November 11, 2005

初めての出張

テーマ:翻訳夜話

ある日、弁護士のノエルから忘れた頃に電話がかかってきました。
あの大量の芋づる翻訳 を最初に頼まれてからすでに1年半ほど経っていましたが、私はすっかりノエルからの電話恐怖症になっておりました。
なんといってもあれからずるずると1年以上にわたり350枚くらいの翻訳をやらされるハメになったのですから・・・
Job Descriptionに翻訳なんて含まれていない弁護士秘書の立場で追加手当もなしでですよ!


「Hi, Noel(げっ ノエルだ)
How have you been?  What can I do for you this time? (また翻訳依頼かよ~?)

「実はちょっとまた頼みたい事があるんだけどさ・・・」

「何?」

「前に君とアルバイトの大学院生に分担してやってもらった大量翻訳だけど、頻出する重要単語の意味が君と彼の訳では全く違ってたんだ。
それでクライアントに問い合わせてどちらの訳が正しいのか確認したんだけど・・・」

「そっ それで? (ひやひや)

「君の訳の方が正しかったんだ。」(ほっ)

「それで、彼が訳した書類の中からその単語が出てくるところを全部洗い出して直していく作業が必要なんだけど、フォルダー何十冊もそっちに送れないから君がこっちのオフィスに3日間くらい出張してきてくれないかなと思って・・・」


出張!!! 
B都市のリバーサイドのオフィスに弁護士秘書の分際で出張出来るなんて!


日本で勤務していた頃は出張三昧だったのに、この国で弁護士秘書として働き始めてから出張なんて夢のまた夢みたくなってましたからこの時ばかりは小躍りしてしまいました。


弁護士秘書としては代替可能であっても、日本語翻訳できる唯一のスタッフとしては代替不可能な人材でございますから~・・・


という都合のいい理由を押し付け(?)、 本来の職務とはまったく関係のない他都市の事務所の他部門の業務をお手伝いするための出張を上司の弁護士達から許してもらったのでございます。


出張中の3日間は休暇をとる時と同じように代理秘書をアレンジしてもらいました。


で、いよいよ出張手配です。

弊事務所では飛行機やホテルの手配は全てコンピュータを通して、各弁護士のダイナースカードを使ってオンライン予約することになっています。

私は秘書の分際でしたのでそもそも出張者データベースに登録されていないし、社員用のダイナースカードも発行してもらっていませんでした。

そこで部署の統括パートナーであるサンディー のダイナースカードで予約、ホテルにもその旨連絡いたしました。


ちなみに、こちらでは出張手当のような現金支給はありません。(タクシーチケットは支給されますが・・・)

社員用のクレジットカードをもっていない私は必要経費は全てサンディのダイナースカードに頼らなければなりませんでした。


つまり、予約したホテル内でブレックファーストもディナーもルームチャージで済ませることに・・・。

弁護士宿泊用の事務所推薦ホテルですから、ブレックファーストだけで3000円以上です。なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいです。


本当は近くのカフェの500円くらいの朝食セットでいいんだけどなあ・・・

でも自腹切りたくないしなあ・・・・

と思いつつ3日間、ホテル付属のリバーサイドラウンジでお一人様コンチネンタルバッフェ


夜はさすがに高級レストランで3日3晩もお一人様する元気はありませんでしたので、1晩だけは日本料理店で一人寂しく、2晩はルームサービスにいたしました。


日中はオフィスに缶詰で、膨大なファイルの山に圧倒され、いつもはテープ起こしする 役なのにテープの吹き込みまで体験するはめになり、秘書が打ってくれた書類を見直して自分の英語発音の悪さに落ち込み・・・夜はホテルの部屋の中で一人寂しく追加で翻訳を頼まれた書類とにらめっこしながらルームサービスのディナーをとるという感じでした。


一時は3日間で本当にこれ全部終るの?とあせりましたがなんとか終了して4日目の週末に遠出して知り合いの家に泊まって観光して戻ってきました。


この国で体験した初めての出張も無事終了。

一言でいうと「リッチ寂しい」体験でございましたよ。

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September 09, 2005

誤訳のワナ

テーマ:翻訳夜話
今週は翻訳でちょっと忙しい思いをしておりました。
クライアント様の法律関係の文書に新しい項目を追加するので、その追加部分を和訳してほしいと頼まれ、一段落だけだったので気軽にOKしたのでございます。

1日で出来る仕事だわと思って受けたのに1週間の仕事になってしまいました。

っていうのはですね。
参考のために既に和訳がついている部分に目を通していたら、誤訳を発見してしまったのでございます。

こういう時、プロの翻訳者の皆さんはどうするんでしょうか。

私は追加段落の訳を依頼されただけでその既訳部分の見直しを依頼されたわけではありません。

でも~、気づいてしまった誤りを指摘しないのは不親切だし・・・

更に読み進めていくと、あれ~?

途中で翻訳者が変わってるように見えるパッチワークのような文書なのです。

なんていうんでしょうか、英語の原文になるべく類似している日本の法律文書から似たような言い回しを探してきてそのまま拝借してるなという感じなのですが、それが段落ごとに違う書類から切り貼りされているような感じで一貫性がなく、おまけに原文の意味をきちんと理解しないで雰囲気で訳してるような感じで、語順の間違えで意味が違っていたり、意味は近いのだけど訳されていない部分が残っていたりしました。

直したい誘惑にかられてしまったワタクシ・・・

でもクライアントさんがそれで納得して使ってた文書なのだろうしし・・・勝手に直すのはでしゃばりかな?

結局、依頼してきた弁護士に事情を話して、明らかな誤訳と一貫していない文体は手直しして、言い回しは違うけど言いたい事は同じである部分は原訳を尊重して、微妙に意味が違う部分は翻訳の代替案を提示してそれとなくニュアンスの違いをお知らせするという、やたらと面倒くさい仕事になってしまいました。

あ~ なんか自分で自分のクビを絞めてしまったって感じです。

実は以前にも同じ事をやってしまいました。
あの芋づる翻訳 の後日談といたしまして、膨大な日本語書類の山を短期間で分担して英訳するために、翻訳修士コースに在籍していた現地大学院生をアルバイトで雇ったのですが、彼の英訳が見事でした。

「うーん、やっぱりネイティブスピーカーは違うわ。こういう英語表現にすればいいのね~」などと感心して読んでおりましたら、あれっ? 意味が反対になってるじゃないの、ここ・・・・

日本語の意味を取り違えてる・・・

本人はもうアルバイト期間終わっちゃってるし、裁判に影響が出てしまったらヤバいので担当弁護士にあちこちと誤訳の指摘をしなければなりませんでした。

なんかチクリみたいでいやでしたが・・・
そのせいで結局欲しくもない仕事を自分のもとに呼び寄せてしまいました。

あーあ、私って要領悪いわ・・・

鳥飼 玖美子
歴史をかえた誤訳―原爆投下を招いた誤訳とは!

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August 30, 2005

翻訳苦労話

テーマ:翻訳夜話
日系企業さんの訴訟案件絡みでたまに翻訳作業を頼まれる事がございます。
私は翻訳資格を持っているプロでもないし、本当はあまりやりたくないんです。

「政府認定の翻訳者じゃないから私の翻訳は裁判所に提出する開示書類としては使えないわよ」

ということをはっきり伝えたうえで引き受けます。

弁護士にとってみれば出来るだけ多くの資料を早く読んでおきたいわけですが、プロの翻訳者は切羽詰まった仕事は請け負ってくれません。
資料のどの部分が訴訟に一番関連ある部分かどうか判断して優先順位を決めて効率よく訳してくれるわけでもありません。

そんなわけで有資格者でもない私が重宝がられてしまうわけです。
まあ、実務翻訳に限って言えば、商社でコレポンや契約書の翻訳もこなしていた私の方が、社会経験のない有資格者よりも実際使えるのではないかとは思います。

で、うちの事務所の弁護士ったら、あとで開示資料として翻訳を提出することになった段階で、私の翻訳書類にバンバンと証明印を押してもらうためにプロの翻訳者を雇ったことがありました。
ずいぶんと時間と費用の節約になってましたよ。
概算してみたら私の年給を軽々と超える翻訳料が浮いていました。

そんな使い勝手のいい雑魚社員のワタクシでございますがね~
日系企業さんの社内文書の翻訳にはホント泣かされておりますよ。

訴訟の時には社内文書も含めて関連書類を全部提出するわけですが、この社内文書がくせ者なんです。
社外に出すレターとかファックスは文章もはっきりしていますし第三者が読んでもすぐ理解出来ます。
会議録、稟議書、プレゼン資料あたりも事項が明確に書かれているのでだいたいわかります。

でも部署内で交わされたメールだの報告メモだのはそのまま訳せません。
そもそも内輪でしか通じないやり取りになっているのでございます。
その書類を読んだ後ではなく関連書類全部をくまなく読んで背景事情を全て把握した後でしかわからないです。
第三者が後で読むことになるなんて思いもせずに書いてらっしゃいますから、感情的だったり理論だってなかったり、訳すのがちょっと恥ずかしいとまで思えるような文書も混じっております。

どこの部署の誰が誰宛に書いてるのかさえわからない、上司が部下宛に喝を入れているように見える殴り書きの文書とか・・・
部署内でしか通じない省略語や業界用語もりだくさんの文書とか・・・
おまけに字が汚すぎて判読出来なかったり・・・

「このままやられっぱなしでいいのか!」
「その時は先方にも腹をくくってもらうしかない。」
「V社の長契は日油研の結果次第です。」
「とにかくいったん白紙に戻してもらえ。」

日本人ならなんとなく情緒的に受け止めてしまうこのような日本語もいざ英語に訳そうとすると・・・あの・・・だから

どこの誰が、どこの誰に、何についての何を、いつ、どこで、どのように?

見事に5W1Hが欠如している文章のオンパレード・・・・

曖昧表現を許さない英語で理解可能な文にするためには、日本語で省略されている主語や目的語や単数複数の区別などを推測して補足しなければいけないわけですけれども、日系企業さんの社内文書の場合、これに輪をかけて何のことを言ってるのか自体を補足しなければいけないことが多いのでございます。

やられっぱなしの相手はHE なのかTHEYなのか・・・
その時っていつのことなのか・・・
長期契約の何が影響を受けるのか・・・

いやもう、技術文書もいやですけど、簡単にみえるくせにめちゃめちゃ曖昧な文書の翻訳もいやですよ~。
勝手に想像して補ってみたものの推測が間違っていたせいで訴訟のなりゆきに影響がでちゃったりしたら困りますからね~。

まあ、社内スタッフという立場を最大限に活かして解決策を練りますがね。
弁護士には関連英語書類も参考として片っ端から見せてもらって事情把握に努めます。
訳文の完璧さよりも、誤解のリスク低減に重点を置くため、日本語の曖昧さと訳文を読むための心構えを弁護士にくどくどと説明します。
英語で理解しやすいように私が推測の上で補足した箇所を括弧でくくってどこが原文にない部分なのかをわかるようにします。

そうやってナントカしのぐわけでございますが、もし私がプロの翻訳者だったとしてこんなのが外注で来たらぜったい泣くでしょう。(いや、多分断る!)

日本企業の皆様、その社内文書、いつか社外に出ちゃうかも知れませんよ。
お気をつけ遊ばせ。

松沢 圭子
英語の発想で翻訳する―英語ロジックで日英翻訳の基本を学ぶ


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July 14, 2005

芋づる翻訳 - 後編

テーマ:翻訳夜話
ノエルから芋づる式に翻訳 を頼まれてしまった私。
内心はもうやりたくない気持ちでいっぱいです。


「追加書類が届いたんだけど日本語資料がかなりあるんだ。
とりあえず夜行便のクーリエで資料のコピー一式そっちに送っていいかな?」

「かなりって何ページくらいあるの?」

「んー、(ぱらぱらとめくる音)
正味50ページくらいかな?
3週間後のdisclosure(開示)までに全部目を通したいんだ。」

「Disclosure?
私はAccredited Translator(公認翻訳者)じゃないから私の翻訳は内部資料としてしか使えないのよ。
のちのち裁判所に提出する予定があるなら二度手間になっちゃうから初めからAccredited Translatorに外注した方がいいと思うけど・・・」

「今のところ内部資料として参考にするだけだから」

翌朝ずっしりと重たいクーリエが届きました。
輪ゴムで束ねた厚さ2センチほどの書類の束・・・
どこからどうみても150枚以上あります。

英文書類にメモ書きしてるのとかFAXの表紙だとかグラフの表題だけとかダブってるのとかそういうのを抜かしても100枚ありました。
短めのFAXやEメールを半枚と数えたとしても正味80枚はありました。

もうノエルには騙されませんよ。

「ノエル~、これ数えてみたら100枚もあるじゃん。
私だって力になりたいけど秘書業務の合間にこれだけの量は一人ではぜったい無理だよ~。
誰かと分担できるならいいけど3週間ではぜったいムリ! Unrealistic!

「誰か君の知り合いで翻訳出来る人いないかな?」

「うーん、(出来そうな人はみんな働いてる人ばかりだし~)心当たりはないのよね~
Accredited Translatorのリスト送るからそちらに在住の翻訳者を誰か雇ってくれると助かるんだけど・・・」


外注翻訳者を手配してくれるのを待ちながら簡単な部分から訳してページ稼ぎをしていた時、ノエルから電話が来ました。

「翻訳者に問い合わせたけど料金は高いわ、仕上がり予定は遅すぎるわ、あれじゃ全然役に立たないよ。
学生二人手配したから! 君も忙しいだろうから残りの書類こっちにまわしてくれていいよ。
そのうち一人は日本人学生だからこれから背景事情を日本語で説明してあげてくれるかな?」

学生さん? 
プロの翻訳者じゃなくて~? 
大丈夫なんでしょうか?

20代前半かと思われる自信なさそ~な感じが伝わってくる女の子に、懸案の訴訟にかかわっている合弁事業の組織構成だとか訴訟に至るまでの背景を簡単に説明した後で私はこう言いました。

「私が既に翻訳したものがかなりの枚数あるから用語等はそれを参考にしてね。
もし何かわからない用語とか質問があったら気軽に電話してね。」

と言って受話器を置きました。


5分後、彼女から電話がかかってきました。

「あの~、さっそく質問があるんですけど・・・
架電の件ってどういう意味ですか?」


「・・・・・・」(アイタタ、一行目からですか・・)


そりゃ~学生さんですからね・・・
社会経験なかったら当たり前ですよね。
彼女がとっても気の毒になりました。
気にかけてないふりして親切に教えましたが
翻訳の行く末は果てしなく心配になりました。


翌週ノエルからまた電話がかかってきました。

「開示日、3ヶ月後に延ばしてもらう事にしたから。
やっぱり、もう背景事情わかってる君に翻訳やってもらいたいんだけど・・・

それとまた追加書類来たんだ・・」


ノーエールー!


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July 13, 2005

芋づる翻訳 - 前編

テーマ:翻訳夜話
あれはもう3年も前のことでしょうかね~。
ある日、全スタッフにあてた一通の社内メールが目に入ってきました。

「誰か日本語読める人いませんか?」

私のことじゃありませんか。
別都市にある合併相手先のB事務所からのメールです。

早速連絡してみますと
「受け取った英文書類に日本語の手書きメモがあるので何て書いてあるか教えて欲しい」
ということでした。

早速FAXして送ってもらい「○○部○○様へ」とか「添付書類三部」とか「要チェック」とかメモされた書類を10枚くらいささっと訳して送り返しました。



それから1週間ほどした頃でしょうか。
訳を依頼したB事務所の弁護士からまた連絡が来ました。
訴訟部門所属のノエルという男性です。

「受け取った英文書類の中に日本語の書類が2、3部まじって来たんだけど訳してもらえないかな」

その時はたまたま忙しくなかったし、マンネリ秘書業務の中で知的な仕事に飢えておりましたから二つ返事でOKいたしました。
そしてその日のうちに英訳し、私が当時面倒見ていた司法修習生のアレックスに文法チェックしてもらって送り返しました。



そんなことはすっかり忘れてしまっていた2ヶ月後、またノエルから連絡が来ました。

「また日本語の書類が来たんだけど、今度はちょっと多いんだけど・・・頼まれてくれないかな」
「多いってどれくらい?」
「20部くらいかな・・・」
「うーん、まず見てみたいからとりあえず送ってもらえる?」
「じゃあ、夜行便のクーリエで送るよ」

届いた書類はE-mailやFaxや報告書が主体で短いものもあればびっしり書かれたものもありました。
枚数を数えてみると50枚もありました。

どうしよう。
他部門のためにサービスで仕事するにはちょっと多すぎます。

でもいいかげん秘書業務に飽き飽きしていた私はスキルアップのためにもやってみたいと思いました。
鶴羽毛先生が去ってしまった後で、英語のハンディを抱えながら自分のスキルを活かせもしない現地弁護士の秘書業に埋没している私のこの職場での存在意義って何なんだろうという疑問も持っていましたから、他のスタッフが出来ないような仕事で事務所に貢献出来るほうが意味があるとも思いました。

そこで条件つきで承諾する事にしたのです。

「あくまで秘書業務が優先だから、翻訳は空いた時間にしか出来ないから3週間の余裕を見て欲しい」

短いE-mailなどはすぐ訳せるし重複部分もあったし平均して一日3~4枚くらいは仕事の合間になんとか出来るだろうとタカをくくっていたのでございます。
ノエルは私の条件をのみました。

ところが簡単で短いものから始めて30枚目くらいまでは予想通りに進んだのですが、長くて難しい残りの20枚が全然進みません。

集中出来ないとちっとも先に進めないのです。

電話の応対やらコピー取りやらディクタフォンの合間のコマ切れの時間を使っていてとてもできる仕事ではなく1枚もできない日もありました。
おまけに暇な時には周りの秘書が近くでおしゃべりしているので気が散ってしまいます。
自分で設定した締め切りはどんどん迫ってくるし焦りはつのるばかり。

とはいってもプライドだけは高い負けず嫌いのワタクシ。
しょうがないので往復2時間の通勤時間も使うことにして帰りの電車の中で書いたものを夜に家でタイプして職場にE-mailしたりしてなんとかぎりぎり間に合わせました。
可哀相だったのは文法チェックを頼まれてしまった私の夫でした。

全ての訳をクーリエでB事務所に送った日にはホッといたしました。

大きな達成感を味わえました。

やった~。

でももうこりごり。もう二度とやりたくな~い。


ノエルにも
「もう要らないからね~♪」

と冗談を言ったりしておりました。



それからまた2ヶ月ほど経った頃でしょうか・・・・

またノエルから電話がありました。

「翻訳して欲しい日本語書類がいっぱいあるんだけど・・・」


えっ また~?


つづく

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June 09, 2005

外国企業の日本語ホームページって・・・

テーマ:翻訳夜話
昨日はずっと長引いていた弊事務所の日本語版ホームページの更新原案を提出し、ほっと肩をなでおろしたところでございます。

私は翻訳家ではないし、Inhouse Translatorというポジョションにいるわけでもありませんが、過去15年間に及ぶ会社勤めで、通訳・翻訳業務はいつも職務の一つとしてこちょこちょとやっており、ムダに経験期間だけ長いノンプロでございます。

ホームページの更新部分として弊事務所が最近アジア太平洋地域で取り扱った案件例などを翻訳していたわけですが、やたらと時間がかかるのがいったん英訳された漢字圏の固有名詞の元をたどる作業だったりいたします。中国の企業名とか韓国の地名とかは大変ですよ。インターネットに感謝です。

ところで英語圏の企業ってクライアントさんの名前を自分のホームページで許可なく掲載してしまいますし、やたらと大仰な形容詞をつけた自慢話を満載いたしますし、原文をそのまま日本語にしてしまうと鼻持ちならない傲慢な会社に感じられてしまう場合が多いのですよね。

翻訳がいかに正確であろうともターゲット層にアピール出来なければ、ましてや不快感を感じさせてしまうのであれば日本語のホームページを作る意味はないと思いますので私は独断と偏見で文体から語順から構造まで、要するにエッセンスだけ残してどんどん日本流に改造しております。全ての日系企業のクライアント様の名前は伏せて、「日系総合商社」などと書き直し、「総額何十億ドルの」とか「世界的クラスの」とか「エポック・メーキングの」とか大きさをすぐに自慢したがる、日本語にするとうざったい表現もなるべく少なめにして簡潔にまとめるようにしています。

翻訳というよりはローカリゼーションですね。

その過程で日本語ウェブページを持っている他の法律事務所とかコンサルタント会社はどんな風なのか参考のためにサイトを覗いてみたりするわけですが、なんだか英語からそのまま訳しましたって感じの、原文が透けて見えてきそうな日本語がけっこう出回っているようです。まあ、日本に事務所をもっているようなところではあまり見かけませんが、拠点は海外だけど日本デスクだけはあるようなところでよく見かけます。

例えば弁護士の略歴紹介

「アリー・マクビール

アリーは1997年に当事務所に入所した、コーボレート部門所属のシニア・アソシエートです。M&Aの分野で豊富な経験があり、○○の合併や△△の取引に携わりました。また、◎◎誌にもM&Aに関する記事を定期的に寄稿しています。彼女は日本語が堪能で2000年~2003年まで日本の□□に出向していました。ハーバード大学法学修士を取得しています。」

これ、原文の英語では極めてスタンダードなスタイルです。
多分、翻訳を外注しているんでしょうね。
外注された翻訳者にしてみれば文を勝手に替える権利は与えられていないのだから正確に訳さざるを得ないのでしょう。

日本語は間違ってはいないんですが、違和感を覚えるのは私だけでしょうか?

日本だったらボジション、所属から始まって、履歴は学歴から時系列に箇条書きで書きますよね。
「アリーは」なんてファースト・ネームで紹介しちゃったりしないですよね。
「使用言語:英語および日本語」のようにさりげなく書きますよね。

それとも私って保守的過ぎ?
でもターゲット読者って私よりも保守的な法務部のおじさんのはずなんですけど・・・

外国でこの手の日本語をしょっちゅう目にしていて感覚が混乱してきている最近の私です。


著者: 米原 万里
タイトル: 不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か

私のお気に入りの通訳者のエッセイ。通訳を目指す人必読!
ちなみに私は日本の職場でこの本に出てくるようないい加減な「なんちゃってロシア語通訳」をしておりました。
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