こんばんわ、未風です。
初レポ、早くも後半戦です。
もうこうなると、単なる備忘録、的な。
身体はグロッキー中…胃腸風邪~、かな。
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STEP 4
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冬馬さんと並んで廊下を歩いていると、向こうから神堂さんがこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
春「冬馬……。お前、どこ行くんだ?」
冬馬「この前の取材の続きだよ。ちょっと出かけてくる」
神堂さんが私の顔をチラッと見て言う。
春「……ちゃんと戻ってくるんだろうな?」
●●「練習中にお邪魔してすいません!取材が済んだら、すぐに冬馬さんをお返ししますので……!」
私が慌てて神堂さんにそう言うと、すぐ隣で冬馬さんが苦笑いする。
冬馬「●●ちゃん、別に俺は春のものじゃないんだし」
春「……謝るのはこっちの方だ。この前は大きな声を出して、すまなかった」
●●「そんな、私は何も……」
(そうだ、あの時は冬馬さんが仲裁に入って……)
と、急かすように冬馬さんが私の背中をポンと押した。
冬馬「さ、行こ?」
そう言って冬馬さんが先に歩きだす。
私はスタジオに向かう神堂さんにもう一度頭を下げて、冬馬さんの後を追った。
冬馬さんに連れられて、私はスタジオ近くのカフェにやってきた。
飲み物を注文して向かい合わせの席に座ると、冬馬さんが顔を近づけて聞いてくる。
冬馬「こんな風に二人でお茶するのって、初めてだよね」
●●「そ、そうですね……」
冬馬「……で、俺の何を聞きたい?」
そう言って、テーブル越しに冬馬さんの顔が近づいてくる。
(冬馬さん、顔が近い……)
接近してそんな風に聞いてこられると、思わず顔がほてってしまって恥ずかしい。
●●「この前の冬馬さん……雰囲気がいつもとちょっと違って、すごいと思ったんです」
冬馬「え?何のこと?」
冬馬さんがキョトンと驚いた顔になる。
●●「神堂さんと夏輝さんが言い争いになった時、冬馬さんが止めに入った時のことです。」
冬馬「あー、あれ……」
●●「二人の意見にきちんと折り合いをつけてまとめて、何か大人って感じで……」
私がそう言うと、冬馬さんはいきなり黙り込んでしまう。
(うわ……またなんか変なこと言っちゃったかも……?)
冬馬さんの顔を見ると、頬がわずかに赤らんでいるのがわかった。
冬馬「あの時は、たまたま上手くまとまっただけで……」
照れ隠しのように、冬馬さんがそっと目をそらす。
(冬馬さん、あんまり褒められ慣れてないのかな……?)
またひとつ、冬馬さんの新しい一面がのぞけた気がする。
そんな風に思った時、冬馬さんが笑いながら聞いてきた。
冬馬「……ところで、こんなんで本当に取材できてる?どうせなら、俺のプライベートのことなんかにももっと踏み込んで取材しなくちゃだめなんじゃない?」
●●「でも、お仕事以外のプライベートまで踏み込んで取材させて頂くのは申し訳ないですし……」
と、冬馬さんは私の言葉を途中で遮るようにこう言った。
冬馬「●●ちゃんだから、教えられるんだよ」
(それって……どういう意味?)
私はドキドキしながら冬馬さんの次の言葉を待った。
冬馬「●●ちゃんだから、踏み込んでほしいんだよ……プライベートの取材、いつがいい?」
●●「あ……、私はいつでも……」
冬馬「そんな適当なこと言わないで。ちゃんと予定立てよ?」
いたずらっぽく笑った冬馬さんにそう言われ、私は手帳を確認する。
●●「じゃあ、この日だったら……」
冬馬「オッケー。じゃあ、約束ね!」
(これって、二人だけで会う約束ってことだよね……?)
冬馬「当日、楽しみにしてるから」
●●「わ、私も……」
(て言うかこれって、もしかしなくてもデートの約束なんじゃ……?)
カフェからスタジオへ戻る冬馬さんを見送りながら、私の心臓は緊張と嬉しさが入り混じってドキドキと高鳴るのだった――。
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STEP 5
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約束の日、冬馬さんが私を連れてきたのは古いバッティングセンターだった。
(ここで、取材……?)
夜の8時を回り、他のお客さんもほとんどいない。
そこに、ここの管理人らしきおじさんが現れる。
おじさん「おぉ、また来てたのか」
冬馬「相変わらず客がいないね~、そろそろ潰れるんじゃないの?」
おじさん「うるせーよ。余計なお世話だ」
おじさんはそう言って笑うと、冬馬さんの背中を親しげにバンバンと叩く。
(冬馬さん、ここの常連なのかな……?)
すると冬馬さんが私の方に向き直り、申し訳なさそうに言った。
冬馬「こんなさびれたとこ連れてきちゃってゴメンね」
●●「いえ、全然平気です!」
おじさん「あれ?今日はツレがいるのか?」
私に気付いたおじさんが珍しそうに私のことをジロジロ見て言った。
おじさん「またこんなかわいいお嬢さんを連れてきて……」
冬馬さんをちらっと見ると、少し照れたように頭をかいている。
冬馬「……今日も軽~くホームランでも打つか」
冷やかし口調のおじさんをかわすようにして、冬馬さんはバットを選びバッターボックスに向かった。
冬馬さんは飛んでくるボールを次々と打ち返し、その度に満足そうな顔で笑った。
(冬馬さん、野球でもやってたのかな……?)
ネット裏で見守る私を振り返り、冬馬さんが聞いてきた。
冬馬「ひょっとして、退屈してない?」
●●「いえ、冬馬さんのバッティングを見せてもらってるだけで、気持ちいいです!」
冬馬「それならよかった」
言葉を交わしながらも冬馬さんはボールをヒットさせ、快音を響かせる。
●●「ここには、よく来るんですか?」
冬馬「……たま~に、ね」
全力で楽しんでいるように見える割には、冬馬さんはあっさりとした答えを返してくる。
冬馬「ねぇ、●●ちゃんもやってみなよ」
●●「ええっ!?無理です、無理、絶対無理!」
(こんな早いボール打てっこないよ……!)
冬馬「大丈夫だって。あっちのならスピードが遅い球が出てくるから!」
●●「でも……」
私が断れずにいると、突然、冬馬さんが私の手を掴む。
(えっ……!)
冬馬「何事も経験しなくっちゃね!」
冬馬さんは楽しそうにそう言うと、私の手を引いて歩き出した。
(どうしよう……あそこからボールが飛んでくるんだよね……?)
私はバッターボックスに立ちながら、怖くて足がガクガクしてしまっていた。
冬馬「平気、平気!」
ネット裏から冬馬さんが声を掛けてくれる。
ピッチングマシーンから合図が鳴り、第一球が私に向かって投げられた。
●●「きゃあっ!」
ボールが飛んでくると、やっぱり怖くてつい目をつぶってしまう。
(ダメ……、バットなんて振れないよ……)
その時、フワッと私の腕が持ち上がった。
(えっ……!?)
振り返ると、ネット裏にいたはずの冬馬さんが、いつの間にかすぐ後ろにいる。
冬馬さんは、私を抱きしめる形で私の両腕を支えてくれていた。
(冬馬さん……!?)
冬馬「俺がついてるから、思い切って振ってみ?」
●●「え、でも……」
(もしもボールが冬馬さんの腕に直撃したら……)
ドラマーである冬馬さんの腕にケガをさせるわけにはいかない……
そう思っていると、冬馬さんが後ろから声を出す。
冬馬「さっ●●ちゃん、思いっきり振って!」
●●「はい!」
冬馬さんの両手と一緒に、私はボール目掛けて思い切ってバットを振り切った。
●●「わっ!」
次の瞬間。カーンと音が響き、ボールが遠くに飛んでいくのを信じられない思いで見つめる。
●●「うそっ、打てた!」
冬馬「どう?気持ちいいでしょ?」
●●「はい!人生初ヒットです!」
嬉しくなって後ろを振り返ると、鼻先が触れてしまいそうなくらい近くに冬馬さんの顔がある。
(こんなに近いのも、人生初かも……)
私は間近に迫った冬馬さんのアップに、思わず赤面してしまった。
冬馬「……ん?どうかした?」
●●「い、いえ……」
私は恥ずかしさでまともに冬馬さんの顔が見れないでいた。
冬馬「じゃ、俺ももう一回打ってくるか」
冬馬さんは楽しそうにそう言うと、私の隣の打席に入る。
私はネット裏のベンチに座り、子どものように無邪気な冬馬さんの姿を眺めていた。
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STEP 6
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バッティングセンターからの帰り道、私と冬馬さんは歩いて公園を目指していた。
汗をかいた身体に夜の冷たい空気が心地よく、私たちは無言で並んで歩く。
(冬馬さん、黙っているけど本当は何か悩みごとでもあるのかな……)
冬馬さんのバッティングを眺めていた時に、バッティングセンターのおじさんが言っていた言葉を思い出す。
おじさん「あんた、冬馬の彼女だろ?」
●●「えっ、ち、違います!」
おじさん「隠さなくても見りゃわかるよ」
(どうしよう……おじさん、勘違いしちゃってる……)
冬馬さんは後ろにおじさんがやってきたことも知らず、ひとりで嬉しそうにバットを振ったままだ。
(困ったな……)
(選択してください)
A:彼女ということにしておく
B:取材だと説明する
私は誤解しているおじさんに、取材だと説明することにした。
●●「実はですね、私は今、JADEの密着取材をしていまして、今日も取材の一環なんです」
おじさん「またまた~、そんなウソはいらねえよ。誰も言いふらしたりしないからさ」
●●「はぁ……」
結局、私はおじさんに冬馬さんの彼女だと誤解されたまま、おじさんの話を聞くことになった。
おじさん「アイツ、普段はあんな風におちゃらけた奴だけどさ……最近はバンドのことなんかについても真剣に考えてて、悩むといつもここに来るらしいんだわ」
(冬馬さんが、JADEについて……?)
●●「……メンバーの誰かが言ってたんですか?」
私が聞くと、おじさんは意外な言葉を返してきた。
おじさん「メンバーが知るわけないよ。アイツが時々うちに来てることは、誰にも言ってないらしいからな」
●●「え……?」
(冬馬さん、メンバーの皆さんも知らない場所に私を……?)
その言葉を聞いたとき、突然戸惑いのような嬉しさのような甘酸っぱい感覚が胸に込み上げてくる。
おじさん「だから、アイツが今日キミを連れてきた時は驚いたよ。……まあ、冬馬のこと、ヨロシクな」
と、冬馬さんが私たちの方を振り向いて大声を上げる。
冬馬「おいおっさん!いらねーこと話してんじゃねーだろうな!」
おじさん「はいはい。お前の女癖の悪さならたっぷり教えといたよ。じゃあ、またな」
冬馬「な……っ!●●ちゃん、そのおっさんの言ってること全部でまかせだから!」
焦って弁解する冬馬さんに満足そうに笑いながら、おじさんは事務所の中に去って行った。
おじさんが去って行ったあとも、私はおじさんの言った言葉が忘れられなかった。
(冬馬さん、真剣にJADEのこと、考えて悩んでるって……)
そんなことを思いだしていると、いつの間にか公園に到着していた。
二人で並んでベンチに座り、一息つく。
冬馬「どう?俺のプライベート、取材できた?」
●●「はい。本当の冬馬さんの姿が、少し見えた気がします。」
私がまっすぐ冬馬さんを見返してそう言うと、冬馬さんは少し呆気にとられたような顔をした。
冬馬「でも、それってほんの少しでしょ?これからもっともっと知ってもらわないと困るなぁ」
そう言って冬馬さんがニヤッと笑う。
●●「いえ、もうすでにたくさんのお時間をとらせて頂いてしまったので……。今回はありがとうございました」
私がお礼を言うと、冬馬さんがふぅ、とため息をついてから言った。
冬馬「だって……これから俺、●●ちゃんのこと口説こうと思ってるから。俺のこと、もっと知ってもらわないと困る」
●●「えっ……」
ふいに真剣な表情で見つめられて、私はどんな顔をしていいのか分からずに思わず目をそらしてしまう。
言葉が見つからずに固まっていると、いきなり冬馬さんが私のほっぺに唇を近づけてきた。
冬馬「これは、その始まりの合図だから」
(ええっ……!?)
驚いたときにはもう、チュッとキスする音が聞こえて……。
(冬馬さん……、どういうつもり……?)
冬馬さんが至近距離で優しい笑顔をこちらに向ける。
冬馬「……これから、覚悟しておいて?」
そう言いながら笑う冬馬さんの瞳は、今までとはちょっと違う。
いつにない真剣味を帯びたその表情に、胸がドキリと鳴る。
(……もっと、冬馬さんのことが知りたい……)
胸の中に芽生えた想いは、もうただの好奇心では片付けられないことにハッキリと気付いてしまう。
恋の予感にときめく、そんな早春の夜の出来事だった――。
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HAPPY END
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