2009-09-02 14:05:45

紛争は本当に終結したのか【スリランカ】

テーマ:ACTモニタリング報告
5月に最高気温は40度を超え、滞在期間中も30度後半という灼熱の南インドでの10日間を終え、6月末からスリランカへと移動した。


スリランカといえば、今年の5月18日にタミル・イーラム解放のトラ(LTTE)との内戦が終結したというニュースが記憶に新しい。終結宣言直後は、国中が歌えや踊れやのお祭り騒ぎだったそうだが、喜んでもいられない深刻な問題が発生している。30万人もの国内避難民(IDP)の問題だ。


実際に現場に入った人物から話を聞いたという現地NGO関係者の話では、北部での掃討作戦の中で辛うじて逃げてきた避難住民は政府軍が管理する山間部に集められ、水もなく、太陽が照りつける小さなテントひとつに数家族が押し込められている。劣悪な環境で伝染病が蔓延し、生き地獄の苦しさに自殺者が後を絶たないという。


しかし、政府はキャンプでの支援を申し入れているNGOや援助機関を許可せず、援助物資が届けられない。現地NGOでさえ立ち入りが厳しく制限されているため、現場の情報も十分に伝わってこないことから、支援を求める人々の声は国際社会に発信されず、やがて忘れ去られるのではないかということが懸念される。


2005年にインド洋津波の被災地調査で南部から紛争地に近い北東部のトリンコマリーまで訪れた際、LTTEに誘拐されて少女兵士として軍事訓練を受け、その後保護されたタミル人の少女たちに会った。三つ編みにリボンをした愛くるしい笑顔からは想像もできなかったが、当時は丸刈りにされ、武器を持たされていたと
いう。そして保護された後も危険を察知すれば皆で庭に掘った防空壕で一夜を明かすという生活をしていた。


彼女たちは今、どのような気持ちだろうか。「終結した」とされる後でも長く続くかもしれない人々の苦しみ。それを考えると、負の連鎖はこれで本当にストップしたのかと疑問に思わざるを得ない。      


ACC21事務局のブログ
(このような広告版が至る所で掲げられていた。「あなたが長く、安全に生きられますように……国を守るヒーローたち この祝辞はあなたに ―この地域の人々と「若い恒星」である村青年団より―」)


■報告:鈴木真里(事務局長)
2009-09-02 14:02:49

バラマキ型補助に翻弄されるインド農民たち【インド】

テーマ:ACTモニタリング報告
ご存知のとおりインドはどこまで行ってもインド、というほど広大な国土で、アンドラ・プラデシュ州だけで北海道を除いた日本国土面積に相当する。対象地が点在するプロジェクトの場合、数日ごとに平均100km~200km を車で移動しなければならない。


最初に訪れた自然農業普及プロジェクトでは、適切な支援が最も手薄いセクターといわれる農業の厳しい現実を目の当たりにした。「農業補助金」は企業から農薬や化学肥料などの商品販促を受けた政府・自治体が購入を農民に勧めるひとつのツールと化し、一方でNGO セクターには有機農業などへの理解と協力姿勢を示すという矛盾した状況がある。

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(散布した畑の支柱に引っかけられている防カビ剤や農薬の空き袋とビン)


また、選挙で多くの票田を獲得すべく、中央政府・自治体や政党があの手この手の公約をして現金をばらまき、深刻な社会問題を引き起こしている。たとえばセデュール・トライブおよびカースト、バックワード・カーストなどと呼ばれカースト制度の最下層に位置づけられた人々への無料の住宅建設支援、テレビ配布、無利子融資、100 日間の建設労働手当て、インド版「定額給付金」などで、よくもそんなに財源があるものだと首をかしげてしまう。


100 日間の建設労働手当制度は中央政府のイニシアティブで昨年から始まり、住宅建設や道路補修工事等の1 日2~3 時間の労働で70 ルピー(約140 円)が手に入るようになったため人材が流れ、あちこちで農作業の人手が足りず、農民は悲鳴をあげている。無利子融資に味をしめてしまった人々は、NGO が必要最低限の
事務管理コストを計算して設定したマイクロ・クレジット(零細規模融資)も無利子にするよう要求している。


こうした過剰なバラマキ型支援は、コツコツと勤勉に働いてきた人々に依存体質を植え付け、村の相互扶助システムや自立型運営への努力を根底から崩し始めているのを肌で感じている。  


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(「100日間労働手当」制度で、その日の作業を終えて帰宅途中の女性たち)


■報告:鈴木真里(事務局長)

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