子どもがぐずってばかり。かゆみ止めを飲んでるせい?
こんにちは。橋本です。
意外かもしれませんが、たとえば子どもが
・ 場違いなところで、眠いとか言ってぐずってばかり
・ お出かけするっていうに、ねむたいとダダをこねてばかり
こういうことは、「かゆみ止めの飲み薬」を使っていると、おきることがあります。
なぜかというと、かゆみ止めの成分で、眠気をもよおしてしまうからなんですね。
かゆみ止めの成分には、体内でかゆみをおこす原因物質のひとつ、「ヒスタミン」の活動をおさえる働きがあります。
かゆみをおさえたいのなら、肌で活動するヒスタミンだけを静かにさせたいですよね。
でも、そうはいきません。
かゆみ止めは飲み薬のため、全身に効いてしまいます。
全身に効くことで、脳の中で働いているヒスタミンまでおさえられてしまって、結果、眠気がおきてしまいます。
で、やっかいなのは、ここからです。
眠気をおこすだけならまだまし。
「ヒスタミン」というのは、脳内で人間の活動性を高めるのに役立っている物質でもあるのです。
脳の中でヒスタミンが出ているからこそ、目を覚まし、元気に起き続けていられるのです。
活動性を高めている脳内のヒスタミンを、かゆみ止めの成分がおさえてしまう現象。
これを専門用語では、「インペアード・パフォーマンス」とよんでいます。
インペアード・パフォーマンスとは?
「パフォーマンス」とは、日常生活における全ての活動。
走ったり、歩いたり、遊んだり、スポーツをしたり、勉強をしたりする、すべての活動のことを指します。
そして、「インペアード・パフォーマンス」とは「気づきにくい能力ダウン」のこと。
「気づきにくい」とは、何が気づきにくいのか?
それは、子ども自身が、集中力、判断力、作業効率が低下していることに気づきにくい。
それだけではありません。
そいう症状が、かゆみ止めを飲んだことによる影響だとは気づきにくいこと。
また、周囲の親や教師なども、そのような症状や原因に気づきにくい。という意味も含んでいます。
眠かったり、ぐずってたら、効いてる証拠?
「ああ、だったらすぐに眠くなったり、集中力がなくなったりするから、かゆみ止めが良く効いている証拠だね」
といい見方をする人もいますが、これはちょっと違います。
実際、「眠気」や「インペアード・パフォーマンス」が起こることで、薬が効いていると感じている方もいるようです。
が、これは錯覚で、効果と副作用の程度に関連性がないことは、医学的研究でわかっています。
現在では、高い効果を持続しながら、脳内に移行しにくい薬もあります。
また、同じ薬でも、効果の出かた、副作用の出かたに、大きな差があるようです。
「この薬で、あの子は眠くなりにくいと言ってたのに、そうでもないみたい」というように個人差が大きいということですね。
もちろん、すべての眠気や集中力低下などを、かゆみ止めを飲んでいることに結び付けられるわけではありません。
しかし、「眠気」や「インペアード・パフォーマンス」で生活に支障を感じるのなら、お医者さんとの相談も大事になります。
そしてさらに重要なのは、アトピーでは「かゆみ止めの飲み薬」による治療は、大きな柱にはならないということ。
「かゆければ、かゆみ止めを飲んでおけ」というのは間違いです。
きちんと皮膚の炎症をしずめて、かゆみをおさえる点では、ステロイド外用薬のほうが、はるかにすぐれています。
かゆみ止めの飲み薬だけで、強いかゆみや湿疹をおさえることはできません。
ステロイド外用薬が主役。かゆみ止めの飲み薬は、あくまでも補助。
それが、正しい薬の使い方なんですね。