【書評】なまけもののあなたがうまくいく57の法則
「なまけもの」と言われるとどきっとしてしまわないだろうか。
いや、自分は勤勉だし、努力家だし、決して「なまけもの」なんかではない、と言いたい人が多いかもしれない。
自分が「なまけもの」であるかどうかを振り返るに当たっては、以下の点に該当するかどうかを考えてみるとよい。
なにかをやろうとしたとき、
・始められない
・続けられない
・だらだらしてしまう
これらの条件に心当たりがあるとすれば、なまけものの資質を持っていると考えたほうがいいらしい。
……、僕は「なまけもの」の資質が大いにありそうな予感(笑)
しかし、本書では、「なまけもの」という言葉をネガティブに捉えていない。
著者の本田直之さんは、自らを典型的ななまけものと言い、それは才能だと言っているくらいだ。
「なまけもの」は「考える人」です。どうすれば怠けられるかを考え、工夫していきます。他者に教えるべきノウハウをたくさん持っているし、物事に柔軟に対応することができます。(p.10)
ただし、まずは「自分はなまけものなんだ」ということを自覚することから始めないといけない。
実は、これが本書で教えている57の法則の第一番目にくる。
ネガティブなイメージを捨て、本田さんのいうところの前進型のなまけものとして生きる道を一緒に歩みましょうということだ。
なまけものの3タイプ
前進型: なるべく怠けたいという思いを出発点に、いつも工夫しながら前に進んでいく人
堕落型: いつまでもだらだらして、前に進もうとしない人(短期的にはラク、長期的には取り返しのつかない結果を招く)
幸福型: 現状が改善しなくても、悪くなったとしても全くかまわないという人(それで幸せを実感できているので、わざわざ自分を変える必要はない)
本田さんは、「なまけもの」が物事を始められず、続けられず、だらだらしてしまう要因を、「動機付け」と「強制力」に関する「内部から」と「外部から」の視点で分析している。
そして、始めるための「動機付け」を自分の内部から、続けるための「強制力」を外部から持ってきて、両者を組み合わせる(p.6)ことで、気分的には怠けたままでいながら、物事をうまくいくようにしましょうと言っているのである。
そうした観点から考えられた様々ななまけるための考え方や工夫が、法則として紹介されている。
なるほど、「なまけもの」の資質があると思った僕には、納得できる考え方や既に実践しているような事柄なども出てくる。
しかし、ちょっと引っかかる記述が……
法則44 通信教育に頼らない
なまけものと通信教育の相性はかなり悪いと言わざるをえないでしょう。
なまけものには通信教育は無理なのです。
もし通信教育と学校の選択肢があるとしたら、迷わず学校を選びましょう。それがなまけものの正しい歩き方です。(p.126-p.127一部抜粋)
学生時代に通信教育のみで学力アップを果たし、志望校に合格できたという人は、なまけものではありません。きっとそういう努力家の方が本書を読んでも面白くないでしょうし、得るものは少ないかもしれません。(p.127)
この後半部分、僕は当てはまる……、けれど、面白く読ませていただいている。
まあ確かに、なまけものが物事をうまく行うための黄金律からすれば、法則44は当たり前なんだけど、学校(受験で言えば予備校?)という選択肢がなかったので。
逆に、
法則55 感化される仲間をつくる
われわれなまけものは仲間がいないと継続もできないし、成長もできません。
わたし自身、これまで意識の高い仲間たちから刺激を受け、感化されてきたおかげで現在があります。
どんな仲間を選ぶかという問題は、最終的に「どんな人生を選ぶか」という話にまでつながっていくのです。(p.153)
という法則にまとめられていることが、学生時代には自然と実践していたし、現在の仕事の仲間や、ブログ関係でお付き合いいただいている方々を見ても、無意識に実践しているなと思う。
ただ、著者がこう言っていることもあるので、「ああ、自分はやっぱりなまけものじゃない! 努力家だ!」と再確認した方は、どうぞ本書はお手にとらずにスルーの方向で(笑)
「なまけもの」を公言し、それでも誰もが見てわかるだけの結果を残している本田さんだけに、本書で書かれていることは納得感はある。
しかし、この手の本ではお決まりのことだけれど、これをきちんと実践できるかどうかが大きな分かれ道になるのである。
間違っても、「なまけもの」だと自覚しただけで終わることだけはないように……(笑)
冒頭の3つの要素「始められない」「続けられない」「だらだらしてしまう」ということのうち、一つでも思い当たり、悩んだことがある人なら、一読すれば得られるものはあると思う。
是非、「有能ななまけもの」を体現しましょう!
【関連リンク】
【基礎データ】
著者: 本田直之
出版社: 大和書房 2009年7月
ページ数: 160頁
紹介文:
始められない、続けられない、だらだらしてしまう
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