切嗣の悲劇がついに語られました。

終わった直後にはなるほど、と感じると同時に
切嗣が今の切嗣になる経緯としてはちょっと弱いかな、とも感じました。
ところがどうやら次回もまた切嗣の過去編のようです。
主に彼の人格が変わっていくのはそこからの話になるのでしょうね。
まあ、親に裏切られたあげく、友人があんな死に方をしたのですから
十分にトラウマになりそうな話ですが。


この「親に裏切られる」というのは今の切嗣の
魔術に対する見方に影響を及ぼしたのでしょうね。
はじめから魔術師を嫌っていたのなら、
切嗣も今ほど魔術師に対する嫌悪感を抱いていなかったかもしれません。
自分の親であり、あれほど友人が信頼していた魔術師なのですから
親としても魔術師としても尊敬していたのでしょう。
そんな存在に裏切られた上に、友人が実験台として犠牲になったのですから、
切嗣の殺意にも納得がいきます。普通なら親を殺すなんて
絶対にありえない、あってはならないことなのでしょうけれども。



今回関心(?)したのは切嗣の正義はこの時から既に
犠牲を厭わないものとして確立していたという点ですね。
昔の切嗣は今以上に人間らしかったでしょうし、
親を殺すという決断に至るまでの葛藤は大きかったでしょう。

それでも、最終的には自分の情をよりも「正義としての道」を
優先することを選んでいた切嗣はまさに今彼がしようとしていることを
果たすためだけに生まれてきた存在だともいえるのかもしれません。

少なくともシャーレイが望んでいた道はそういう道ですよね。
今の切嗣が自分の正義が正しい正義だと信じて疑わないのは
彼女の影響でもあるのでしょう。魔術に対する考え方をみると
完全に正反対な二人なのですが。


今回、この島の話だけでも十分悲惨な話で、今の切嗣の人格が
こうも曲がってしまったのに頷けるような内容でした。

ただ、少し気になったのが父親が今の切嗣に似すぎているということ。
子供の切嗣にとっては単なる「悪」としてしか映らなかったようですが、
もしかすると切嗣の父親もどこかで脚を踏み外しただけで、
本来はもっと正当な理由で魔術に取り組んでいたのでは…とも思ってしまいます。

結果的にはお金のためとしてしか動けなくなってしまったようですが、
極端な話、その研究も元はシャーレイが言うように
彼の思う正義のためだったのでは、と考えさせられますね。

現在の切嗣も自分と「正義」に対する考えが違う者は容赦なく切り捨てます。
その第一の相手が父親であったとすれば本当に残酷な話です。

少し今までのFateの雰囲気とは違った印象を受けましたが、
切嗣少年の過去が丁寧に描写されていて、すごくよかったです。
次回はいよいよ彼の人格が変わり始めるのでしょうか?楽しみです。