2011-01-31 10:17:36

阿部 乳坊 個展 =カポ、金沢、日本での滞在。 レポート  

テーマ:レポート
「阿部 乳坊 個展 =カポ、金沢、日本での滞在。
SOJOURN IN KAPO. KANAZAWA, JAPAN」 に行ってきました。

金沢アートグミ特集ページ

阿部さんは金沢美術工芸大学美術科彫刻専攻を卒業され、
現在茨城県取手市と石川県金沢市にて制作、活動をされている作家さん。

2階のギャラリーに上がる1階の階段入口でまず、
今展で公開制作をした大きい作品が迎えてくれました。
プロペラと車輪、顔部分には鼻がちょんとついた
この作品は実は乗車可能!
人が乗れる作品を作りたかった、ということらしく、
お言葉に甘えて乗っけてもらいました。

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会場内に入ると、冬の寒いツンとした感覚と、楠のいい香り。
”滞在制作展”ということで、中は制作部分と展示部分に分かれていました。

阿部さんの作品は、手足や首、尾が細長く長くみょーんと
伸びているのが特徴的で、「自立する?しない?」
このバランスが絶妙です。

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このフォルムは”ヤジロベー”からヒントを得て制作をしているそうで、
確かに4つの”点”だけで立つ「ヘリコプター」や「水の上の変態動物」
などといった作品は、どっしりと重い木から生まれている感じがなく、
何があってもひょいと飛び越えてしまいそうな軽さがあります。

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確かに形ある「実体」だけれど、
限りなく無重力を目指しているように感じます。

口が開いたのは、「木材搬入郡行」の映像。
昨年12月23日に金沢美大からKapoまで、金沢美大の屈強な男子学生が
フンドシをしめ、御神輿の要領で制作に使う木材を移動させるという
イベントの記録が映像と写真のスライドで流れていましたが、
荒々しく、若々しく、馬鹿馬鹿しく、でもとても真剣な姿。
これが噂に聞く美大ノリというやつなのでしょうか。

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阿部さんは2月5、6日に開催される、クリエイティブツーリズム主催の
オープンスタジオデーに参加されます。
美大のアトリエを公開されるので、興味ある方はぜひご参加ください!


阿部乳坊 http://abe-niuu-bou.com/
金沢クリエイティブツーリズム http://tour.artgummi.com/openstudio/2-2.html
2011-01-22 10:59:15

「THECO-ザコ」レポート

テーマ:レポート
THECO
『THE performance Concert with COntemporary music COmposers & a dance ChOreographer.』
構成・演出・振付・映像・出演:白井剛(AbsT, 発条ト)
音楽・出演:粟津裕介(ロコロコード、発条ト)/ 尾引浩志 (倍音S)/
スカンク(NIBROLL、バネセンパイ、MEXI)/ 森川祐護(Polygon Head)
照明:関口裕二 (balance, inc.)
音響:牛川紀政  舞台監督:原口佳子
2011年1月8日(土) 9(日) 金沢21世紀美術館 シアター21


『THECO-ザコ』は、ダンサー・振付家でもある白井剛が「トヨタ コレオグラフィーアワード
2006」にて「次代を担う振付家賞(グランプリ)」を受賞し、その副賞として制作した作品。
2007年に東京で初演、2009年ルクセンブルグ公演を経て、金沢で上演、とのこと。
以下、公演を見た彗星氏と、あ星氏、二人の対話でレポートいたします。

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写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 

彗星:本当に久しぶりに日曜日午後に公演見に来た。実は白井剛も今まで3回くらい21美に来ているけど。見たのは初めて。白井剛の演出、振付によるダンス、白井とともに「発条ト」を結成している粟津裕介のドラムス、尾引浩志の口琴、ホーミーとパフォーマンス、NIBROLLの音楽家でギターのスカンク、ギター森川祐護、この4人によるはじけるパフォーマンス。舞台は正面にスクリーン、ちいさなお立ち台(?)そしてドラムセット、2本のギター。白井はタキシード姿で、司会、ダンサー、コンダクターの役割を踊りながらやってのける。解体し、結合するダンスと楽器、アクションとせりふと音。ホーミー、口琴。言葉遊びや体遊びのパッチワーク的舞台。

あ星:ところで「THECO-ザコ」ってなんだろう、「雑魚」のニュアンスも匂わせているのかな。みてみないとわからないとおもったけど、公演を見終わってこの『THECO-ザコ』のネーミングがなんかしっくり。

彗星:うんうん、なんというか、ラフ感を演出している感さえあったね。最近のダンスって、手作りで、実験的な感じをますます強調してきたよね。公演の観客さえ、舞台を見ているというより、ライブ見に来ました、という風に。

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写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 

あ星:NYに1987年からあるKnitting Factory (ニッティングファクトリー)は1階では詩の朗読、2階ではライブ、カフェもあって、NYのクラブシーンの先駆けだった。新しいことにルールなんかいらないし、なんか手作り感があって、それでいてみんなとがっていたし、不良だったしで、常に人とは違ったことを探して前衛で、つっぱって生き生きしていた。

彗星:そうそう、夜やたら目立つファクトリー看板はなんだか、アンダーグラウンドの雰囲気を漂わせ、センスのない人はお断りの蛍光色。NYはそのころまだ落書き電車が残っていたし、ハーレムは夜中には立ち入り禁止な場所。ロウワーイーストサイドでは、公園でホームレスもパンク少女も一緒になって火を炊いて、ロープサークルの危険な遊びをしていたし、ジャンキーもたくさんいた。『Do the right thing』でブルックリン出身の黒人映画監督スパイク・ リーがウィリアムズバーグの黒人代表のように突如として現れ、バスキアやキースへリング、メープルソープ、シュナーベルなど才能あふれるアーティストが発掘されプロデュースされて、80年代アートシーンは最高に盛り上がっていた。

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写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 

あ星:そういえばアンディ=ウォーホールの追悼のコンサートはなんとトーキングヘッズのデビット=バーンとベルベットアンダーグラウンドのルー=リードの超贅沢なアコースティックライブが、ブルックリンアカデミーオブミュージックで盛大にひらかれたことあったね。ダンスの世界といえば、舞踏の評価がヨーロッパからアメリカへとつながって、当時はNYのラ・ママ劇場にも土方の弟子の舞踏家が公演に来ていた。よく見に行ったよね。日本人として、日本ではイマイチ水面下的に受けていた舞踏が、NYで絶賛されているのを目の当たりにして、なんとなく誇らしかったね。あの頃はみんなが新しい物を素直に受け入れ評価して自由にアートを謳歌していた。コンサバなとらわれはなにもなくて。

彗星:話が長くなったけど、今回の舞台はなんだかそんなニッティングファクトリー的ライブ感と言ってもいいんじゃない?白井さんたちが世代的にファクトリーを知っているかわかんないけど、なんていうかコンテンポラリーダンスはあーだこーだ批評してるような「まじめちゃんお断り」。スカッとするね。

$金沢アートグミ特集ページ
写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 

あ星:あたりまえなんだけど、「いっちゃっている」パフォーマーの集まり。媚びないし。

彗星:いっちゃってるけど、あくまでも目はジャンキーじゃなくて、醒めてて「超マジ」。振付はとんがっていてなお柔軟、技術があるからこその説得力、でもそれが鼻につかない。

あ星:ダンスはビジュアル、解釈を要することがある。しかし、今回はなにも必要なかったな。のりで。まるで音楽のように目と耳経由で脳にダイレクト、踊りと音、お互いに行きかい境界をもたせない。

彗星:楽器3人もただものじゃない感で、粟津裕介のドラムが解体されてダンスになり音になるところもよかった。リズムあわせつつもあれは難しいよ。つながりも自然にするのは。

あ星:尾引浩志のホーミーはすごいね。音と身体の境界を持たせない身体楽器。それをやるには裏づけされ、鍛錬された技術がものをいうのです。今までうまい人何人か聞いているけどレベルは高かった。今回のホーミーの彼ももちろん「いっちゃっている」し、実際会場に本当に来ていたのか「おとうさーん!おかあさーん!」と雄叫びをあげるあたり、さながらアングラ演劇テントの劇団員といった趣き。

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写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 

彗星:わかった!アングラテント的時代感覚がTHECOにはあるんじゃない?当時の前衛と、そのバブリーレトロ感はもう世界には訪れないのかもしれないけど、時代は今やひと順繰りして80年代のざわざわした感じが新鮮。混沌の中熟成されつつある過程。

あ星:なるほど。当時は実験的というのがかっこよかったし、それと通じるところがあるのかも。

彗星:ギターもしかり。ロックでパンクで、ニッテリングファクトリーで聞いたフレッド=フリスを思い出したりして。ピロピロ弾きじゃなくて、リズム楽器的打楽器ギター。白井の身体リズム楽器との絶妙なコラボ!

$金沢アートグミ特集ページ写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 
写真:池田拓  写真提供:金沢21世紀美術館 

あ星:一番興味あるのは白井氏がどうやってそれらを構成していったか、アーティストとして一番おいしい、そして苦しいところでしょう。作り上げるダイナミズムが素晴らしいと、完成度は問題にならない。公演は何回もやっているからなのかこなれている安心感もあって。見てない人には残念ながら絶対伝わらないけど音とダンスの素敵な蜜月でした。

彗星:よかったよかった、楽しめた。よい年の初めに感謝、ありがとうTHECO.



2011年1月11日    彗星倶楽部 中森あかね

2010-12-13 16:09:24

菊谷達史個展 「SUGAR SPOT」レポート

テーマ:レポート
「この個展のタイトル「SUGAR SPOT」はバナナが熟して
甘くなり、食べごろを教えてくれる、バナナの皮に現
れる茶色い斑点のことです。ここでは自分の作品の中
に現れる可愛らしさと、それに相反する暗さが共存し
ていることを象徴するような印として捉えています。」
ー展覧会DMより

$金沢アートグミ特集ページ-3k

新装オープンした北陸銀行問屋町支店で10月25日から12月10日まで 開催された、
金沢美術工芸大学油画4年に在籍中の菊谷達史さんの個展に行ってきました。

アートグミしかり、
こうやって銀行にアートを展示する場所が増えているのは嬉しいですね。
北陸銀行問屋町支店は、銀行の入口や窓口のすぐそばに展示スペースがあるので、
広さや雰囲気的に難しい面もあるものの、
様々な人に鑑賞してもらえる面白い場所だと思いました。
今後も貸しスペースをする予定だそうです。
ちょっと遠いですが、問屋町あたりは使われなくなった工場のアトリエ化などの
プロジェクトもあり、今後の注目スポットですね。

さて、菊谷達史さんは現役美大生にも関わらず、
色々なところで作品を精力的に発表されています。
今年は8月のkapoに続き、2回目の個展。
夏にはアートグミでのグループ展にも参加していただきました。
展示の度にどんどん新しいことに挑戦している様が目に見えて、とても面白いのです。
大きな作品のイメージが強いですが、今回の個展では小品もたくさん見れました。

$金沢アートグミ特集ページ-4k

異次元のような不思議な背景
写真から切りとってきたような人の形
張り付いたような笑顔

$金沢アートグミ特集ページ-2k

全体がポップな雰囲気を醸し出しながら、同時に不気味。
リアルでありながら、異次元。
ざくざく描いたような筆運びが見える一方、
最近は背景の書き込みも緻密になってきた印象。
そういう背反性が菊谷さんの作品の魅力ではないでしょうか。
表情の匿名性は『これはあなたでもあり得る』という
メッセージのようにも感じられます。

細長い展示スペースには微妙に角度がついていて、
一番奥の作品「蛍火」が入口からチラリと見える構成も
奥に進む楽しみを増していて良かったです!

$金沢アートグミ特集ページ-1k

菊谷さんの今後の予定はこちらから
M U M . T R A C K satoshi kikuya portfolio

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