京極夏彦さんが原作の『姑獲鳥の夏』が映画化しています。
予備知識としてそれを読もうと思ったのですが、何処を探してもなかったのでこちらを読みました。
そして早くも心の一冊となってしまいました。
京極夏彦『魍魎の匣』
京極 夏彦
講談社 (1999/09)
売り上げランキング: 414
『姑獲鳥の夏』に続く、京極堂シリーズ第2段です。
バラバラ殺人事件と、ある少女の死にまつわるお話で、『極上のミステリ』と銘打たれた分厚い(講談社ノベルス版で683ページありました)小説。よく文庫化できたなぁ…。
でも、ぐいぐい引き込まれてしまうので、短く感じました。
日本推理作家協会賞第49回長編部門賞受賞作なのだそうです。
作中に『匣の中の娘』という小説が出てくるのですが、これが物凄く恐くて、でも、哀しい。
ある男の持っている匣の中に、女の子が入っていて、主人公がそれに魅入ってしまうという内容。この小説が、一連の事件と深く深く『みっしり』と関わっています。
主人公の心理描写を読んでいると痛々しくなって涙が出てきました。
バラバラ殺人がメインのお話なので、迂闊にリアルに想像したら手足が痛くなる気がしました。
別の意味で痛々しい…。
『魍魎の匣』には『みっしり』という言葉がよく出てきます。
隙間なく詰まっている、というような意味の副詞です。この副詞が、よく似合う作品でした。
暗さも哀しさも謎もみっしり。字はびっしり。
笑えるポイントもちゃんとありました。
大の男(いかつい顔の木場刑事)が女優のブロマイドを警察手帳に挟んでいる事とか、
作中の重要な位置を占める『御筥様』という教主に対抗して『御亀様』が急造(対人恐怖症で失語症の売れない小説家、関口さんが御本尊に…)されてしまったりとか。
抱腹絶倒、とまではいきませんが軽く腹筋が痛くなる位の可笑しさでした。
ストーリーも大好きなのですが、私は登場人物に強く惹かれました。
自称『神』の天衣無縫の探偵、榎木津さんやら無駄に知識の多い妖怪大好き古本屋、中禅寺さんやら、謎だらけの人が沢山出てくるのです。
実在しないかなぁ…!
実在するとしたら、戦後直ぐの時点で三十代の人達なので、彼らは現在80代という事になります。
…それは微妙だなぁ…。
ところで、中禅寺さんの古本屋の屋号は『京極堂』です。彼の名前は秋彦さん。この本の作者は京極夏彦さん。ここにどんな意図があるのか気になって仕方がありません。まるで無かったりして…。