【短歌の本のお話。】
★さて本日は、短歌と歌人についての本をご紹介。
俳句や短歌はじじばばのモノというイメージがありますが、ゼヒ若人にも読んでいただきたい本でございます。
『現代詩手帖特集版 塚本邦雄の宇宙 詩魂玲瓏』
え~ここでまず、お断わりをさせていただきます。
今回ご紹介する塚本邦雄(つかもと くにお)さんはカタクナなまでに旧字体にこだわり、作歌活動をされていた方です。
なにしろ活版印刷・旧字体にしてくんなきゃイヤッ!そうじゃなきゃ本は出さないからネッ!とまで、おっしゃってた方です。
ココは故人の意思を尊重したいトコロなんですが、あまりにメンドウなのでとてもじゃないけどできません。
人名および名称その他すべて新字体での引用になりますので、実際の表記とは異なるモノがございます。
ファンの方はどうぞお許しくださいネ。
★それではやっとこさ本題に入ります。
わたしが読んだのは、思潮社の『現代詩手帖』という詩の専門雑誌から出ている特集版。
一人の作家にテーマをしぼった、豪華なツクリのムック本です。
2005年初版、定価は2520円もしやがります。
歌集が買えるじゃないとか言いたくなるけど、言わないヨ。
だって塚本さんの歌集は、超激プレミア価格なんだモン。
これでも安い・・・んですかネ。
塚本邦雄さんは滋賀県生まれの歌人で、2005年に85歳で亡くなっています。
文章という文章はすべてこなす才能に恵まれ、歌人としてはモチロンのコト俳人/小説家/評論家/研究者としても、常に第一人者であり続けました。
塚本さんの華麗なデビューは50年代に飾られますが、60年代には早くも岡井隆・寺山修司とともに「前衛短歌」という新しいジャンルを牽引。
新語/造語/外国語を取り入れた、ロマンティック且つアヴァンギャルドな短歌を数多く作りました。
美語/雅語を多くちりばめたケンラン豪華な作風を生涯貫き、博覧キョーキの古典知識に寄る修辞法の数々には、ただただ圧倒されるばかり。
これまでいろんな本にチャレンジしたつもりではありますが、わたしはこんなにコトバを知ってる人を見たコトがありません。
しかも旧字体、旧字体なんです。
新潮文庫や岩波文庫などで、むかーし翻訳されたっきりオトサタなしの作品を読んだコトがある方は、その苦労がどんなモノかよおくご存知だと思います。
当然ルビなんか、ほとんどフラれてないです。
さらに「句切れ」「句割れ」なんて変則的な短歌ばっかで、五七五七七なんててんで守られちゃいません。
いみじくも短歌をタシナむモノなら声に出してうたいたいトコロですが、読むというより解読。
うう~んとどおやって読むのカナどこで分けるのカナどうゆうイミかなああなんてやってると、一首読むのに5分かかるコトもあるんだヨ。
これらがタダ単に持って回った語りクチとかじゃなくて、効果を計算されつくして選ばれてるコトバってんだから、ほんと「塚本テンノウ」の名前はダテじゃございません。
この本は、そんな塚本さんの追悼企画として出版されました。
ツカモト作品に寄せた原稿を、過去のものから本誌初出までイッキョ大公開。
寺山修司や澁澤龍彦を含む総勢50名以上の作家/研究家が名を連ねていて、豪華な紙面となっています。
★それではココでほんのすこしだけ、塚本邦雄さんのスンバラしい作品をご紹介。
コトバが生み出すキラビヤかなハレーションを、ご自身で感じていただけると嬉しいです。
革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ
当方は二十五、銃器ブローカー、秘書求む。——桃色の踵の
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
薔薇、胎児、欲望その他幽閉しことごとく夜の塀そびえたつ
神にも母にもかつて跪きことなしサッカーの若者の血噴く膝
幼女虐殺犯の童顔それはそれとして軍人勅諭おそろし
プレヴェール忌忘るるころに「おゝバルバラ、戦争(いくさ)とは何とおいしいものだ」
ロミオ洋品店春服の青年像下半身無し***さらば青春
ね、短歌という旧態依然としたジャンルへの概念を覆す、ステキな作品ばかりでしょ!
ケートーが14・5本もあったとかどうとか、自然主義だけが日本の古い芸術学問じゃないってワケです。
これを読んでちょっとでも短歌に興味を持ってもらえたらナ、と思うのです。
★最後にオマケのマメ知識ダヨ!
塚本さんはその昔、幻想文学で高名な中井英夫さんに大推薦されて、雑誌『短歌研究』へ作品が掲載されたという経歴があります。
その後、三島由紀夫にも絶賛・激賞されました。
・・お察しの良い読者諸氏は、もうその理由がおわかりですネ。
短歌作品はそうでもないんですが、小説作品の方はなんて申しますかスっぱいニオイのする、つまりは山本しゅーごろーなんです。
まあそういう風に読まれる方もたくさんいるとは思うので、そのテの方にもオススメですヨ!
★さて本日は、短歌と歌人についての本をご紹介。
俳句や短歌はじじばばのモノというイメージがありますが、ゼヒ若人にも読んでいただきたい本でございます。
『現代詩手帖特集版 塚本邦雄の宇宙 詩魂玲瓏』
え~ここでまず、お断わりをさせていただきます。
今回ご紹介する塚本邦雄(つかもと くにお)さんはカタクナなまでに旧字体にこだわり、作歌活動をされていた方です。
なにしろ活版印刷・旧字体にしてくんなきゃイヤッ!そうじゃなきゃ本は出さないからネッ!とまで、おっしゃってた方です。
ココは故人の意思を尊重したいトコロなんですが、あまりにメンドウなのでとてもじゃないけどできません。
人名および名称その他すべて新字体での引用になりますので、実際の表記とは異なるモノがございます。
ファンの方はどうぞお許しくださいネ。
★それではやっとこさ本題に入ります。
わたしが読んだのは、思潮社の『現代詩手帖』という詩の専門雑誌から出ている特集版。
一人の作家にテーマをしぼった、豪華なツクリのムック本です。
2005年初版、定価は2520円もしやがります。
歌集が買えるじゃないとか言いたくなるけど、言わないヨ。
だって塚本さんの歌集は、超激プレミア価格なんだモン。
これでも安い・・・んですかネ。
塚本邦雄さんは滋賀県生まれの歌人で、2005年に85歳で亡くなっています。
文章という文章はすべてこなす才能に恵まれ、歌人としてはモチロンのコト俳人/小説家/評論家/研究者としても、常に第一人者であり続けました。
塚本さんの華麗なデビューは50年代に飾られますが、60年代には早くも岡井隆・寺山修司とともに「前衛短歌」という新しいジャンルを牽引。
新語/造語/外国語を取り入れた、ロマンティック且つアヴァンギャルドな短歌を数多く作りました。
美語/雅語を多くちりばめたケンラン豪華な作風を生涯貫き、博覧キョーキの古典知識に寄る修辞法の数々には、ただただ圧倒されるばかり。
これまでいろんな本にチャレンジしたつもりではありますが、わたしはこんなにコトバを知ってる人を見たコトがありません。
しかも旧字体、旧字体なんです。
新潮文庫や岩波文庫などで、むかーし翻訳されたっきりオトサタなしの作品を読んだコトがある方は、その苦労がどんなモノかよおくご存知だと思います。
当然ルビなんか、ほとんどフラれてないです。
さらに「句切れ」「句割れ」なんて変則的な短歌ばっかで、五七五七七なんててんで守られちゃいません。
いみじくも短歌をタシナむモノなら声に出してうたいたいトコロですが、読むというより解読。
うう~んとどおやって読むのカナどこで分けるのカナどうゆうイミかなああなんてやってると、一首読むのに5分かかるコトもあるんだヨ。
これらがタダ単に持って回った語りクチとかじゃなくて、効果を計算されつくして選ばれてるコトバってんだから、ほんと「塚本テンノウ」の名前はダテじゃございません。
この本は、そんな塚本さんの追悼企画として出版されました。
ツカモト作品に寄せた原稿を、過去のものから本誌初出までイッキョ大公開。
寺山修司や澁澤龍彦を含む総勢50名以上の作家/研究家が名を連ねていて、豪華な紙面となっています。
★それではココでほんのすこしだけ、塚本邦雄さんのスンバラしい作品をご紹介。
コトバが生み出すキラビヤかなハレーションを、ご自身で感じていただけると嬉しいです。
革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ
当方は二十五、銃器ブローカー、秘書求む。——桃色の踵の
日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン飼育係りも
薔薇、胎児、欲望その他幽閉しことごとく夜の塀そびえたつ
神にも母にもかつて跪きことなしサッカーの若者の血噴く膝
幼女虐殺犯の童顔それはそれとして軍人勅諭おそろし
プレヴェール忌忘るるころに「おゝバルバラ、戦争(いくさ)とは何とおいしいものだ」
ロミオ洋品店春服の青年像下半身無し***さらば青春
ね、短歌という旧態依然としたジャンルへの概念を覆す、ステキな作品ばかりでしょ!
ケートーが14・5本もあったとかどうとか、自然主義だけが日本の古い芸術学問じゃないってワケです。
これを読んでちょっとでも短歌に興味を持ってもらえたらナ、と思うのです。
★最後にオマケのマメ知識ダヨ!
塚本さんはその昔、幻想文学で高名な中井英夫さんに大推薦されて、雑誌『短歌研究』へ作品が掲載されたという経歴があります。
その後、三島由紀夫にも絶賛・激賞されました。
・・お察しの良い読者諸氏は、もうその理由がおわかりですネ。
短歌作品はそうでもないんですが、小説作品の方はなんて申しますかスっぱいニオイのする、つまりは山本しゅーごろーなんです。
まあそういう風に読まれる方もたくさんいるとは思うので、そのテの方にもオススメですヨ!