昨日、何の前ぶれもなく、突然詩がふっと湧いてきました。
湧いてきたはいいものの、これを掲載してもよいのかとも思いました。
だけど、この詩を読まれた誰かの心が楽になるのならと思い、勇気を出して掲載することにしました。
そしてこの詩を書いたことで、私の人生も一区切りついたようなそんな気がしました。


「あなたの心よ安らかなれ あなたの心よ平和なれ」


祖父はよく酒を飲んでは わめき散らした
父も酒を飲んでは 当たり散らした
二度目の父も 酒を飲んでは暴言を吐いた

祖母が祖父に酒をすすめ あおっていた
母は泣いていた
母を守るため 祖母にたてついた
それから祖母にうとまれた

しばらくして 祖父母は家を出て行った
ほっとした

だが 今度は父の酒の量が増えていった
父が家にいるときは 心が安らぐことはなかった
父がこの世からいなくなれば 家族が幸せになると思った
家族を守るため 本当にそうしようと思った

だけど できなかった
でも今……
できなくてよかったと しなくてよかったと心から思う

そしてしばらくして 父と別れた
ほっとした

父と別れてから 近所の人が力になるよと言ってくれた
でも その人が私たちの噂話をしているところを見た
人を睨みつけることを覚えた
人を信用すまいと思った
人に裏切られないように 誰も心に入れるまいと思った

それから間もなくして 二度目の父がきた
しばらくすると二度目の父も 酒を飲んでは暴言を吐き出した
だが二度目の父は 面白い話をすると機嫌がよかった
父の機嫌を損ねないように いつも面白い話をした
それから私は 笑いながら話す癖がついた


私はいつも人には笑顔を向けた
でも心は閉じたまま 人には向けなかった

ある人に言われた
あなたは優しいけど いつか裏切られる気もする と

その通りだと思った
人には優しくできた
でも…… 
誰も 心の中に入れようとしなかった
誰の心の中にも 入ろうとしなかった

そして大人になった
絶対 不幸になるから誰とも一緒になるまいと思った

それでも 一度は一緒になった
だけど 誰も心に入れないようにしてきた私が 
人の心とつながる術を 知るはずもなかった
しばらくして 一人で生きていくことになった

一人になるのがこわくてこわくてたまらなかった

初めて 人に助けを求めた
初めて 人に自分の心をさらけ出した

不幸な出来事が私に生まれ変わるチャンスをくれた


少しずつ 心を大切に思うようになった
少しずつ 自分を大切に思うようになった
少しずつ 他人を大切に思うようになった

やっと 人と心でつながる喜びを知った
だから 今 寂しさを感じることはない
だから 今 孤独感を感じることもない

ただ不思議なのは 今まで
父たちを許すとか 許さないとか
そういう思いにこだわったことはなかった

でも それでよかったんだと思う 
思い続けたら 自分がこわれていたかもしれない
そうやって 自分を守ってきたのかもしれない

そして今 思うのは
憎しみを持ち続ける人生を送らなくてよかったということ

憎しみは憎しみを呼ぶだけ
憎しみは戦いを巻き起こすだけ

報復の連鎖を断ち切るのが ヒロシマのこころ
原爆を落とされてもなお 憎むことをせず
平和への道を 堂々と歩むことを決めたヒロシマのこころ

憎しみから 安らぎは生まれない
憎しみから 平和は生まれない


今 私は この上ない幸せを感じている
今 私は この上なく幸せだ

自分がされたことを怒りで返すことに心を向けず
今この瞬間瞬間を 
精一杯生きることに想いを注ぎ 力を注ぎたい

過去に起きた出来事をずっと振り返りながら 
憎しみを 大事そうに抱きかかえて生きるより
どんな人生であれ 
それでも生きてきた自分を誇りに思い
心満たされるまで 愛し抜きたい

自分で自分を愛することができたなら
心は 安らぎで満たされる
自分の心が愛いっぱいに満たされたなら
心に 平和が訪れる

自分の心を平和にするのは
自分自身にしかできない

そして この世が平和になるのは
すべての人の心に 安らぎが訪れたとき
すべての人の心に 平和が訪れたとき

だから今 心から願う
あなたの心よ 安らかなれ 
あなたの心よ 平和なれ