「ゆうき」という名前はけっこう気に入っている。
幼いころはショートカットでこんがり日焼けしていたこともあり、よく男の子に間違えられた。どう思っていたかはあまり覚えていないが、いい気はしていなかったんじゃないかな。
小学校に入学したときは、男女で色分けされた名前シールがつくえに貼ってあった。女の子は赤、男の子は青。私のシールはもちろん?青。幼いながら乙心が傷ついたような気がする。性別で色をわけるなんていまはないんだろうなあ。
音楽の授業では、「勇気一つを友にして」という歌の「勇気」のところになると、クラスメイトがニヤリと私を見るので、どういう顔をしていいかわからなかった。また、のちに勤めることになる製薬会社のドリンク剤「リゲイン」のCMソングも天敵だった。
そんなわけで、小さいころは「ゆうき」という名前にあまりいい想い出はない。

写真は、札幌に来てまだ数日の2009年9月末に、たまたま散歩中にみつけてぶらりと入ったカフェで撮ったもの。
たくさんの本がおいてあるブックカフェなのだが、窓際のテーブルの上に『勇気(Courage)』というバーナード・ウェーバーの絵本が置いてあるのが目に入った。きらいなやさいをいやなかおせずにたべる勇気から、ときにはさよならを言わないといけない勇気まで。いろいろな勇気がほのぼのとする絵とともに描かれている。自分のなかの勇気に気づくとてもすてきな絵本なので、勇気を出したいとき、勇気ってなんだろう?とあらためて考えてみたいときなどにおすすめだ。
勇気/バーナード ウェーバー

札幌に来たばかりで新生活に心を躍らせていたけれど、不安がないわけでもなかったこの時期に、「ゆうき」というわたしにとって最も身近な響きのタイトルの絵本から勇気をもらった。

そして、そのあとも、この場所には縁があった。わたしが子どものアトリエを最初にひらいた「もみの木工房」は、この「
Brown books Cafe」と同じ敷地にあり、入口どうしの距離は10歩ぐらい。会場を探していたときにネットで見つけ、いってみたらたまたまお隣だったというわけ。
工房の鍵はカフェで受け渡しをしてもらっていたので、毎月のようにカフェに行き、カフェスタッフの方との会話をたのしんだ。
わたしにとってアトリエを開くことはとても勇気のいることだった。知人もほとんどなく、子どもに関わる仕事をしたこともない。なにもかもはじめてのチャレンジだった。そんな中、快く会場をかしてくださったり、アトリエの考え方に共感し運営に力を貸してくれる人たちにも出会った。
この場所は「アトリエいろのたび」の原点ともいえるたいせつな場所となった。
昨年12月末、「もみの木工房」のあるアパートが老朽化のため立て替え工事をすることになった。そして、同じ敷地にある「Brown Books Cafe 円山店」もまた、クローズすることに。

最終日の今日、カフェをたずねた。『勇気(Courage)』をさがしたけれど、今日はみつけることができなかった。あのときだからこそ、出会うことができたのかもしれない。
勇気と出会いをありがとう。
それから、冒頭に名前を気に入っているなんて、ちょっと上から目線の発言をしたけれど、ゆうきという名前をつけてくれた両親にもこころから感謝したい。「ゆうき」と親しみを込めて呼んでくれる人たちから、またいつもわたしに寄り添ってくれている「ゆうき」という名前そのものからもらった勇気は数えきれない。ありがとう。
アトリエいろのたび
すがはら ゆうき