November 23, 2005

弁護士の出向

テーマ:業界オモテウラ
弊事務所では弁護士のSecondment (出向)が頻繁に行われています。
クライアント様である企業に出向する場合と、おつきあいのある外国法律事務所に出向する場合があります。

出向期間は短い場合だと1週間から3ヶ月くらい、外国法律事務所に長期出向する場合は1~3年が一般的でしょうか。

お得意様の大手企業の場合だと、法務部のinhouse lawyer(社内弁護士)達が社員旅行で不在の時の留守番係として「若手弁護士を送ってくれ~」なんて便利な使われ方もしているようです。こんな風にお得意様への出向を繰り返しているうちに、タイムシートのない出向先の方が居心地が良くなって転職して行く弁護士もよく見かけます。

実際、お得意様の法務部に所属するinhouse lawyersの多くが弊事務所のOBだったりするわけです。

さて、クライアント様への出向に比べると外国法律事務所への出向は、お互いの弁護士を派遣する事により法律事務所同士の横のつながりを深めたり弁護士の研鑽を奨励すると言った意味合いが強いようです。

弊事務所では定期的に日本の法律事務所にも弁護士を派遣しています。
難しい司法試験の狭き門をくぐり抜けてきた日本の弁護士さんはエリート意識が強く、外国弁護士を見下す傾向があるようです。
同等な扱いをせず、まるで自分たちの英文ドラフト補助みたいに使うことも少なくないらしいので、あまりシニアの弁護士を出向させることができません。

出向期間中に、ペーペーがするようなしょーもない仕事ばかりやらされてムダに時間を過ごし、フラストレーションをためてしまうことになるからです。
まあ、実際そういう噂が弊事務所の弁護士の間で既に立ってしまっているので日本の法律事務所への出向を希望する中堅弁護士は少ないのが現状です。

かといって出向させる側としてはあまりコミットメントのないぺーぺーの弁護士は派遣したくはないんですよね。
ジュニア弁護士をいったん日本に出してしまうと、引く手あまたの日本のリーガル・マーケットでは誘惑がいっぱいですから、出向期間が終わっても戻ってこないで日本に進出している欧米法律事務所に転職してしまうリスクが高いのですよ。欧米法律事務所でならもっとやりがいのある魅力的な仕事がまわって来るのです。

出向させる側としては今後の関係強化のためにも忠誠心のあるシニア弁護士を出向させたいけれど2年も優秀な人材を遊ばせておくわけには行かないし、人材選びは頭の痛い問題です。

ところで、最近タイの法律事務所から半年の予定で出向してきた弁護士さんと隣り合わせのオフィスになり、仲良くなりました。
次回は彼女のことをご紹介 したいと思います。


坂上 五朗
出向・転籍の実務を上手にすすめる本

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November 18, 2005

模擬裁判大会

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法律事務所に入ってから初めて習った言葉にMootという言葉があります。

牛がムーット鳴く声ではありません。(ネットのサーバ構築のサービス名のことでもありません)

人間の声の方に関係あります。

事務所に入ってから毎年のように社内メールでムート大会の報告を目にします。

「弊事務所代表の司法修習生チームがムート大会の決勝戦で見事ライバル事務所チームを下して優勝しました!
優勝チームのメリーさんとジョン君、おめでとう!」

初めて見たときはなんのこっちゃと思っていたのですが

Mootというのは模擬裁判のことなんですね。

実際の裁判と同じように裁判所で口頭弁論を行うわけです。

弁護士を目指す学生や司法修習生が行う場合が多いです。

学生さんの場合はそれが科目の実技試験だったりするわけですが、Moot大会では参加チームの勝ち抜き戦になっているようです。

私は一度も見に行った事はないのですが、けっこう盛り上がるようです。

日本でもディベート大会は定着してきましたけど、模擬裁判大会の方はまだまだ海外勢相手の国際法分野に絞られているようです。

それにしてもこちらの方は皆さん口が達者な人が多いですよね。
(うちの夫は例外ですが・・・)

小さい時から自分の意見をぱっとまとめて表現する訓練が出来ている人達は違います。

「子供は黙ってなさい」と言われて育った私なんて、今じゃあ意見をふられても「えーと、えーと」と途切れる事多しですから・・・
ここでは思いっきり損していますよ。
今から思考回路を変えるっていっても手遅れですしね~。

よどみなく言葉が出てくる人達がホント羨ましいです。

小島 武司, 加藤 新太郎, 那須 弘平
民事模擬裁判のすすめ

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November 10, 2005

生き残る社名の法則

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法律事務所の名前ってだいたい事務所の創立者や代表者である弁護士の名字をそのまま使っていることが多いようです。
一人だったらA法律事務所。二人だったらA&B法律事務所、三人だったらA、B&C法律事務所みたいな感じですよね。
さすがに4人が限度で、合併なんかで名前が長くなってきたら力関係で切り捨てでしょうか。

このへんは日本の銀行名などと変わらないですね。

さて、今は大規模なナショナルファームである弊事務所も、その前身は各都市に散らばる多くの小規模事務所でした。
それが合併を繰り返して各都市を代表する法律事務所となり、その有力法律事務所同士の横のつながりから徐々に全国規模の法律事務所に発展していったのです。

数ある合併の中で吸収され消えてしまった名前もあれば、しっかり後世まで生き残っている名前もあります。

どの名前が生き残って、どの名前が社名の先頭に来るのか・・・
弊事務所の社名の長い歴史を見てみると、どうもそこには歴然とした法則があるようです。


その法則とは・・・






単なるアルファベット順です。


何年か前に大きな合併を果たした弊事務所ですが私が属していた事務所も合併先の事務所も既にAから始まる名前になっていました。
で、合併後はどちらの名前が先頭に来たかと言うと、Aの次の2番目の文字がアルファベット順で先にくる合併先の名前が採用されました。



なんだかんだいって、弁護士なんて電話帳で一番上に来るものが勝ち!


まあ、理にかなっていると言えなくはないですが・・・


これって老舗法律事務所の知恵?!


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November 02, 2005

年次総会

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今日は弊事務所のスタッフ向けの年次総会(AGM)がありました。
合併してから出来た新しい行事です。

大きな会場を貸し切って、マネージングパートナーによる挨拶や報告等がありましたが、過去に比べると細かい数字を出しての業績説明はありませんでした。

私の属するオフィスは合併前までは州で実力NO.1のダントツの格付けの法律事務所だったのに、別の州でNO.2の格付けだった合併先の法律事務所に実質乗っ取られたようなもんですから、社員の士気ははっきりいって落ちてました。

だからあまり数字で締め付けて尻を叩くのは効果がないと判断したのか、
ムチ続きだったからここらでアメをやろうと判断したのか定かではありませんが、
今回のAGMでは事務所の全社的な活動を紹介するビデオを作成して流したり、
慈善奉仕(Pro Bonoのお仕事やチャリテチィー活動へ寄付)やスポーツ活動など、
いいとこばかり見せて社員としての誇りと士気を高めようという意図が見て取れました。
働きやすい職場で社員は皆一流でハッピーだぜってイメージでしたよ・・・
(リクルート用に作ったビデオかしらん)

うーむ・・・何だか激しく洗脳された気分・・・


確かにうちの事務所は随分とPro Bonoでいいお仕事してるし寄付もあちこちにしてるんですよ。
弁護士費用を払えない貧しい人達が利用する無料法律相談所に若手の弁護士を派遣したりとか、
ホームレスの人達に食事を提供する奉仕団体をサポートしたりとか、
小児病院に毎年多額の寄付をしたりとか・・・

Pro Bono委員会とかコミュニティー活動委員会というのがあって毎年の活動を決めて積極的に奉仕活動に関わっています。
一応、事務所にとっては持てるものの社会的義務「ノーブリス・オブリージュ」って気持ちでやってるのでしょうかね。

なんだかんだいってうちの事務所はやっぱトップクラスの事務所ですよ。

は~あ・・・何だか激しく洗脳された気が・・・
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October 21, 2005

弁護士と雑魚の壁

テーマ:業界オモテウラ
今日は部署内の秘書仲間達とウォーターフロントで2時間半に及ぶロング・ランチをしてきました♪
昼間っから赤ワインを開けてデザートもしっかり食べて・・・
しかもタダ! 上司のサンディー が支払いの承認サインを出すのです。

いったい何があったのかって?

今日から週末にかけて部署のRetreat(社員旅行)があって弁護士達はオフィスにいないのです。
この事務所ではRetreatだとか、Golf Weekendだとかリーガル社員だけを対象とした行事があるんです。
私たちノンリーガルの雑魚社員は除け者扱いなのです。

ね? ひどいでしょ? 不公平でしょ?

ってことで秘書のアリシアがサンディーから見事ランチ代をせしめることに成功いたしました~!
いや~、私たちのランチ代なんて弁護士達が泊まりがけで遊びに行く豪遊費に比べたらスズメの涙ですよ。

部署内の誰かが辞めたり結婚したりする度に設けるDrinkにも秘書にお声がかからない時がたまにあります。
いつもの調子でつい忘れるんでしょうけど、それはちょっと無神経じゃないかって秘書達は怒ります。

サンディーの秘書のステイシーはこういったドリンクの手配を任されるのですが、彼女には「マイ・ルール」があります。

彼女が参加出来るドリンクには各種ドリンクの他に寿司、春巻き、ソーセージロール、チキン等のフィンガーフードも手配します。
彼女が参加出来ないドリンクには各種ドリンクの他にナッツとポテトチップスだけ。

秘書を怒らせたらこわいんですよ!!

さて、優秀なリーガル社員だけ思いっきり厚遇する不公平ぶりは常々感じている事でしたが、弊事務所における弁護士と雑魚の壁をつくづく実感した事件が最近ございました。

この間、ご紹介したメール解雇事件 のことですが・・・
続きがございまして・・・あれから随分とメディアで騒がれました。

ゴシップが広まるきっかけを作ったのは弁護士達。
彼らが社外の一流企業に勤めている友人達にメールを転送しなければ内輪の問題ですんだのです。
面白可笑しいコメントをつけられて社外に流出したメールはあれよあれよという間にビジネスファーム30社くらいに伝播し、一部は政府機関やメディア機関までたどりつき収拾がつかなくなってしまいました。

それだけではありません。この後、社内の誰かが当事者の写真をイントラネットの名簿からコピーしてメディアに提供したので、ゴシップ紙に彼女達の写真と実名がメール本文とともにでかでかと掲載されてしまいました。これでは再就職もままなりません。

いくら不適切な行いをしたからといって、ここまでの仕打ちを受ける必要があるのでしょうか? 
弱い立場の人間を蹴落としてあざ笑う神経にいら立ちを覚えるとともに、彼女達が可哀相になりました。

当事者であるクビのすげ替え可能な雑魚社員は見せしめにし、会社の恥を広めた元凶である野次馬弁護士には注意だけ。

そう思うのは世間も同じなようで、弁護士に甘い弊事務所の措置は不公平だという論調に変わってきました。

ライバル法律事務所のパートナー弁護士も「これだけ世界中の知名度アップにタダで貢献したのだから彼女達はむしろ再雇用して表彰すべき」などといった皮肉たっぷりのコメントを出す始末でした。

解雇されたうちの一人は弊事務所相手に「不当解雇」の訴訟を起こすと言い始めました。
法律事務所相手に訴訟なんてすごいなっと思った私ですが、これ以上のメディアの注目を避けるために事務所は彼女に和解金を支払って起訴を諦めさせたそうです。

まあ、そんなこんなでこの事件もやっとほとぼりが冷めました。


相変わらずこの事務所の弁護士と雑魚のミゾは深~いままです。
あ~あ、今頃、我が部署の弁護士達は美味しいもの食べてるんでしょうね~!

徳住 堅治
私は辞めません―リストラ・職場いじめ・倒産解雇の処方箋
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September 12, 2005

縮小する日系ビジネス

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この間日本人の飲み会で聞いた話なんですが、日本商工会議所の上海事務所が会員数でバンコク事務所を上回って海外で一番大きな事務所にのしあがったそうですね。
いや~、反日デモもなんのその、中国ビジネスは勢いがありますね~。

会員が1000社以上のマンモス事務所に比べまして、我が都市の商工会議所は90年代から会員企業の撤退や他都市へのシフトにより縮小の一途をたどり、今では会員社数100社を割っております。
最近は減少に歯止めはかかったものの依然としてじり貧状態、事務所の資金繰りもなかなか大変なようでございます。

商工会議所事務職の方も会員各社の顔色を伺いながら、昇給もないままずいぶん安給料で働き続けていらっしゃるようで同情してしまいます。
こんな状態ですから、日系企業さんの新規ビジネスもぱっとしたものもがございません。

日本商工会議所には日系企業だけでなく日本デスクのある法律事務所だとかビッグ4の会計事務所、監査法人が会員になっており、日系ビジネス・コミュニティーとのつながりを持っています。

実はですね、ここだけの話ですがね、こういった日本デスクの人たちの間でこそっと交わされる話が

「日系企業相手の商売は金にならんよね」

ということです。

日系企業さんの駐在員事務所に法務や会計のプロが常駐してる事はまれですから、手取り足取りお世話をしなければなりません。
とんちんかんな質問にも丁寧にお答えし納得していただけたかと思っていたら、本社から問いただされてまた似たような質問を確認のために投げてきたり・・
ちまちましたことに時間と手間ばかりかかります。
しかも大型案件を何件も抱えていらっしゃるお得意様ではなく、小型の案件を3年に1回しか依頼されないようなお客様ほど今日中に文書で回答が欲しいとか明日までに契約書チェックしてほしいとかやたらと急かしてくる事も多いし、請求書をお出しすると「高いよ、まけてよ」と甘えてくるのです。
日本人スタッフがいなかったら多分言わないはずです。
同じ案件があったとすると現地企業と比べて2倍の手間、ひま、コストと3倍の忍耐力がいるのです。

それでも日系企業さんが次から次へと進出してくるようなバブルの時代には、大型投資で進出していらっしゃる企業さんを紹介していただいたり、時折どかんと大きな案件が入ってきて元が十分とれましたので、きめ細やかな日系企業サービスを提供する甲斐もあったしコストも回収出来たのです。

けれども今は・・・

日本デスクで働く日本人ってけっこう肩身の狭い思いをしているんですよ。
だいたいプロフェッショナルな仕事してる欧米人って短気な人多いですから「こんな手間ひまかかる会社とは二度と仕事したくない!!」とか言われてしまったり・・・
お客様の前ではへーへーと腰を低くして、短気なローカル弁護士や会計士をまあまあとなだめて、同業者で飲む機会があるとグチをこぼし合うという・・・

日本の景気がいまいち良くならないと、日系企業のお世話をするプロフェッショナル・サービス企業も日本人を下手に窓口として雇って英語も専門知識も知らない中小企業の金にならない小案件ばかり引き寄せて振り回されるより、スパッと日系サービスを切り落として英語で全て通せる大手の日系だけ相手にしてた方がいいと考えるところも出てくるわけでございます。

実は去年ですが、日本デスクに非常に力をいれていたライバル法律事務所が突然デスクを閉鎖して日本人スタッフを解雇しました。
本当にびっくりいたしました。他人事とは思えませんでした。
ライバル事務所さんとはいえ本当にお客様の面倒目がよく、定期的な顧客まわりもかかさず一生懸命やってらしたんですよ。
その功績をぜんぜん評価しないで短期的な視点で簡単に切り捨ててしまう非情にショックを受けました。
逆に一生懸命手間ひまかけすぎてしまったのが仇になってしまったのじゃないかとさえ思ってしまいます。

ワタクシはそんなに表舞台に出ることもない裏方の寄生虫ですけども、会社の方針次第でいつ突然クビを切られてもおかしくない身分である事にはかわりありません。
明日は我が身か???? と思いながら勤務する毎日です。


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September 05, 2005

社内メールでクビ!

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前にもちらっと書きましたが、私は現在弁護士秘書として働いているわけではありません。
去年からポジションが変わりましてBusiness Development (BD)関連の仕事に携わっております。

職務の一つにニュースのモニタリングがございます。
投資関連とか法律関係で目ぼしいニュースがあると日系企業を担当している弁護士の参考のためにクリップしてお知らせしたりしています。

あちこちのニュースサイトをくまなく読むのも大変なので「ずる」しております。
RSSリーダーが使えればいいんですけど会社のネットワークコンピューターにへんなもの勝手にダウンロードできそうもないので今使っている方法は「Google Alert」です。

「Google」サイトで検索キーワードを指定して登録すると、関連ニュースが配信されたときにメールでお知らせがくる仕組みでございます。

クライアント様の企業名とか現在進行中の案件をキーワードとして指定しておくとニュースのモニタリングが簡単にできて便利です。


他にもっと効率の良い方法をご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えてください。

ところで検索キーワードを弊事務所名で指定して届いたニュースの中に「え?」と思うような記事がございました。
ゴシップ記事です。

しかも以前記事にしたこともある 社内メール関連のゴシップ!!!!

弊事務所の秘書同士のメールやり取りがなんと世界の反対側の国のニュースで報道されてるではありませんか!

あーあーあー
こわいなあ、英語圏ってすぐニュースが飛び火するんだから・・・

先週のある日、冷蔵庫に入れておいた自分のランチが紛失しているのに気がついた弊事務所の秘書が「とった人はすぐに返すように」促す社内メールをオフィス内のスタッフに送信したんですね。

そのメールに別の秘書が返答しました。
「違うフロアーの冷蔵庫に入ってるの見たわよ」

その返信に対する返信が
「わざわざ捜査してくれるなんてあなたってなんて親切な人なの!」

そこから個人の誹謗中傷メールに発展してしまったのです。
まあ、弊事務所の「恥」ですから詳しい会話例まではここで書きませんが、まあ男をとっかえひっかえしてるだの、相手のルックスがどうの、どっちの給料が高いだの、職場のメールのやりとりとしては不適切きまわりない表現の応酬メールだったわけです。

実は、私はこのメールを直接受け取っていなかったので、このメール事件やその詳しい内容については今朝ニュースを読んで初めて知りました。

私が属しているオフィスではなく、合併相手先側の別オフィス内であった話なのだと思います。
(それでなければ事前に知っているはずですから・・・)

ニュース記事によると「そのような行為は容認しない」、「問題の二人は現在社内カウンセリングを受けている」という事務所の広報担当のコメントが載っていましたが、今日の午後になって事務所代表から全社員に対して通知メールが届きました。


先週の金曜日にその二人をクビにしたそうです。


それにしても先月全社員対象のEEO(Equal Employment Opportunity)セミナーで社内いじめとは何か、社内でしてはいけない不適切な行為とは何かということについてみっちり教育を受けたはずなのに、どうしてこういうことが起こってしまったのかとても不可解です。

この二人はきっとセミナーに出席してなかったんでしょうねえ。

聞くところによると、この国では弁護士秘書の職場いじめ(Workplace Bullying)が激しい(つまりビッチが多い)ってのは公然の秘密みたいです。
日本のスッチーみたいなもんなんでしょうかね。


とにかく記録が残っちゃうし簡単に他人に転送されてしまう社内メール、取り扱いにはくれぐれも気をつけましょうね。

ノア ダベンポート, ゲイル・パーセル エリオット, ルース・ディスラー シュワルツ, Noa Davenport, Gail Pursell Elliott, Ruth Distler Schwartz, アカデミックNPO
職場いびり―アメリカの現場から
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August 29, 2005

日系海外進出企業のトラブル

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弊事務所は日系クライアントさんのお仕事もずいぶん担当しております。

どんな案件が多いかというと・・・
小さい案件ではオフィスの賃貸契約とか雇用契約のような書類の作成やチェックとかパテント関係等。
中くらいの案件では事業やプラントの買収や売却、債権回収、労使問題等。
大きな案件では資源開発やリゾート開発の入札、企業再建やファイナンシング、大規模な訴訟やM&A等。

日系企業さんはそんなところが主でしょうかねぇ。

投資案件等で日本語のサポートが必要になる事はほとんどございませんが、訴訟案件では必要になる場合があります。
開示する背景資料の中に日本語で書かれた社内文書等が混じってくる事があるからです。

日系企業さんの訴訟案件というと労使関係か債権回収絡みが多いです。

そしてその二つを組み合わせたようなパターンがよくあるんです。

よくあるパターン例:

1.現地の有能なマネージャーを合弁会社や現地子会社等のCEOクラスで雇ったり、あるいはビジネスパートナーとして任命する。
       ↓

2. 現地の詳しいことはわからないので現地のことは軌道に乗るまでお任せします状態で相手を信頼しきる。
       ↓

3.有能なマネージャーがどんどん調子に乗って我が物顔で振る舞うようになり、そのうち個人利益優先で暴走するようになる。
       ↓

4.いざ雇用者としての威厳を示したり対等な関係を築こうとしても時すでに遅し、完璧にコントロール力を失っている。
       ↓

5.堪忍袋の緒が切れてCEOを突然解雇したり、損害賠償を求めるといった最終手段に持ち込み、全面対決の訴訟に発展。

けっこう大きな企業さんでも見かけるんですよね、このパターン。

信頼ベースで仕事をするという日本のビジネス慣習が背後にあるわけですけれども・・・
何でも任されてきた有能な現地の人間にとっては、「とって下さい」と言わんばかりにお尻のポケットから財布が突き出しているように感じるのかも知れません。
まあ、別にここだけの話じゃなくて中国でもどこでも問題になっていることでございますが・・・

そもそも「有能=信頼出来る」わけじゃなくて、「有能な人間は野心家でもある」わけなんですから・・・

訴訟ではマネージャーがいかにその信頼をブチ壊して私利私欲に走ったかといういきさつを浮き彫りにしていくわけでございますが、だいたい日系企業さんの堪忍袋の緒が切れてこじれるまでには長い年月の間の様々なことの積み重ねがあり、しかも日系企業さんの場合、きちんと書面で交わしていない合意等もけっこうあるので、その分を補うための膨大な量の社内文書の洗い出しが必要になるのでございます。

まあ、そういうわけでいざ訴訟になってしまった場合、時間と弁護士費用がやたらとかかってしまうわけですね。

今は日本でも「攻めの法務」などと言われてきておりますけれども、日系企業の中では海外にも法務部があるところはまだまだほんの一握りですし、「弁護士は困った時に頼むもので出来ることなら世話になりたくない」と考えている駐在事務所は多いです。

でもやっぱり海外では「信頼ベース」という考え方はつくづくアテにならないものでございます。
後々の弁護士費用を抑えるためにも(そして私の翻訳の苦労 を軽減するためにも・・・これが私にとっては一番大事!)、日系企業さんにはもっと予防法務に関心を持っていただきたいと思うのでございます。

范 云濤
中国ビジネスの法務戦略―なぜ日系企業は失敗例が多いのか

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August 26, 2005

出戻り就職

テーマ:業界オモテウラ
今の職場で働き始めてびっくりしたことは出戻り就職する人が多い事です。
いや、産休からの復帰とか呼び戻されたからっていう理由じゃなくてです。
こちらの方ってけっこうみなさん顔の皮が厚いと申しますか・・・・

社内のイントラネットにはArrival & Departureのコーナーがあって毎週毎週の人の出入りがわかるようになっているのですが、この間たしか退社のお知らせがあったな~と思っていた人が3ヶ月後に社内を歩き回っているのを発見したりすることがあります。

前は経理部門にいた男性がメンテナンス部門で復帰していたり・・・
確か自分のビジネス始めるって言ってなかったっけ? 
なんて突っ込むのも悪いかなぁ・・・と思って黙ってますが・・・

この事務所、特に合併後にはいろいろ締め付けが厳しくなってきて社員もぶーぶー文句をたれているわけでございますが、やっばりこの国ではビッグ3(つまり御三家)に入るトップファームでございますから、なんだかんだいっても社員の待遇は普通の会社に比べれば断然良いわけですよ。

で、この事務所で甘やかされてきたノンリーガル社員が意気揚々と転職してみて世間の厳しい現実にぶちあたり、早々に戻ってくるという・・・
まあ、かなりの頻度で見かけてきた事なので日本人が考えるような心理的バリアはないのでしょうね。
受け入れる事務所側も懐が深かったわけでございますが、最近は秘書なんかは戻ってきたいといっても空きがないので戻ってこられないようです。
私の旧同僚で今も時々一緒にランチするレイチェルも人事からはなしのつぶて出戻り失敗した秘書の一人でございます。

さて、弁護士の方はといいますと、こちらも出戻り就職組がけっこういます。
んでもってこちらは帰ってくる場が保証されている転職っていうのがあるのですよ。
正確に言いますと、"Leave of Absence" という「休職」の形をとって、海外の法律事務所に転職するというものです。

海外の弁護士資格も取得して豊富な経験を積んだ優秀な弁護士は貴重な人材ですから、帰国した時、みすみすライバル事務所に奪われるよりは休職扱いにしてでも古巣を保証しておいてやった方が得策という考え方ですね。もちろん弁護士が戻ってくる確率は五分五分ですが・・・

逆に将来パートナーになる見込みはないだろうと見なされている弁護士は申請しても"Leave of Absence" が認められない場合があります。
ここらへんで弁護士に対する事務所の評価がわかるっていうものですね。

さて、事務所の共同経営権を持つパートナーが転職する場合ともなると、これはやはり相当な覚悟で出て行くわけでございます。
取締役クラスが出戻りするなんてことは普通は考えられません・・・よね。

しかし・・・・いたんですよ。
出戻りパートナー
私の属する部署で去年それがありました。

実はこの事務所のパートナー達は合併してから皆それぞれ不満をもっています。
合併相手先のパートナー達が実権を握っているからです。
合併相手先側のクライアントAとこちらの事務所側のクライアントBのコンフリクト が発生する案件があったとして、どちらの既存クライアントを優先するかという時に、合併相手先側の仕事ばかりが増えて、こちらの事務所側は仕事を奪われてしまうということが続くとクライアントには面目も立たないし業績は落ちるし手足を縛られたようでたまりませんよね。

だから合併後はこちらの事務所側の年配パートナーの脱出劇が続きました。

でも私が属する部署の(以前心臓発作を起こした )ピーターが辞職した時にはちょっとしたスキャンダルになりました。
ピーターは将来を嘱望されている若手のパートナーで、この国ではそれほどビッグではないけれど世界的にはとてもビッグな国際法律事務所の支店のバンキング部門を統率するためにヘッド・ハンティングされたのです。そして実際、部下の弁護士を口説いて引き連れていきました。

目をかけていた彼が辞職を表明した時、事務所側はとても冷酷な対応をとりました。
その日のうちに彼の名前を部署のメーリングリストから削除し、退職日までの2~3月間、事務所への出入りを禁じたのです。
まだ彼が事務所に在籍しているうちからライバル事務所に持っていかれたくない情報への一切のアクセスを遮断したというわけです。

転職先で働き始めるまでの間に空白期間を設けるための「強制休暇」ってやつです。
まあ自宅謹慎のようなもので、やることといえば庭仕事くらいしか出来ないので別名"Gardening Leave"と言われています。

そこまでされたピーターが1年半後に出戻りしてきました。
事務所とピーターの橋渡しをずっとつとめていたのは長年ピーターの秘書だったローラ。
ローラももちろんピーターと一緒に来るよう誘われていたけれど彼女は将来に懐疑的でした。
それにローラは勤続15年が間近だったからあともうちょっとでもらえるLong Service Leave のためにも辞めたくなかったので事務所に残る決断をしたのです。
そういうことで長年連れ添った秘書なしで転職したピーターでしたが、やっぱり新しい職場でいろいろ壁にぶちあたったようです。

事務所側も出来る事なら戻ってきて欲しいと思っていたのでピーターは再び迎え入れられましたが、そこまで辿り着くまでにはやはり一悶着あったようです。
もちろん今は以前と同じように何事もなかったようにチームメンバーとして働いています。その辺は大人です。
一緒について行った弁護士も戻ってきましたが、振り回された弁護士にはちょっと同情しちゃいます。

それにしても雑魚社員から取締役まで出戻り放題の弊事務所。
これがこの国のスタンダードなのか、この業界特有のものなのか、知りたいところです。

佐藤 文男
転職診断

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August 17, 2005

職場の「万里の長城」 - 後編

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職場内での身動きがやたらと制限されてしまう"Chinese Wall "。
入所して5年経っても一度も聞いた事がありませんでした。

確かに通常ならそんなにしょっちゅう遭遇するべきモノじゃございません。

ところが一時期、津波のようにわーっと来たときがあったんですね。

合併して少したった頃のことでございます。

合併した法律事務所はどちらも1800年代からやっている歴史ある事務所で、それぞれ長~いおつきあいをさせていただいているクライアントさんを抱えています。
それぞれのクライアントさんがライバル会社であるというケースは多々あるわけでして・・・

どちらかのクライアントさんを取るという苦渋の選択をしなければいけない時もあるわけです。

合併のために切り捨てなければならなかった古参のクライアントさんから弊事務所が訴えられてしまうという事件もございました。
法律事務所が訴えられたら身もふたもないじゃん・・・という感じでございますが・・・

結局はその古参クライアントの顧問弁護士チームがごっそりクライアントともどもライバル法律事務所に身売りして一件落着いたしました。

まあ、そんな苦い経験をもとにした苦肉の策かどうかは知りませんが、「Chinese Wall」がやたら増えていったのでございます。

一時などは一つの部署内に3つの「Chinese Wall」が同時に出来たことさえありました。
入札案件が重なったときでした。

ドラゴン vs グリフィン
マンゴー vs パパイヤ
コアラ vs パンダ

(それにしてもいくら呼びやすいからといって、もうちょっとセンスあるブロジェクト名つけられないんでしょうか・・・)

案件が終わるまでの間とはいえ、この時にはさすがに皆がキレかけました。

「ねえ、あなたドラゴンだったわよね? メリーのオフィスに行って○○の書類とってきてくれないかしら。」
「私、ドラゴンだけどコアラだからだめよ。メリーはドラゴンパンダ掛け持ちでしょ。」

「誰か~、この書類急ぎでタイプしてくれるパンダの人いる~?」
「ごめ~ん、私、コアラじゃないから手伝ってあげたいけど書類のアクセス権与えられてないから・・・」

「ね~、アンったらログオフしたままどこに消えちゃったの? ここちょっと手直しして欲しいんだけど・・・」
「今、パパイヤのオフィスにこもって書類タイプしてるわよ。」

さて、自分の上司の弁護士が運悪く別プロジェクトのメンバーになってしまった場合ですが、秘書はその弁護士の面倒をみることができません。
電話の取り次ぎも、メールのチェックも、ファイリングも、とにかく案件内容に接する可能性のある秘書業務は一切出来ないのです。

「Chinese Wall」の支障のない秘書がその案件期間中、代わりに面倒を見る事になります。

本来の上司が入れ違ったまま何ヶ月も経って「いったいいつになったら元に戻るの~?」

と秘書全員が思っていました。
もう本来の上司が誰だったか忘れちゃうほど・・・

で、一番可哀相だったのは弁護士のジェームスです。

「Chinese Wall」の組み合わせが悪くて彼の秘書を常時つとめられる人が誰もいなかったのです。

書類のタイプやコピーなどは手の空いている同じプロジェクトチームの秘書達がその都度請け負っていましたが、メール管理やファイリングなどに関しては半年近くも秘書なし状態で可哀相でした。

最近はここまでひどい「Chinese Wall」地獄もなくなりつつありますが、法律事務所の合併って聞くところによると落ち着くまで10年はかかるそうです。

先はまだまだ長そうです。

海野 素央, 鈴木 了符子
企業合併と「異文化」―企業文化の衝突

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