SPAと人権条項

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EUが日本と交渉中のSPAに、人権条項を盛り込んだことによって、再びというか、やっとというか、死刑問題がホットなトピックに浮上してきたようです。

改めて死刑廃止論の主張を整理する記事も見かけます。

その中で、私には不思議でならないことがあります。
「国家だからといって『殺人』は許されない」というのが、死刑廃止派の論理の一つだということです。
殺人は重罪である。それならば、なぜ国家は死刑という殺人を犯すのか? それは許されるのか? というのが死刑廃止派の倫理だということです。
なるほど、素朴でわかりやすい。

しかし、一応死刑廃止論者のはしくれであるかもしれない私はそんなことは言っていません。
今まで一度もそんな甘いことを言った覚えはない。
そうではなく、端的に「国家には国民を殺す権利はない」と言ってきただけです。
死刑囚に情状酌量の余地があろうが無かろうが、生い立ちがどうだろうがそんなことは関係ない。谷垣法相は、「残虐非道な罪を犯した死刑囚二死刑を執行するようにしたが、死刑囚の生い立ちを見ると、みな不幸な人たちであったと思う」などとおっしゃっていましたが、単に政府には、国民を殺す権利がないと言っているのです。
歴代の法務大臣は「個人としての私は死刑を執行するのは苦しい、しかしこれが法務大臣の職責だから死刑にせねばならない」と、国家の義務として死刑を行うことに何ら疑問を挟まない言説を聞くたびに、『ああ、前提となっている民主主義的価値が異なるのだな』と思うだけです。

この二つの主張の間に横たわる大きな差異が政府に理解されない限り、日本は民主主義や人権感覚においてEUとは価値観を異にする、と判断されても仕方がないなと思います。どちらが正しくどちらが劣っているというのではなく、価値観が違うのだと。

私自身は、平安時代の日本が数百年にわたって死刑廃止国であったことに注目しており、古代的な発想とはいえそこに横たわる基本的な価値観は近代のそれと同じです。素朴とはいえ、そこには政府が人民すべての生命を怖れかしこむ倫理的姿勢が生きてました。その伝統的価値観に基づいて日本も死刑廃止に踏み切ることができると主張しているのですけど、それが1ミリも伝わらずもどかしい。
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電車の中で考えてたこと

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 未来の世の中がどうなっているのか知りたいと思うときと、昔はどうだったのかもう一度見てみたいと思うときが交互におとずれます。
 先日の夜、帰りの電車に乗ろうとしていた時のこと。そこそこに混んでいた電車の出口から降りる人が途切れ、ホームで待っていた人たちがぞろぞろ乗車を始めました。ありふれた通勤帰りの光景です。するとその時、まだ電車の中に降りる乗客が一人残っていて、乗り込む人と軽くぶつかったんです。その乗客は、ぶつかった人を険しい目でにらみ、チッと舌打ち。特に急いでいる風でもなく、ただ、降りる客を優先させるルールが守られなかったことに、不快感を感じているように見えました。でもどう見ても、あのタイミングでは仕方がなかったでしょう。その人が降り遅れただけです。
 ふと、同時に二つのことを思ったのです。
 一つは、昔に比べると、社会全体の公共マナーがよくなったんじゃないかなということ。
 もう一つは、マナーが厳格なルールとなってしまって、なんだか厳罰ムードまで増してきたんじゃないかなということ。降り遅れた乗客が一人いたことを見落としただけで、その場に居合わせた人たちが全員居心地悪い思いをしなければならないほどのことなんだろうか。
 で、昔はどうだったかなあと、電車に揺られながら一生懸命思いだそうとしていたんです。
 今は誰でもラインを守るのが常識となり、それが久しい。東京でも関西でも。降りる客優先ルールも完ぺき。日本社会の秩序正しさは、海外から評価が高いそうだけど、なんだかこのほんの数年、ちょっと変わったような気がするのは気のせいなんだろうか、どうだろうか。失われた20年、停滞の20年と一口に言うけれど、社会は20年前とは確実に変わっている。どう変わったのかなあ、もう一度昔をみてみたいなあ、と。
 関係ないけれど、昨年度の経常収支は1兆円を切りそうな気配濃厚ですね。以前、ブログを書いてた頃は10兆円超えてるのが当たり前だったのに(09年 13.3兆円 10年 17.1兆円)。発表は来週でしょうか。今後世の中どうなるのか、できることなら未来を前もって知ってから対策できればいいなあ。
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余分なもの

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4年前、自分にとって余分なものは捨てたいと思っていました。
たとえそれが自分にとってつらいことであっても。
だけど、振り返ってみれば、捨てたくなかったものは、今でも捨てたくないし、
捨てたくないものはまだ捨てられず、
実際捨ててしまったものはといえば、それは最初からどうでもよかったもので、
実のところ何も変わってないのだと思います。
無駄ばかりおおく、妨害があればあきらめてばかりの毎日と思いながら、
案外まあこっそり楽しんでやってきたのかな。
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つれづれなるまま

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ティモシェンコの復活の知らせを聞いて、4年前にここに書いてたブログを思い出し、また再開してみようかと思い始めてた矢先、今度はロシアの軍事介入。
やれやれです。
とはいうものの、世の流れなど気にしてたら、いつまでたってもブログさえ書けないと思い、こっそりと、また愚にもつかない独り言を再開することにしました。

勝手に晦日大晦日

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1 惜年の地球まんまと釣られをり(冬) 海牛
2 切られ与三が鮟鱇の口(冬)泥酔
3 黒塀の観越しの松の雪の舞い(冬)布褸
4 天狼桟敷でウルトラソウル(冬)摩衆
5 くつきりと役者の小股滑る床 (雑) 屠塩
6 花園神社に唐の紅テント(雑)丼神
7 書を捨てよ母のない子を口づさみ(雑)小鶴
8 癒しのメロディ新たな道へ(雑)衆
9 危なかし少年少女夏休み(夏)牛
10 花火を真似て燃えて散りぬる(夏) 山葵
11 今日もまた 旅から旅へ祭り追う(秋)褸
12 実り感謝の神輿の揺れる(秋)山
13 明日の糧浮き世荒波啖呵売(雑)鶴
14 銭を洗ひに弁天詣で(雑)桂
15 菊の助小気味良さ継ぐ御曹子(雑)鶴
16 親の許さぬ女と道行(恋)酔
17 野菊揺れ矢切の渡しひとっ漕ぎ(秋)褸
18 河岸に既に七福神が(雑)衆
19 神無月若い水夫の羅針盤(冬)鶴
20 をとこ威勢でいざ寒稽古 (冬) 塩
21 掛け声の遠く近くに谺して(雑)山
22 GPSは君を逃がさぬ(雑)衆
23 汎地球ましますもののみそなはす (雑) 塩
24 廻る命の再び芽吹く(春)山
25 いつの日か陽炎背負い花遍路(春)鶴
26 うどん県から便りの届く(雑)褸
27 雨乞いの河童相撲の利益あり(夏)山
28 雨蛙跳ね空を占ふ(夏)水
29 週間の予報の如何に嘘を吐き(雑)山
30 仕度もなしに冷ゆる荒(あばら)屋 (秋) 塩
31 殺気読みお主出来るな秋茜(秋)鶴
32 秋の夜長に時代劇読む(秋)褸
33 粟田口国綱備前殺し針 (雑) 塩
34 よくも飽きずに 韓流ドラマ(雑)作
35 朝鮮の秋は好太王を褒む (秋) 塩
36 山の紅葉空に映りて(秋)水
37 ため息の小さき音さえ身にしみて(雑)褸
38 命を削る鑢とぞ言ふ (雑) 塩
39 かつお節日本の知恵よ食文化(雑)鶴
40 グルタミン酸さあ鍋料理 (冬) 塩
41 スキー場三本滑り一休み(冬)水
42 神様ロマンス呉るる頃合 (雑) 塩
43 黄昏て止まり木バーの美人ママ(雑)鶴
44 野良犬の声ゴスペルに似て(雑)衆
45 夢に立つ舞台に舞いぬ花吹雪(春)山
46 おきばりやすの祇園暮れ頃(雑)鶴
47 雨の降る雪になるらし嵐山(冬)水
48 叡山暮れて煮える湯豆腐 (冬) 塩
49 冬籠もり天狗の秘伝会得まで(冬)鶴
50 腕の見せ場はワールドカップ(雑)衆
51 しゃぼん玉飛ぶが如くに脚捌き (春) 塩
52 赤い風船追ふ幼子(春)水
53 式場のビデオに涙父と母(雑)山
54 なれぬポックリ新米舞子(雑)鶴
55 絨毯を踏んで慣れぬは育ちの差 (冬) 塩
56 売れ残り柚浮かべ福呼ぶ(冬)鶴
57 鞍馬寺そぞろ歩けば指凍る(冬)水
58 蜜柑の葉末尖るつめたさ (冬) 塩
59 墓と墓抜ける風さえ年惜しむ(冬)鶴
60 東男の粋に憧れ(雑)水
61 寄席芝居相撲の文字の日本らし(秋)牛
62 一気呵成の墨痕淋漓 (雑) 塩
63 國中に絆の翼広がりて(雑)衆
64 翔んで飛べ跳べ飛べ跳んで翔べ (雑) 塩
65 大トリは夜桜冬美歌いぞめ(雑)鶴
66 カナリヤ血吐き鶫は食はる (秋) 塩
67 別れ詩意味なき言葉繰り返し(雑)鶴
68 大晦日こそ張らめ美声を (冬) 塩
69 横殴り雪降りやまぬ鄙の家(冬)水
70 炉端に遠路の客集まりて(冬)桂
71 山盛りの漬物囲み里自慢(雑) 文茶
72 台所では口手戦い(雑)山
73 春彼岸おはぎ並べて笑顔丸(春)鶴
74 木魚の音も眠気誘いて(雑)山
75 釣り宿に破れかぶれのハンモック(夏) 茶
76 転げて下は鼠の唄い(雑)酔
77 口開けて棚からぼたん蛇の年(雑)鶴
78 木下闇にてアダムを誘う(夏恋)酔
79 年取らぬ人形の居るおもちゃ箱(雑)水
80 幼馴染は屁ぴり腰に (雑) 塩
81 オリーブが風に揺れ落ち恋芽生え(恋)鶴
82 意外に選ぶブルートなりき (恋) 塩
83 先人も花笠踊る奥の道(夏)鶴
84 かへりみたればまた遥かなる(雑)酔
85 海の底竜宮城でまどろみて(雑)桂
86 さらばマンボウ空の彼方へ(雑)褸
87 花桜心は遠く水思ふ (春) 塩
88 汚れたアヒル1羽離れり(雑)褸
89 峰雲やグリークラブの声は飛ぶ (夏) 塩
90 蹴りひるがえるフラメンコ燃ゆ(雑)茶
91 サングラスとればなかなか苦味あり (夏) 塩
92 急な雷雨に街の洗われ(夏)水
93 茫洋と傘を捜して汗淋漓 (夏) 塩
94 受け取る襷踏み出す1歩(雑)褸
95 蜩のてっぺん取りて高き声 (秋)茶
96 涼しさまさる虫をえらびて (秋) 塩
97 秋の夜残り手花火湿りがち(秋)鶴
98 暇持て余し散歩そぞろに(雑)水
99 冬深む花一輪の悲しみよ(花)鶴
〈挙句〉
100 スキップすれば春の近づく褸
100 春心待ち天女舞い降る 茶
100 春目覚め太陽探すカモメ旅 鶴
100 友と歩めば春そこにあり 水
100 春の小川にいのちもどれよ 神
100 小春と言へどなほ涙落つ (春にして冬) 塩
100 a 湯婆抱えて見るは幻桜*根無しの桜を付けて前句とあわせて「花」となるのか?(冬)
b 厳寒去れば旅は吉野へ*やはり「桜」を思わせるように 牙
100 挙句の果ては春の頬笑み 酔
100 蕾の中に春を包みて 桂
100 冴えかえる日に食べる春巻 衆

勝手に笠着5 冬極むの巻

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1 発句 半島に将軍去りて冬極む(冬)山葵
2 脇 赤き糸にてしたる綾取(冬)泥酔
3 二重奏爪弾くギターずれもなし(雑)風牙
4 着物選びに母娘(ははこ)連れ立つ(雑)作
5 三日月の眉のやさしき宵となる (秋)布褸
6 吟遊詩人は竪琴奏で(雑)徹也 
7 吹き荒ぶ砂丘を越えて日本海(冬)楽水
8 水洟垂れる駱駝も哀れ(冬))山
9 面打たれ少年剣士瘤一つ(雑)海牛
10 落ちる椿の潔さにて(春)山
11 板敷きに麦湯芳しひとり座す (夏) 塩
12 山門くぐり心乱るる(雑)水
13 落葉積む無常唱へし風の路(秋) 山
14 卒塔婆の墨は暮れ薄まりて 文茶
15 木枯らしに坊主頭のキンと冷え(冬)山
16 船上で見るオーロラの舞 (雑)作 
17 泰斗呼ぶ光を放て寒の星 (冬) 塩
18 茜色なる春の山の端 (春)水
19 鶯の唄も漸く興にのり(春)山
20 手拍子合わせ踊るかっぽれ(雑)丼神
21 さをとめの眸いみじき向こう畦 (春) 塩
22 田を分けて行く単線の旅 (雑)牛
23 雑踏を離れ仰げば風青く(夏) 山
24 山は紫豊葦原に (雑) 塩
25 独り寝に鍛高譚を酌むをとこ(雑)酔
26 屏風に封ず想いあれこれ (冬)牛
27 仕舞家に旧き吉凶ありて夏 (夏) 塩
28 祈りの声の響く冬空 水
29 堂守の老女聖菓を焼く香り(冬)酔
30小さきなれど捜査する犬(雑)褸
31 八重葎解けば絡みて行きよどむ (夏) 塩
32 足元跳ねる打ち水の水(夏) 毬藻
33 偶然の出逢いどこかで期待して(恋)牙
34 かくあらまほしあのみをつくし (雑) 塩
35 品書きも薄紅色に花の宿(春)牛
36 猪口一杯に君は頬染め(雑)神
37 上善は何の如しや薬喰 (冬) 塩
38 サンタの男子寒き懐(冬) 水
39 そそくさと二重廻しは通り過ぎ(冬)褸
40 整斉歩く飛石の庭 (雑) 塩
41 初日の出待ちて笑顔の痩せ我慢(冬?)山41
42 去年今年泣く鬼のブルース(新年?)摩衆
43 ため息や情けはひとの為ならで(雑)酔
44 我が身内にも雪解けの来ぬ(春)山
45 生命を蔵して新た冴え返る (春) 塩
46 二重らせんの階段昇る(雑)酔
47 誰に似て巣に憚りし閑古鳥(夏)山
48 老舗の女将頬杖をつく(雑)褸
49 宿帳に墨書き入れて汗滲む (夏) 塩
50 解くもとかぬもありて夏帯(夏)酔
51 夕顔に零るる月の明かり取り(夏) 茶
52 つひに暮るれば誰そ佳き姿 (雑) 塩
53 花の夜の呑み助といふていたらく(春)牛
54 ラピュタの城も花に誘われ(春花)褸
55 飛ぶ者も遂には墜ちぬ誰ぞ知る(雑)山
56 日輪の馬車御せぬ少年(雑)酔
57 キャプテンと同部屋となる合宿所(恋)牙
58 君の名呼ぶに声裏返り(恋)褸
59 マニキュアは白の水玉模様とす(雑)牛
60 長雨に濡れ誇る紫陽花(梅雨) 山
61 黙然と梅雨冷え酒をおのがため (梅雨) 塩
62 熱いコーヒー窓の曇りて(雑)水
63 軽快にルンバを踊る僧侶いて(雑)褸
64 枹(ばち)も宙舞う夏の祭や(夏)山
65 戒めを着けて黒衣の長きこと (雑) 塩
66 三三七の声援熱く(雑)山
67 癒されし戦士を抱く月明かり (秋) 藻
68 身に入みて風一過蕭々 (秋) 塩
69 あどけなきままごと遊びの赤まんま(秋)褸
70 半歩踏み出す象の前足(雑)牛
71 年の礼ブーツ戸惑う座敷席 (新年) 藻
72 ゆずり葉供え角度気になり(新年)水
73 懐かしき顔も挨拶くたびれて(雑)山
74 夭折の稚児忘れられずに(雑)衆
75 遮那王の笛の音響く春霞(春)酔
76 風にひとこゑうぐひすを聴く (春) 塩
77 降り止まぬ雨の静かに窓伝ふ(雑)水
78 空見る君の髪はリラの香 (春) 藻
79 人知れず思い染めしか朧雲(春)(恋)桂
80 訊ねる者も見えないままに (雑) 也
81 眺むれば若葉の青のなほ深く(初夏)山
82 大海原に跳ぶ初鰹(夏)酔
83 空に浮く餌を目指して猫に羽根(雑)衆
84 鳥はいるかの鰭つけ泳ぐ (冬) 塩
85 人の波福掻き寄せる大熊手(冬)褸
86 冬の銀河を行く月の舟(冬月)牙
87 山門に落葉寄りたり不許葷酒 (冬)
88 被りの遊女裏木戸へ消ゆ (雑)牛 塩
89 物思い香りに残す沈丁花(春)山
90 君の姿を春眠に見ゆ(春)水
91 ゆらゆらと簪揺れて小走りに(雑)褸
92 古めかしきは祖母の絵姿(雑)山
93 竜田川紅葉流るる袖の色 (秋) 塩
94 勇魚獲りたるをとこに掛ける(雑)酔
95 吹き上げる嘘も真実(まこと)も年の暮れ(冬)褸
96 鬼も転げる法螺を鳴らして(雑)山
97 年の暮修験の道に休みなく(冬)酔
98 切り立つ谷間遊子の枕(雑)桂 
99 荒波の余韻浄める花吹雪 衆
〈挙句〉
100 春の嵐の過ぎし岬に(春)山
100 春風優し朝の街角(春)水
100 山はつのぐむやがて麗らか(春)塩
100 なにはともあれ春に浮かれて(春)褸 
100 春の門出は大船に乗り 藻
100 三番も吹き春本番へ 牛
100 心鎮まりて春の大空 茶
100 船出の春となりにけるかも 桂
100 春の岬に立つ母がをり(春)神
100 春の筏に魂極るかな(春)酔
100 竜雲に乗り花笠の舞(春)作
100 ふと気が付けばすべて微睡み(雑)也
100 落第すれど初心忘れず(春)牙
100 春の惑いを自家薬籠す 衆

満尾おめでとうございます。

勝手に笠着4 月を観つの巻

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1 水洟や夜半蝕さるる月を観つ(冬)泥酔
2 小腹の足しにすする藷粥(冬)布褸
3 竿竹に切り売る師走竹林(冬)桂
4 腰のものなどとうに質入 (雑)酔
5 清貧は晴天と似て寒の菊(冬) 屠塩
6 晴れのダービー馬の嘶く(夏) 褸
7 雪囲い路上の人の手八丁(冬)
8 つい尋ぬるは日がら作柄 (雑) 塩
9 大輪を染め抜く軽(かろ)き単帯(夏)酔
10 たわいなき芸持て囃されて (雑)海牛
11 人はいさ心は知らず綴織 (雑)桂
12 ビルの谷間に人まじふとは(雑)塩
13 ジオラマの駅のホームに散る桜(春)褸
14 踏み切り待ちの赤いチョロQ (雑)牛
15 移ろひて児童歳々新入生(春)桂
16 鉛筆削り今や電動 (雑)酔
17 林業は間伐材で蘇る (雑)愉飛
18 暖炉の傍で一人まどろむ(冬) 楽水
19 マンモスをついに仕留めし石の斧 (雑)褸
20 つけっぱなしのテレビ笑うて(雑)丼神
21 大法螺のメディア夏峰黒頭巾(ときん)(夏) 塩
22 豆絞り巻きひょっとこ踊る (雑)飛
23 面喰いの惚れたをとこは意外にも(雑)酔
24 歌こころ溶かすベルジュラック (雑)桂
25 限定の赤福氷伊勢参り(夏)褸
26 鳥羽のジュゴンは人魚伝説(雑)水
27 八百比丘尼淋しからんと独り節 山
28 若狭井滔とお水取りせむ(春)酔
29 東風吹かば恋する乙女遅刻せり(春) 神
30 始業のベルは何故か二度鳴る (雑)牛
31 徒競走クシコスポスト軽ろき風 (雑)茶
32 皇居一周ウエアばっちり(雑)水
33 気が置けぬ一人二人と月の客(秋) 牛
34 深夜のドライブかける懐メロ (雑)作
35 バスタオル襟巻にするアベックの(冬)酔
36 ゆくかたしらず無駄は承知ぞ(雑) 塩
37 寝太郎の逆巻く波に身を晒し(雑)褸
38 目覚めん桜早雨と散る(春) 山
39 万緑は炯々弱(じゃく)を狙ひゐて (夏) 塩
40 飛び立てばよし鳥にしあらねど (雑)桂
41 空遥かひと山越して秋茜(秋) 茶
42 憂き世を忘れ仰ぐ望月 (秋) 山
43 大都市となりて国政睨みたく (雑) 作
44 小学生の社会見学(雑)水 
45 湾岸の夜の工場大人萌え(雑) 神
46 花火のあがるディズニーランド(夏)牛
47 夢現ねずみのつづら土産とし(雑) 山
48 ころり湯気立つお結び美味し(冬) 茶
49 森に住む小人楽士の円舞曲(雑) 神
50 ビデオ消してとママ怒りだし(雑)牛
51 聞か猿は耳を押さえて舌を出す(雑)褸
52 犬は暑さに喘ぎ舌出す (夏) 塩
53 港町暮れを報せる埴生の宿(雑)
54 おとぎの国へ絵本読み行く(雑) 水
55 春めきてカメラ目線の六地蔵(春)牛
56 賽の河原に子ら花見せん(春) 山
57 夏帽子抱いて眠った夜のこと(夏)酔
58 ぐらぐら揺れてる逆光線(雑)茶
59 立ち泳ぎ流れの淵に沈すカヌー(夏)牛
60 タイタニックはSOSと(雑) 神
61 独身の夜長テレビのシネマショー(秋) 山
62 小腹空いたら即コンビニへ (雑)牛
63 川沿いの屋台のおやじのほっかぶり(雑) 褸
64 地下鉄車庫へ続く裏道(雑)水 
65 狸らが落葉ひらりと化け勝負(秋)山
66 尻尾をこれへ襟巻にせむ (冬) 塩
67 往く人のすずらんの香に振り返り(春)桂
68 毒を孕んで鋭し舌鋒(雑) 酔
69 蜜蜂の女王座して蜜を呑み (春) 山
70 トルコ料理の菓子に驚く(雑)作
71 燐寸する悋気の炎春嵐(春)神
72 愛読すハーレクインロマンス(雑) 牛
73 スキー場可愛さ実は五割増し(雑)水
74 いまやネットの女王となりて (雑) 塩
75 後攻めの黒きナイトがチェックする (雑)牛
76 フレディーの着る全身タイツ(雑)酔
77 男色のマイク持つ手の艶かし(雑)神
78 惣領息子身代つぶす(雑) 褸
79 古暦下に重ねて来年の(冬)酔
80 座布団の下圧(お)さるるあはれ (雑) 塩
81 山田くん思わず呼ばん窓際族(雑)摩衆
82 弁当提げて孫と遠足 (雑) 作
83 天離る武蔵野原に三尺寝 (夏) 塩
84 名も知らぬ樹に名付けて歩く(雑)桂
85 少年の縦笛の音アマリリス(夏)神
86 頬にくちづけ受けて夕焼け(秋・恋)酔 
87 思い出に過ぎぬと言へどさりながら (雑) 塩
88 空に突き出る起重機の腕(雑)褸
89 初雪の白き衣に袖通し(冬) 山
90 旬でもてなす天麩羅の店(雑) 牛
91 木の芽時山の賑わうけもの路(春)酔
92 赤頭巾ちゃん狙うおおかみ(雑)神
93 だまし絵に聞き耳たてて数え唄 茶
94 あと椀ひとつあがりの木地師 (雑) 塩
95 摩天楼対角線を昼の月(秋)牛
96 舟漕ぐ人は煙草を咥え(雑)褸
97 年輪の皺に雪落つ櫓名人 (冬) 塩
98 朝陽豊かな鄙の宿あり 水
99 夜の無き街を踵に花めぐり(春) 山

〈挙句〉
100 春燈水のそばに滑らか (春) 塩
100 束の間の恋春の雪ふる(春) 神
100 春の憧れ文に託して(春)水
100 春くれなゐの帳うるはし(春)桂
100 命が匂ふ春の土くれ(春)茶
100 巻き尾の犬の春駆けまわる春)褸
100 花なれば君甦れ春毎に (春) 作
100 蕾蕾を気にかけながら(春)也
100 春を満たして酒とするらむ(春)酔
100 寄せては返す春の輪廻よ(春)衆
100 句で語り合う春の一幕(春)牛
100 芽虫花粉が飛んで出て春(春)飛
100 胸沁み渡れ春の息吹よ(春)山

満尾おめでとうございます。