私はアスペルガー症候群でしーた♪


前回までのお話はこちら↓
私の人生を変えた言葉(1)
私の人生を変えた言葉(2)
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「相手が理解できないのは、自分の説明が悪い」

M先生のこの言葉をきっかけに、私自身の考えが全く変わりました。

それまでの私は、文字で書く文章は上手いといわれるにもかかわらず、会話は「説明がわかりにくい」「話をとばすからわからない」と言われることがとても多く、お世辞にも「説明が上手い」とは言えませんでした。それなのに、私は反省するどころか、「理解できへんほうが、アホや!」と思って、怒っていました。

けれど、「相手が理解できないのは、自分の説明が悪い」という考えの下に、自分自身の会話や説明を観察するようになると…

まぁ、自分勝手な前提でしゃべっていること!!!
まったく、相手の状態(何をどこまで知っているのか)を考えもせずに、自分の話したいところから、ぺらぺらとしゃべっていることに気がつきました。それで、相手がわからないと言うと、ぷんぷん怒ってたわけですから、ほんとに困ったヤツだったわけです(笑)

猛烈に反省しました…(汗)

そして、何よりも、「相手が理解できないのは、自分の説明が悪い」という前提で話をするようになってからは、相手が理解できなくても腹が立たなくなったのです。

さらに、「どうやったら、伝わるだろうか?」ということを、必死になって考えるようになりました。
塾の授業では、物理のM先生や数学のR先生の説明を聞きながら、「なんで、この先生の説明はわかりやすいんだろう?」という視点からも研究しました。

(1)話を始める前に、その話について相手が「何を」「どれだけ」知っているのかを考える。
(2)相手に「~は知ってるよね?」と確認してから話を始める。
 「知らない」と回答されればどこまで知っているか確認をする。
(3)相手が知っているところの続きから話を始める。
(4)「コレは説明めんどくさいから、いいっか。」と思うことほど、相手にとっては説明が必要なこと。
 (「説明がめんどくさい」≒「大事なこと」と考えて、ほぼ間違いない。)


こうして、試行錯誤を続けた結果、わかったのは…驚くべきことに、
9割がた、自分が話し始めたい内容よりも、かなり前段階の説明が必要
ということでした。

そして、もうひとつ。
自分だけでなく、自分以外の人の会話もよく観察するようになったのですが、
「相手が理解できないのは、8割がたは説明した側に原因がある」
ということでした。

(残りの2割は、悪意を持って曲解や揚げ足取りをしようとする人や、最初から話を聞くつもりのない人、先入観に凝り固まっている聞く耳を持たない人など、本当の意味で本人に原因がある人です。)

他にも、話をするスピードや相手の受け答えから理解度を推測するなど、もっと高度なことはあります。けれども、それ以前に、ほとんどの場合は、「自分が話そうとする内容について、相手が何をどのぐらい知っているのか」の確認をするだけで、ほとんどの会話はわかりやすくなるのです!

逆に「説明が長い」「そんなことわかってる」と言われるぐらい説明をしてしまうタイプの人もいます。その場合も、相手が知っていることを正確に見抜けていないから…というよりは、単純に、その人が「ココのぐらい丁寧に説明した方がいいにちがいない」と言う思い込みによるもの。つまり、単に「自分が話したいところから話している」と言うタイプなのです。

説明が不足する人も過剰になりすぎる人も、共通しているのは、話を始める前に「相手の知っていること」を把握することが抜けているのです。

「●●は知ってるよな?」(相手の知っていることを確認する)
「うん」(知っていることが確認できた)
「実は、その●●が…」(知っていることからつなげて話を始める)
(もちろん、相手が「知らない」と答えれば、その説明から始めます。)

そして、会話の途中でも、話題が展開するときや、新たな人物・場所・物・事が登場するときには、「…で、●●って知ってる?それが…」と、途中で確認を入れて、相手が「うん」というのを確認しながら話すことで、相手が話しについていけなくなるのを防ぐことができます。

(ちなみに、このブログの場合は、発達障害の方をターゲットとしているので、フツウの人には少しくどいぐらいの状況説明や同じ内容を反復したり、主語をできるだけ省略しない、難しく聴こえる言葉を避けるなどの注意をしながら書いています。)

こうした、試行錯誤は、大学生になって塾の講師をする中で、さらに磨きがかかりました。きちんと、意識をして工夫すれば、きちんと説明ができるようになるのですね。
M先生の言葉で説明を意識するようにならなければ、発達障害を解説するこのブログも存在しなかったかもしれません!

そして、会話のテクニックよりももっと大切なものがあります。

塾の講師をしていると、あのときの私と同じように「先生、ごめん。わからへん…」という子供に何度か出会いました。そのたびに、私は「あぁ、あのときの私がここにいる…」と優しい気持ちになれました。M先生にかけられた、あの言葉をその子供達にかけるたびに、こう思いました。

「もしかしたら、この子供たちも、将来、同じことがあったら、同じようにこの言葉を伝えてくれるかも…」

そう。優しい気持ちを受け取れば、優しい気持ちを伝えられる人になれる。
教師の言葉は、教え子を通して、未来の子供たちへと広がるのですね。

M先生の優しい気持ちが、私へと伝わり、私からさらに次の世代へ…
未来のたくさんの子供たちに、この優しい気持ちが伝わりますように…


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