2005年11月25日

ココナッツおやじ

テーマ:旅のトラブル - インド
サトナのバスステーションに着いついたら、
「カジュラホーへのバスはすぐ出るぞー、早く乗るならのれ!」
と言いながらバスの運転手が近づいてきた。

ギリギリセーフだったみたいだ。もし、あと5分駅でカジュラホーを目指すか悩んでたら乗り遅れたところだった。どうやら運は少し向いてきたみたいだ。
2人分の料金130ルピーを支払ってバスに乗り込む。
これで所持金が二人合わせて4ルピーになった。これだと一人分のチャイ程度しか買えない・・・ってことになる。
なんかかなり悲劇的なシチュエーションなんだけど、なんか笑えてくる。だって、4ルピーだけしかなくてもバスはちゃんと進むし、こうやってカジュラホーを目指して旅しているじゃないか。すっからかんになっちゃったけど、どうにかここまで進めたし、カジュラホーに着いてからもなんとかなる気がした。

あ、でもバスの中は辛かった。
ギュウギュウ詰めだし、雨降ってかなり寒いし。入り口のドアは全開で走るし。そして、やっぱりヒモジイよ。飲まず食わずで朝9時半から午後3時までバスはさすがに堪えた。
バスの中から外の景色を期待して見てたんだけど、雨が降ってたせいで外は暗くて陰鬱な景色にしか見えなかった。気分もそれに同調して暗く落ち込みそうだったから、故意に見るのを避けた気がする。目の焦点は定まらないまま、ずっと無心で耐えた。

ちょっと和ませてくれたのは、山越えの途中でいきなりバスが止まったときだ。

『あれ?なんで急に止まるの???』
と思ったら、おじさんが一人降りていった。
『なんだ、下車する人がいたのか。』
と思ってたら、しばらくしておじさんが何かを持って戻ってきた。
『なにやってんだ??』
おじさん皆に何かを配っている。僕もその小さな欠片をもらった。
「これはなんですか??」
僕が尋ねるとおじさんは、
「これはココナッツだよ。さあお前も食ってみるか?」
と笑顔で答えるじゃないか。

しっかし・・・、おっさんの一声でみんなのバスは止まるんだなあ(笑)
もらったココナッツの欠片をかじってみたら少し苦くて甘かった。普通なら食べてないかもしれないけど、ひもじかったからそんなココナッツの欠片も美味しそうに見えてしまった。実際素朴でうまかった。

バスから外を見渡した。バスが止まってるせいだろう。
周りには、風の音と、木々の葉っぱがこすれる音、そして雨粒が落ちる音しかなかった。
たまに動物の鳴き声も聞こえたと思う。
走りつづけてたら、たぶん外の風景の美しさを感じる余裕なんてなかっただろうな。おじさんに少し感謝。

バスは何事もなかったかのように再び走り出す。

でもやっぱり入り口から入る風は寒い・・・
なにが楽しくてドア全開で走るんだよおお。

バス停で休憩

どっかのバスステーション
売り子に圧倒されてもお金が無いから買えないぞ
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2005年11月25日

最高のパン、ありがとう

テーマ:旅のトラブル - インド
インド、サトナという小さな町の駅にて。

早朝の駅の警察署には濃い顔のおっさんが一人普段着でいた。本当に警察署かよ!?と思ったがどうやら本当らしい。

このおじさんに、ことの事情を説明したが、なかなか英語が伝わらず苦労した。
『僕の発音がインド風じゃないからかな?』
と思って、ちょっぴりrの発音を巻き舌にしてみたが大して効果が現れないみたい。どうやらこのおじさん、あまり英語が得意じゃないみたいだ。

何度も何度も同じことを説明して、盗難に遭ったことが何とか伝わったみたいだ。やっぱりショックで余裕がないみたいだ。イライラしすぎている。でもまだ眠いから頭はそんなに回らない。

一時間かそこらで調書をようやく書いてもらった。
盗難にあった品を海外保険で補償してもらうためには、盗難の証明書がいる。おじさんにそのことを説明。一所懸命に説明。
こっちは必死だ。何とか証明書を作ってもらった。といってもおじさん、英語がかけないらしい。
まっさらな紙とペンを持ってきて、
「おい、お兄ちゃんや、これに私が英語で言うことを書いてくれな」
と。
おいおい、盗まれた当人が証明書を書くんかいな。おっさんの英語を聞きながらとりあえず書いたが、これはどう見たって高校生が一所懸命書いた作文じゃねーかよ。

『これ、日本で見せてちゃんとお金戻ってくるのかな・・・』

不安はあるが、今はこのおじさん、警察官だけが頼りの綱なので従うしかない。
紙の裏側、正式には表側を見たら、ヒンデゥー語でちゃんとした証明が書かれていた。実はさっきから時間がかかっていたのはこの書類を書いてくれてたからなのだ。少しホッとしたが、果たして日本でこれを見せて理解してもらえるかが不安・・・

待ってる間、列車で知り合ったサトシ君が、持ってるギターで曲のフレーズを弾いてくれたりしてちょっと心が和む。

『まあ、これから何とかなるっしょー』

ってな楽観的な気持ちになってきた。ここでもし僕一人だったらかなりきつかっただろうなあ・・・ 苦境を分ってくれて、しかも言葉が通じる相手が近くにいてくれて本当に良かったな、と思える。

あ、そうそう。前の記事でも言ったが、現在の所持金二人合わせて134ルピーだ。日本円で300円ちょっと。しかも、内一人はT/Cからカメラ、帰りの飛行機のチケットまで盗まれてすっからかんだ。これはかなり危機的な状況。
サトシ君は、ドル紙幣なら持ってるんだがなんせまだ朝7時とかだから銀行は開いてないし、第一どこに銀行があるのかさえ分らない状態。
その後、警察署の所長らしき御偉いさんが出勤してきたので、どうにか両替してくれと頼んだがもちろんNOだった。
サトシ君は両替してくれる人を探したが、やっぱりだめだった。

このサトナ駅の警察署の人々。警察官についてだが、実はかなり親切な人だった。最初、僕はイライラしていたけど、次第に打ち解けるにしたがって悪い人じゃないと思えてきた。
僕らは所持金が少なくて、朝食を買う余裕がなくて、チャイもパンも何も食べずに数時間を過ごしたいた。証明書を書いてくれたおじさんはそんな僕らを気にしてくれて、チャイとバターを塗ったパン一切れを出してくれたのだ。
途方に暮れて、腹が減って、頭がフラフラしてた僕にとって、この時のチャイとパンの味は旨かったなあ、と今でも思う。
困難に遭って「人の親切さ」がやけに身にしみる。
少し、泣けてきたな、この時。全て盗まれた自分のバカさ加減と、そして周りの人の暖かさに。

周りで聞き込みをしたところによると、サトナからカジュラホーへ行くバスは9時半に出るらしいとのこと。料金は一人60ルピーらしい。
駅からバスステーションまでは距離があるのでリクシャを使わなければならない。

バス代二人分120ルピー + リクシャ代10ルピー = 130ルピー

所持金は134ルピーだ
警察署で、僕とサトシ君は悩んだ。
ギリギリ間に合うバスへ向かうか、それとも銀行が開く時間まで待って、お金を手に入れてから行動するか。
カジュラホーへのバスは一日数本しかないとの情報がある。次はお昼過ぎだろう。乗り過ごすとカジュラホーに着くのは夜になる。


僕らは、少ない所持金をポケットにつっこんで振りしきる雨の中、バスステーションを目指すことにした。
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2005年10月28日

洗礼なんかくそったれ

テーマ:旅のトラブル - インド
目覚めた。まだ外は真っ暗だった。時計を見たら午前4時くらいか。僕はいまバラナシからサトナへ向かう寝台列車に乗ったのだった。旅中、朝目覚めると自分がどこにいるんだったか?と思うことがよくある。
僕はサトナ駅を乗り過ごさずに停車予定時刻より早めに起きれたようだ。僕はすぐにベットに横たわったまま周りを確かめた。これは一人旅の癖、目覚めたらまず自分の荷物を確かめる。ホテルでもそうだ。去年、上海へ行くときにお金をはたいて買ったバックパックは枕にしてあったから頭の後ろにあった。ん・・・、そういえば横においていた小さなバックが無い。無い。無い・・・・ぞ。寝起きだった僕にはそれ以上頭が回らないし、かといって慌てて騒ぎ出すような気力もまだない。
『あらら・・・、やられたなー。ははは・・・』
程度しか思考が働かない。
とりあえず、一分くらいその場で考えてみた。バックの中には何を入れていたっけ?昨日の夜何をいれたんだっけ?ん、お金は?そういえばデジカメが無い。帰りの航空券は?トラベラーズチェックは??考えれば考えるほど事態の重さが鮮明になって頭に入ってくる。あ、パスポート!
一瞬、ヒヤリとしたがパスポートだけはジーンズのポケットに突っ込んで寝たので無事だった。パスポートを確認した僕は、一気に全身の力が抜けていった気がした。

昨晩、列車で隣のベットになったサトシさんが起きた。僕は回らぬ頭で「貴重品盗まれちゃいました。ははは・・・」と伝えたら、彼も寝起きで頭がうまく働かないみたいで「ほんとー・・・そりゃやばいねぇ・・・」と一言。二人して茫然だ。ちなみに、財布ごと盗まれて、この日に限って現金を分散させず持っていた。ジーンズのポケットをあさぐると、くしゃくしゃになったルピー札と硬貨が寂しく顔をだした。1ルピー硬貨も見逃さず細かく数えたら所持金が134ルピーしかなかった。日本円にするとたったの300円ちょっとだ。

乗ってた車両、近くの車両を歩き回ってみたがそれらしいバックは見当たるはずもなかった。同じコンパートメントに乗ってたインド人のおじいちゃんに荷物が盗まれたんです、と言ったら「ワシも盗まれたよ。まぁ、インドではよくある事だから。お前ももうちょっとしっかりガードしておかないと。」と日常茶飯事のこととばかりに返答されてしまう。

『インドかー・・・。これがインドかよおおぉ』

インドに初めて旅行するひとには、必ず「インドの洗礼」がやってくると聞いていたが、この洗礼は僕には過激すぎだ。もうちょっと軽いのにしてくれればよかったのに。

全開に開いた車両の乗り込み口から外の風景を見ながらタバコに火をつける。タバコを吸わなければやってられない。さっきからずっと手が震えているのだ。たぶん、この時の僕はそんなに事態を重く考えてなかったと思う。正確にいうと寝起きだったというのもあるけど、本当なら途方にくれているだろう。しかし、手だけは事態の重さを語っているのかもしれない。金も無い、帰りの飛行機はどうなるのだろうか、これまで撮った写真が・・、と色々考えると・・・・

『あぁ、外の風景はのどかで気持ちいいな・・・。』

本当に列車から見える外の風景、流れこむひんやりした風は心地良かった。朝日を浴びてきらきら輝く草原、のどかに草を食べる牛たち。僕の抱え込んだトラブルなんてちっぽけに思えるくらいきれいな景色だった。

『とりあえず、サトナに着いたら警察だなあ。はぁまいった!』
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2005年10月14日

暖かい、甘い、そして苦い

テーマ:旅のトラブル - インド
僕が乗った列車の車両は一つのコンパートメントに6つのベット、両サイドに縦三段ベットがあるタイプであった。僕はそこで一人の日本人旅行者と一緒になった。彼の頭はスキンヘッド、ギターをかついで僕の隣にやってきた。見るからに旅人って雰囲気で、ギターを背負って旅しているところが妙にかっこよく見えた。が、なんと彼は今回のインドが海外初めての旅で、まだ日本を旅立って一週間くらいしか経っていないと言うのだ!インドが海外初めての旅・・・。なんかたくましく見えるが少々無謀な気もする。僕もインドに入って一週間ほどだったのでお互い親近感を覚える。二人でこれまでの旅の話や、日本での生活なんかを話した。

そうそう、インドで日本人と会って話をすると「ぼられました?」という質問をお互いにする。僕みたいなインドは初めてです、っていう旅人は大抵デリーに着いて1日、2日でぼられているのだ。彼もデリーについてからすぐに怪しい旅行会社に連れて行かれて数日間で4万円もするツアーを組まされてしまったらしかった。そのツアーもバラナシで終わってようやくこれから自由の旅をするということだ。ああ惨い・・・ インドで4万円といったら現地の物価から考えると10万も20万もする価値なのだから。事実、こういうふうに到着してすぐに大金をぼられた人には沢山出会った。まあ、実は僕もデリーでぼられそうになって、結局少々ぼられてしまったのだけど。まあ、その話は後々ということで。

さて、列車内に話を戻そう。僕と彼、彼というのもあれだしサトシさんということにしとこう。僕とサトシさんのベットは両サイドの三段ベットの一番上だ。ちなみにベットから天井までの高さは1mもないから、これまで2人で話し込んでいた時の体勢は、実は想像以上に腰に負担がかかるかっこ悪い姿勢なのだ。

夜も深まりお互い寝ることにした。僕はバックパックを枕に、腰につける小さいバックを頭の横において寝る準備をした。僕はこの時、間違いを犯したのは、同じ列車で日本人に出会って、話をして、心に少しの安心と油断を作ってしまったことであった。いつもはお金も分散して持つし、T/Cも航空券も肌身はなさず持つし、デジカメも普通はバックパックに放りこむのに、この時に限って小さいバックに何故かすべて詰めてしまったのだ。普段なら絶対しないのに何故かわからないが心の油断がそうさせたのだ。そして、よりにもよって小さなバックをどこにもくくりつけることもなく、顔のすぐ横に置いて僕は寝てしまった。これまで列車に乗ったけど、何も盗まれなかった。今回は一番上のベットだし絶対大丈夫・・・。どこかでそう思ったのかもしれない。

しかしながら、現実はそう甘くないのだ。決して甘くない。

バラナシからサトナへ。列車は暗闇の中を轟音を立てながら走っていく。
窓からは何も見えない。黒、暗闇だけが広がる窓の外を見ていると、ふと、本当は外には暗闇しかないんじゃないだろうか、と思えてくる。恐怖を覚える。
紫色の雷が向こうの方の雲の間で輝いた。その瞬間、窓の向こうには草原が広がっていてその奥には山があることがようやくわかる。
一瞬、ホッとした。



暗闇
# ある町の路地裏で
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2005年10月08日

時と雨

テーマ:旅のトラブル - インド
バラナシに僕はいて、そろそろ次の町に行ってみようか、という気分になり次の目的地をカジュラホーという町に決めた。「カジュラホー」という響きがなんだか素晴らしい感じがするじゃないか。それに、カジュラホーに行けば、その後、タージマハルで有名なアーグラなどの町も経由してきれいにデリーまで一周コースで帰れるからもある。後から考えるとこの決断が旅の行方を大きく左右したんだけど。

バラナシで滞在してたホテルをチェックアウトしバラナシ駅へ。この日は朝からあいにくの雨である。僕が体験したインドの雨は、スコールみたいに一瞬の豪雨ではなくて、日本の梅雨に降るようなあのしとしとと降るタイプであった。その日は一日中降りそうなしっとり陰鬱な雨であった。

バラナシ駅でサトナ行きの切符を買った。カジュラホーまで行くには、寝台列車でサトナへ。サトナからは5時間くらいかけてバスでカジュラホーへ行くことになる。

切符を買ってから、出発の午後9時までは8時間も時間があったが雨の降る町のなかを動き回る気もなくなる。アジアなどの発展中の町では道路の状態が大抵わるく、バラナシでもそうであったが雨が降ると道路はどこも深い水溜りができてしまう。インドではどこにでも牛がいて大きな「うんこ」があちらこちらに転がっているから、もう雨が降ると大変なのだ。ちょっと歩くとサンダルはうんこか泥か何かわからないものまみれになるのだ。

といっても、ちょっと小腹がすいたので、駅前に小さく集まっている食べ物屋街があったので覗いて見た。そこのチャイやで、あげパンをつまみつつチャイを飲んで屋台のおやじと喋りつつあまりある時間を楽しんだ。チャイ屋のおやじとその子供がやっているチャイ屋は雨にも負けず大繁盛だ。といっても実際は客は僕だけで、大繁盛なのは僕とおやじと子供が僕の持ってたデジカメであれやこれやと遊んで盛り上がっていたからであるが。有り余る時間を僕はそのチャイ屋でしばらくつぶした。結局デジカメが活躍するのはこれが最後であったが。

ようやく午後3時くらいであるが、まだまだ時間はある。雨は一向に止む気配はなくバラナシの町にしとしとと降り続いていた。僕は駅の外国人待合室で持ってきた小説を読んだり、歩き方を読んだりして時間をつぶした。待合室には様々な国の旅行者が入れ替わり入ってきた。結局待合室が閉まった午後8時時に残っていたのは僕ただ一人だった。

サトナ行きの列車は1時間くらい遅れて出発した。今夜この列車で起こる出来事によって僕は旅の路線変更をしなければならなくなるのだった・・・

駅にて

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