早速、母と一緒にエンジェルバース山方助産院を見学しにいった。
みどり助産院もそうだったが、山方助産院も住宅街にある普通の二階建て一軒家だった。
2年前にできたばかりなので、建物はほぼ新築。先生は趣味がラブリーで、カーテン、
ソファカバー、ティッシュケース、壁紙など全てピンク系の花柄尽くし。
診察室ではアロマオイルがたかれ、オルゴールの癒し系音楽が流れている。
みどり助産院がおばあちゃんの家なら、山方助産院はザ・ピンクハウス!と言った感じか。
みどり助産院には赤ちゃんの心音を聞く機械しかなかったが、山方助産院には超音波の機械もあるし、
無線の陣痛測定器など機械が充実している。
またみどり助産院は同時に3人が入院できるようになっていて、助産師さんが沢山いたが、
山方助産院は山方先生が1人でやっている。
お産をする和室には立って産む時につかまる綱がぶらさがっていた。
和室のすぐ側にはお風呂もあって、お産の時に入れてもらえるという。
どちらもみどり助産院にはなかったものだ。病気を疑うくらい身体が固い私は立って産んだほうが
よさそうなので、綱には興味があった。また、本にはお産の時にお風呂に入ると陣痛が和らぎ、
リラックスすることで、お産が早く進むと書いてあったので是非試したかったが、
みどり助産院には綱もお風呂もなかったので、残念に思っていたのだ。
それにみどり助産院では検診は毎回違う先生で、実際にお産に立ち会ってくれるのはどの先生か
分からないが、山方助産院は検診から分娩まで全て同じ先生にやってもらえるというのは、
私にとってポイントが高い。
助産院なんて全部同じかと思っていたが、場所によって全く違うことが分かった。
どちらが優れていて、どちらがダメだというわけではない。
たまたま、実家から近い助産院のほうが私の希望に近かったのは何ともラッキー。
その場で分娩予約をした。
娘を3人とも病院で産んだ母は
「え!和室!?何この綱!?ここで立って産む?分娩台とかないの?
陣痛が来てからお風呂に入るなんて聞いたことがない!?」と
目を白黒させて驚いていた。
私は逆に3人も子供を産んだ母が何も知らないことに驚いていた。
というか、お産マニアの自覚はなかったが、初産婦でこれだけ助産院のことを知っている私の方が
異常なようだ。先生にも「よく知ってるのね。助産婦さんですか?」と笑われた。
私が自然分娩に興味を持った話をしている時に、愛知県にある吉村医院の話が出た。
その医院はとにかく自然分娩にこだわっており、妊婦さんは薪割りや雑巾がけなど昔の女の人が
日常やってきたことを沢山やらされて、お産に適した身体作りをしていく。
この産院を江原さんが紹介している記事を読んだのも、私が自然分娩に興味を持ったきっかけだった。
山方先生は吉村医院に行ったことがあるそうだ。
「吉村医院では、出血しても歩かせて、薪割りもさせるのよ」と先生が言った。
「え!そんなことして大丈夫なんですか?」
「まあ、流れる子は流れるのよ。あそこの先生はそういう考えだから。
だから、吉村医院では転院する人も多いみたいよ」
「!?」
「何年もこの仕事をやってきたけど、途中でダメになる子は何か障害があったり、
ちゃんと理由があるのよ。この前も、ダメになりそうな赤ちゃんを何とか薬で持たせたけど、
結局、身体が弱くて、生まれて1週間で亡くなったの。赤ちゃんも生まれてお母さんの顔を
見たかったから頑張ったんだと思うけどね。
まあ、うちでは危ない時は、提携の病院に行ってもらいますけどね」
うーん。。。
母と自分を許せるようになるまで、嫌なこと・辛いことも経験しなくてはいけないこの世にいるのが
面倒で仕方なかったため、お腹の人に
「私みたいなバカ女のところに来るなんて、アナタどうかしてるわよ!『そっち』に帰りたくなったら、
帰っていいんだからね!私には生きる喜びなんか分からない」と
何度も言ってしまった私である。
また、どこかで「流れる子はちゃんと理由があって流れる」と思っているのも事実だ。
しかし、実際にお腹の赤ちゃんの命が危ないとなった時に冷静にそうは思えないだろう。
以前、みどり助産院を見学した時に出会った、流産を経験した人はとても辛そうだった。
それでも、長年沢山の生まれる命・流れる命と向き合ってきた人の言葉には胸に刺さるものがあった。


