REIC、緊急地震速報を活用した実証調査・研究進む
REIC、緊急地震速報を活用した実証調査・研究進む
NPO法人リアルタイム地震情報利用協議会(REIC:東京都新宿区)は、気象庁が配信する緊急地震速報を活用した実証調査・研究開発を民間企業などと協力して進めている。現在、保険会社をはじめ120社が会員登録をしており、今後のビジネス展開の可能性が高まっている。
緊急地震速報とは、地震波のうち伝播速度の速い「P波(初期微動)」と伝播速度は遅いが大きな揺れを引き起こす「S波(主要動)」の時間差を利用して大きな揺れが到着する前に、震度や震源、到着までの余裕時間などの地震情報を伝達するもの。これにより、主要動が来る前に、企業であればシステムの保全や従業員の安全確保などに生かせ、一般家庭であれば迅速な避難や火災の原因となる熱源の自動遮断が可能となり、被害を減少させることができるようになる。
この緊急地震速報システムでは、気象庁観測網、防災科学技術研究所観測網による地震観測網から得られた情報をほぼ瞬時に伝達する。8月1日からは、情報を十分に管理できる条件のもとに限定的に先行運用が実施されている。
家庭などの一般運用に当たっては今後の予定になるが、混乱を引き起こさないか、間違いや余裕時間がない場合にどうするかなどについて検討が進められ、早期実現に向けての取り組みが進んでいる。
同協議会では一般利用に向けて、現在NTT東日本、ミサワホームと協力し、宮城県仙台市の「エムズガーデン南中山」などで実証実験を行っている。ここではIPテレビ電話を利用、予測震度と主要動到達猶予時間を画面表示し、併せて音声と警告音で知らせるシステムが設置されている。
実際にどのくらいの余裕時間があれば、人間は助かるのかという問いに対し、理学博士である同協議会の藤縄専務理事は三つの時間を基準にして述べた。一つは「10秒」。これは工事現場などで事故が起きる際、10秒程度事前に予見できると死亡事故が起きないといわれていることによる。次に「5秒」。これはシステムが導入されている仙台市の長町小学校での訓練で、子どもたちは5秒あれば対応ができるようになったことによる。最後は「1秒」だが、これは災害心理学上の話で、地震が来ることが分かるとパニックになりにくく、ある程度落ち着いて対応ができるといわれる。最初から大きな揺れが来ることは少なく、直下型地震でも少しのタイムラグがある。震源が浅い場合はわずかだが、昨年7月に起きた千葉県北西部地震の場合では、震源の深さが73キロメートルと深かったため真上の千葉市で主要動まで3.6秒の余裕時間があった。
地震による被害は、建物損壊や火災など広範囲にわたり、膨大な損失が予想される。保険会社では保険金の支払いはもとより、本社や支店、営業所などの機能のまひといった事業への影響に対するリスクマネジメントが必要となる。
現在、この緊急地震速報を活用するビジネスの可能性に注目が集まっている。保険分野でもこの緊急地震速報が貢献できる可能性は高いと、藤縄氏は語った。




