先日読んだ「人材空洞化を超える」(日経ビジネス編)の中で、「『育てず伸びず』のデフレスパイラル」という章に、2005年、平均の三倍近く売り上げ、約400百人いる販売員の中でトップに立ったJR東海パッセンジャーズの徳渕真利子さんのことが取上げられています。当時21歳です。しかもその年の1月に入ったばかりのアルバイトでした。


2007 2 メディアファクトリー から、自らの生い立ちを含め、また「パーサー」という仕事を明かした「新幹線ガール 」が発刊され、日本テレビでドラマ化されましたね。ご存知の方も多いと思います。この本も、ドラマも見てはいませんが、当時、テレビの何かのドキュメンタリーで彼女の存在を知りました。「人材空洞化を超える」の中では次のように記されています。


徳渕が売り上げを伸ばせたのは、乗客一人ひとりの顔をきちんと見ているからだ。呼びかけてはこないが、こちらを見ている客に「何かお探しでしょうか」と声をかける。すると「こんなものはないか」と逆に尋ねられ、商品が売れる。今では自然に乗客のテーブルに目がいき、足りなくなりそうなおつまみの追加を勧めることもある。細やかな対応が、実績につながっている。


2007年秋に出された本書で、徳渕さんが車内改札の仕事に転進したことが記されています。切符や列車に関する知識を車掌並みに覚えなくてはいけないこの仕事に、徳渕さんは「お客様は好きですが、列車には興味がなくて、なかなか頭に入りません」と語っています。今頃、徳渕さんは車内改札の達人になっておられることだと思います。

新幹線ガール/徳渕 真利子
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「新幹線パーサー」、言葉に込められた仕事内容は単なる車内販売員ではありませんよということですね。パーサー(purser )とは、yahoo百科事典によれば、「船舶 航空機 の客室の総括者。日本航空では、キャビン・スーパーバイザー(客室全体の責任者)、キャビン・コーディネーター(客室をいくつかに分けたブロックの責任者)と2ランクの責任体制をとっている。全日空ではチーフパーサーが総括責任者となる。船舶は事務長である」。「旅客機・客船などの首席の旅客係」とあります。


航空機でいつの頃からかスチュワーデスをキャビンアテンダントと呼ばなければならなくなりましたが、列車にせよ航空機にせよ日本語では客室乗務員という名称です。JRが車内販売から客席サービスを付加したのに対し、航空会社では客席サービスから車内販売を付加しました。仕事の呼称とは内容も変えてしまうものですが、徳渕さんは自ら仕事の質を高めた人と言えるのだと思います。


はみだしオヤジの起業・夢追いセレナーデ-徳渕真利子

徳渕真利子(とくぶち まりこ、1984 1 - )はジェイアール東海パッセンジャーズ に勤務していた元東海道新幹線 パーサー 2004 3 日本外国語専門学校 ホテル学科卒業。 血液型 B型。趣味はショッピング 、国内旅行 お菓子 作り。父親の仕事の都合で子供の頃から転校を繰り返し、新幹線 に興味を持つ。専門学校 を卒業し名門ホテルに就職するものの、その実態に失望して退職。その後情報誌で「新幹線パーサー」の仕事を見つけ2005 1 アルバイトパーサーとして入社。2005 12 正社員 登用、その年の職場での売り上げ成績が№1となる。2006 8 朝日新聞 の「天声人語 」で紹介される。


新幹線パーサー: 師あり弟あり : 人遊食 : 関西発

http://osaka.yomiuri.co.jp/shitei/te70918a.htm


リバティ・ビジネス・レター2007年6月27日号

http://www.irhpress.co.jp/lbl/lbl070627.html


車内販売員から正社員に抜擢された女性の接客術に学ぶ! - コンピテンシー

http://www.soumunomori.com/column/article/atc-34876/