大変 有益な論文がありますので、紹介します。
発表名: ミトコンドリア遺伝子と長寿
発表者: 財団法人岐阜県国際バイオ研究所 遺伝子治療研究部長 田中 雅嗣
昨日のブログで、
1 体重あたりの酸素消費量と寿命は反比例する
2 ミトコンドリアとは
3 ミトコンドリアの働き
に関する説明は行いました。 その続きです。。。。。。。。。。。
4 ミトコンドリアの成り立ち
ミトコンドリアを発電所にたとえました。
水素と酸素を反応させるエンジンが「電子伝達系」で、電子伝達系によって駆動される発電機が「ATP合成酵素」です。
エンジンと発電機の設計図は、ミトコンドリアの中のDNAと、核の中のDNAに分かれて保存されています。
エンジンと発電機の主要な部品の設計図は、ミトコンドリアDNAの中に書かれており、ミトコンドリア自身の蛋白合成装置によって作られます。
その他の部品の設計図は、核のDNAに書かれており、そこから読み出され、細胞質の蛋白合成装置によって作られ、ミトコンドリアの中に運ばれてきます。
二つの系統の遺伝子産物が組み合わされ、エンジンと発電機ができあがります。
5 ミトコンドリアの不具合が生じると
スペースシャトルは水素と酸素を爆発的に反応させています。
これに対し、ミトコンドリアは37度という穏和な条件で水素と酸素を反応させています。
上手に反応させているとはいっても、どうしてもミトコンドリアの電子伝達系から電子が漏れます。
電子が酸素に直接わたされてしまうと活性酸素が発生します。
通常でもミトコンドリアは細胞内における活性酸素の主要な発生源になっています。
この活性酸素がミトコンドリアの蛋白質や脂質を攻撃します。
もっと恐ろしいのは、活性酸素がミトコンドリアの設計図であるDNAを攻撃することです。
設計図にキズができると、正しい部品を作ることができなくなり、電子伝達系からさらに活性酸素が漏れやすくなります。
車がポンコツになると、エンジンから排気ガスがモウモウとでるようなものです。
A. 加齢とともにミトコンドリア遺伝子に変異が蓄積します。
B. すると、ミトコンドリアからの活性酸素の漏出が増大します。
C. それが細胞機能に悪影響を与える。
という「老化におけるミトコンドリア遺伝子変異蓄積説」は、多くの観察から支持されています。
このことから、ミトコンドリアは健康と密接な関係があることがわかります。
続けます。