「ほら、アタマが動いてないでしょ!」

そう、〈アタマ〉が動いてない。

この言葉をTVで聞き…
“オヌシ、ただのアイドルじゃなかったのね!?”
…と感激した。

アレは確か、某NHK…
実家で何気に流し見た夜の番組。

その頃、話題沸騰中のダンス動画…
『本能寺の変』がピックアップされ。

ダンス・ユニット…
〈エグスプロージョン〉が登場。

♪ホンノージ ノ ヘン、ホンノージ ノ ヘン…♪

どことなくコミカル…
されどリズミカルな歌詞を連呼し。

これまた、さりげなくコミカル…
しかして、実に魅せてくれるダンスを
おっ始めた時。

司会のTOKIO・山口達也氏曰く…
「ほら!アタマが動いてないでしょ?」。

エグスプロージョン。

彼らのポップなダンスに目を輝かせ…
嬉しそうな顔で誰彼となくそう訴える。

伊達に、歌って踊れるジャニーズ…
…ではなかったのね、彼。

〈アタマ〉を動かさない。

そう、至極簡単なこのフレーズが…
エベレストのてっぺんに刻まれている、
として。

お互いの存在を知らぬまま…
異なる登頂ルートで登り詰めた末。

てっぺんで出逢い、そして!

神々しくもちっぽけな…
下界の景色を眺めているかのような、
感無量の一瞬。

もちろん、眼下に見下ろしているのは…
ふふ、山口氏と自分だけではなく。

およそ考え付くあらゆる仕事人…
とりわけプロの域に達した人たちも、
同じ景色を眺めていよう。

〈アタマ〉を動かさない。

およそ考え付くあらゆる動作は…
〈アタマ〉を動かさないことで、
美しく昇華される。

歩くサマ。

食べるサマ。

「美しい動作は安全でもあるのダヨ」

そう言い続けたのは…
遥かな昔、15年間の教官時代。

クルマを運転する時。

〈アタマ〉の位置が安定しないヤツは…
クルマの動きも安定しない。

直線路でブレたり…
カーブではみ出す。

のべ5万人の運転行動を見てきたから…
堂々自信を以て言い切れる。

〈アタマ〉の位置を動かさない。

首下、すなわち上下の半身…
さらに手と足がどれほど動こうとも。

〈アタマ〉の位置は常に一定…
これがカラダ全体に安定をもたらす。

加えて…
〈アゴ〉を引き、
〈ワキ〉を締めれば。

およそ考え付くヒトの動作は…
精確にして美しく為される。

〈アタマ〉を動かさず…
〈アゴ〉を引き、
〈ワキ〉を締める。

これが人生のエベレストに刻まれた…
1つの真である。

昨今…
自転車乗り絡みの事故が増えている、
と世間は騒がしい。

街ぶらで見かける自転車乗り…
見る限りでは、89.653%がこんなサマ。

〈アタマ〉はフラフラ…
〈アゴ〉はアガリ、
〈ワキ〉に至っては開きまくり。

お世辞にも美しいとは言えぬ上…
走行位置は、フラフラのフラの助。

”もっと手首を下ろせば…
〈ワキ〉が締まってカッコいいのにー”

…とか、密かに思うのだ。

最後に、昨夜!

TVの「鉄腕ダッシュ』…
挑戦していたのが[石の水切り]。

豪腕振るう、石の水切り研究家。

しかして、彼の投石フォルムも…
〈アタマ〉は動いていなかった。


§(C)2017@S.Kayaori§
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友人が経営する旅行会社は…
ここ数年、嬉しい悲鳴をあげている。

増え続けるインバウンド様で、だ。

そう、もちろん “様” 付け。

近視眼的には、中国勢の勢いが…
若干弱まった感ありき、と聞くが。

いやいやどうして…
1歩外へ出てみれば。

雑踏に漏れ聞こえるのは…
ニホン語2割、諸ガイコク語8割。

とりわけ多いのは、依然…
中国、韓国筆頭のアジア系。

ついでに、欧米系は…
いつ見てもTシャツにジーンズ。

まだ寒いだろう?と思う時節でも…
半袖にバミューダ。

レンタ・サイクルに跨がり…
市バスでは人混みに揉まれ、
地下鉄の券売機前で思案に暮れる。

だが、心配はご無用…
彼らの下調べは完璧だからね。

“誰かに聞けばいいや” 的…
激甘思考のニッポンジンより、
遥かに旅を楽しんでいる。

増え続けるインバウンド “様”。

件の友人だけでなく…
ニッポン列島全体が嬉しい悲鳴。

そして、ココにも1人いる。

インバウンド “様(20+)”、と…
“様” を付け倒し感謝しているヤツ。

何を隠そう、この自分。

ふふ、理由を知りたい?

この前、神さまのご機嫌窺いに…
護国神社へ詣でた。

月イチで顔を出す…
3神社ハシゴ詣のうちの1社だ。

幕末志士たちが眠る京の一之宮で…
ペコリペコリ、パンパン、ペコリ。

遮断機付き自動改札通過に…
100円玉3枚を要求する龍馬の墓は。

珍しモノ好きだった龍馬にゃ…
ピッタリの仕組みだとニヤけもするが。

おカネ取るなら年イチでよかろ…
と、今回もスルー。

その時である!

〈真にパワー溢れる聖域では、
なぜか下腹部も便意に溢れる〉

そんな持論を証明するかのような…
一刻を争う緊急事態、発生。

境内に、憚り処は見当たらず…
お向かいの霊山歴史館へ。

走ればヤバし、歩けば遅し…
ならばと、競歩で脱兎の如く。

屋外にある同館の憚り処…
造りから察して、“しゃがみ系”。

この際、贅沢なぞ言っちゃおれん…
と、簡素な合板扉を開けたらば!

これがオドロキの “水洗腰掛け系”!

しかも…
ウォシュレット&ウォームレット!

さらに…
ボタンいっぱいのイマドキ操作パネル!

予想外の最新設備に腰を下ろし…
至福の時を過ごす。

“まさか、ココのがこんなだとはねぇ!?”

そいや、最近の街トイレや店トイレって…
洩れなくこんなんだな?

洋式の…
ウォシュレット&ウォームレット。

ヘタすりゃ…
フタや便座の上げ下ろしも全自動。

ヒザを曲げ伸ばすのがツラそうな…
高齢者のためかとも思ったが。

お爺お婆の増殖は…
今に始まったことでなし。

新たに設備交換するほどの…
利用頻度とも思えぬ場所だって、
トイレはこんなんだし。

…で、ハタと膝ポンっ!

“あ、ガイジン観光客用?”

増え続けるインバウンド様…
もひとつオマケに、様様…様。

外貨を落としてくれるだけでなく。

街トイレ、店トイレまで…
最新式に取っ替えさせるとは、
何たるお力!

嗚呼、インバウンド様様様の…
思いも寄らぬ恩恵で。

わが京の街では、どこでもはんなり…
雅な快便が愉しめるのでおぢゃるよ。

インバウンド様に、合掌。


§(C)2017@S.Kayaori§
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枝垂れ桜で浮名を馳せる…
京都は東山・円山公園。

その昔、麓には也阿弥ホテルと…
吉水温泉というものがあり。

物見遊山のガイジンさんで…
大いに賑わっていたとサ。

古写真に見るセピアな残影…
ハイカラ・ホテルも温泉も、今は昔。

…とはしながらも。

今もその賑わいは、変わることなし。

さて、風光明媚なこの円山の地に…
紙巻きタバコで財を成した、
タバコ王の洋館が佇んでいる。

名は〈長楽館〉。

長く楽しむ、と書いて長楽…
名の由来こそ勉強不足で知らないが。

館から伸びる坂道をそぞろ歩けば…
建礼門院ゆかりの長楽寺ゆえ、
ルーツはその辺りにあるっぽい。

高い天井、磨き抜かれた飴色の階段…
絢爛豪華な調度品に、上質のもてなし。

このカフェ&レストラン…
世辞抜きに、自分リストの首位を争う。

“もてなし”と言えばリッツだが。

長楽館スタッフのそれは…
リッツにはないまろやかな肌感、
気取らぬ上品さが素晴らしい。

「…スゴいよね?」

注文したケーキにフォークを…
円卓を相挟んだわが友が、ボソッ。

そう思っていた自分も、苦笑い。

「…響き渡ってるやんな?」

「…相手に聞こえればOKぢゃね?」

「…ファミレスと勘違いしとんちゃう?」

さっき入ってきた20代後半カップルの…
そう、♀の爆声が轟いていたのだ。

「…もはや、中年の声質だし」

「…同感」

10に満たぬ円卓席のひと部屋…
広いとはしながらも、言わば密室。

ご自分のプライベートな出来事に…
爆声轟かせる感性はいかがなものか?

目の前の彼氏にだけ聞こえるような…
淑やかな声でよくないか?

まさか、他人にも…
それとなく聞いて欲しいのか?

だが、自身のプライベートな話題など…
他人にとっては聞くに堪えない恥部、
とは思わないか?

「職場でねー…」
「シフトがねー」
「休みがねー…」

この豪奢で静溢な空間にお金を払い…
優雅な時間を過ごしたいとする、
他客の存在など考えも及ばないのか?

カフェだから愉しく喋ればよいが…
他人と共有している空間ではないか?

普段の生活圏が、よほど喧しかったり?

同じお金を払いつつ…
片や爆声のお喋りを存分に楽しみ、
片や、静溢優雅な時間を奪われる。

フェアじゃなかろう?

かの大岡越前…
三方一両損の名裁きを待つまでもなく。

“声をTPOに合わせてこそ、レディぢゃね?”

相槌しか打たぬ彼氏だが…
それとなくたしなめてもよかろうに?

それが彼氏の役目であり…
彼女に対する真の愛情でもある。

「あんなの、レストランとかさぁ…」

わが友のコトバを皆まで言わさず…

「…まだ、連れちゃ行けないねぇー」と、

すかさず受けたのだった。


§(C)2017@S.Kayaori§
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「バス・地下鉄2日乗車券」を駆使し…
遥かお江戸から上洛した親友Zと、
わが京の都を漫遊した。

いやぁ、この2日乗車券…
サクサクGOGO、実に快適。

駐車代も、駐車場を探す手間も省け…
しかも渋滞知らず。

バスと地下鉄を組み合わせりゃ…
おおよそ好きなように移動出来る。

さぁて、ご一同!

バス停〈出町柳駅前〉から201号系統…
向かうは、懐かしき〈近衛通〉。

ぜひ連れて行きたかったランチ場所…
京大・楽友会館の最寄り駅である。

すぐ側には母校の中学…
3分も歩きゃ、昔のわが家。

バス停〈近衛通〉は…
だから自分ちの庭先みたいなもん。

席に座るZ、吊革を握る自分。

車内はスマイリーな観光客で満席…
立ち客チラホラな感じだ。

バスは、東西の “大きな道” をひた走り…
京都大学がある交差点を右、そして…。

…南北を貫く東山通に入る。

“大きな道”ってのは…
たぶん、丸太町通なのだけど。

わが道路オンチ脳が…
勘違いしているとハズいので。

今は、“大きな道”ってことにしておく。

未だに、今出川通と丸太町通が…
ゴッチャになるジモティなのでね。

“Excuse me... excuse me... ”

おや?4時の方向から…
上品そうなガイジン・マダムの声。

ん!? 自分かな?

…と、振り向けば。

金髪にサングラス、片手にiPadを乗せた…
ブルーの瞳がこっちを見ていた。

“Ahh... we're going here now...right? ”

ミセス・ブルーは人指し指で…
道路地図が映し出されたiPad画面を、
スーッとなぞっている。

うーむ、ミセス・ブルーよ…
こんな道路オンチに聞いてもよいのか?

ニッポンジン相手でも…
真顔で間違ってしまうというに。

ま、いーか、民間外交、民間外交…。

“Umm ... yeah, yeah, right ...
we're here now on this road.”

…と、答えつつも。

ミセス・ブルーが見ていた地図が…
漢字表記だったことに、ちょい驚き。

“...then, what road are we gonna go in? ”

…here? …or here? と、
交差点を指差すミセス・ブルー。

わぁ、間違えると外交問題!?…
…なんて焦るも、iPadを再び覗く。

むぅ…と、5秒の静寂。

あはは、ご一同!

さては、わが道路オンチ脳が炸裂し…
地図迷子になったとお思いだろう?

きっぱり、否。

揺れる車内に、微細な文字。

地図迷子以前に…
文字が黒点にしか見えんのぢゃ。

“Well, could u pass it to me, plz?”

ミセス・ブルーからiPadを受け取り。

“…and, may i make it bigger?”

そして、人指し指と親指でビニョ~ン。

おし、見えた!

[東大路通]

自分的には…
“東山通”と呼ぶ方が馴染み深い大通り。

“Oh, here...we will bend at this point. ”

“Uh huh,... got it, thank u so much!”

チョー苦手な道案内を終えるも…
自信度91.351%。

実際に曲がるまで…
ドキドキだったことを吐露しておく。

バス停〈近衛通〉。

かつて電話代を払いに…
月イチ、親に連れられていた電電公社は、今やコンビニ。

かつては第2錦林小学校だった…
懐かしのわが中学。

「はーい、ここでランチ!」

中学校舎真向かい、白亜の洋館。

かつてGHQが接収した…
京大・楽友会館。

[喫茶食堂]。

豆電球らしき電光看板が…
超絶美味なランチより先に、
Zのココロを射止めたのだった。


§(C)2017@S.Kayaori§

威風堂々…
ワルキューレのメロディと共に。

遥か地平から現れ出でる…
不気味な軍事ヘリの群れ。

コッポラの名作『地獄の黙示録』…
その名シーンが如く。

朝靄立ち込める舗装路に…
続々姿を現し出でる自転車の群れ。

…さらに群れ、群れが続々、嗚呼続々。

…チリリーン。

その様はまた…
『ハムナプトラ』の銀幕に溢れ出た…
古代エジプト、スカラベの群れが如し。

…ザワザワザワ、なんてね。

その昔、テレビの旅番組に見た中国…
その忙しなき朝の光景は、
まさにそんな感じだった。

そして、今。

ここ数年、爆発的に急増した “群れ” が…
ニッポン列島を蹂躙している。

ゴロゴロ、ゴロゴロ…
ガタガタ、ガタガタ。

地下街でも歩いてみれば…
密閉空間に響き渡る轟音たるや、
想像を絶する凄まじさ。

ゴロゴロ、ゴロゴロ…
ガタガタ、ガタガタ。

底面にくっついた4つのコロが…
フロア・パネルの継ぎ目やら、
床タイルの目地を横切る度。

線路の繋ぎ目でガタゴト、ガタゴト…
まるで電車さながらの大音響。

ゴロゴロ、ゴロゴロ…
ガタガタ、ガタガタ。

旅美女たちが後ろ手に引き…
ビジネスマンらが片手に押し歩く、
絶賛流行り中のボックス・キャリー。

はてさて、流行り出したのは…
5、6年くらい前だろうか?

薄い記憶ながらも…
金属製折り畳み式原始的キャリーに…
皮張りトランクを縛り付け。

“キャリーにすれば楽なのにさ…”
…なんでみんな使わないんだろう?、と。

周りの旅人を見ながら、その頃以前…
旅先で不思議に思っていたから。

そう、5、6年前以前なら…
旅荷をキャリー引きしているだけで、
好奇な視線をけっこう浴びもした。

それが今や、ネコもシャクシも…
ゴロゴロ、ガタガタ。

そのネコシャクシたちが…
群れなし移動している様を見るにつけ。

中国大陸の自転車軍団か…
エジプトはスカラベの大群か、いや!

局所的に大量発生したイナゴやら…
命儚きウスバカゲロウの群れを、
想像してやまなかったりするワケ。

カラフル、オシャレなデザインで…
お手頃サイズが店頭に並んだゆえの、
ブーム到来。

“やっぱ、引き摺った方が楽でしょ?”

キャリー・ブーム黎明期…
内心そう微笑んでいた自分だが。

カンブリア大爆発的…
“ネコもシャクシもキャリー族“化、
なんて現状を目にすると。

“ニッポンジンの一斉感って、怖っ”

…と、オゾゾ走る日々。

まぁ、スーツ・ケースほどデカくなく…
軽くてオシャレ、しかも楽だとくれば。

旅人、ビジネスマンらに支持され…
“ネコシャクシ” 状態になるのも頷ける。

だが、しかし!

〈ここに智恵が必要である。思慮ある者は見るがよい…〉

ヨハネの黙示録第13章冒頭に連ね…
とある“?”をぶつけてみたい。

それは、明らかに旅人ではなく…
明らかにビジネスマンでもない、
普段着のマダム&小マダムが。

ゴロゴロ、ゴロゴロ…
ガタガタ、ガタガタ。

キャリー界では、彼女らはいったい…
どういう立ち位置なんだろう?

普段着に、ボックス・キャリー。

慣れぬ自分の目には…
何とも滑稽に映って仕方がない。

うーむ。

もしや…
買い物用引き車の代わり、とか?

非日常を味わえる…
セレブ・アイテム、とか?

旅使いではない…
日常使いのボックス・キャリー。

いったい…
何が入っているのか、興味津々。

ゴロゴロ、ゴロゴロ…
ガタガタ、ガタガタ。

右も左も、前も後も…
キャリー、キャリー、似非キャリー。

旅人、マダム&小マダムや…
ビジネスマンたちが今日も引く。

ゴロゴロ、ガタガタにゃ耳を塞ぐが…
街に颯爽感みなぎるのはいいことだ。

ただ、願わくば…
キャリー、似非キャリーに拘わらず。

背筋伸ばしてアゴ引いて…
カッコよく引き摺ってくれたなら、
もっとよさげ。

だって、アゴ上げた…
猫背で引くキャリー姿なんて!

“引き摺ってるのは、人生の重荷?”

…とか、聞きたくなるもの。



§(C)2017@S.Kayaori§