Seed 山種美術館 日本画アワード 2016 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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かつて山種美術館で開催されていた伝説の展覧会 “今日の日本画 山種美術館賞展 ” が、
開館50周年を記念し、リニューアル&パワーアップして約20年ぶりの復活を果たすこととなりました!

新人日本画家の登龍門であった “今日の日本画 山種美術館賞展 ” のイズムを継承し、
満45歳以下の日本国内在住者 (国籍不問) であれば、誰でも日本画を出展できる公募展。
それが、今年からリスタートした “Seed 山種美術館 日本画アワード” です。
言うなれば、日本画界のM-1グランプリのようなもの。
果たして、笑い飯やサンドイッチマン、
トレンディエンジェルのような次世代のスターは現れるのでしょうか?!


さて、そんな記念すべき第1回の “Seed 山種美術館 日本画アワード 2016” には、
上は45歳から下は18歳まで、日本全国から259点ものエントリーがあったそうです。
その頂点に見事輝いたのが、《ゆめうつつ》 という作品を描いた京都絵美 (みやこえみ) さん。

ゆめうつつ  京都絵美 《ゆめうつつ》  2016(平成28)年 絹本・彩色


まどろむような表情の女性の美しさもさることながら。
特に目を奪われたのは、ペイズリー柄の衣服の表現でした。
なんでも、こちらの作品は絹本に描かれているとのこと (出展作のほとんどが、紙に描かれた作品)。
際立った質感の秘密は、そのあたりにもあるのかもしれません。


また、優秀賞に選ばれたのは、長谷川雅也 (はせがわまさや) さんの 《唯》

167 長谷川雅也 唯  長谷川雅也 《唯》  2016(平成28)年 紙本・彩色


アジサイというモチーフを追い続けてきたという長谷川さん渾身の一作です。
アジサイなのに、どこか女性像のような印象を受けました。


特別賞 (セイコー賞) を受賞したのは、狩俣公介 (かりまたこうすけ) さんの 《勢焔》 です。

狩俣公介 勢焔  狩俣公介 《勢焔》  2016(平成28)年 紙本・彩色


描かれているのは、スリランカにあるというランボダの滝。
滝のド迫力が、ストップモーションで見事に表現されています。
一瞬の時を感じる作品。
さすが、セイコー賞。


さて、当初は、この3賞だけの予定でしたが。
審査員が満場一致で強く印象に残った作品があったそうで、急きょ審査員奨励賞が設置されることに。
その作品というのが、外山諒 (とやままこと) さんの 《Living Pillar》

外山  外山諒 《Living Pillar》  2016(平成28)年 紙本・彩色


法隆寺の柱の木目に感動し、描いた作品なのだとか。
よく見ると、蛾が何匹か柱に止まっています。
この絵を見て、山種美術館の至宝・速水御舟の 《炎舞》 を連想したのは、僕だけはないはず。
確かに、強烈な印象を残す作品です。
ちなみに、外山諒さんは、まだ21歳の現役美大生。
M-1グランプリも、南海キャンディーズやオードリーのように、
優勝していないけれども、そのインパクトによって、ブレイクした芸人が多数います。
外山諒さんも、そんな存在になりそうです。


さてさて、これらの受賞作を含む40点の入選作品は、
現在開催中の “Seed 山種美術館 日本画アワード 2016” で公開されています。

入選

入選  入選
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


惜しくも受賞を逃した入選作の中にも、キラリと光る作品は多々あり。
次のスターは、この中にいるのかもしれません!

さらに、今回の展覧会では、松尾敏男さんの 《翔》 をはじめ、
 
松尾敏男 翔  松尾敏男 《翔》  1970(昭和45)年 紙本・彩色 山種美術館


“今日の日本画 山種美術館賞展” の第1回~第4回で、
大賞と優秀賞を受賞したレジェンド作品12点も合わせて出展されていますので、お見逃しなく!

レジェンド


早くも、次回の “Seed 山種美術館 日本画アワード” の結果が気になってしまっています。
そんなワクワク感のある展覧会でした。
星


さて、そんな “Seed 山種美術館 日本画アワード 2016” の最終日6/26に、
山種美術館×とに~による 「日本画界の“Seed”に出逢いまショー」 が緊急開催されることになりました!
どうぞご期待くださいませ。
詳細は、こちらに↓
現在募集中のアートツアー




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