5月19日付け日本経済新聞によると、武田薬品工業が2014年3月期末から国際財務報告基準(以下「IFRS」)に移行し、その結果営業利益が400億円程度押し上げられるとのことです。
ここで、5月11日に公表された
武田薬品工業の連結ベースの決算短信を見ると、2012年3月期の営業利益がおよそ2,650億円ですから、この期をベースにみても1割~2割程度の増益となりそうです。
IFRSが適用されることによる増益の要因としては、大きく分けて①のれん(※)の処理②有形固定資産の減価償却方法の変更の2点が挙げられるようです。
(※)のれんについて、誤解を恐れずに簡潔に言うと、例えば純資産が100億円の会社を120億円で買った場合、差額の20億円が買った側の会社の資産に(正の)のれんとして認識されます。逆に純資産が100億円の会社を80億円で買った場合、差額の▲20億円は負ののれんということになります。通常は正ののれんが発生することが一般的です。
まず①のれんの処理について、
現行の日本基準では正ののれんは20年以内の効果発現期間にわたって規則的償却が求められています(上記の例でいうと、20億円を20年で償却すると、毎期1億円が費用として計上されます)。一方、
IFRSでは正ののれんを償却せず、毎期減損テストを行うことになります(上記の例でいうと、減損がない限りのれんに係る毎期の費用はゼロ)。
そのため、IFRSではのれんに係る毎期の償却負担がなくなるため、営業利益を押し上げる要因となります。
特に武田薬品工業の場合はここ数年にわたって大型の買収が続いていましたので、IFRS適用によりのれんの償却負担がなくなることは営業利益を大きく押し上げることになると思われます。
また、②の有形固定資産の減価償却方法の変更について、
現行の日本基準では償却方法については税法の規定に基づいて計算されることが多いと思われますが、
IFRSでは経済的便益の消費パターンを反映した方法を採用する旨が規定されています。
この結果、武田薬品工業では現行の定率法から定額法に償却方法が変更されるようで、これも営業利益を押し上げる要因となるようです。
(なお、償却方法の変更により利益がどちらの方向に動くかは企業によって異なります。念のため。)
このように、IFRSの導入によって売上高や利益が大きく変動する企業が今後も増えてくることになると思われます。
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