、メモそれ自体も自らの発想を生かすための一つのアウトプットと捉える考え方、それに基づく実践法が響きました。
(意識せずに付箋を貼っていたのですが、読了後に見返すと、付箋をつけた実践ポイントのほとんどの根底に同じ考え方が見て取れるという結果に、我ながら驚きました。)
ここでは「メモを生かすための3つのポイント」として、僕に響いた点を紹介させていただきます。

1. メモの内容に制限をかけない・偽りない自らの感情こそメモせよ

ノートの上ではすべてが許される・悪口も一つのアイデア(奥野宣之さん)
 従来の価値観を揺さぶる「新しい発想」を生み出そうと思うなら、何事にもとらわれてはいけない。しかし、私たちは無意識のうちに自分に制限をかけ、現状を「よし」としてしまう。だからあえて悪口や妄想をノートに書き、頭のなかのリミットを解除して自由に発想することも大事なのだ。(p.78)

アイデアはとにかく出して、公開する(小飼弾さん)
 小飼さんによると、アイデアが出ないと嘆く人のほとんどは、何かを思いついても「どうせダメだろう」と自分で否定しているというのだ。(p.88)

感情を書き留めるビビッとメモ(佐々木直彦さん)
 本当に優秀なコンサルタントが大事にしているのは「自分の感情」。面白い・つまらない・うれしい・悲しいといったさまざまな心の動きが本物の情報を引き当て、結果的にビジネス上の利益をもたらすという。(p.156)

この点は僕がもっとも実践できていないことなので、量が多くなってしまったが三名の達人の実践内容を紹介させていただきました。
どうしても「メモ」と言われると、忘れてはいけない事実のみを単語でメモしてしまいがちで、自らが思ったことをきちんと書き留めておくことがなかなかできていません。
ユビキタス・キャプチャーを心がけるようになってから少しはましになりましたが、まだまだ…という感じです。
※ 参考: 官能的な魅力に魅せられて人生が変わるかも!? ■書評■ 『モレスキン 「伝説のノート」活用術』 (2010年9月16日)

2. 知的生産の大敵であるストレスをなくせ

ストレス解消もできる「探さないでください」ノートブック(大橋悦夫さん)
 ささいなことでも二度と見られないとなると、「自分はとても重要な情報を削除してしまったのではないか」と思えてきて、ストレスになってしまう。そんなことを防ぐために極力ゴミ箱は使わず、「探さないでください」というノートブックを用意しておくのだ。(p.97)

ブレイン・ワークアウトでやりたいことを100個書く(午堂登喜雄さん)
 どんなにささいなことでも構わないので、気がかりなこと、やりたいこと、欲しいものを全部書き出し、普段の生活で抑圧している部分や諦めを解除してみるのだ。(p.187)

頭の中にやりかけの何かだったり気にかかる何かがあることはストレスであり、そういったストレスが知的生産における創造性を阻害する、ということは、GTDを提唱するデビッド・アレンさんも主張されていました。
※ 参考: 一緒にGTDを始めたい人募集中! - 書評 - ストレスフリーの仕事術 (2010年10月23日)

ちなみに、上記の紹介のうち大橋さんはEvernoteでメモすることを前提に話をされています。
利用してみなければわかりにくいかもしれませんが、「すべてを記憶する」ということをテーマにしたサービスなので、忘れたくない発想を書き留めておくために注目されています。
僕も利用していますが、「どこからでもアクセス」という利便性を享受するためには入力デバイスが結構重要だと実感しています。
※ 参考: 脳の能力を100%活用できない僕らは補助脳を使おう ■書評■ 『EVERNOTE「超」仕事術』 (2010年9月14日)

3. 忘れていいものと記憶したいものを区別せよ

手書きの特性を理解する(小飼弾さん)
 自分が忘れてもいいように書くメモを手書きすることは矛盾そのもの。単なる備忘録なら、デジタルに勝るものはない。(p.198)

覚えたいときに手書きする、ということは様々な方がおっしゃっています。
小飼弾さんによれば、手書きしてしまうことによって、忘れてもいいような情報までが脳内に残ってしまうことはストレスの原因になるそうです。
効率的にメモしよう、などということを主眼に置いてしまうと出てこない発想ですが、メモの目的は自分の発想をその後に生かすことだという点がぶれなければ、自ずとその方法を使い分けることができそうな気がします。
ただ、Evernoteのところでも述べたように、常にデジタルでメモができる環境(入力にストレスがないデバイスを持つということ)を整えておかなければいけませんね。


本書を通じて編者が感じられたことは、「メモは最小にして最大のアウトプットであり、こまめに書くほど人生が豊かになり、充実感が得られる」ということだそうです。
「メモ」を生かせてないな…と思うのならば、一歩も二歩も違った知的アウトプットを生み出せるよう、達人たちの習慣を学びましょう。
自分なりのアレンジを加えた自分自身の「メモ術」へと発展させていくために、本書の中に真似したい習慣がきっと見つかると思います。


□ アクションポイント

上記で紹介した3つのポイントとは少し違うのですが、今後ブログなどの文章を書くに当たって参考にしたいと思ったことがあります。

スピーチに役立つマッピングメモ(三橋泰介さん)
 スピーチには「3S(スリーエス)」の要素を入れるべきだという。「3S」とは、
 「共感(SYMPATHY)」
 「ちょっとした知識を与える(SERVICE)」
 「笑い(SMILE)」
 の三つだ。(p.126)

三橋さんによれば、そもそもスピーチとブログには、「何か伝えたいことがある」「人に見られる場である」「評価がダイレクトに伝わる」という三つの共通点があるといいます。
「笑い」という要素はともかくとして、日垣隆さんが『すぐに稼げる文章術』のなかで書かれていた「読んでいて楽しいブログ」の条件にも通ずると思います。
僕もブログを書く際には、もっと「3S」を意識して書くようにしていきます。
※ 参考: 読んでもらいたい! と思うのなら読んでおこう ■書評■ 『すぐに稼げる文章術』 (2010年10月2日)


■ 関連リンク

編者サイト: マイコミジャーナル

■ 基礎データ

編者: マイコミジャーナル編集部
出版社: 毎日コミュニケーションズ 2010年10月
ページ数:232頁
紹介文:
さりげない工夫で結果は何十倍も変わる。そんな魔法のようで、実は論理的思考に裏打ちされたメモ術。マイコミジャーナルで連載中の「メモの極意」を大幅加筆。ビジネス書で大ヒットした著者・美崎栄一郎氏、奥野宣之氏、アルファブロガーとして著名な小飼弾氏など、メモの達人たちの実践テクニックを徹底的に分析、解説。どんな目的のときにどんなメモをとればよいのか、自分が得たい成果に分けて、達人たちのメモ術を紹介している。

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