先日お伝えしました、

11月22日(日)に開催された稽古見学会。


参加された早稲田大学の学生13名のみなさんが感じたこと・考えたことをレポートにまとめてくださいました。


その中から抜粋したものを、全4回に分けて本ブログ読者のみなさまにお届けいたします。


本日は【第1回】と【第2回】をお届けします。『ミュージカル李香蘭』をご覧になった方も、まだの方も、何かを思い出したり、感じ取っていただければ幸いです。


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◆  徐 楽佳先進理工学部  化学・生命化学学科

 

一体李香蘭は中国人なのか日本人なのか?一方、中国人であって日本で育てられた川島芳子はなぜ漢奸とされて処刑されたのか?


漢奸かどうかそれを判断基準とするのはただ一枚の戸籍謄本でした。今のグローバル化された世界なら適用されません。私自身も留学生ですので、身近に帰国子女も多くいます。彼らは中国人ですが日本で育ちました。もしもう一度戦争が起こったら、また李香蘭の物語が繰り返されるかもしれません。

 

口淑子さんは日中友好にものすごく大きな貢献しました。浅利先生のおっしゃった通り日本と中国、中国と日本、黒い髪、黒い瞳。――言語違うけど、文化が通じます。


すべての戦争は絶対人間に幸福をもたらさない。もし戦争好きな人間がいるとしたら、その人たちは戦争を経験したことがないからです


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◆ 田嶋 美登里(大学院政治学研究科政治学コース比較政治学 修士二年)

 

ラストの場面で、上海裁判所の裁判長が、「徳をもって怨みに報いよう」と何度も繰り返す。この言葉は対日賠償権を放棄したときに蒋介石が言った言葉であるという。このミュージカルを貫くテーマの一つでもあろう。

 

このシーンは、私にパリのテロに関する二つの記事を想起させた。


ひとつは、ISの元人質だったジャーナリストの言葉で「ISが一番恐れているものは、我々の連帯と寛容だ。ISが一番ほしがっているものは、憎しみの報復である」

 

もう一つは、妻をテロで殺されたジャーナリストが書いたメッセージ「決して君たちに憎しみという贈り物はあげない。君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈することになる。」そして、「幼い息子の人生が幸せで自由であり続けることが君たちを辱めるだろう。息子の憎しみを勝ち取ることもないのだから」

 

私たち日本人は、「徳をもって怨みに報いよう」という言葉に甘えて、中国で犯した数々の戦争犯罪を忘却してしまい、日本人としての責任を放棄してしまっているのではないか。一方、現代の中国共産党を見ると、国民の日本に対する「憎しみ」をいたずらにあおることで政府に対する批判をかわそうとしているように見える。

 

ラストシーンは、日中両国に対しての戒めともなっているのである。今、李香蘭を再演する意義は、ここにあるのではないか。


---------------------------------- 以上【第1回】


【第2回】はこちらからご覧いただけます。


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