2010-04-17 09:00:00

■書評■ 君たちはどう生きるか

テーマ:人生論・人物伝
長いときを読み継がれてきた紛れもない名著の一冊。
これまでに幾度か改版を重ねられ、手を加えられてきた経緯があるそうだが、岩波文庫から刊行されている本書は、1937年に刊行された一番最初のものを底本としたものであり、実に70年以上の時を経ているものであるが、文体等については現代の読者が読みやすいものに直されている。

主人公の「コペル君」は15歳、思春期にある若者であるが、そんなコペル君の心情と、良き理解者であり指導者である叔父さんを中心に編まれた物語。
もともと当時の軍国主義の時代を生きる少年少女に向けて、「自由で豊かな文化のあることを、なんとかしてつたえておかねばならないし、人類の進歩についての信念をいまのうちに養っておかねばならない(p.302)」という考えの元に書かれたものなので、ひどく懐かしい、僕らが義務教育で受けた「道徳」の授業の読み物のような感覚を受ける。

しかし、なぜだろう。
懐古主義に浸るわけではないけれど、何か失われてしまった良き教えがここにあるような気がしてならない。
現代の少年少女、コペル君と同じくらいの中学生に読んでもらいたいと思う一方で、自分自身が中学生のときに本書を読むように手渡されたとして果たして読んだであろうか、よしんば読んだとしても吉野さんがたずねる「君たちは、どう生きるか。(p.299)」という問いかけについて、どれだけのことを考えることができただろうかと思う。

僕が精神的に幼かっただけだろうか(見た目はそうじゃなかったけれど)。
いい加減、いい歳になった今になって本書を読むと、いろいろと考えさせられることがあり、むしろ大人にこそ刺さる道徳本なのではなかろうかとすら思う。

例えば、「六 雪の日の出来事」において描かれたコペル君の行動であり、心情。
※ネタバレ自重の為ここでは詳細については触れないが。
賢しい少年にありがちなというか、実は僕はそのときのコペル君の心情が痛いほど分かるし、もし同じ立場に立ったとき、僕がコペル君と違う行動が取れたかどうかということについては、甚だ自信がない。
全く同じとはいえないが、今、仕事において似たような状況になったときには、自分の仲間、同僚のために立ち上がることはできると言えるけれど。

そうした、いろいろな経験を積んできたから今だからこそ、本書が余計に胸に刺さるし、是非とも少年少女にも読んでもらいたい、自分の子どもが大きくなったら読ませたいと思うのだろう。
そして、それは僕が少年だったときに、周囲の大人たちが抱いた想いだったに違いない。
本だけではなく、様々な経験に基づいて助言をしてくれたことも同じだったに違いない。
幼かった僕は、それらに真摯に耳を傾けるだけの良識が十分に備わっているとはいえない子どもだったわけだけれど…。


著者の吉野さんは、コペル君の言葉を借りて、このように読者に語りかけている。

コペル君の誓い: 僕は、すべての人がおたがいによい友だちであるような、そういう世の中が来なければいけないと思います。人類は今まで進歩して来たのですから、きっと今にそういう世の中に行きつくだろうと思います。そして僕は、それに役立つ人間になりたいと思います。(p.298)

コペル君、僕らの生きる現代でも、残念ながらコペル君の願った未来の姿にはなっていないね。
けれども、僕もコペル君と同じように、そういう世の中になってほしいと思うし、そのために役立てるような人間になりたいとは思う。
さて、僕はどう生きようか。

いつかきっと、今はまだ2歳になったばかりの僕の子どもが大きくなった時に、この本を渡してあげたいと思う。


■ 第42回書評ブロガー達が勝手にインパク本レビュー
本レビューは 本魂!(ホンダマ)が企画したイベントへの参加であり、同じくイベントに参加しているブロガーの方々のレビューは以下のとおり。
是非、それぞれのブロガー独自の視点を比べて楽しんでもらいたいが、さらに、本書をお読みいただき感想を聞かせていただけたら、非常に嬉しい。

ビジネス書で「知」のトレーニングを!~知磨き倶楽部

本と、バレエと、音楽と。

わたしの本だな My Book Shelf.

=行動読書=月間101冊多読書評ブロガー石井による学びのシェア

【営業のコトバ屋】本の抜粋書評使えるコトバをあなたに!

本魂!~1冊の本から始まる想いの連鎖~

京都で働くはんなり大阪人のブログ

ビジネス書書評 ~now here man~


■ 基礎データ

著者: 吉野源三郎
出版社: 岩波書店(岩波文庫) 1982年1月
ページ数: 339頁
紹介文:
著者がコペル君の精神的成長に託して語り伝えようとしたものは何か。それは、人生いかに生くべきかと問うとき、常にその問いが社会科学的認識とは何かという問題と切り離すことなく問われねばならぬ、というメッセージであった。著者の没後追悼の意をこめて書かれた「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」(丸山真男)を付載。

君たちはどう生きるか (岩波文庫)
吉野 源三郎
岩波書店
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コメント

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1 ■どう生きるか。

>それに役立つ人間になりたいと

願い続け、精進し続けるのが人生の醍醐味と思って、道のりを楽しみたいと思います。

追伸 お薦め頂いたドラッカー、まだ読めてません(;^_^A
長い目でお待ちいただけるとありがたい・・・。

2 ■Takaさんのレビュー読んで

なんかちょっと涙でました。
ありがとうございます。

3 ■その思い。

私も子供にこの本を読ませてあげたい。

まだいませんが(笑)

それまでとっておこうと思います。

4 ■Re:どう生きるか。

>初心者の100人集客技術☆ただうみさちさん

そうですね、役立つようになろうと精進し続けることこそ、生きる道なのかもしれません。

お薦めしたドラッカー本、お薦めした後に、ちょうどいい時期だったので読み直しました。
もしよろしければ、ご参考までに書評をどうぞ。
http://www.minbizyoume.com/weblog/2010/04/f.html

5 ■Re:Takaさんのレビュー読んで

>SHINOさん

今回、書評っぽくない書評になりましたが、そんな風に言ってもらえると、嬉しくてなんかこちらも涙が出そうです。
ありがとうございます。

6 ■Re:その思い。

>西山昌秀さん

自分の子どもには読ませられますが、他人の子にプレゼントとかしたら、ちょっとどうなんでしょうね。
相当親しい間柄なら、それもありかななんて思います。

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