生きていて、
つらいと思うことのほうが多いかもしれません。
どんな人でも、
心に闇や重荷を背負って生きていかれていると思います。

人は、美しくは生きられません。
なぜなら……
生きるとは、そんなに生やさしいものではないからです。
だけど、それでも生きていく姿は尊く美しいものだと思います。

蓮の花のように泥の中で育つからこそ、
清らかで美しい花が咲くのです。

愛の足りない環境で育った方たちが
明るく笑って生きていかれますように、
少しでも生きる希望を持たれますように、
そう願いを込めて、この詩を書きました。



「ようやく 愛を受け取ることができた」


人生を半分過ぎても
まだ……
ふとしたときに 思うことがある

父は生きているのだろうか
もし 父が生きているとわかったら
私は会いたいと思うだろうか

正直 会いたくないという気持ちが勝っている

祖父も父も二度目の父も 酒飲みだった
今でも
酒を飲んでわめき散らす人にイラッとする
そばに寄るなと思ってしまう

祖父も二度目の父も亡くなったが
父とは
父と母が離婚し 別れ別れになって以来
一度も会っていない

というより……
一度も会おうとしなかった
いや 本当は……
二度と 会いたくなかった
憎んではいなかった
だけど もう……
思い出したくなかった

だって……
父と一緒にいるのがいやで
殺そうと思ったぐらいだから
そうすれば
家族が幸せに暮らせると思っていたから
そのためなら
刑務所に入ってもいいと思っていたから


祖父に
かわいがっていた犬を
高い所から落とされたことがあった
二度目の父に
蹴られまくったことがあった
蹴られながら
自分が……
ゴミ置き場の黒いゴミ袋になった気がした

家族で楽しく過ごす日もあった
だけど……
今 機嫌よくしている父たちが
いつ 豹変するのだろうという
恐怖と不安が いつもつきまとった

だから……
結婚生活もうまくいかなかった
相手の顔色を伺い
機嫌をとることしかできなかった

気功を学ぶ師に言われた
君には
家族と幸せになる学びが残っている……と

私は 家族と一緒にいて
心からやすらぎを感じたことがない
心から安心して過ごしたことがない

だけど……
自分のことを不幸だとは思っていない

毎日 人の優しさを感じない日はない
毎日 笑顔で過ごす幸せを感じている


でも 今 突然
ひとつの思いが湧いてきた……

祖父 父 二度目の父に
私は 愛されていたと思ってみよう

父たちも また
寂しい育ち方をしていた
愛が足りない環境で育った

自分を振り返る
私の魂自身が
愛が足りない環境を選んで生まれてきた

それは……
愛の大切さを心から感じたいから
愛の大切さを 人に伝えたいから
生きている間に
たくさんの人を 愛したいから


父たちは私を愛そうとした
ただ……
愛し方も愛され方も知らなかっただけ
愛がどんなものかを知らなかっただけ

自分が憎もうが嫌おうが
どんな人でも 愛の本質は同じ
そのことに ようやく気づいた

どんな人の心にも 愛はある
その愛の中心を貫くものは
どれも みな美しい

父たちにされた行為は
とうてい 受け取ることはできない
でも……
父たちの心にも愛はあったはず
だから
一度もきちんと受け取らなかった
受け取ることを拒み続けた
父たちの愛を 受け取ることにした

その愛を 胸の中心に入れた
胸がじ~んと熱くなった

愛ってあったかいんだな
そう 思った


誰かを許せないと思うと
心のかけらがポロリと取れる
だから……
ぽっかり穴があいて心がスースーする
いつまでたっても 心が満たされない

心にぽっかりあいた穴
それは……
人の優しさで 小さくはなる

でも 最後にその穴を埋めるのは
その人自身にしかできない

人が 心から愛を感じると
心が ボワッと膨らんで
ぽっかりあいた穴が埋まる


自分の心の傷は
自らの愛で癒すことができる
自分の心には 愛がある
人の心にも 愛がある

今 そう思えるのは
たくさんの人が
私を愛してくれたから
私に優しくしてくれたから
私に微笑みかけてくれたから

父たちも同じように
私を愛してくれていた
そう 私が思うことによって
私の心の傷が癒される
父たちの魂も癒される

祖父も父も二度目の父も
確かに 私を愛してくれた
今 その愛を
ようやく 受け取ることができた

そして これからも
愛を大切にし たくさんの人を愛していこう
そう 心から思った


Photo by Kuniko Fukuma