2013-08-15 13:25:46

レポート 第2回金沢・世界工芸トリエンナーレ 工芸におけるリージョナルなもの 1

テーマ:レポート
金沢アートグミ特集ページ
(撮影:上田陽子)

現在開催中の金沢アートスペースリンクが連動している、第2回金沢・世界工芸トリエンナーレが8/3からオープンし、キュレータートークそしてレセプションに参加してきました。

3年前に行われた第1回の同トリエンナーレで掲げられたテーマは「工芸的ネットワーキング」。それは、素材と技術が高い水準で調和したときに生まれる「工芸的」な世界に着目し、国内外のキュレーター5人が工芸的技術を活かした仕事をしている作家を選出した展覧会でした。

今回は会場を金沢21世紀美術館市民ギャラリーA,Bにし、テーマは「工芸におけるリージョナルなもの」です。

第2回目となる今回は「工芸におけるリージョナルなもの」をテーマに、アメリカ(サンタフェ)、オーストラリア、台湾、日本の4つの地域からキュレーター を招き、それぞれの地域における工芸動向として、フォーク・アート、インディジナス・アート、現代工芸、デザインを紹介します。
異なる歴史・文化背景を持つ地域における工芸的なものを比較することで、その拡がりを捉え、それぞれの工芸が持つ輪郭と表現の可能性を考察します。
(チラシより引用)

つまりトリエンナーレを通し、地域的視点から工芸を見なおすという試みで、そのためキュレーターも各地域より選出されています。

このレポートでは「地域性」をより考えるために、各地域の歴史や気候の簡単な説明や、展示作品に関係した元々の工芸表現のイメージを敢えて挿入しています


早速会場を見てみましょう。
ギャラリーAではアメリカのサンタフェ、オーストラリアの2地域の工芸が展示されています。

金沢アートグミ特集ページ
(撮影:上田陽子)


まずはアメリカ、ニューメキシコ州にあるサンタフェについて。

■紀元前10000年頃から先住民族がいたとされ、15世紀にスペイン植民地→16世紀後半から19世紀前半までスペイン帝国の領地→24年間メキシコ領土→19世紀後半のメキシコ割譲にてアメリカ合衆国ニューメキシコ州となった。
■高地乾燥〔砂漠〕性気候とよばれ、通年、降雨量が少なく晴れが多く、過ごしやすい地域である。
■20世紀初めに工業製品の流入により伝統工芸は一度姿を消したが、個人による活動や連邦政府による活動もあり、土着の伝統文化の再興・発展が行われた。

今回取り上げられたこの地域の伝統的な工芸は染織、木彫、銀線細工、錫工、藁の飾り細工、切り絵、鉄細工、陶芸、宗教彫刻と9つあり、表情も多彩です。それはポイントだけ上述したように、植民地地代に土着の伝統と、ヨーロッパ、アジア文化が織り交ざったという歴史があるためで、全体として4地域のなかでも民族的で軽やか、おおらかな印象です。

電子部品を用いて装身具、壁掛け、宗教彫刻を手掛けるマリオン・マルティネス氏。「アトーチャの幼子イエス」というカトリックの伝説をもとにした宗教イメージは一般的に、聖なる少年巡礼者が帽子、華やかなマントを身に着け、片手にバスケット、片手に水が入ったひょうたんが括りつけられた金剛杖を持っているものであるらしいのですが、それをうまく銅線やコンピューター部品で表現してあります。

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左 Santo Nino de Atocha http://www.johntoddjr.com/36%20Atocha/atpr.htm
右 マリオン・マルティネス《アトーチャの幼子イエス》 2001~2002年 (撮影:上田陽子)




カミラ・トゥルヒーヨ氏とレネー・ザモーラ氏による《チョコレートポット》。これは貨幣代わりに使用されるほど貴重だったカカオ豆を貯蔵するための壺で、中国からメキシコに伝わった際に鍵のかかる鉄製の蓋が付けられたニューメキシコの伝統文化を反映する入れ物です。
トゥルヒーヨ氏は雲母質陶土で壺を、ザモーラ氏は伝統をもとに鉄蓋をつくり組み合わせた作品です。(左の壺は陶器部分は17世紀の中国製で、18世紀にメキシコで鍵蓋が付けられたポット。)

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左 green, ceramic chocolatero Made in China in the 17th century and has a locking lid of iron from Mexico made in the 18th century http://www.thechocolatelife.com/photo/historic-green-glazed-chocolatero-chocolate-storage-jar
右 カミラ・トゥルヒーヨ&レネー・ザネーラ 《チョコレートポット》 2008年 (撮影:上田陽子)



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(撮影:上田陽子)

次にオーストラリアについて。

■5万年ないし12万年以上前に先住民族が上陸し、西洋人による大陸発見までの歴史の詳細は不明。19世紀にイギリスの植民地となりはじめは流刑地とされたがゴールドラッシュを経て、20世紀初頭に連邦国家として独立。移民を多く受け入れている。
■広大な国土を有するオーストラリアは、気候も熱帯性から砂漠性、温帯性まで変化に富み、都市によってまったく違った気候風土を持っている。

キュレーターの1人、リサ・ケーヒル氏は「西洋文化の流入により、先住民族の文化と双方向に、文化の”共有”が生まれた」と強調し、会場にはコステラ社という企業とのコラボレーションで製品化された工芸品やデザイン、現代美術と結びついた作品がピックアップされ、デザインセンターのキュレーションらしく、全体としてやはりデザイン性の高い作品が多数展示されていました。

ワラジェリー地方に伝わる編み籠「ディリーバッグ」を伝統的な技法で、ゴミ捨て場で集めた鉄条網や金属等伝統的でない素材を用い、通常よりもかなり大きなサイズでオブジェとしてつくるロレーン氏。画像左のように、本来のディリーバッグは世界各国の工芸としてはしばしば見られる様な、一般的な編み籠に見えますが、彼女の作品は日々の採集、運搬に用いた籠がデザインはそのまま、現代的な美術作品に仕上がっています。


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左 Dilly bags – National Gallery of Australia 
Jill NGANJMIRRA (NAMARNYILK) Dilly bag wide neck dilly bag pandanus, natural dyes Purchased 2003
http://nga.gov.au/Exhibition/Tactility/Default.cfm?MnuID=6
右 ロレーン・コノリー・ローシー《Fibre Vessels》 (撮影:上田陽子)



タスマニアの先住民族であるローラ・グリーノ氏は祖先から伝わる伝統的な首輪に関する知識と技術を受け継いている作家です。貝殻を採集するところから仕上げるまで何か月もの時間をかけて1つの首輪を制作しており、キャプションの素材には耳慣れない、現地の動植物等の名前が並んでいます。

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ローラ・グリーノ 《ペーウラッパー》2011年 アワビの貝殻、ワイヤー、ハリモグラのトゲ  (撮影:上田陽子)



その2へつづく
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