地球防衛軍(1957) *ネタバレ* | アシカガの樹

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前回に続きまた東宝特撮です。

なんとなく見た予告編に出てきたゴレンジャーを彷彿させる宇宙人ミステリアン。



中の人の顔が丸見えでどこか間抜けなのですが、達磨を被った様なデザインは愛嬌がありなんかクセになる。

見慣れてくると黄色く丸いヘルメットがなんとも絶妙なんです。
この淡い黄色いと白のツートンたまらんなー。後ろの水色の人もいいですね♪
基地内のデザインもレトロフューチャーしてて素敵です。

そんな視点で見始めたのですが陸上防衛隊とミステリアンとの攻防は60年前という時の経過を物ともしない迫力あるアクションシーンが展開されます。
ミステリアン基地の光線により戦車が'ヘニャ'っと融ける感じとか見事です。




この映画の設定は大原子(核)戦争で故郷を失った宇宙人ミステリアンが地球へ移り住もうと侵略してくる・・・という一瞬かなり有りがちで分かりやすいお話ですがその内容はとても深いです。

核実験や核戦争の被害を受けた日本からのメッセージがストーリー全編に渡り盛り込まれているように思います。
台詞の中でも「ストロンチウムの影響でミステリアンの子供は90%が異常児だ」とか、攻防戦の中で「原水爆を使ってはそれこそミステリアンの二の舞だ!」とか、ミステリアンの発する光線が強い放射線であることなどが語られています。


「地球を支配するのはミステリアンか?人間か?・・・いいえ、科学です」

とミステリアンの科学力に魅せられた一人の科学者がミステリアンに加担するのですが最後に

「高度な科学もその使用を誤ると危険だ!地球はミステリアンの悲劇を繰り返してはならない!」

と大声で訴えます。

そして安達博士のラストでの一言

「彼ら(ミステリアン)は、永遠に宇宙の放浪者です。我々は決して彼らの轍を踏んではならない」



科学力を最大の武器としていたミステリアンは故郷を破滅させ、核の影響により子孫さえ残すことができない。
核を保持する国や核そのものに対しての痛烈なアンチテーゼを感じます。

こうした派手な戦闘シーンや巨大ロボットなどを売りにしながらも反戦と平和を訴えている良い作品だと思いました。
人類が引き起こした歴史から学ぶ事はたくさんありますがこうしたSF作品が改めて教えてくれることも大事にしたいです。


戦争に限らず日々の生活でも利便性ばかりが発展しまった人類は大地から掘り起こしてはいけない物を掘り起こし、加工し生活に密着している。


先の大地震の事もありますが、なかなか日常の生活に追われていると忘れがちになることも深く考えさせてくれる内容でした。

ネタバレも少々含みましたが気になった方は一度ご覧になられてはいかがでしょうか。