2008-04-01 15:13:57

第一章「初めての恋」*アタシ*

テーマ:①第一章
夏休みが近づく頃には、


アタシも、「男」という存在に慣れてきて、


サークル内でバンドを組み、


それなりに楽しいと思える毎日を送れるようになっていた。



相変わらず、彼氏のいない、


高校時代と変わらない日々。



けれど、夏にはサークルの合宿がある。



アタシは、それを心待ちにしていた。



「男の子も一緒に行くような旅行には行かせられない」


と反対する母親をどうにか説き伏せて、


毎日夜、電話を入れることを条件に、


どうにか、合宿に参加することができた。





そこで・・・・



神様はアタシにイタズラをする。





サークル恒例の怖い話大会で


たまたま横に座っていた卓巳。


同じバンドではなかったけれど、


同期だったし、彼の存在は知っていた。




でも・・・恋愛対象外。




破天荒で


ケンカっぱやい性格。


サークルの飲み会でも、何度か他校の学生とケンカをしたり、


あまりいい噂は聞かない人だった。




何かあったわけじゃない。



ただ、隣に座っていただけ。



ただ・・・・



少しだけ身体が触れ合っていただけ。




合宿後の新学期。


サークルの溜まり場に遊びに行くと、



「卓巳が、外にいるから行ってあげてくれる?」



と、同期の仲間に突然言われた。



渋々行ってみると、




そこには。


所在なさげに卓巳が立っていて。



「よお。」



と恥ずかしそうに手をあげた。



「よお。」



と、アタシもそれに答える。




その後訪れた沈黙。




今まで感じたことのないような空気に。



アタシは、戸惑った。



「あのさ・・・・」




言いにくそうにつぶやいた後、





「付き合ってください。」




とぶっきらぼうに卓巳が、言った。




予想もしていなかった言葉・・・・




そして、


次第に、このドラマのようなシチュエーションに


心が踊り出す。




彼氏が欲しい。



友達に負けたくない。



これで彼氏ができる。



もう、友達に笑われない。




だけど・・・



卓巳のことは、何とも思っていない。




好きになれるかどうかも分からない。




アタシは、



「今は好きじゃないけど、それでもいいかな?」



と、本心を、素直に告げた。




その言葉に、



「え・・?じゃあ付き合ってくれるの?」



と卓巳が戸惑いながらつぶやく。





後から、好きになればいいと思った。




きっと。好きになれるはず・・・





「はい。」





卓巳はホッとした様子で、




「よろしく。」




と笑った。







そんな・・・・


何処にでもあるような、


幸せな始まり。




そんな・・・・


何処にでもいるような、


大学生カップル。





歯車が、狂い始めるまでは・・・・




2008-04-01 15:12:17

第一章「初めての恋」*アタシ*

テーマ:①第一章

父は警察官。


母は教師。


アタシは、人よりも少し厳格な家庭で育った。



小さい頃からピアノや英会話を習い、


成績は常にトップクラス。



そうであることを望まれていたし、



そうでなければいけないと思っていた。




学期末の成績表は、


いつも「よくできました」


「がんばろう」なんて成績を取ってきたら、


母だけでなく、祖父にまで怒られた・・・



だから・・・



アタシは、ずっとよい子を演じていた。



"演じる"というよりも、それがアタシの中の普通であって。



何も変だとは思わなかったし。



思春期を迎えても、親に反抗することもなかった。




母親が選んだ校則の厳しい女子高で、


女だらけの青春時代を過ごす。



着替えの時間、クラスメートがしていた


赤いブラジャーにさえ


びっくりしてしまうほどの、


真面目で純粋な高校生のアタシ。



彼氏ができた話。



初体験の話。



興味がなかったわけじゃない。



でも、自分とは、無縁だと思っていた。




強い憧れを抱いても、叶える場所がないのなら、


どうしようもない。




そんなあきらめに似た失望。




エスカレーター式に併設の女子大へ入学する頃。



そんなあきらめが、


強い願望に変わる。




「彼氏を作ること。」




「痩せてかわいくなること。」




それが18歳を迎えたアタシの目標で。



似合わない化粧をし、


ピアスの穴を開けて、


アタシは大学生デビューをした。



おさげ、ひざ下スカートの


冴えない自分と、サヨナラしたかった。



そして、高校時代のクラスメート達のように、


彼氏のいる、華やかな生活を送りたかった。




入学後、一週間ほどたった頃、


他の大学に行った女友達から、



「ここの音楽サークル行ってみない?」



と某有名大学のサークルのチラシをもらった。




高校時代、アタシは軽音楽部に所属して、


歌を歌っていた。



長年、やらされてきたピアノは、高校2年でやめてしまった。


母親には、「バンドをやるなんて!」


と叱られたけれど、


アタシは、歌を歌うことのほうが、好きだったのだ・・・・




大学に入って、本格的にバンドをやりたかったのと。


とにかく男のいる場所に行きたかったっていうのとで、


アタシの決断は早かった。




新歓コンパ。



生まれて初めての居酒屋。



女子高だったせいで、



男の子が”男の人”に変わる時期を見てこなかった


アタシにとって。



年上の男は、みんな「オヤジ」。



剃り残されたヒゲや、男臭さが気持ち悪くて、


「彼氏」の対象なんてどこにも見当たらなかった。




一緒に行った友達は。


すぐに溶け込んで、楽しそうに笑っている。



アタシには門限があったので、


早く帰らなければならない。



後から、友達の自慢話を聞かされるたびに、


アタシはひどく気後れして、


いつも取り残された気分になった。




酔って帰ることも許されない、実家。


ましてや、未成年だ。


お酒を飲んだことがバレないように、



毎回、缶コーヒーで、臭いを誤魔化す。




アタシは、この頃初めて、


自分の家の規則というものに、うんざりした。



自分に彼氏ができないのは。



まるで家族のせいだとでも


いうかのように・・・・





その後、ほどなくして友達には彼氏ができ、


アタシは置いてきぼりを食らう。



電話で



「おめでとう。」



と祝福してみたものの、


本当は、彼女が憎らしかった。



いつまでたっても冴えない自分を、


笑われているような気がして・・・・




2008-04-01 15:09:36

プロローグ

テーマ:①プロローグ

どんな酔っ払いであっても・・・



ものすごい力で胸をもまれても・・・



髪の毛をぐちゃぐちゃにされ



無理やりアレをねじ込まれても・・・



アタシはソープ嬢。



白い液体が吐き出される



その瞬間まで



笑顔で接客する。



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