第一章「初めての恋」*アタシ*
テーマ:①第一章アタシも、「男」という存在に慣れてきて、
サークル内でバンドを組み、
それなりに楽しいと思える毎日を送れるようになっていた。
相変わらず、彼氏のいない、
高校時代と変わらない日々。
けれど、夏にはサークルの合宿がある。
アタシは、それを心待ちにしていた。
「男の子も一緒に行くような旅行には行かせられない」
と反対する母親をどうにか説き伏せて、
毎日夜、電話を入れることを条件に、
どうにか、合宿に参加することができた。
そこで・・・・
神様はアタシにイタズラをする。
サークル恒例の怖い話大会で
たまたま横に座っていた卓巳。
同じバンドではなかったけれど、
同期だったし、彼の存在は知っていた。
でも・・・恋愛対象外。
破天荒で
ケンカっぱやい性格。
サークルの飲み会でも、何度か他校の学生とケンカをしたり、
あまりいい噂は聞かない人だった。
何かあったわけじゃない。
ただ、隣に座っていただけ。
ただ・・・・
少しだけ身体が触れ合っていただけ。
合宿後の新学期。
サークルの溜まり場に遊びに行くと、
「卓巳が、外にいるから行ってあげてくれる?」
と、同期の仲間に突然言われた。
渋々行ってみると、
そこには。
所在なさげに卓巳が立っていて。
「よお。」
と恥ずかしそうに手をあげた。
「よお。」
と、アタシもそれに答える。
その後訪れた沈黙。
今まで感じたことのないような空気に。
アタシは、戸惑った。
「あのさ・・・・」
言いにくそうにつぶやいた後、
「付き合ってください。」
とぶっきらぼうに卓巳が、言った。
予想もしていなかった言葉・・・・
そして、
次第に、このドラマのようなシチュエーションに
心が踊り出す。
彼氏が欲しい。
友達に負けたくない。
これで彼氏ができる。
もう、友達に笑われない。
だけど・・・
卓巳のことは、何とも思っていない。
好きになれるかどうかも分からない。
アタシは、
「今は好きじゃないけど、それでもいいかな?」
と、本心を、素直に告げた。
その言葉に、
「え・・?じゃあ付き合ってくれるの?」
と卓巳が戸惑いながらつぶやく。
後から、好きになればいいと思った。
きっと。好きになれるはず・・・
「はい。」
卓巳はホッとした様子で、
「よろしく。」
と笑った。
そんな・・・・
何処にでもあるような、
幸せな始まり。
そんな・・・・
何処にでもいるような、
大学生カップル。
歯車が、狂い始めるまでは・・・・






