2009-10-30 14:00:00

【書評】アイデアのつくり方

テーマ:知的生産術

アイデア、発想系の書籍を読んでいると非常によく目にする古典的書籍の名前がある。

それが本書、ジェームス・W・ヤング著の『アイデアのつくり方』。

米国で発刊された原著”A Technique for Producing Ideas”は、まえがきから推察するに1960年の刊行であり、僕の手元にある日本語の本書は、1988年初版発行、2006年7月初版第53刷である。

まさに古典の中の古典であり、読み継がれている名著であると言えるだろう。



ヤング氏は、こう結論している。

アイデアの作成はフォード車の製造と同じように一定の明確な過程であるということ、アイデアの製造過程も一つの流れ作業であること、その作成に当って私たちの心理は、習得したり制御したりできる操作技術によってはたらくものであること、そして、なんであれ道具を効果的に使う場合と同じように、この技術を修練することがこれを有効に使いこなす秘訣である、ということである。(p.18)


ヤング氏自身が書いているが、この秘訣、公式はごく簡単なことのように聞こえる。

そのために当時は、「これを聞いたところで実際に信用する人はまず僅かしかいない(p.19)だろうとされているが、今日の僕たちは、ヤング氏の考えが今でも重要なものであることを知っている。

また、たとえ「実際にこれを実行するとなると最も困難な種類の知的労働が必要なので、この公式を手に入れたといっても、誰もがこれを使いこなすというわけにはいかない(p.19)とも書かれているが、当時よりも遥かにアイデアの重要性が高まった知識社会に生きる僕たちは、なんとしてでも使いこなせる側にならなくてはならない。



さて、そのために僕たちが学ばなければならないことは、第一にアイデア作成のための原理であり、第二に方法であるという。

この「原理」の一つ目は、今や有名になりすぎた次の言葉だ。

アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない(p.28)

アイデア、発想系の本を読んだことがあれば、どこかで目にしたことがあるフレーズではないだろうか。

ここでは、関連する第二の大切な原理についても押さえておきたい。

僕個人としては、第一の原理に較べて印象が薄かったのでここで心に刻んでおく。

既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、事物の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい(p.28)

実感はもの凄くある内容。

第一の原理はどこかで目にしたことがあり、心に刻んでいるにも拘わらずアイデアが作れないと悩み続ける最大の要因だからだ。


しかし、ヤング氏は言っていたはず。

アイデア作成の過程は、フォード車の製造工程と同じように一定の決まった過程を辿るのだと。

であるならば、程度の差こそあれ、以下のように掲げられたその手法を学び身につけることによって、「アイデアが作れない」という悩みは軽減されるはずであろう。

もちろん、作り出されたアイデアのよしあしについては、それこそ才能に依存する箇所があるだろうが…。


アイデアの作られる全過程ないし方法


1. 資料集め――諸君の当面の課題のための資料と一般的知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と

2. 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること

3. 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をyらうのにまかせる。

4. アイデアの実際上の誕生。<ユーレカ! 分かった! みつけた!>という段階。そして

5. 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる技術。


ただし、僕としては、本書で述べられているような具体的な方法論を採用する必要はないと思っている。

なにしろ、原著の初版は50年近く前のものである。

IT技術など、アイデアを生み出す過程におけるさまざまな環境が劇的に変わっている。

具体的な方法論などは、現代のアイデア発想本の名著となりつつある、『考具 ―考えるための道具、持っていますか? 』によるほうが懸命ではないかと思われる。

※参考: 【書評】考具

まあ、この本も初版が2003年ではあるが… Twitterとか実はアイデア・発想において有用な使い方が出来たりするのではないかとも感じているのだが。



アイデア、発想系の世界で今尚引用され続ける名著は、やはり名著たるだけのものはある。

僅か102ページ、序文や解説を除けばヤング氏による部分は実質50ページ程度にも拘わらず、である。

根底に流れる考え方をしっかりと吸収させてもらいたい一冊であり、未読の方は是非ご一読いただきたい一冊である。



【基礎データ】

著者: ジェームス・W・ヤング

訳者: 今井茂雄

解説: 竹内均

出版社: 阪急コミュニケーションズ 1988年4月

ページ数: 102頁

紹介文:

60分で読めるけれど一生あなたを離さない本

《アイデアをどうやって手に入れるか》という質問への解答がここにある


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